特定複合観光施設区域整備法(IR実施法)における手続きの概要について

カジノ

特定複合観光施設区域整備法(以下、IR実施法)は、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資することを目的として制定されたカジノを含む統合型リゾート施設(特定複合観光施設)の設置に関する法律です。

IR実施法では、特定複合観光施設区域、カジノ事業の免許その他のカジノ事業者の業務に関する規制措置、カジノ施設への入場等の制限及び入場料等に関する事項、カジノ事業者が納付すべき国庫納付金等に関する事項、カジノ事業等を監督するカジノ管理委員会の設置、その任務及び所掌事務等に関する事項その他必要な事項を定めます。

いまだ賛否両論のある法律ではありますが、「賛」にせよ「否」にせよまずは法律の内容を知ることが重要です。

そこで本稿では、IR実施法と関連法令の概要のうち、主に手続きを必要とする部分について、民間事業者としての視点を中心にざっくりと解説していきたいと思います。

特定複合観光施設

特定複合観光施設とは、カジノ施設と以下の第1号から第5号までの施設から構成される一群の施設(これらと一体的に設置・運営される第6号施設を含む)であって、民間事業者により一体として設置・運営されるものをいいます。

1号施設国際会議の誘致を促進し、及びその開催の円滑化に資する国際会議場施設であって、政令で定める基準に適合するもの
2号施設国際的な規模の展示会、見本市その他の催しの開催の円滑化に資する展示施設、見本市場施設その他の催しを開催するための施設であって、政令で定める基準に適合するもの
3号施設我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演その他の活動を行うことにより、我が国の観光の魅力の増進に資する施設であって、政令で定めるもの
4号施設我が国における各地域の観光の魅力に関する情報を適切に提供し、併せて各地域への観光旅行に必要な運送、宿泊その他のサービスの手配を一元的に行うことにより、国内における観光旅行の促進に資する施設であって、政令で定める基準に適合するもの
5号施設利用者の需要の高度化及び多様化に対応した宿泊施設であって、政令で定める基準に適合するもの
6号施設1〜5号に掲げるもののほか、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設

特定複合観光施設区域

特定複合観光施設区域とは、ひとつの特定複合観光施設を設置する一団の土地の区域として、特定複合観光施設を設置・運営する民間事業者(施設供用事業が行われる場合には、施設供用事業を行う民間事業者を含む)により一体的に管理される区域のことです。

特定複合観光施設区域については、認定を受けた区域整備計画(以下、認定区域整備計画)に記載された区域である必要があります。

設置運営事業・施設供用事業

設置運営事業とは、IRを設置・運営する事業(1号事業)又はこれに附帯する事業(2号事業)を指し、施設供用事業とは、一群の施設の整備(新設、改修又は増設)を一体的に行う業務、IRをその用途に応じて管理し設置運営事業者に専ら使用させる業務及びこれらに附帯する業務を行う事業を指します。

設置運営事業1号事業特定複合観光施設を設置・運営する事業
2号事業1号事業に附帯する事業
施設供用事業特定複合観光施設を構成する一群の施設の整備(新設、改修又は増設)を一体的に行う業務
設置運営事業者との契約に基づき特定複合観光施設をその用途に応じて管理し及び設置運営事業者に専ら使用させる業務
上記施設供用事業に附帯する業務

カジノ行為

カジノ行為とは、カジノ事業者と顧客との間又は顧客相互間で、同一の施設において、その場所に設置された機器又は用具を用いて、偶然の事情により金銭の得喪を争う行為であって、海外において行われているこれに相当する行為の実施の状況を勘案して、カジノ事業の健全な運営に対する国民の信頼を確保し、及びその理解を得る観点から我が国においても行われることが社会通念上相当と認められるものとしてその種類及び方法をカジノ管理委員会規則で定めるものをいう。

(IR実施法第2条第7項)

上記がIR実施法において「カジノ行為」を定義する条文です。法律らしいまどろっこしい文章ですが、カジノ管理委員会規則では、具体的に以下の行為をカジノ行為としています。

