出会い系サイト・マッチングアプリの運営に資格や許可は必要なの?インターネット異性紹介事業とは

マッチングアプリのイメージ

あの国民的猫型ロボット誕生まで100年を切ってはや数年、同世界線に登場する何とかマシンに至っては、発明(設定上は2009年)されてから既に10余年の年月が経過しているという時間軸ですので、昭和の最後を生きた世代としては、まさに未来世界を体感しているような感覚に陥ることがあります。

さて、現代社会において欠かすことができないインフラと化したインターネットですが、面識がなくとも交流ができるという便利なツールである反面、運用を誤ると事件や犯罪に巻き込まれるリスクが常に同居しているという点については十分に留意する必要があるでしょう。

そこで本稿では、インターネットを利用した事業形態のひとつである出会い系サイトやマッチングアプリ(インターネット異性紹介事業)に焦点を当て、運営する際に必要となる資格や手続きを紹介するとともに、適切な運営がなされるよう重要なポイントについて解説していきたいと思います。

インターネット異性紹介事業

インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(以下、法)第2条第1項第2号では、「面識のない異性との交際を希望する者(異性交際希望者)の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業」をインターネット異性紹介事業として定義しています。

いちいち長いこの文言をかみ砕いて分かりやすく解説すると、要するにインターネット異性紹介事業とは、次の4つの要件を満たす事業のことを指します。

  1. 面識のない異性との交際を希望する者の求めに応じて、その者の異性交際に関する情報をインターネット上の電子掲示板に掲載するサービスを提供していること
  2. 異性交際希望者の異性交際に関する情報を公衆が閲覧できるサービスであること
  3. インターネット上の電子掲示板に掲載された情報を閲覧した異性交際希望者が、その情報を掲載した異性交際希望者と電子メール等を利用して相互に連絡することができるようにするサービスであること
  4. 有償、無償を問わず、これらのサービスを反復継続して提供していること

マッチングアプリであれ婚活アプリであれ、名称、システム及び有償無償の別を問わず、上記の要件を満たす事業はインターネット異性紹介事業に該当します。

極端な話し、このサイトのコメント欄を公開して異性交際者の交流の場としてしまえば、弊所(というか私)もインターネット異性紹介事業者に該当します。(しませんけども。)

なお、あくまでも「異性」を紹介する事業であることから、「同性」の紹介は規制の対象外となります。

禁止誘引行為

法はあくまでもインターネット異性紹介事業に児童(18歳未満の者)を誘引することを取り締まるための規範であり、事業そのものを取締対象とするものではありません。

そのためインターネット異性紹介事業を利用して行う以下の行為は禁止誘引行為とされており、何人であってもこれらの行為を行うことは認められていません。

  • 児童を性交等の相手方となるように誘引すること
  • 人(児童を除く)を児童との性交等の相手方となるように誘引すること
  • 対償を供与することを示して、児童を異性交際(性交等を除く)の相手方となるように誘引すること
  • 対償を受けることを示して、人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること
  • その他、児童を異性交際の相手方となるように誘引し、又は人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること
★性交等

性交等とは、性交のほか、性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、他人の性器等を触り、若しくは他人に自己の性器等を触らせることをいいます。

インターネット異性紹介事業の届出

インターネット異性紹介事業を行おうとする者は、事業を開始しようとする日の前日までに、事業の本拠となる事務所(事務所のない者にあっては住居)の所在地を管轄する警察署長を経由して、以下の書類を都道府県公安委員会に提出する必要があります。

また、事業を廃止したとき又は届出の内容に変更があったときは、その日から14日以内にこれを届け出る必要があります。

  1. 事業開始届出書
  2. 住民票の写し
  3. 欠格事由に該当しない旨の誓約書 
  4. 身分証明書
  5. インターネット異性紹介事業のURLを使用する権限のあることの疎明資料(プロバイダ、レンタル掲示板の運営者等から当該出会い系サイトのURLの割り当てを受けた際の通知書の写し等)
  6. 定款及び登記事項証明書(法人)

この手続きはあくまでも「届出」であり、申請をして「許可」や「登録」を受けるというタイプのものではありません。そのため届出を完了したとしても許可証のような書類は交付されません。

また、デリヘルや映像送信型性風俗を届け出た後に交付される「届出確認書」も交付されないため、届出が完了した事実を示すものとして、届出時の控えのコピー等を大切に保管しておくか、届出先の警察署に確認することをおすすめします。

★届出事項
  • 氏名又は名称及び住所
  • 代表者の氏名、役員の氏名及び住所(法人)
  • 当該事業につき広告又は宣伝をする場合に当該事業を示すものとして使用する呼称(当該呼称が2以上ある場合にあっては、それら全部の呼称)
  • 事業の本拠となる事務所の所在地
  • 事務所の電話番号
  • 事務所の電子メールアドレス
  • 異性交際希望者が児童でないことの確認の実施の方法
  • 確認の実施の方法が国家公安委員会規則第5条第1項第4号に規定する方法である場合は、同号に規定する業務の委託を受ける者に係る次に掲げる事項
    • 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
    • 法人にあっては、国家公安委員会規則第5条第2項第1号トに規定する者の氏名及び住所
    • 国家公安委員会規則第5条第1項第4号に規定する業務の実施の方法
  • 国家公安委員会規則第5条第3項第3号の送信元識別符号

欠格事由

インターネット異性紹介事業を営むために特別な資格は必要ありませんが、以下のいずれかの事由に該当する者は、インターネット異性紹介事業を行うことはできません。

  1. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  2. 禁錮以上の刑に処せられ、又は出会い系サイト規制法、児童福祉法第60条第1項若しくは児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  3. 最近5年間に命令に違反した者
  4. 暴力団員である者又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  5. 心身の故障によりインターネット異性紹介事業を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
  6. 未成年者(児童でない未成年者にあっては、営業に関し成年者と同一の行為能力を有する者並びにインターネット異性紹介事業者の相続人でその法定代理人が欠格事由のいずれにも該当しないものを除く)
  7. 法人の役員のうちに1〜5のいずれかに該当する者又は児童がいるもの

届出事業者の義務

このほかにもインターネット異性紹介事業者には、以下のような義務が課せられています。

  • 名義貸しの禁止
  • 児童の利用の禁止の明示
  • 児童でないことの確認
  • 閲覧防止措置義務

電気通信事業者の届出

インターネット異性紹介事業は、インターネットという電気通信手段を使用する事業であることから、警察署への届出とは別に、総務大臣(地方総合通信局)に対して、電気通信事業の届出を行う必要があります。

規制目的や管轄が異なるためどちらを優先して届け出るといった定めはありませんが、電気通信事業の届出を怠ると、6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

まとめ

インターネットを利用したマッチング事業は盛況を極めており、社会情勢を鑑みても、将来に向けてこれからもますます発展していくように思われます。時代に応じて人と人との関わり方も変化していくものですが、それは決して悪いことではありません。

現に今もこうしてインターネットを通じた皆さまとつながっているのですから。(詩人)

いずれにせよ重要なことは、現実世界でもインターネット世界でもしっかりとリテラシーを維持することです。インターネットは刃物や薬と同様、正しく運用して便利に役立てるようにしましょう。

さて、弊所でもインターネットを利用した営業活動を行っています。インターネット異性紹介事業については、ご面倒な手続きをさくっと迅速にサポートさせていただきます。本稿を一読し、ご興味をお持ちいただけた方は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください^^

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