APECカード(ABTC)の申請書類について
APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)は、APEC域内を頻繁に出張するビジネス関係者の移動を円滑にするために、制度参加国・地域の政府が自国・地域のビジネス関係者に発行する特別なカードです。
現在、日本を含む19の国・地域が参加しており、事前審査において承認を受けた国・地域での短期商用目的に限る入国審査においてABTCを提示することにより、以下の特典を受けることができるようになります。
弊所では、ご本人様に代わり、ABTCの申請を有料で代行していますが、本稿では、ご本人様が申請する場合を仮定して、ABTCの申請に必要となる書類について詳しく解説しています。
目 次
申請方法
手続きは以下のフローに則り行われますが、まずは必要な申請書類を準備の上、外務省経済局アジア太平洋経済協力(APEC)室ABTC班(以下の宛先)まで郵送することにより申請を行います。申請手数料は13,100円であり、これを収入印紙代により納付します。海外に駐在している方についても、同様の手続きで申請を行います。(在外公館では申請できません。)
また、申請後、申請内容に変更(新たに旅券の発給を受けた、会社を退職した又は社名変更した等)が生じた場合は、直ちに外務省APEC室ABTC班までメールで連絡します。
〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1
外務省経済局アジア太平洋経済協力(APEC)室
「APEC・ビジネス・トラベル・カード」ABTC班
なお、現在有効なABTCを所持されている者については、現有ABTCの有効期限の6か月前から、新規交付申請手続と同様の手続きにより、新しいABTCの交付申請を行うことができます。この場合、新しいABTCは、現在有効なABTCの返納を確認した後の交付となります。
旅券の残存期間が短い場合は、旅券を新規取得した上で申請する方が、その後の手続がスムーズに進められます。
申請書類一覧表
ABTCの新規申請に必要となる書類は以下のとおりです。申請者が所属している企業が、経団連、日本商工会議所(東京、大阪、名古屋など地域の商工会議所含む)、経済同友会又は関西経済連合会のいずれかの経済団体に正式に会員として所属されている場合は、申請書類の一部(実績書類)の提出が免除されます。ただし、地区の商工会に所属している場合は、提出書類の免除の対象とはなりません。
また、申請書はすべて原本にて提出する必要があるため、署名欄には、申請者本人が直筆で署名したものが必要となります。
一般 | ABAC委員、ABAC委員代理、ABAC委員補佐 | 経団連、日本商工会議所、経済同友会関西経済連合会の会員企業 | 貿易関連事業で災害復興活動 | 直近1年以内に同一企業の方が申請 | |
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ABTC申請書 | ● | ● | ● | ● | ● |
顔写真(45mmx35mm)2枚 | ● | ● | ● | ● | ● |
旅券写し(顔写真・身分事項ページ) | ● | ● | ● | ● | ● |
在職証明書 | ● | × | ● | ● | ● |
登記事項証明書 | (注1) | × | × | (注1) | (注1) |
貿易・投資実績を示す文書〔例:決算書/損益計算書(関係部分写し)〕 | ● | × | × | × | × |
企業パンフレットなど | ● | × | (注2) | ● | × |
返信用定型封筒(1名につき1通)海外の場合:EMS封筒・送付伝票 | ● | ● | ● | ● | ● |
郵便切手 (封筒に貼付)国内:444円 海外:EMS送料分 | ● | ● | ● | ● | ● |
収入印紙(手数料納付書に貼付すること) | 13,100 円 | 13,100 円 | 13,100 円 | 13,100 円 | 6,800 円 |
- 所属企業が「四季報」などからその存在及び概要を確認できる場合は、当該資料の写しの送付に代えることができます。 ↩︎