バカラディーラーによりプレイヤー側とバンカー側に配布されたトランプの点数を合計した点数の下一桁の数字について、いずれかの側が大きいこと又は双方の側が同じであることを予想して賭けることを基本とするもの
トゥエンティワンディーラーにより顧客に配布されたトランプの点数を合計した点数が、21点を超えない範囲で、ディーラーに配布されたトランプの点数を合計した点数よりも大きいことに対して賭けることを基本とするものであって、ブラックジャック、ブラックジャックスイッチ又はポンツーンの方法により行うもの
ポーカーディーラーにより顧客、ディーラーその他の対象又はテーブルに配布されたトランプの組合せについて、手役の強さによって賭けの勝敗を決定することを基本とするものであって、カリビアンスタッドポーカー、スリーカードポーカー、テキサスホールデムボーナス、ミシシッピスタッドポーカー、レットイットライド、オマハポーカー、テキサスホールデムポーカー又はポーカートーナメントの方法により行うもの
カジノウォーディーラーにより顧客に配布された1枚のトランプが、ディーラーに配布された1枚のトランプより強いことに対して賭けることを基本とするもの
クラップス転がした2個のさいころの出目の合計が、それより前に転がされた2個のさいころの出目の合計と一致すること又は7となることを予想して賭けることを基本とするもの
シックボー転がした3個のさいころの出目又はその合計若しくは組合せを予想して賭けるもの
ルーレットルーレットホイールのシリンダーにあるボールポケットのうちルーレットボールが収まるものに対応する数字を予想して賭けるものであって、シングルゼロルーレット又はダブルゼロルーレットの方法により行うもの
マネーホイールマネーホイール用ホイールの回転する円盤にあるシンボル(※)が表示された区画のうちクラッパー(※)が示すシンボルが表示された区画に対応するシンボルを予想して賭けるもの
パイゴウディーラーにより顧客に配布された4枚のパイゴウタイルを2枚ずつ2組に分けて形成した強い側の2枚の組合せ及び弱い側の2枚の組合せが、ディーラーに配布された4枚のパイゴウタイルを2枚ずつ2組に分けて形成した強い側の2枚の組合せ及び弱い側の二枚の組合せよりもそれぞれ強いことに対して賭けることを基本とするもの
電子ゲーム乱数発生装置により発生した乱数を用いて賭けの勝敗を決定するもの(上記の種類のカジノ行為の方法に従って行うものを除く)
※シンボルとは、賭けの対象を表す意匠をいう。
※クラッパーとは、マネーホイール用ホイールの上部に固定され、円盤の回転を止めるとともに、当たりのシンボルを示すものをいう。

カジノ事業者

カジノ事業者とは、区域整備計画の認定を受けた設置運営事業者(以下、認定設置運営事業者)であって、免許を受けて以下の業務(以下、カジノ業務)を行う事業(以下、カジノ事業)を行うものをいいます。

1号業務カジノ行為業務カジノ施設におけるカジノ行為を顧客との間で行い、又は顧客相互間で行わせることに係る業務
2号業務特定金融業務カジノ行為を行う顧客の依頼を受けて当該顧客の金銭について行う以下の業務
特定資金移動業務銀行その他のカジノ管理委員会規則で定める金融機関を介し、カジノ事業者の管理する顧客の口座と顧客の指定する預貯金口座との間で顧客の金銭の移動に係る為替取引を行う業務
特定資金受入業務顧客の金銭を受け入れる業務
特定資金貸付業務顧客に金銭を貸し付ける業務
両替業務金銭の両替を行う業務
3号業務附帯業務1号2号業務に附帯する業務

つまりカジノ事業者となるためには、①区域整備計画の認定②カジノ事業の免許という2つの許認可を取得する必要があります。

カジノ施設

カジノ施設とは、特定複合観光施設区域に設置する施設であって、カジノ事業者がカジノ行為業務を行うための以下の区画により構成されるものをいいます。

カジノ行為区画主としてカジノ行為を顧客との間で行い、又は顧客相互間で行わせるための区画
本人確認区画本人確認をするための区画
その他の区画カジノ事業者がカジノ行為業務又は本人確認に係る業務に附帯する監視、警備その他の業務を行うための区画

