募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行の違いとは│旅行契約の種類について分かりやすく解説
旅行契約には募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行の3タイプがありますが、これらの違いは旅行業を運営する上で、しっかりと理解する必要がある重要事項です。
そうでなくとも旅行業登録(許可)に関する手続きは相当ハードルが高く、旅行業法が改正されるたびに審査も厳格化している印象があります。
そこで本稿では、旅行代理店などのビジネスを始めるために必須となる募集型企画旅行、受注型企画旅行及び手配旅行に関する基礎知識について分かりやすく解説していきたいと思います。
旅行契約の種類
冒頭でお伝えしたとおり、旅行業の契約形態には、募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行の3つのタイプがあります。字面から何となく雰囲気は伝わってきますが、その詳細についてざっくりとまとめたものが以下の表です。
企画旅行 | 旅行の目的地及び日程、旅行者が提供を受けることができる運送及び宿泊のサービス内容並びに旅行者が支払うべき対価に関する事項を定めた旅行計画を、旅行者の募集のためにあらかじめ、又は旅行者からの依頼により作成するとともに、計画に定めるサービスを旅行者に確実に提供するために必要と見込まれる契約を、自己の利益を図るためにサービス提供者との間で締結する行為 | |
募集型企画旅行 | 旅行業者があらかじめ旅行計画を企画し提供するように働きかけるタイプの旅行 | |
受注型企画旅行 | 旅行業者が旅行者からの依頼によって旅行計画を作成し、提供するように働きかけるオーダーメイド型の旅行 | |
手配旅行 | 運送及び宿泊のサービスの提供について、旅行業者が代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをするサービス |
旅行計画を企画するのが旅行業者であれば「企画旅行」、旅行計画自体は旅行者が企画し、運送及び宿泊のサービスの提供について旅行業者が代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをするサービスが「手配旅行」になります。
★旅行計画の内容
- 旅行の目的地
- 旅行の日程
- 旅行者が提供を受けることができる運送及び宿泊のサービス内容
- 旅行者が支払うべき対価
募集型企画旅行
募集型企画旅行とは、パッケージツアーやパック旅行のように旅行業者があらかじめ旅行計画を作成し、店頭、パンフレット、インターネットサイトなどで旅行者を募集して実施する旅行のことをいいます。旅行計画を旅行業者が作成する点で手配旅行とは異なり、旅行者には旅行計画を変更する権限が無い点で受注型企画旅行とも異なります。
旅行業者は企画の段階から旅行に携わり、自社が作成した旅行計画に基づいて運送及び宿泊の手配を請け負い、幅広く旅程を管理する義務を負っています。
そのため、後述する手配旅行よりも一段と規制が厳しく、募集型企画旅行を企画した旅行業者には旅行者保護のために、旅程管理、旅程保証、特別保障の三大責任が課されます。
★旅程管理
旅程管理とは、旅行者が契約書面に記載された旅行サービス(旅程)を確実に受けられるように管理を行うことをいいます。
★旅程保証
旅程保証とは、契約書面に記載された旅行サービス(旅程)に変更が生じた場合やサービス内容が低下した場合などに、旅行業者が旅行者に対して補償金を支払う制度です。
★特別保障
特別保障とは、旅行業者の過失の有無を問わずに、旅行者が旅行中に、急激かつ偶発的な事故で、その生命、身体または携帯品に被った一定の損害について、あらかじめ定める額を補償金及び見舞金として支払う制度です。
受注型企画旅行
受注型企画旅行とは、旅行者からの依頼により、旅行業者が旅行計画を作成、提案し、実施する旅行のことをいいます。(修学旅行や社員旅行)
旅行業者は募集型企画旅行と同様に企画段階から旅行に携わるため、幅広く旅程を管理する義務を負い、先述した旅程管理、旅程保証、特別保障の三大責任も課されます。
募集型企画旅行との違いは、旅行業者が旅行計画について提案と作成は行うものの旅行者側からその内容の変更を求めることができるという点にあります。また、団体・グループ旅行に際して申込金の支払いを受けることなく書面で契約を締結する特則規定がある点や、契約締結後は旅行開始前に取り消された場合であっても、その時期にかかわらず契約書に明示した企画料金に相当する額の取消料を収受することができるという点も募集型企画旅行とは異なります。
手配旅行
手配旅行とは、旅行業者が旅行者の委託により、旅行者のために運送及び宿泊等の旅行サービスの提供を受けることができるよう手配を請け負う契約のことをいいます。
企画旅行とは異なり、手配旅行では善管注意義務(善良な管理者の注意義務)をもって手配をした時点で旅行者に対する義務を果たしたことになるため、手配はしたものの満席・満室などの事情により席や部屋が確保されなくても、旅行業者は旅行者に対して手数料を請求することができます。
