マンション管理業者登録制度について

木と太陽光と高層マンション

マンション管理業とは、管理組合から委託を受けて、業としてマンションの管理事務を行う事業形態を指します。このうち、マンションの区分所有者等がそのマンションについて行うものは除外されています。

土地利用の高度化の進展その他国民の住生活を取り巻く環境の変化に伴い、マンションの重要性が増大していることにかんがみ、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(マン管法)では、マンション管理業者の登録制度を実施するなどの措置を講ずることによって、その適正化を推進しています。

そこで本稿では、マンション管理業を適正に行うために必要となる法的な基礎知識について、詳しく解説していきたいと思います。

マンション管理業とは

冒頭で述べたとおり、マンション管理業とは、「管理組合から委託を受けて、業としてマンションの管理事務を行う事業形態」を指します。すなわち、マンション管理業と呼べるためには、以下の3つの要素にすべて該当する必要があります。

  1. 管理組合から委託を受けること
  2. マンションの管理事務を行うこと
  3. 業として行うこと

管理組合からの委託

あくまで管理組合から委託を受けることが要素とされているため、マンションの区分所有者等がそのマンションについて行う行為は除外されています。

管理事務

管理事務とは、基幹事務を含むマンションの管理に関する事務のことをいいます。また、基幹事務とは、管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいいます。したがって、マンションの警備や防火管理者としての業務だけを請け負う場合は、マンション管理業登録は必要ありません。

事業性

事業性とは、対価の有無を問わず、反復継続的に行う意思をもって行為をなすことを言います。ただし、そもそも管理行為自体が反復性と継続性を推認することができる行為ですので、あまり深く考え込む必要はないかもしれません。

マンション管理業者登録

マンション管理業を営もうとする者は、国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けなければならないものとされています。マンション管理業者の登録の有効期間は5年とされ、有効期間の満了後引き続きマンション管理業を営もうとする者は、更新の登録を受ける必要があります。

登録申請者は、国土交通大臣に次の事項を記載した登録申請書を提出することにより申請を行います。

  • 商号、名称又は氏名及び住所
  • 事務所(本店、支店その他の国土交通省令で定めるもの)の名称及び所在地並びに当該事務所が管理業務主任者を配置する事務所であるかどうかの別
  • 法人である場合においては、その役員の氏名
  • 未成年者である場合においては、その法定代理人の氏名及び住所(法定代理人が法人である場合においては、その商号又は名称及び住所並びにその役員の氏名)
  • 事務所ごとに置かれる成年者である専任の管理業務主任者の氏名

マンション管理業者は、登録事項に変更があったとき、又は廃業したときは、その日から30日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければならないものとされています。

登録基準

  1. 欠格事由に該当しないこと
  2. 管理業務主任者を配置すること
  3. 基準資産額以上の資産を有すること
  4. 要件を満たす事務所を設置すること

マンション管理業者として登録を受けるためには、上の4つの要件をすべてクリアする必要があります。

欠格事由

国土交通大臣は、登録申請者が次のいずれかに該当するときは、登録を拒否しなければならないものとされています。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
  • マンション管理業者で法人であるものが登録を取り消された場合において、その取消しの日前30日以内にそのマンション管理業者の役員であった者でその取消しの日から2年を経過しないもの
  • 業務の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • マン管法の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • 暴力団対策法に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 心身の故障によりマンション管理業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
  • マンション管理業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む)が上記のいずれかに該当するもの
  • 法人でその役員のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者
  • 事務所についての要件を欠く者
  • マンション管理業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者
  • 登録申請書や添付書類の重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき

管理業務主任者

マンション管理業者は、その事務所ごとに、事務所の規模に応じた数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならないものとされています。ただし、5戸以下のマンションのみを取り扱う事務所には、管理業務主任者を設置する必要はありません。また、「専任」とは、マンション管理業を営む事務所に常勤して、専らマンション管理業に従事する状態をいいます。

マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合の数が30を超えるごとに、1名以上の管理業務主任者を配置します。なお、既存の事務所が、配置すべき管理業務主任者の定数を欠いたときは、2週間以内に、定員を補充するため必要な措置をとらなければならないものとされています。

管理業務主任者の登録

管理業務主任者として国土交通大臣の登録を受けることができる者の要件は、以下のとおりです。

  • 試験に合格した者で、管理事務に関し2年以上の実務経験を有するもの
  • 試験に合格した者で、登録実務講習を修了した者
  • 国、地方公共団体又は国若しくは地方公共団体の出資により設立された法人において管理事務に従事した期間が通算して2年以上である者
  • 国土交通大臣がこれらと同等以上の能力を有すると認めた者

なお、管理業務主任者を証する管理業務主任者証の有効期間は5年とされています。

管理業務主任者の欠格事由

次の欠格事由に該当する者は、管理業務主任者の登録を受けることができません。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • マン管法の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • マンション管理士の登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
  • 管理業務主任者の登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
  • マンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者(当該登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの日前30日以内にその法人の役員であった者で当該取消しの日から2年を経過しないもの)
  • 心身の故障により管理業務主任者の事務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの

財産的基礎

マンション管理業者として登録を受けるためには、基準資産額が300万円以上あることが必要です。 基準資産額とは、貸借対照表又は資産に関する調書に計上された資産の総額から負債の総額に相当する金額を控除した純資産額のことをいいます。

事務所要件

マンション管理業者の事務所には、その営業活動の拠点として使用できる形態が備わっていなければなりません。具体的には以下がその要件となります。

  • 営業活動の場所として継続的に使用することができること
  • 社会通念上も物理的に事務所として認識される程度の形態を備えていること
  • 契約の締結又は履行に関する権限を有する者を配置していること

また、居住用の物件など本来業務用で使用しない場所を事務所として使用する場合は、家主の使用承諾を受けておく必要があります。

必要となる書類

  • 登録申請書
  • 誓約書
  • マンション管理業経歴書
  • 事務所について要件を備えていることを証する書面
  • 身分証明書(登録申請者及び専任の管理業務主任者)
  • 登記事項証明書(法人)
  • 相談役及び顧問の氏名及び住所並びに発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主又は出資の額の100分の5以上の額に相当する出資をしている者の氏名又は名称、住所及びその有する株式の数又はその者のなした出資の金額を記載した書面(法人)
  • 略歴書(登録申請者及び専任の管理業務主任者)
  • 資産に関する調書(個人)
  • 直近の貸借対照表及び損益計算書(法人)
  • 所得税の直近の各年度における納付すべき額及び納付済額を証する書面(個人)
  • 法人税の直近の各年度における納付すべき額及び納付済額を証する書面(法人)
  • 保証契約に関する事項を記載した書面(保証契約締結した場合)

ここでいう登録申請者とは、法人である場合においてはその役員並びに相談役及び顧問をいい、営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合においてはその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員)を含みます。

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