まとめて解説│事業復活支援金について【令和4年5月31日まで】

事業復活支援金は、業種や所在地を問わず、新型コロナウイルス感染症により、大きな影響を受ける中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者を対象に、事業規模に応じた給付金を支給する新たな支援制度です。

本稿では、経済産業省が公開している情報を基に、制度の概要や申請方法について詳しく解説していきたいと思います。申請期限は令和4年5月31日となっており、既に事前確認と通常申請の受付が始まっておりますので、要件や申請方法をしっかりご確認の上、なるべく早く申請するようにしましょう。

なお、情報の随時更新に努めますが、正確性を期すため、必ず下記の事業復活支援金事務局の公式サイトをご確認いただくようお願いいたします。

事業復活支援金事務局 相談窓口

【申請者専用】
⚫ TEL:0120-789-140
⚫ IP電話等:03-6834-7593
【登録確認機関専用】
⚫ TEL:0120-886-140
⚫ IP電話等:03-4335-7475

8時30分~19時00分(土日祝含む全日対応)

事業復活支援金の概要

給付対象業種や所在地を問わず、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことにより、2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年11月~2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上又は30%以上50%未満減少した事業者
給付額基準期間の売上高 ー 対象月の売上高×5
基準期間「2018年11月~2019年3月」「2019年11月~2020年3月」「2020年11月~2021年3月」のいずれかの期間(対象月を判断するため、売上高の比較に用いた月(基準月)を含む期間であること)
対象月2021年11月~2022年3月のいずれかの月(基準期間の同月と比較して売上が50%以上又は30%以上50%未満減少した月であること)
給付上限額個人事業主・法人の別事業規模および売上減少率により変動(後述)
申請期限令和4年5月31日
(事前確認は令和4年5月26日まで)

対象者として給付を受けるためには、以下の2つの条件を満たしている必要があります。後ほど詳しく解説しますが、重要事項ですので、しっかりと確認するようお願いいたします。

  • 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者であること
  • 2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年11月~2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上又は30%以上50%未満減少していること

また、今後のスケジュール予定は以下のとおりとなっています。

事業復活支援金スケジュール

新型コロナウイルス感染症の影響

給付対象とされるためには、新型コロナウイルス感染症の拡大や長期化に伴う需要の減少又は供給の制約により大きな影響を受け、自らの事業判断によらずに対象月の売上が基準月と比べて50%以上又は30%以上50%未満減少している必要があります。したがって、新型コロナウイルス感染症の影響とは関係のない以下のようなケースは、給付要件を満たしません。

  • 実際に事業収入が減少したわけではないにも関わらず、通常事業収入を得られない以下のような時期を対象月とすることにより、算定上の売上が減少している場合
    • 事業活動に季節性があるケース(夏場の海水浴場など)における繁忙期
    • 農産物の出荷時期以外など
  • 売上計上基準の変更や顧客との取引時期の調整により売上が減少している場合
  • 要請等に基づかない自主的な休業や営業時間の短縮、商材の変更、法人成り又は次行承継の直後などで単に営業日数が少ないこと等により売上が減少している場合

需要の減少による影響の具体例

需要の減少による影響の具体例1
需要の減少による影響の具体例2

供給の制約による影響の具体例

供給の制約による影響の具体例

給付対象外の例

対象月の売上が30%以上減少していても、新型コロナウイルス感染症影響を受けていない場合など、給付要件を満たさなければ給付対象外となります。そのほか、以下のようなルールが設けられていますのでご注意ください。

  • 事業復活支援金の給付通知を受け取った方は、再度申請することはできません。
  • 持続化給付金、家賃支援金、一時支援金又は月次支援金で不正受給を行った者については、事業復活支援金の申請・受給を行う資格はありません。
  • 公共法人、風営法上の性風俗関連特殊営業として届出義務のある者、政治団体、宗教法人は給付対象外となります。
  • その他、事業復活支援金の趣旨・目的に照らして適当でないと判断される場合は不給付となる可能性があります。

