自動車運送事業の運行管理者(貨物・旅客)について

運行管理者

運行管理者は、事業用自動車の安全運行を管理するスペシャリストであり、自動車運送事業(貨物・旅客)における必置人員です。

運行管理者は、道路運送法及び貨物自動車運送事業法に基づき、事業用自動車の運転者の乗務割の作成、休憩・睡眠施設の保守管理、運転者の指導監督、点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握や安全運行の指示等、事業用自動車の運行の安全を確保するための業務を行います。貨物軽自動車運送事業者を除く自動車運送事業者は、一定の数以上の事業用自動車を有している営業所ごとに、一定の人数以上の運行管理者を選任する必要があります。

このような重要な職務を担うポジションであり、自動車運送事業をはじめようとする際のハードルともなる運行管理者ですから、誰でも自由に選任することができるわけではありません。

そこで本稿では、これから運行管理者を目指す方や雇入れを検討されている皆さまに向けて、運行管理者となることができる資格及び必要な人員について、できる限り詳しく解説していきたいと思います。

運行管理者とは

冒頭で触れているとおり、運行管理者(略称:運管)は、自動車運送事業において、安全かつ効率的な運行を実現するための運行管理を実施する責任者です。

この運行管理者として選任されるためには、自動車運送事業の種別に応じた種類の運行管理者資格者証(一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、旅客、貨物)を取得している必要があります。自動車運送事業における重要な職務を担当することから、申請すれば誰でも簡単に取得することができる資格ではなく、運行管理者資格者証を取得するためには、次のいずれかのルートを経由する必要があります。

  • 運行管理者試験に合格すること
  • 事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について一定の実務の経験その他の要件を備えること

運行管理者試験

運行管理者資格者証を取得するための王道ルートが運行管理者試験です。試験の種類は貨物と旅客とで異なり、道路運送法、貨物自動車運送事業法、道路運送車両法、労働基準法などの法令等並びに運行管理者の業務に関し必要な実務上の知識及び能力について出題されます。

受験資格が設けられており、①事業の種別は問わず、試験日の前日において、事業用自動車の運行の管理に関し1年以上の実務経験を有する者又は②実務の経験に代わる講習を修了した者のいずれかが受験することができます。

令和3年第1回運行管理者試験より筆記試験は廃止され、試験はテストセンターにおいてパソコンを使用して行うCBT(Computer Based Testing)という方式により実施されるため、受験者はパソコンの画面に表示される問題を見て、マウス等を使って解答します。

★試験に関する問い合わせ

受験申請

受験申請には、「パソコン又はスマートフォン(携帯電話からの申込みは不可)」及び「電子メールアドレス」が必要です。また、イメージファイルを作成するために、スキャナー、デジタルカメラ又はスマートフォンを準備します。

パソコンから申請を行う場合、あらかじめ、必要な書類について、スキャナー(プリンターのスキャナー機能を含む)でスキャンした画像、又はデジタルカメラやスマートフォンで撮影した画像をファイルとしてパソコンに保存します。

受験手数料等の支払い方法は、CBT試験専用サイトにて、日時と会場を選択した後に、クレジットカード、コンビニ決済、ペイジー決済(銀行のATM又はインターネットバンキングにより払込する方法)のうちから選択します。

なお、受験資格が「実務経験1年以上」の申請者については、実務経験承認者に関する情報(実務経験承認者の氏名、勤務先名、役職名、電話番号及び電子メールアドレス)が必要となり、申請後に実務経験承認者へメールが送信され、メールで承認が行われるいたと手続きは完了します。(承認メールがないと受験資格がないものとし受験できません。)

★対応ブラウザ・OS

パソコンGoogle Chrome、Safari、Microsoft Edge いずれも最新バージョン
スマートフォンAndroid5.0以降 または iOS 10.0以降

基礎講習

実務の経験に代わる講習として、講習認定機関が行う基礎講習が認定されています。 勤務していた会社が倒産するなどして、その会社から実務経験について証明が受けられない場合についても、こちらのルートを選択することになります。

★基礎講習に関する問い合わせ

実務経験

運行管理者試験を経由せず、取得しようとする運行管理者資格者証の種類(一般乗合旅客、一般乗用旅客、特定旅客、貨物)ごとに、それぞれに応じた種別の自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除く)の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験を有し、その間に運行の管理に関する講習を5回以上受講している者については、運輸支局に交付申請することにより運行管理者資格者証を取得することができます。

