大規模小売店舗に関する届出│デパートやショッピングモール開設のための手続きについて

デパートやショッピングモールといった大規模集客施設の立地は、地域の生活環境や道路等の都市機能に与える影響が大きいため、設置者には、生活環境の保持、都市機能との調和についての配慮が求められます。 このため、大規模小売店舗立地法や各自治体の条例中においては、これらの施設の配置や運営方法に関して必要な手続が定められています。

兵庫県においても「大規模集客施設の立地に係る都市機能の調和に関する条例(PDF:105KB)」が制定されており、この条例に基づいて手続きを行うことが求められています。つまり大規模集客施設の立地は、国の基準と各自治体ごとの基準の両方に適合させる必要があるということになります。

大規模小売店舗立地法及び大規模集客施設条例に基づく手続(届出等の提出、事前相談、事前協議等)を、届出等をする本人以外の者が行う場合には、民法に基づく委任の内容の確認及び行政書士法に基づく必要な対応の確認が行われていますので、十分にお気をつけください。

大規模小売店舗とは

大規模小売店舗とは、一の建物であって、その建物内の店舗面積の合計が基準面積(1000㎡)を超えるものをいいます。なお、「一の建物」とは、政令で定める以下の建物のことを指します。

  • 屋根、柱又は壁を共通にする建物(建物が公共の用に供される道路その他の施設によって2以上の部分に隔てられているときは、その隔てられたそれぞれの部分)
  • 通路によって接続され、機能が一体となっている2以上の建物
  • 上記を含む建物とその附属建物をあわせたもの
大規模小売店舗の概念

基準面積

店舗面積とは、小売業(飲食店業を除き、物品加工修理業を含む)を行うための店舗の用に供される床面積のことを指します。そして基準面積とは、大規模小売店舗を定義するための基準となる店舗面積のことを指します。政令では基準面積を1000㎡としていますが、都道府県は、その条例において基準面積を独自に定めることができるものとされています。

新設に関する届出

大規模小売店舗を新設する者は、次の事項を当該大規模小売店舗の所在地の属する都道府県に届け出なければならないものとされています。なお、「新設」には、建物の床面積を変更し、又は既存の建物の全部若しくは一部の用途を変更することにより大規模小売店舗となる場合も含まれます。

  • 大規模小売店舗の名称及び所在地
  • 大規模小売店舗を設置する者及び当該大規模小売店舗において小売業を行う者の氏名又は名称及び住所
  • 代表者の氏名(法人)
  • 大規模小売店舗の新設をする日
  • 大規模小売店舗内の店舗面積の合計
  • 駐車場の位置及び収容台数
  • 来客が駐車場を利用することができる時間帯
  • 駐車場の自動車の出入口の数及び位置
  • 荷さばき施設の位置及び面積
  • 荷さばき施設において荷さばきを行うことができる時間帯
  • 廃棄物等の保管施設の位置及び容量
  • 大規模小売店舗において小売業を行う者の開店時刻及び閉店時刻

届出義務者からは、小売業ではない店舗のために建物の一部を新設する者は除かれ、小売業を行う店舗のために建物の一部を新設する者又は設置している者を含みます。その者が2人以上である場合には、これらの者の全部又は一部が共同してすることができるものとされています。