宣誓・同意書

申請に当たっては、以下の宣誓事項に宣誓するとともに、同意事項に同意した上で、中小法人等の代表者又は個人事業者等の本人が自署した宣誓・同意書を提出します。また、虚偽の宣誓を行った場合や同意事項に違反した場合は、直ちに事業復活支援金の給付の辞退又は返還を行う義務が生じますので、ご注意ください。

宣誓事項

給付要件を満たしていること
申請内容に虚偽がないこと
暴力団排除に関する誓約事項を遵守すること
事業の継続・立て直しのための取組を継続的に行うこと

同意事項

確定申告書の裏付けとなる帳簿書類等の書類を電磁的記録等により7年間保存し、求めに応じて速やかに提出すること
事務局等が行う関係書類の提出指導、事情聴取、立入検査等の調査に応じること
受給後に給付要件を満たしていないことが判明した場合や、不正受給等が発覚した場合には、給付を受けた事業復活支援金を速やかに返還する義務を負うほか、申請者の氏名等の公表等の措置が取られることがあること
事業復活支援金、月次支援金、一時支援金、持続化給付金及び家賃支援給付金の申請に当たってそれぞれの事務局に提出した全ての基本情報等や調査結果が、中小企業庁及びそれぞれの支援金等の事務局、国税庁その他の関係行政機関並びに捜査機関の間において相互に提供され、審査及び調査のために用いられる場合があること
提供した基本情報等が、国及び地方自治体による事業復活支援金の制度枠組みを準用した支援策の事務のために第三者に提供される場合、及び本事業に関連する事務のために申請者情報を第三者から取得する場合があること
給付規程(PDF)に従うこと

申請の流れ

申請フロー

事前確認

不正受給や給付対象を誤って理解したまま申請してしまうことへの対応として、申請希望者が、①事業を実施しているか②新型コロナウイルス感染症影響を受けているか③給付対象等を正しく理解しているか等を事前に確認します。具体的には、「登録確認機関」が、TV会議又は対面等で、事務局が定めた書類(帳簿等)の有無の確認や宣誓内容に関する質疑応答等の形式的な確認を行います。なお、登録確認機関は、申請希望者が給付対象であるかの判断は行いません。また、事前確認の完了をもって、給付対象になるわけではありません。

なお、一時支援金又は月次支援金の既受給者は、原則として改めて事前確認を受ける必要はありません。

事前確認の流れ

事前確認の流れ

登録確認機関

登録確認機関は、以下の者が登録を受けることにより認定されます。また、登録確認機関と申請希望者が「継続支援関係」にある場合は、事前確認を一部簡略化することもできます。継続支援関係にない場合(一時支援金又は月次支援金の既受給者を除く)は、事前確認を行うとともに、申請時には、一部追加的に提出する書類があります。

認定経営革新等支援機関中小企業等経営強化法に基づき認定を受けた税理士、中小企業診断士、行政書士など
認定経営革新等支援機関に準ずる機関商工会/商工会連合会、農業協同組合/農業協同組合連合会、商店街振興組合/商店街振興組合連合会、商工会議所、漁業協同組合/漁業協同組合連合会 、預金取扱金融機関、中小企業団体中央会、生活衛生同業組合/都道府県生活衛生営業指導センター
上記を除く機関又は資格を有する者等税理士/税理士法人、公認会計士/監査法人、中小企業診断士、行政書士/行政書士法人、青色申告会連合会/青色申告会

継続支援関係の定義

  1. 特別の法律により設置された機関(商工会等)の会員・組合員(過去1年以上継続しているもの、又は、今後も含め会員等期間が1年以上のもの)
  2. 法律に基づく士業(税理士、公認会計士、行政書士等)の顧問先(過去1年以上継続しているもの、又は、今後も含め契約等期間が1年以上のもの)
  3. 金融機関(認定経営革新等支援機関に準ずる機関)の事業性融資先(株式保有先を含む)
  4. 登録確認機関の反復継続した支援先(事業者の本業で2019年~2021年の間に毎年1回以上の支援実績があるもの)