入場に関する規制

カジノ事業者は、以下の者をカジノ施設に入場させ、又は滞在させることができません。

  • 20歳未満の者(業務としてカジノ行為業務又は本人確認に係る業務に附帯する監視、警備その他の業務を行うための区画に入場し、又は滞在する場合を除く)(業務又は公務としてカジノ施設に入場し、又は滞在する場合を除く)
  • 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から起算して5年を経過しない者
  • 入場料又は認定都道府県等入場料納付しない者
  • 日本国内に住居を有しない外国人以外の者であって、カジノ施設に入場し、又は滞在しようとする日から起算して過去7日間において入場料を賦課されてカジノ行為区画に入場した回数が既に3回に達しているもの(直近の入場時から24時間を経過するまでの間にある者を除く)(業務又は公務としてカジノ施設に入場し、又は滞在する場合を除く)
  • 日本国内に住居を有しない外国人以外の者であって、カジノ施設に入場し、又は滞在しようとする日から起算して過去28日間における入場料を賦課されてカジノ行為区画に入場した回数が既に10回に達しているもの(直近の入場時から24時間を経過するまでの間にある者を除く)(業務又は公務としてカジノ施設に入場し、又は滞在する場合を除く)

入退場時の本人確認

カジノ事業者は、入場者がカジノ行為区画に入退場しようとする時ごとに、入場者からマイナンバーカード(日本国内に住居を有しない日本人及び外国人並びに本邦内に住居を有する外国人であって中長期在留者等以外のものにあっては、旅券その他の特定の入場者を識別することができるもの)の提示を受け、本人特定事項及び入場禁止対象者に該当しないことの確認を行う必要があります。

この場合においてカジノ事業者は、確認をした日時、入場者の本人特定事項(写真を除く)、入場者が入場禁止対象者に該当するかどうかについての確認の結果及び入場者がカジノ行為区画に入退場した日時等の一定の事項について記録を作成し、これを保存する必要があります。

★本人特定事項

本人特定事項とは、氏名、住所(日本国内に住居を有する日本人及び中長期在留者等にあっては住所、日本国内に住居を有しない日本人にあっては本籍地都道府県名、中長期在留者等以外の外国人にあっては国籍)、生年月日及び写真をいいます。

区域整備計画の認定

都道府県等は、設置運営事業等を行おうとする民間事業者と共同して、基本方針及び実施方針に即して、特定複合観光施設区域の整備に関する計画(以下、区域整備計画)を作成し、国土交通大臣の認定を申請することができます。

この場合において、民間事業者がまだ設立されていないときは、発起人その他の民間事業者を設立しようとする者と区域整備計画を共同して作成し国土交通大臣の認定を申請するものとされています。

区域整備計画

都道府県等は、以下のルールに則り区域整備計画を作成する必要があります。

  • 区域整備計画のうち事業基本計画は、設置運営事業等を行おうとする民間事業者が作成する案に基づいて作成すること
  • 協議会が組織されている場合には協議会における協議を、協議会が組織されていない場合には立地市町村等及び公安委員会との協議を行うこと
  • 公安委員会が実施する施策及び措置に係る事項については公安委員会、立地市町村等が実施する施策及び措置に係る事項については立地市町村等から、あらかじめ同意を得ること
  • 公聴会の開催その他の住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずること
  • 認可の申請をしようとするときはその議会の議決を経ること
  • 都道府県か認可の申請をしようとするときは、あらかじめ特定複合観光施設区域を整備しようとする区域をその区域に含む市町村及び特別区の同意を得ること

認定の基準 

国土交通大臣は、認定の申請があった場合において、その区域整備計画が以下の基準に適合すると認めるときは、関係行政機関の長に協議し、これらの同意を得るとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部の意見を聴取した上でその認定をすることができるものとされています。

