兵庫県における産業廃棄物処理施設設置に関する関係住民に対する事前手続きについて

西宮市 環境局環境施設部西部総合処理センター

産業廃棄物処理施設を設置するためには自治体からの許可を受ける必要がありますが、その際の手続きは複雑かつ難解で、さらには本申請までに数段階のステップを踏む必要があります。特に問題となりやすいのが関係住民との間におけるトラブルであり、どの自治体においても、この部分に対する手続きに関する規定を手厚く定めています。

兵庫県においても、産業廃棄物処理施設の設置に係る紛争の予防と調整に関する条例(PDF:408KB)及び産業廃棄物処理施設の設置に係る紛争の予防と調整に関する条例施行規則(PDF:1.00MB)において、産業廃棄物処理施設の設置に際し、事業者と産業廃棄物処理施設の設置に伴って生活環境に著しい影響を受けると認められる者(以下、関係住民)との間における紛争の予防と調整を図るための事前手続きに関する規定を設けています。

そこで本稿では、これから兵庫県内において産業廃棄物処理施設の設置を検討する事業者さまに向けて、本申請前に必要となる関係住民に対する事前手続きについて詳しく解説していきたいと思います。

産業廃棄物処理施設の範囲

条例に定める産業廃棄物処理施設とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設、産業廃棄物の最終処分場等)のほか、これに準ずる産業廃棄物処理施設のことを指します。

したがって、使用済自動車を解体する解体業の施設や、解体済自動車を破砕する破砕業の施設も、条例に定める産業廃棄物処理施設に含まれます。

ただし、以下の産業廃棄物の処理施設及び積替施設については、条例が定める産業廃棄物処理施設からは除外されています。

  • 都市計画に定められた産業廃棄物の処理施設
  • 建築基準法第51条ただし書の規定による許可を受けて設置する産業廃棄物の処理施設
  • 産業廃棄物を排出する者が産業廃棄物を自ら処理するために設置する産業廃棄物の処理施設等であって知事が生活環境の保全上支障がないと認めるもの
★産業廃棄物処理施設

廃棄物の処理及び清掃に関する法律第15条第1項に規定する産業廃棄物処理施設とは、以下に該当する施設をいいます。

  1. 汚泥の脱水施設であって、1日当たりの処理能力が10㎥を超えるもの
  2. 汚泥の乾燥施設であって、1日当たりの処理能力が10㎥(天日乾燥施設にあっては100㎥)を超えるもの
  3. 汚泥(ポリ塩化ビフェニル汚染物及びポリ塩化ビフェニル処理物であるものを除く)の焼却施設であって、次のいずれかに該当するもの
    • 1日当たりの処理能力が5㎥超えるもの
    • 1時間当たりの処理能力が200kg以上のもの
    • 火格子面積が2㎡以上のもの
    • 廃油の油水分離施設であって、1日当たりの処理能力が10㎥を超えるもの(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第3条第14号の廃油処理施設を除く)
  4. 廃油(廃ポリ塩化ビフェニル等を除く)の焼却施設であって、次のいずれかに該当するもの(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第3条第14号の廃油処理施設を除く)
    • 1日当たりの処理能力が1㎥を超えるもの
    • 1時間当たりの処理能力が200kg以上のもの
    • 火格子面積が2㎡以上のもの
  5. 廃酸又は廃アルカリの中和施設であって、1日当たりの処理能力が50㎥を超えるもの
  6. 廃プラスチック類の破砕施設であって、1日当たりの処理能力が5トンを超えるもの
  7. 廃プラスチック類(ポリ塩化ビフェニル汚染物及びポリ塩化ビフェニル処理物であるものを除く)の焼却施設であって、次のいずれかに該当するもの
    • 1日当たりの処理能力が100kgを超えるもの
    • 火格子面積が2㎡以上のもの
  8. 事業系一般廃棄物又はがれき類の破砕施設であって、1日当たりの処理能力が5トンを超えるもの
  9. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令別表第三の三に掲げる物質又はダイオキシン類を含む汚泥のコンクリート固型化施設
  10. 水銀又はその化合物を含む汚泥のばい焼施設
  11. 廃水銀等の硫化施設
  12. 汚泥、廃酸又は廃アルカリに含まれるシアン化合物の分解施設
  13. 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設
  14. 廃ポリ塩化ビフェニル等、ポリ塩化ビフェニル汚染物又はポリ塩化ビフェニル処理物の焼却施設
  15. 廃ポリ塩化ビフェニル等(ポリ塩化ビフェニル汚染物に塗布され、染み込み、付着し、又は封入されたポリ塩化ビフェニルを含む)又はポリ塩化ビフェニル処理物の分解施設
  16. ポリ塩化ビフェニル汚染物又はポリ塩化ビフェニル処理物の洗浄施設又は分離施設
  17. 産業廃棄物の焼却施設(3、5、8及び12に掲げるものを除く)であって、次のいずれかに該当するもの
    • 1時間当たりの処理能力が200kg以上のもの
    • 火格子面積が2㎡以上のもの
  18. 産業廃棄物の最終処分場であって、次に掲げるもの
    • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条第1項第3号ハ(1)から(5)まで及び第6条の5第1項第3号イ(1)から(7)までに掲げる産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所
    • 安定型産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所(水面埋立地を除く)
    • 上記に規定する産業廃棄物及び安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所(水面埋立地にあっては、主として上記に規定する産業廃棄物及び安定型産業廃棄物以外の産業廃棄物の埋立処分の用に供される場所として環境大臣が指定する区域に限る)