事前確認用の書類準備

事前確認では、以下の資料が必要になります。ただし、登録確認機関と「継続支援関係」にある場合は、①~④については省略することができます。

  1. 本人確認書類/履歴事項全部証明書(中小法人等のみ)
  2. 収受日付印の付いた、以下の期間分の確定申告書の控え
  3. 2018年11月から対象月までの各月の帳簿書類(売上台帳、請求書、領収書等)
  4. 2018年11月以降の全ての事業の取引を記録している通帳
  5. 代表者又は個人事業者等本人が自署した「宣誓・同意書」
本人確認書類
  • 運転免許証(両面)マイナンバーカード(表面)、または写真付きの住民基本台帳カード(表面)
  • 在留カード、特別永住者証明書、または外国人登録証明書
  • 身体障害者手帳、療育手帳、または精神障害者保健福祉手帳
  • 住民票及びパスポート
  • 住民票及び各種健康保険証

上記のいずれかの書類により本人確認を行います。また、法人の代表取締役から委任された者が事前確認を受ける場合には、履歴事項全部証明書及び代表取締役の本人確認書類に加えて、委任状(委任内容、委任者、受任者が明確である限りは書式自由)及び委任状に記載された受任者の本人確認書類もご準備ください。

確定申告書の控え

e-Taxの場合は、受信通知メールのある確定申告書の控え又は受付日時が印字された確定申告書の控えを提示します。
個人事業者等の場合は、確定申告義務がない場合その他合理的な事由がある場合は、住民税の申告書の控えで代替可能です。
中小法人等の場合は、合理的な理由で提出できない場合は、税理士の署名がある事業収入を証明する書類で代替可能です。

帳簿書類

書類の量が膨大な場合は、登録確認機関が任意に選択した複数年月の帳簿書類を提示することもできます。

事前確認の依頼・事前予約

原則として、「所属団体の会員・組合員の方は当該団体」に、「金融機関の事業性融資先(株式保有先含む)である方は当該金融機関」に、「顧問の士業がいる方は当該士業」に、「反復継続した支援を受けている登録確認機関がいる方は当該登録確認機関」に、事前確認を依頼します。この場合には、登録確認機関と「継続支援関係」にあるものとして、「書類の有無の確認の省略」及び「電話での確認」が可能です。

登録確認機関と継続支援関係にない場合には、こちら(外部サイト)から身近な登録確認機関を検索することができます。

登録確認機関に事前確認を依頼後、事前予約の連絡を行い、日程や確認方法について、調整を行います。事前予約なく登録確認機関を訪問することは、絶対におやめください。

事前確認の実施

登録確認機関は、以下の内容について、事前確認を実施します。

  1. 「事業形態」、「申請ID」、「電話番号」、「法人番号及び法人名(中小法人等)」、「氏名及び生年月日(個人事業者等)」の確認
  2. 「継続支援関係」の有無の確認
  3. 「実施方法」、「確認の種別(一部確認・全部確認)」、「事前確認の対価(報酬)」の確認
  4. 本人確認 「確定申告書の控え」、「帳簿書類」、「通帳」の有無の確認
  5. 4の書類が存在しない場合、その理由についての確認
  6. 「帳簿書類」及び「通帳」のサンプルチェック(基準月及び登録確認機関が任意に選んだ年月における取引の確認)
  7. コロナの影響による売上減少について聴取及び該当項目の確認
  8. 宣誓・同意事項等を正しく理解しているかについての確認(口頭)
  9. 事前確認通知番号の発行
  10. 申請

