特区民泊における賃貸借契約書について

賃貸借契約書

物件の賃貸借には貸主借主の権利義務を明示した契約書が重要な役割を果たしますが、これは特区民泊事業においても例外ではなく、賃貸借契約書に基づく賃貸借契約の締結は、事業としての必須事項となっています。

実際に政令及び条例においては、特区民泊の認定(特定認定)の申請者に対し、申請時に賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款を添付させ、適正な契約の締結を担保させています。

そこで本稿では、これから特区民泊事業をはじめようと検討する皆さまに向けて、大阪市における国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関するガイドラインを下敷きにして、賃貸借契約書に盛り込むべき事項その他の注意点について詳しく解説していきたいと思います。

賃貸借契約書

特区民泊事業は、国家戦略特別区域(特区)において、賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき施設を使用させる事業です。このため、特区民泊の認定(特定認定)の申請者は、申請時に賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款を添付する必要があります。

本来であれば契約自由の原則によりその契約は貸主借主双方の合意のもと自由に行えるはずですが、施設を使用させる期間が(2泊)3日から(9泊)10日までの範囲内と定められているなど、法令や条例の影響下にある事業でもあります。

なお、民泊事業の用に供する施設は、賃貸借契約者及びその同居人が滞在する施設であるため、それ以外の者を滞在させることはできません。また、施設や居室の出入口付近に録画機能を有するビデオカメラ等を設置し、滞在者以外の者の出入りを確認するよう努めるものとされています。

外国人滞在施設経営事業は、外国人旅客の滞在に適した施設を一定期間以上使用させる事業と規定していますが、日本人を滞在させることを禁じているわけではありません。

契約の種類について

外国人滞在施設については期間の定めがある賃貸借をすることになるため、賃貸借契約は借地借家法に規定する「定期建物賃貸借契約」又は「一時使用」になるものと考えられます。

定期借家契約による場合は、あらかじめ建物の賃借人に対し、建物の賃貸借は契約の更新がなく期間の満了により建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明を行う必要があります。

契約書の内容

特区民泊事業による賃貸借契約書は、以下の内容を明記したものである必要があります。また、同時期に同一居室における複数契約は認められません。

  • 施設(居室)の滞在のみを目的として、施設(居室)内での営業行為等を禁止する契約とすること
  • 契約書の内容に居室を3日以上利用する旨、当該居室に滞在する全ての者の名前を明記すること
  • 居室の衛生管理その他の施設の管理上特に必要があるときは、あらかじめ滞在者の承諾を得て、居室内に立ち入ることができる旨の契約にすること
  • 賃貸借契約書及びこれに付随する契約に係る約款は、滞在者の言語に対応できるものにすること

法人による賃貸借契約は、借主たる法人に所属する社員が特定され、法人とその社員が連名で契約を締結する場合又は借主たる法人の名義のみで契約する場合は、滞在者がその法人に属し、同一期間の滞在によるものとし、滞在者名簿及び旅券写しの一覧を添付し契約を締結する場合以外は認められません。

中途解約について

政令及び条例で最低滞在期間を定めているため、賃貸借契約書及びこれに付随する契約に係る約款において、解約条項を定める場合には、滞在者の自己都合による中途解約の場合、条例で定められた期間未満相当額の返金を禁止することを記載するなどにより、法令を遵守するようにしましょう。

トラブル防止について

駐車場や駐輪場の確保と駐車秩序遵守、ペットの飼育の可否に関することについて、契約書に明記することで施設の周辺地域の住民とのトラブル防止が図れます。

また、施設内の他滞在者間及び一般居住者の滞在・生活環境の保全のために、必要に応じて以下の行為は禁止行為とし、履行したときは解除できる旨を契約書に明記することでトラブル防止が図れます。

契約書に明記することが推奨される事項

7日以上の契約の場合には、滞在期間中の中間時には少なくとも1回は施設が適切に使用されているかを確認し、記録するようにしましょう。その際、ごみの保管が適切に行われているか等を目視で行い、騒音等の近隣トラブルがないか等施設の周辺地域の住民から聴取することも効果的です。

