ワクチン・検査パッケージ制度とは│メリットと登録方法について

夜の大阪道頓堀

ワクチン・検査パッケージ制度は、感染対策と日常生活の回復の両立に向けて、将来の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等の下において、ワクチン接種歴や陰性の検査結果を活用し、飲食店やイベント等の各分野における行動制限の緩和を可能とするための制度です。

ただし、感染が急拡大し、医療提供体制のひっ迫が見込まれる場合等においては、政府又は都道府県の判断で本制度を適用せず、強い行動制限を要請されることがあります。

なお、都道府県知事は、地域の感染状況により、あらかじめ国と協議の上、独自の取扱いをすることができます。

本稿では、大阪府における同制度の内容を下敷きとして、制度の概要や必要となる手続きについて解説するとともに、対象者全員検査制度についても紹介していきたいと思います。

行動制限の緩和内容

行動制限の緩和は、制度を活用する際に、事業者のメリットとなるものです。しっかりとご確認の上、活用を検討する際の判断材料としてください。

飲食店

飲食店における緩和内容

緊急事態措置区域における第三者認証店(大阪府における感染防止認証ゴールドステッカーの認証店舗等)では、酒類の提供が認められ、営業時間については21時までとすることも可能となります。

重点措置地域における第三者認証店では、酒類の提供が認められ、21時までの営業時間の短縮又は特段の時間制限を設けず営業することも可能となります。

上記以外の区域における第三者認証店では、感染拡大の傾向がみられる場合でも、酒類の提供が認められ、特段の時間制限を設けず営業することも可能となります。人数制限についても要請は行われませんが、感染拡大の傾向が見られる場合には、都道府県知事の判断により、同一グループの同一テーブルでの5人以上の会食を避けるよう要請がなされます。

緊急事態措置区域及び重点措置地域においては、引き続き、同一グループの同一テーブルでの5人以上の会食を避けるよう要請がされますが、この人数制限が要請されている区域の第三者認証店においては、ワクチン・検査パッケージ制度を適用する場合、人数制限は行われません。

カラオケ店

カラオケ設備を提供する飲食店に対して休業が要請されている場合であっても、収容率の上限を50%としてカラオケ設備を提供することが可能となります。

イベント

イベントにおける緩和内容

人数上限が定められている場合であっても、収容定員までの入場が可能となります。

★イベントの人数上限(大阪府)

緊急事態措置区域は1万人

まん延防止等重点措置区域は2万人

人の移動

移動における緩和内容

不要不急の都道府県をまたぐ人の移動について、ワクチン接種済者又は検査を受けて陰性とされた者は、国による自粛要請の対象からは除外されます。外出についても、混雑した場所や感染リスクが高い場所を訪れる場合を除き、ワクチン接種の有無にかかわらず、国による自粛要請の対象とはなりません。

事業者の事前登録

緊急事態宣言時やまん延防止等重点措置等により行動制限が課せられている場合、行動制限の緩和の適用を受けるためには、事業者は事前に都道府県から登録を受ける必要があります。

飲食店、カラオケ店

登録を申請する事業者は、第三者認証(大阪府における感染防止認証ゴールドステッカー)の認証店舗であることが前提となります。

各都道府県ごとにオンラインで申請することが基本となります。大阪府であれば、大阪府行政オンラインシステムから、兵庫県であれば、電子申請共同運営システム(e-ひょうご)から申請を行います。

なお、同システムの利用が困難な事業者については、登録申請書を郵送で提出することも可能です。

飲食スペースを他店等と共有する飲食店については、施設管理者が全店舗分の登録申請書をとりまとめます。

都道府県で申請内容を確認後、事業者に対して登録完了メールが送付されます。また、登録店舗一覧は各都道府県のホームページ上で公開されます。

登録が完了された事業者には、新しいステッカーが交付されます。大阪府ではオンラインシステムからステッカーをダウンロードする流れになりますが、兵庫県においては、実地確認調査の際に手渡しで受け取ることになります。この新しいステッカーは、利用者の方が外から見える位置に掲示します。

ワクチン・検査パッケージ制度の登録手続きについて(大阪府)
大阪府における手続き(出典元:大阪府公式サイト)
ワクチン・検査パッケージ登録申請書の記入について(大阪府)
大阪府における手続き(出典元:大阪府公式サイト)

イベント

参加人数5000人超かつ収容率50%超のイベントを主催する事業者には、感染防止安全計画の提出が求められます。同計画において、ワクチン・検査パッケージ制度の利用を記載し、都道府県の確認を受けることで、登録は完了となります。飲食店と同様に、登録事業者一覧は各都道府県のホームページ上で公開されます。

感染防止安全計画の策定が不要であるイベントについては、感染防止策等を記載した「感染防止策チェックリスト」を作成し、HP等に公表するよう求められます。

具体的な感染防止策について
飛沫の抑制の徹底品質が適切なマスク(不織布推奨)の正しい着用や大声を出さないことの周知・徹底等
手洗い、手指・施設消毒の徹底こまめな手洗いや、手指・施設内の消毒の徹底等
換気の徹底法令を遵守した空調設備の設置による常時換気又はこまめな換気の徹底
来場者間の密集回避入退場時の密集を回避するための措置(入場ゲートの増設や時間差入退場等)の実施等
飲食の制限飲食時における感染防止策(飲食店に求められる感染防止策等を踏まえた十分な対策)の徹底等
出演者等の感染防止策有症状者(発熱又は風邪等の症状を呈する者)は出演・練習を控えるなど日常からの出演者やスタッフ等の健康管理の徹底等
参加者の把握・管理等チケット購入時又は入場時の連絡先把握やアプリ等を活用した参加者の把握、直行・直帰の呼びかけ等イベント前後の感染防止の注意喚起等
感染防止安全計画の提出について