- 企業の概要が確認できるHPのURLを申請書に記載する場合は、提出の必要はありません。 ↩︎
登記事項証明書、貿易・投資実績を示す文書、企業パンフレットは、同一事業主に雇用される複数の申請人が同封してまとめて申請する場合は、各1部でかまいませんが、返信用定型封筒、収入印紙は、申請者ごとに、全員に各1名分必要になります。
提出した書類は、PDFやFAX等での写しの送付を含めて返送されることはなく、個人情報に係る部分は「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」に規定する個人情報として取り扱われることから、書類の写しの発行を請求することもできません。
貿易・海外投資実績
貿易・海外投資実績を示す文書として、所属企業の決算書又は損益計算書(関係部分写し)等を提出します。決算書に貿易・海外投資実績が明確に分かる科目が無く、国内取引と国外取引が明示的に分かれていないような場合には、決算書に加え、輸出入許可通知書、銀行発行の各種証憑類、請求書、領収書、インボイス又は取引先企業との契約書の写し等のような、明示的に海外企業との取引が確認できるその他の文書を添付します。
これらの書類については、過去1年間分の関係書類をすべて添付する必要はなく、過去1年間の内のいずれか1つを決算書と併せて提出します。
なお、輸出入、海外投資の実績がまだ無い場合は、企業コードの有無にかかわらず、ABTCを取得することはできません。
海外からの申請
海外にある企業に在籍している場合でも提出する申請書類に違いはありませんが、「所属機関名称」と「在籍証明書(雇用関係を証する書類)」の発行元の名称に相違のないことを確認して記載の上申請を行います。
申請書の身分事項の住所記入欄には、現在実際に居住する住所を記入する必要があるため、海外駐在の場合は、在職証明書に記載されている住所と異なっていたとしても、現住する海外の住所を記入します。
なお、所属する海外企業の登記事項証明書の提出が不可能である場合は、これに代わる公的機関発行の証明書(第三者機関による企業の存在を証明する書類で、証明日から3か月以内のもの)を提出します。
在職証明書
在職証明書に指定の書式はないため、申請者がその企業に所属していることが分かる証明資料(所属企業が通常利用されている資料含む)を準備します。
在職証明書の項目については、直近3か月以内の発行年月日、申請者名、申請者の役職(無い場合は空欄でOK)及び社名を記載し、「上記の者は現在当社に在籍している事を証明します。」といった旨の内容を明記し、所属企業の代表又は総務・人事等の責任者に在職を証明します。
なお、企業の代表又は役員が申請する場合は、本人が在籍を証明しても、総務・人事等の責任者が証明しても構いません。
記入方法
署名欄以外は、手書きでもパソコンによる入力でも差し支えありませんが、いわゆる消せるボールペン等、摩擦熱で筆跡が消えるペンなどの筆記器具での記入は認められていません。また、申請者署名欄は、必ず旅券に印刷されているものと同じ直筆で署名を行う必要があります。
申請書2枚目にある「役職」の欄については、基本的に在職証明書等が発行される企業における役職名を記入しますが、役職が無い場合は空欄でも差し支えありません。
顔写真
顔写真には、旅券申請用顔写真と同じ規格の写真を提出ください。撮影後6か月以内であればカラー又は白黒どちらでも良く(背景については可能な限り白色)、旅券と同じ写真でも、2枚が同じ写真でなくても問題ありません。
交付申請書は必ず片面印刷のうえ、2枚目の顔写真は、交付申請書2枚目の余白部分に貼付します。印刷された文字、記載事項等に触れなければ枠線にかかっても特に問題はありません。
返信用封筒
受取人払いは差出有効期限が設定されており、審査が長引くとカード交付時に使用できない場合があるため、原則として返信用封筒は、切手貼付の簡易書留(定型封筒)を使用します。(長形3号、A4の紙が三つ折りで入るサイズ)
また、ABTCは返信用封筒に記載した宛先に送られてくるので、勤務先と自宅のどちらの宛先でも、申請者本人以外の宛先でも、問題ありません。
収入印紙・手数料納付書
手数料納付書の記名欄は、所属企業名や担当者の名前ではなく、必ずABTCの交付を受ける申請者名を記入します。収入印紙は、手数料納付書に貼付した上で提出しますが、収入印紙への消印や割印は不要です。