また、届出をした者は、届出の日から8か月を経過した後でなければ、届出に係る大規模小売店舗の新設をしてはならないものとされています。

制度の対象となるケース

届出に必要となる書類

  • 登記事項証明書(法人)
  • 主として販売する物品の種類
  • 建物の位置及び建物内の小売業を行うための店舗部分の配置図
  • 必要な駐車場の収容台数を算出するための来客の自動車の台数等の予測の結果及びその算出根拠
  • 駐車場の自動車の出入口の形式又は来客の自動車の方向別台数の予測の結果等駐車場の自動車の出入口の数及び位置を設定するために必要な事項
  • 来客の自動車を駐車場に案内する経路及び方法
  • 荷さばき施設において商品の搬出入を行うための自動車の台数及び荷さばきを行う時間帯
  • 遮音壁の位置及び高さを示す図面(遮音壁を設置する場合)
  • 冷却塔、冷暖房設備の室外機又は送風機の稼働時間帯及び位置を示す図面(設置する場合)
  • 平均的な状況を呈する日における等価騒音レベルの予測の結果及びその算出根拠
  • 騒音の発生源ごとの騒音レベルの最大値の予測の結果及びその算出根拠(夜間において大規模小売店舗の施設の運営に伴い騒音が発生することが見込まれる場合)
  • 必要な廃棄物等の保管施設の容量を算出するための廃棄物等の排出量等の予測の結果及びその算出根拠

予測が必要とされる書面については、一般的な技術水準を勘案して合理的と認められる手法により行うものとされています。

変更の届出

大規模小売店舗を新設する者又は設置している者は、大規模小売店舗の名称、所在地、設置する者又は当該大規模小売店舗において小売業を行う者の氏名、名称、住所、代表者の氏名(法人)の変更があったときは、遅滞なく、その旨を都道府県に届け出なければならないものとされています。また、これら以外の届出事項に変更があるときは、軽微な変更を除き、原則として、あらかじめその旨を都道府県に届け出なければならないものとされています。

手続きの流れ

上記のフローチャートは、兵庫県における手続きの流れです。大規模小売店舗に関する制度は、各自治体ごとの条例に左右される部分が多く、求められる手続きは地域によって大きく異なることが特長となっています。また、法の手続に先立って条例の手続を行う必要があるという点にもご注意ください。

説明会の開催

届出(軽微な変更に係る届出を除く)をした者は、届出をした日から2か月以内に、大規模小売店舗の所在地の周辺の施設において、所在地の属する市町村の区域内に居住する者等を対象に、添付書類(届出等)の内容を周知させるための説明会を1回開催するものとされています。

ただし、大規模小売店舗の立地がその周辺の地域の生活環境に与える影響が大きいため相当数の者が説明会に参加することが必要と都道府県が認める場合には、3回を上限として都道府県が指定する回数開催するものとされています。

また、届出事項の変更の場合であって、都道府県が大規模小売店舗の周辺の地域の生活環境に与える影響がほとんどないため説明会を開催する必要がないと認めるときには、大規模小売店舗の立地する敷地内の見やすい場所に届出等の要旨を掲示することとされています。

説明会の広告

説明会開催者は、説明会の開催を予定する日時及び場所を定め、その1週間前までに、次のいずれかの方法により公告を行う必要があります。説明会の開催を予定する日時及び場所を定めようとするときは、都道府県及び市町村の意見を聴くことができます。

  • 都道府県の協力を得て、都道府県の公報又は広報紙に掲載すること
  • 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載すること
  • その他都道府県が適切と認める方法

説明会開催者は、以下の事由であって都道府県が認めるものにより、公告をした説明会を開催することができない場合には、説明会を開催する必要はありません。この場合において、説明会開催者は、上記の公告をすることにより届出等の内容を周知させるように努めなければならないものとされています。

  • 天災、交通の途絶その他の不測の事態により説明会の開催が不可能であること
  • 説明会開催者以外の者により説明会の開催が故意に阻害されることによって説明会を円滑に開催できないこと

都道府県の意見

届出をした者は、都道府県より意見が述べられた場合には、その意見を踏まえ、都道府県に対し、届出を変更する旨の届出又は変更しない旨の通知を行うものとされています。この場合、届出又は通知の日から2か月を経過した後でなければ、新設、又は変更を行うことはできません。

都道府県は、届出又は通知の内容が、都道府県が述べた意見を適正に反映しておらず、大規模小売店舗の周辺の地域の生活環境に著しい悪影響を及ぼす事態の発生を回避することが困難であると認めるときは、市町村の意見や指針を勘案して、届出又は通知がなされた日から2か月以内に限り、理由を付して、必要な措置をとるべきことを勧告することができます。

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