手続きの流れ

事業本体となる業の許可申請に至るまでは、関係各所との調整を図るため、数段階の事前手続きを経る必要があります。

手続きの流れはおおむね以下のとおりですが、この手続きに要する期間だけでも最低2ヶ月は必要になるため、準備はなるべく早い段階から進めるようにしてください。

事業計画書の提出
周知計画書の提出
広告及び縦覧
事業計画の周知
関係住民の意見書の提出
実施状況の報告書の提出
許可の本申請

事業計画書

最初のステップとして、業をはじめようとする事業者は、以下の事項を定めた事業計画書を、業許可の申請前に知事に提出する必要があります。

  • 産業廃棄物処理施設の設置の目的又は設置を必要とする理由
  • 産業廃棄物処理施設の種類及び当該施設において処理する産業廃棄物の種類
  • 産業廃棄物処理施設の設置場所
  • 産業廃棄物処理施設の処理能力
  • 産業廃棄物処理施設の処理方式、構造及び設備の概要
  • 生活環境の保全のための措置及びその結果期待される効果
  • 事業を実施するにつき必要な他の法令の許可等の種類
  • その他知事が必要と認める事項
事業計画書

周知計画書

事業計画書を提出した事業者は、関係住民に対して周知させるために以下の事項を定めた周知計画を記載した周知計画書を知事に提出します。

  • 事業計画についての説明会の開催に関する事項
  • 広告及び縦覧に関する事項
  • 説明会以外の周知の方法に関する事項
  • その他知事が必要と認める事項
周知計画書

広告及び縦覧

事業者は、周知計画書の提出を行った後、速やかに、事業計画書を作成した旨及び以下の事項を、関係住民への印刷物の配布、関係住民が居住する地域(以下、関係地域)の公共の場所の掲示板への掲示、日刊新聞紙への掲載その他の知事が適当と認める方法により広告し、かつ、事業計画書の写しを広告の日から起算して30日間、関係住民の縦覧に供する必要があります。

  • 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名
  • 事業計画書の写しの縦覧場所及び縦覧期間
  • 説明会の場所及び日時
  • その他知事が必要と認める事項

縦覧は、関係地域において縦覧簿を備え付けて行う必要がありますが、関係地域内に適当な縦覧場所がない場合にあっては、関係地域の周辺の地域において縦覧を行うことができます。

なお、縦覧に供された事業計画書を縦覧する者は、縦覧簿に氏名、住所その他必要な事項を記載するものとされています。

★縦覧の時間帯

縦覧は、日曜日、祝日及び年末年始(12月29日〜翌年1月3日)を除き、月曜日から金曜日までにあっては9時30分から16時30分まで、土曜日にあっては9時30分から12時まで行う必要があります。(ただし、知事が特に必要があると認める場合はこの限りではありません。)

事業計画の周知

事業者は、周知計画に基づく説明会を関係地域内において開催し、関係住民に対し、事業計画の内容を平易に記載した書類及び図面を配布し、事業計画の内容を具体的かつ平易に説明するよう努めるとともに、意見書(後述)を提出できることを説明すり必要があります。

ただし、関係地域内に説明会を開催する適当な場所がない場合にあっては、周辺地域においてこれを開催することができます。

関係住民の意見書の提出

地域における健全な生活環境の維持及び向上の見地から、事業計画について、意見を有する関係住民は、広告のあった日の翌日から起算して45日を経過する日(縦覧期間満了の日までに周知計画に基づく説明会が終了しない場合にあっては、説明会が終了した日の翌日から起算して2週間を経過する日)までに、以下の事項を記載した書面を知事及び事業者に提出することができます。

  • 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名
  • 地域における健全な生活環境の維持及び向上の見地からの意見
意見書

実施状況報告書

事業者は、関係住民に対し、事業計画について周知を図ったときは、その実施状況について、以下の事項を記載した報告書及び添付書類を知事に提出する必要があります。

報告書の記載事項提出書類
①説明会の開催日時
②説明会の開催場所

③説明会の対象地域
④説明会に参加した者の氏名及び住所
⑤説明会の経過及び概要
⑥その他知事が必要と認める事項
㋐説明会等実施状況報告書
㋑説明会で配布した書類及び図面
㋒意見に対する見解を記載した書類
㋓その他知事が必要と認める書類及び図面

説明会等実施報告書

計画の変更の届出等

事業計画書又は周知計画書を提出した事業者は、事業計画又は周知計画を変更しようとするときは、軽微な変更であるときを除き、事業計画の変更にあっては事業計画変更届、周知計画の変更にあっては周知計画変更届を提出することにより、その旨を知事に届け出る必要があります。

★軽微な変更

変更の届出が不要とされる「軽微な変更」とは、以下のいずれかの変更をいいます。

  • 主要な設備の変更を伴わず、かつ、処理能力の10%以上の変更を伴わない変更
  • 公害防止設備の改善その他生活環境の維持及び向上の見地から支障がないと認められる変更
  • 説明会に配布する書類又は図面の変更
  • 周知が更に図られると認められる変更
事業計画変更届
周知計画変更届

事業計画の廃止の届出等

事業計画書を提出した事業者は、事業計画を廃止しようとするときは、事業計画廃止届を提出することにより、その旨を知事に届け出なければならず、その後速やかに、事業計画を廃止した旨及び以下の事項を広告する必要があります。

  • 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名
  • 廃止した事業計画の概要
事業計画廃止届

産廃施設関連事業申請サポート

産業廃棄物処理施設の関連事業は専門性が高く、規制も厳しいことから、許可申請については非常に難易度の高い手続きとなっています。また、申請に必要となる書類も複雑かつ膨大な量で、時間と労力というコストを考えれば、自ら申請を行うことはあまりお薦めできません。

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