渡航先の追加
中途発行によりABTCの交付を受けた場合であって、交付後に新たに承認を受けた参加国・地域を渡航先に追加しようとするときは、毎月15日までに、以下の書類を外務省APEC室ABTC班まで郵送することにより申請を行います。
ABTC申請書 | 渡航先追加を希望する旨の書面 |
顔写真(45mmx35mm)2枚 | × |
旅券写し(顔写真・身分事項ページ) | ● |
在職証明書 | × |
登記事項証明書 | × |
貿易・投資実績を示す文書〔例:決算書/損益計算書(関係部分写し)〕 | × |
企業パンフレットなど | × |
返信用定型封筒(1名につき1通)海外の場合:EMS封筒・送付伝票 | ● |
郵便切手 (封筒に貼付)国内:444円 海外:EMS送料分 | ● |
収入印紙(手数料納付書に貼付すること) | 6,800 円 |
なお、渡航先を追加したABTCの有効期限は、中途発行した際のABTCの有効期限を引き継ぎます。また、追加申請中、新しいカードが発行されるまでの間は現有のカードを使用していただくことは可能です。ただし、現有のカードを利用して海外に渡航している間に新カードが発行されると、現有のカードが失効する可能性があるため、渡航先追加を依頼する際は、直近の予定で海外渡航がないタイミングに申請等十分に配慮するようにしてください。
紛失による再交付
ABTCの紛失、焼失又は著しく損傷をした場合には、ABTCの名義人は、遅滞なく、外務省APEC室ABTC班にメール又はFAXにて連絡の上、再交付希望の有無を申し出ます。再交付については、毎月15日までに、以下の書類を外務省APEC室ABTC班まで郵送することにより申請を行います。
著しい損傷を理由に再交付を希望する場合は、申請時に現在所持しているABTCを返納します。また、再交付されるABTCの有効期限は、紛失等したABTCの有効期限となります。
ABTC申請書 | 再交付を希望する理由書 |
顔写真(45mmx35mm)2枚 | × |
旅券写し(顔写真・身分事項ページ) | ● |
在職証明書 | × |
登記事項証明書 | × |
貿易・投資実績を示す文書〔例:決算書/損益計算書(関係部分写し)〕 | × |
企業パンフレットなど | × |
返信用定型封筒(1名につき1通)海外の場合:EMS封筒・送付伝票 | ● |
郵便切手 (封筒に貼付)国内:444円 海外:EMS送料分 | ● |
収入印紙(手数料納付書に貼付すること) | 8,000 円 |
海外で紛失等があった場合は、最寄りの在外公館を通じてその旨の連絡をするか、あるいは、帰国後に外務省APEC室ABTC班まで届出を行います。海外においてABTCを紛失等した場合であっても、在外公館で再交付申請をすることはできず、原則として、名義人が外務省APEC室ABTC班に再交付の申請を行う必要があります。
海外に長期間ABTC名義人が滞在する場合などには、申請者を雇用する事業主の職員又は申請者が指定する日本に居住する親族が、日本国内において代理の申請を行うことができます。この場合、企業の職員であれば社員証の写しと名義人からの委任状、国内に居住する親族であれば住民票と委任状を同封して申請を行います。
再交付されたABTCは、原則として、国内の名義人の居住地又は名義人を雇用する事業主の所在地に送付され、渡航先への送付は行われません。ただし、申請者が長期滞在者であり、直接本人への送付を希望する場合は、国際スピード郵便(EMS)のみ対応可能とされているため、申請時には、国際スピード郵便(EMS)用の封筒、送付希望先を記入した送付伝票及び送付に必要な額の郵便切手を封筒に貼付して同封してください。
ABTC申請代行サービス
弊所では、ABTC申請の代行サービスを、全国どこでも、1件につき、税込33,000円(+申請手数料13,100円)で承(うけたまわ)っております。書類作成から関係機関との調整、申請書類の提出に至るまで、まるっとフルサポートいたします。ABTC申請でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。