参加人数5,000人超かつ収容率50%超のイベント(緊急事態措置区域やまん延防止等重点措置区域に該当する場合は5,000人超のイベント)が対象になります。

なお、参加者を事前に把握できない場合は、イベント主催者等が想定する参加予定人数が5,000人超の時、収容定員が設定されていない場合は、人と人とが触れ合わない程度の間隔で開催したい時に、感染防止安全計画を提出する必要があります。

また、イベントは「大声なし」の担保が前提になりますが、この「大声」とは、観客等が通常よりも大きな声量で、反復・継続的に声を発することを指します。

大阪府においては、感染防止安全計画[Word/32KB]に、チラシやパンフレット、計画書等(既存資料でOK)を添付し、イベント開催日の2週間前までを目処にこちら宛に提出します。(以下、記載例)

感染防止安全計画
感染防止安全計画2

また、イベント終了後1か月以内を目処に、同じくこちら宛に結果報告書[Excel/19KB]を提出します。(以下、記載例)

結果報告書
結果報告書2
結果報告書3

なお、全てのイベントにおいて、問題が発生(クラスター発生、感染防止策の不徹底等)した場合は、直ちに結果報告書を提出する必要があります。

感染防止安全計画の策定が不要なイベント

感染防止安全計画の策定が不要であるイベントについては、感染防止策チェックリスト[PDF/598KB]を作成し、イベントのHP、SNS、会場への掲載等により公表し、イベント終了日より1年間保管します。(以下、記載例)

感染防止策チェックリスト
感染防止策チェックリスト2
感染防止策チェックリスト3

大阪府への提出や事前相談は不要ですが、検査場所を設置し、無料検査を実施する場合には、「感染防止策チェックリスト」を作成した上で、開催2週間前までを目処に、じくこちら宛に提出する必要があります。

なお、全てのイベントにおいて、問題が発生(クラスター発生、感染防止策の不徹底等)した場合は、直ちに結果報告書を提出する必要があります。

入店時の確認について

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等において、行動制限の緩和の適用を受ける場合、登録した事業者は、店舗等への入店時には、「ワクチン接種歴」又は「検査結果の陰性」のいずれかを確認します。なお、確認できない場合は、行動制限の緩和の適用を受けることはできませんので、十分にご注意ください。

ワクチン接種歴の確認方法

予防接種済証等(接種証明書、接種記録書等を含む)により、利用者が2回接種を完了していること、2回目接種日から14日以上経過していることを確認します。なお、予防接種済証を撮影した画像や写し等で確認することも可能です。

この際には、身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証、学生証等)により本人確認を行います。

PCR検査等の確認方法

検査機関等が発行する結果通知書により、利用者の検査結果が陰性であることを確認します。PCR検査等(Lamp法等の核酸増幅法、抗原定量検査を含む)が推奨されますが、抗原定性検査も利用可能です。

PCR検査等は、検体採取日(検体採取日が不明な場合は検査日)より3日以内、抗原定性検査は検査日より1日以内の検査結果が有効です。また、身分証明書による本人確認も行います。

確認の対象者

飲食店同一グループの同一テーブルでの5人以上の会食を行わせる場合には、当該5人以上の利用者全員について確認を行う
カラオケ店来店者全員について確認を行う
イベントワクチン・検査パッケージ制度により緩和される部分(定められた人数上限を超えて追加で収容可能となる入場者数分)について確認を行う

対象者全員検査の登録

対象者全員検査は、ワクチン・検査パッケージ制度の適用範囲に準じた取扱いとして、行動制限の緩和を可能とするものです。ワクチン・検査パッケージ制度の登録で、対象者全員検査を適用することが可能になります。

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等により行動制限が課せられている場合、行動制限の緩和の適用を受けるためには、事前の登録が必要になります。

ワクチン・検査パッケージ制度
既登録店
新たな登録手続きは不要
(対象者全員検査が適用)
ワクチン・検査パッケージ制度
未登録店
ワクチン・検査パッケージ制度の登録で、対象者全員検査の適用が可能

まとめ

以上、ご確認いただいたとおり、ワクチン・検査パッケージ制度の適用については、意外に煩わしい手続きが要求されています。国や地方自治体の感染症対策や制度に関しては、個々様々な要望や考え方、スタンスがあるように感じます。私個人においても色々と思うところはありますが、弊所としては制度自体の是非を問うつもりはなく、現在ある仕組みと制度を要約して皆さまにお届けすることが職責であると思っております。

手続きについてご不明な点やご不安な点があれば、サポートや代行も含め、ご遠慮なくご活用ください。以下が弊所におけるサポートの報酬額です。商店街や組合、複数回にわたり開催する大規模なイベントなど、複数件を同時にお申し込みされる場合には、さらにお値引きさせていただきます。まずはどうぞお気軽にお問い合わせください。

ワクチン・検査パッケージ制度登録申請
(飲食店・カラオケ)
22,000円
イベント開催時フルサポート
(一括代行)
99,000円
感染防止安全計画44,000円
結果報告書66,000円
※税込み

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