また、企画旅行と違い、旅行業者には旅程管理、旅程保証、特別保障の三大責任が課されていないため、旅行中のトラブルは旅行者の自己責任で対処することとなります。
★代理・媒介・取次
代理 | 当事者に代わり契約を行う行為 |
媒介 | 当事者間に紹介を行う行為 |
取次 | 他人の経済的負担のもとに直接契約の当事者となる行為 |
★善良な管理者の注意義務
受託者が事務等の管理を行う場合に、職業又は地位にある者として、社会通念上、通常要求される程度の注意義務をいいます。
登録種別による業務範囲
旅行業者はその業務の範囲により、第1種旅行業者、第2種旅行業者、第3種旅行業者、地域限定旅行業者に区分されています。また、厳密には旅行業に該当しないものの、旅行業者代理業、旅行サービス手配業といった業種区分も存在します。
これらは下表のように取り扱うことのできる業務範囲が限定されており、登録を行うための基準や申請先の行政庁も異なります。旅行業に携わる際にはこれらをしっかりと確認し、確実に把握するようにしてください。
契約の成立時期について
基本的に企画旅行も手配旅行も、予約した時点では契約は成立しておらず、旅行業者側が契約を承諾し、又は旅行者が申込金を支払った時点で契約が成立します。なお、インターネット等を利用する通信契約の場合には旅行業者側が契約を承諾した時点で契約が成立します。
ただし、受注型企画旅行と手配旅行については、標準旅行業約款において、団体旅行やグループ旅行に関する契約の成立時期について以下のような特則が設けられています。
募集型企画旅行 | 上記の原則のとおり |
受注型企画旅行 | 申込金の支払いを受けることなく、旅行業者が契約責任者に対してその旨を記載した書面を交付した時点で契約が成立する |
手配旅行 | 申込金の支払いを受けることなく、契約の成立時期について特約を明記した書面を交付した時点で契約を成立させることができる(口頭での申込みを受け付け、サービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付する場合は旅行業者が契約締結を承諾した時点で契約が成立する) |
契約の拒否事由
旅行業者が契約を拒否することができる事由として、標準旅行業約款においては、募集型企画旅行・受注型企画旅行・手配旅行の別に以下のように定めています。
拒否事由 | 募集型企画旅行 | 受注型企画旅行 | 手配旅行 |
性別、年齢、資格、技能その他の参加旅行者の条件を満たしていないとき | 〇 | X | X |
募集予定数に達したとき | 〇 | X | X |
団体行動の円滑な実施を妨げる恐れがあるとき | 〇 | 〇 | X |
クレジットカード決済ができないとき | 〇 | 〇 | 〇 |
反社会的勢力であると認められるとき | 〇 | 〇 | 〇 |
暴力的な要求行為等があったとき | 〇 | 〇 | 〇 |
信用を毀損し、又は業務妨害があったとき | 〇 | 〇 | 〇 |
業務上の都合があるとき | 〇 | 〇 | 〇 |
契約解除事由
旅行者側からは取消料を支払っていつでも自由に旅行契約を解除することができますが、旅行業者側から契約の解除をするにあたっては、募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行の別にそれぞれ以下のように解除することのできる事由が設けられています。
拒否事由 | 募集型企画旅行 | 受注型企画旅行 | 手配旅行 |
性別、年齢、資格、技能その他の参加旅行者の条件を満たしていないことが判明したとき | 〇 | X | X |
病気、必要な介助者の不在その他の事由により、旅行に耐えられないとき | 〇 | 〇 | 〇 |
団体行動の円滑な実施を妨げるとき | 〇 | 〇 | X |
旅行者が契約内容に関し合理的な範囲を超える負担を求めたとき | 〇 | X | X |
最少催行人員に達しないとき | 〇 | X | X |
必要な降雪量等の旅行実施条件であって契約の締結の際に明示したものが成就しないおそれが極めて大きいとき | 〇 | 〇 | 〇 |
天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の関与し得ない事由が生じた場合 | 〇 | 〇 | 〇 |
クレジットカードが無効になる等、決済できなくなったとき | 〇 | 〇 | 〇 |
反社会的勢力であることが判明したとき | 〇 | 〇 | 〇 |
暴力的な要求行為等があったとき | 〇 | 〇 | 〇 |
信用を毀損し、又は業務妨害があったとき | 〇 | 〇 | 〇 |
なお、手配旅行については、旅行者側からの任意での契約解除や、旅行者側の責に帰すべき事由による契約解除の場合には、旅行開始前であっていまだ提供していない旅行サービスの対価を除き、そのすべてを旅行者に対して請求することができます。
逆に旅行業者の責に帰すべき事由による契約解除の場合には、既に提供した旅行サービスの対価を除き、旅行者に負担させることはできません。
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