継続支援関係にある場合には、④~⑥を省略することが可能です。⑦についても、登録確認機関が既に把握済であれば省略することができます。なお、事前確認通知番号はオンラインで交付され、申請者が申請に用いることはありません。

申請

登録確認機関による事前確認の後、事業復活支援金事務局が設置する申請用のWEBページから申請することができるようになります。申請は、事務局のWEBページ上のオンライン操作にて行います。なお、オンラインでの申請が困難な方についても、申請のサポートを行う会場の設置が予定されています。(全ての都道府県に設置:全国64会場)

  1. 事業復活支援金事務局が設置するWEBページにログイン
  2. 申請に関わる基本情報を記載の上で、以下の必要書類を添付
  3. 申請ボタンを押下

主な必要書類

申請の際に必要となる書類は、以下のとおりです。事前確認の際に提示する書類とは異なることにご注意ください。

主な必要書類

確定申告書

提出が必要となる確定申告書

保存書類

2018年11月から対象月までの、確定申告書類の裏付けとなる全ての「帳簿書類および通帳」を7年間保存する必要があります。(代表例は以下のとおり)
申請時、これらの提出は不要ですが、申請後に提出を求められる場合があります。
なお、給付要件を満たさないおそれがある場合は、保存書類以外にも書類の提出を求められる場合があります。

保存書類

給付額の算定

個人事業主・法人の別、事業規模および売上減少率により以下の給付上限額が設けられています。

事業復活支援金給付上限額

中小法人等

給付額の算定(中小法人等)

個人事業者等青色申告

給付額の算定(個人事業者等青色申告)

個人事業者等確定申告書において月間事業収入が確認できない場合

給付額の算定(個人事業者等確定申告書において月間事業収入が確認できない場合)

新型コロナウイルス感染症対策に関連する給付金等の扱い

対象月の該当性判断や給付額の計算に当たっては、各月の事業収入に、以下のような新型コロナウイルス感染症対策として国又は地方公共団体による支援施策により得た給付金、補助金等が含まれる場合は、その額を除きます。

  • 新型コロナウイルス感染症対策に関連する給付金・補助金等(持続化給付金、家賃支援給付金、一時支援金、月次支援金、J-LODlive補助金等)
  • 地方公共団体による休業や営業時間短縮の要請等(「時短要請等」)に応じた者への協力金等
算定のイメージ(原則)
算定のイメージ(対象月中に地方公共団体による時短要請等に応じている者)

対象月中に地方公共団体による時短要請等に応じている者

給付額の算定(対象月中に時短要請等に応じている者)

証拠書類等及び給付額の算定等に関する特例

以下の特例は、令和4年2月18日より申請開始が予定されています。

特例

差額給付申請

3月までを見通し、1回限りの申請を行うことが原則とされていますが、30%以上50%未満の売上高減少で事業復活支援金の給付を受けた方であって、申請を行った月より後の対象期間内の月で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、申請時には予見できなかった50%以上の売上高減少が生じ、給付算定額がより高くなる方に対しては、その差額分が給付される追加申請が予定されています。なお、その場合、追加申請の受付開始は、初回申請者の申請受付終了後となります。

差額給付のイメージ

まとめ

感染症の流行により、経済はいまだ本来の活気を取り戻せてはいません。定期的に「まん延防止等重点措置」が発出されるなど、事業者さまには予断を許さない状況が続きます。予算の関係上、徐々に支援の規模が縮小している感は否めず、また、申請方法や給付要件も複雑さを増してきています。前回の月次支援金についても、多くの補正と不支給者が発生したことを聞き及んでいます。だからこそ、本当に必要としている方々に向けて支援が行き届くことを願います。

弊所でも、登録確認機関として事前確認に対応するほか、有料ながら、申請についてもサポートさせていただきます。微力ながら行政書士の末席として、事業者さまを積極的に支援していきたいと思います。まずはどうぞご遠慮なくご相談ください。

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