運行の管理に関する講習としては、自動車事故対策機構(外部サイト)が行う基礎講習及び一般講習が認定されており、5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。

なお、「5年以上の実務経験」については、最初に運行管理者基礎講習を受講した日から5年以上経過している必要があります。

必要な数について

営業所ごとに配置すべき運行管理者の数については、自動車運送事業の別及び営業所に配置する車両の台数によって異なります。

貨物自動車運送事業

貨物自動車運送事業の営業所に配置する運行管理者の数は、「保有台数÷30」で算出した値から少数点以下を切り捨てた数に、+1することに得たものです。エンジンのついた緑ナンバーの車両だけが台数の対象となり、トレーラーの数はここには含まれません。

29台まで1名
30台~59台2名
30台~59台3名

一般乗用旅客自動車運送事業

一般乗用旅客自動車運送事業の場合、原則として、乗車定員10名以下の車両が5台以上ある場合又は乗車定員11名以上の車両が1台でもある場合は、運行管理者を1名以上選任する必要があります。

一般乗用旅客自動車運送事業の営業所に配置する運行管理者の数は、「保有台数÷40」で算出した値から少数点以下を切り捨てた数に、+1することに得たものです。

なお、地域によっては、定員10名以下の車両3台のみの運行が認められることもあり、その場合の運行管理者の数については運輸局の指示に従うことになります。

39台まで1名
40台~79台2名
80台~119台3名

特定乗用旅客自動車運送事業

特定乗用旅客自動車運送事業の場合、原則として、乗車定員10名以下の車両が5台以上ある場合又は乗車定員11名以上の車両が1台でもある場合は、運行管理者を1名以上選任する必要があります。

特定乗用旅客自動車運送事業の場合は、営業所に配置する運行管理者の数は、一般乗合旅客自動車運送事業と同様に、「保有台数÷40」で算出した値から少数点以下を切り捨てた数に、+1することに得たものになります。

また、他の種別とは異なり、旅客関係の運行管理者資格証(一般乗用旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業)であれば、いずれの資格でも運行管理者として選任することができます。

39台まで1名
40台~79台2名
80台~119台3名

一般乗合旅客自動車運送事業

一般乗合旅客自動車運送事業の場合、原則として、乗車定員10名以下の車両が5台以上ある場合又は乗車定員11名以上の車両が1台でもある場合は、運行管理者を1名以上選任する必要があります。

一般乗合旅客自動車運送事業の営業所に配置する運行管理者の数は、「保有台数÷40」で算出した値から少数点以下を切り捨てた数に、+1することに得たものです。

なお、地域によっては、定員10名以下の車両3台のみの運行が認められることもあり、その場合の運行管理者の数については運輸局の指示に従うことになります。

39台まで1名
40台~79台2名
80台~119台3名

一般貸切旅客自動車運送事業

一般貸切旅客自動車運送事業の場合は、そもそも最低確保人数が2名であり、うち1名は、運行管理について専任の者である必要があります。

営業所に配置する車両が99台までであれば、「保有台数÷20」で算出した値から少数点以下を切り捨てた数に、+1することに得たものが必要な選任数になりますが、100台以上である場合は、「(保有台数−100)÷30」で算出した値から少数点以下を切り捨てた数に、+6することに得たものが必要な選任数になります。

39台まで2名
40台~59台3名
60台~79台4名
80台~99台5名

選任の不備について

運行管理者の資格者が事業所からいなくなったときに、後任を決めないまま1か月間事業を続けてしまった場合には、最大で30日間の事業停止命令が下されます。この行政処分を受けたにも関わらず、さらに違反を重ねた場合には、自動車運送事業の許可を取り消されることもあるため、ご注意ください。

自動車運送事業許可取得サポート

自動車運送事業の許可申請は、いずれも複雑かつ煩わしい手続きとなっています。物件探しの段階から必要期間を見積もると、下手をすれば1年2年の期間を浪費することも珍しくありません。効率よく計画を実施するためには、専門家のサポートを利用しながら工程を分担して進めることをお薦めしています。

弊所では、関西圏の全域にわたり、以下のサービスを含む自動車運送事業許可取得のサポートを承(うけたまわ)っています。

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見積もりサイト等で恐ろしく低料金の設定を見かけたことがありますが、これはあまりにも実態を知らない=経験がない若しくはサポートが極めて限定的であるように思われるため、熟慮するようにしてください。

また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」を標榜し、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。自動車運送事業の許可申請でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

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