物件の使用権限

外国人滞在施設経営事業の実施にあたっては、認定事業者は居室を賃貸する権限が必要です。

特定認定を受けようとする者が事業の用に供する居室の賃借人又は転借人の場合にあっては、当該居室の所有者及び当該居室に係る全ての賃貸人が当該居室を事業の用に供することについて承諾しているとともに、当該居室に係る全ての賃貸借契約において事業の用に供することが禁じられていないことが必要です。そのため全ての賃貸借契約の写し及び承諾書が申請の際に添付書類として必要となります。

貸主の承諾を得て、転貸をする場合においても、利用者及び転貸をうけて利用する者のいずれも、最低滞在日数その他法令の事項を遵守する必要があります。

分譲物件による事業実施について

区分所有の施設(分譲マンション等)を外国人滞在施設経営事業として認定を受けるには、分譲マンション等の規約に違反しないと認められることが必要とされています。

特区民泊はもともと住宅としての施設利用を前提とした制度であることから、管理規約が標準管理規約のままであり、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」との規定があったとしても特定認定の対象となるものとされています。

ただし、「住宅として使用するもの」にあたらないとの管理組合の解釈が決議されているなど、管理組合の意思が専有部分を特区民泊の用に供することを禁ずるものと認められる場合は特定認定の対象としては認められません。

また、規約の解釈自体は管理組合において行われるものとされていることから、違反していないことを証明する方法としては、「民泊等の営業に供することに支障がない」旨の規定がある規約を添付し、又は申請者が管理組合等に確認してその旨を記載した書面等を添付する方法等が考えられます。

注意事項の説明

認定事業者は、施設の滞在者に対し、使用開始時に以下の点を含めた施設使用の際の注意事項を、滞在者の言語に対応させて説明する必要があります。

  • 施設に備え付けられた設備の使用方法
  • 廃棄物の処理方法
  • 騒音等により周囲に迷惑をかけないこと
  • 火災等の緊急事態が発生した場合の通報先及び初期対応の方法(防火、防災設備の使用方法を含む)

また、認定事業者は、廃棄物の処理方法及び火災等の緊急事態が発生した場合の対応方法を含めた必要な措置を講ずる必要があります。

使用する外国語について

使用する外国語について特に制限はなく、英語も必須ではありませんが、使用する外国語で対応しうる人材を緊急連絡先等に配置する必要があります。

また、使用する外国語については、ホームページで明記する必要があります。ホームページのトップ画面の上部に使用する外国語を明記すると利用者に分かりやすくなるので推奨されています。

施設のホームページについて

施設のホームページは、外国語による案内も併せて行うことにより滞在者が理解しやすいような画面にします。施設の間取りの図面や写真、料金等を掲載することで利用者が分かりやすいホームページとなります。

必要に応じて築年数、建物の構造、防火対策、耐震化対策(耐震診断の有無、その内容等) 等の情報をホームページに掲載するほか、賃貸借契約書を外国語、日本語対訳で掲載することが推奨されています。

なお、ホームページ等に2泊未満での滞在が可能とするような内容を掲載することはできません。

特区民泊事業認定申請サポート

弊所では、大阪府を中心に国家戦略特区全域にわたり、特区民泊事業認定申請手続きの代行を承(うけたまわ)っております。面倒な書類の作成から、関連機関との調整並びに申請、住民説明会のサポート及び立入調査の同行に至るまで、しっかりとフルサポートいたします。

下記は市場価格を反映して設定した報酬額ですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。「サイトを見た」とお伝えいただければ、対象者限定の格安料金を提示する準備もあります。ハッキリ謂えば見積もりサイトには負けません。住宅宿泊管理会社様との提携もしくは顧問契約にも対応しています。特区民泊事業認定申請でお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

新規認定申請198,000円~
変更認定申請99,000円~
変更届55,000円~
※税込み
★注意点

弊所は先払い原則、不許可の場合は書類取得等に要した実費を除く全額返還のお約束で業務を請け負っております。最近は支払いが数ヶ月にわたって滞る事案もあり、相応の措置を採らざるを得ないケースも発生しております。大変恐縮ではありますが、この点のみご了承いただければ幸いです。

民泊事業に関するご相談はお気軽に♬

国家戦略特区全域全域に対応可能です。

平日9時〜18時、📩は24時間365日対応!

06-6415-9020 または 090-1911-1497

メールでのお問い合わせはこちら。

お問い合わせフォーム

事務所の最新情報をお届けします