認定は国土交通大臣の裁量に委ねられているため、この基準を満たしていたとしても認定を拒否することができるものと解されます。

また、国土交通大臣は、特定複合観光施設区域の適正な整備を確保するため必要があると認めるときは、認定に条件を付し、及びこれを変更することができます。

  • 基本方針に適合するものであること
  • 国内外の主要都市との交通の利便性その他の経済的社会的条件からみて、特定複合観光施設区域の整備を推進することが適切と認められる地域であること
  • 事業基本計画が基準に適合するものであること
  • その他特定複合観光施設区域の整備の推進に関する施策及び措置が適切に実施されると認められるものであること
  • 国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現を図ることにより、観光及び地域経済の振興に寄与すると認められるものであること
  • カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置が実施されると認められるものであること
  • その認定をすることによって、認定区域整備計画の数が3を超えることとならないこと

なお、区域整備計画の認定の有効期間は、認定の日から起算して10年とされており、区域整備計画の認定を受けた都道府県等は、区域整備計画の認定を受けた設置運営事業者等と共同して、原則として認定の有効期間の満了の日の6か月前から3か月前までの期間内に国土交通大臣に申請を行うことにより、区域整備計画の認定の更新を受けることができます。

事業基本計画の基準

区域整備計画のうち、事業基本計画については以下の基準を満たすものであることが必要とされています。

  • カジノ事業の収益が設置運営事業の実施に活用されることにより、設置運営事業が一の設置運営事業者により一体的かつ継続的に行われると認められるものであること
  • 施設供用事業が行われる場合には、設置運営事業等が設置運営事業者と施設供用事業者との適切な責任分担及び相互の緊密な連携により行われると認められるものであること
  • 設置運営事業者等が会社法に規定する会社であって、専ら設置運営事業(施設供用事業者にあっては、施設供用事業)を行うものとされていること
  • 設置運営事業者が特定複合観光施設を所有するものとされていること(施設供用事業が行われる場合には、施設供用事業者が所有する特定複合観光施設を設置運営事業者が使用するものとされていること)
  • 設置運営事業者等がカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な措置を講ずると認められるものであること
  • 設置運営事業等が円滑かつ確実に行われると見込まれること

実施協定

認定都道府県等及び認定設置運営事業者等は、認定の後速やかに、設置運営事業等の具体的な実施体制及び実施方法に関する事項等をその内容に含む協定(実施協定)を締結し、国土交通大臣の認可を受ける必要があります。(これを変更しようとするときも同様です。)

認定設置運営事業者等の義務等

事業計画毎事業年度の開始前に、事業基本計画に基づき、事業年度における特定複合観光施設の維持管理、設備投資その他の事業活動に関する計画(事業計画)を作成し、認定都道府県等の同意を得て、国土交通大臣に届出をし、遅滞なく、その事業計画を公表しなければならない(これを変更したときも同様)
営業開始の届出特定複合観光施設の営業を開始しようとするときは、その開始の時期を、認定都道府県等の同意を得て、国土交通大臣に届け出なければならない(特定複合観光施設のうちカジノ施設の営業を先行して開始してはならない)
兼営の禁止認定設置運営事業者は設置運営事業以外の事業を営んではならず、認定施設供用事業者は、施設供用事業以外の事業を営んではならない
設置運営事業等の廃止設置運営事業等を廃止しようとするときは、あらかじめ、その理由及び廃止の時期等を明らかにして、認定都道府県等の同意を得て、国土交通大臣の承認を受けなければならない
監査人の設置監査人を選定・設置し、認定設置運営事業者等が行う設置運営事業等を監査させなければならない
業務の会計認定設置運営事業者等は、設置運営事業等について、その事業年度並びに勘定科目の分類及び貸借対照表、損益計算書その他の財務諸表で国土交通省令で定めるものの様式を定め、その会計を整理しなければならない
財務報告書認定設置運営事業者等は、事業年度ごとに、経理の状況、業務の内容に関する重要な事項、法人の概況及び事業の状況等について監査人の監査を受け、これらの事項を記載した報告書(財務報告書)を、確認書及び財務報告に係る内部統制報告書と併せて、認定都道府県等の同意を得て、原則として事業年度経過後3か月以内に、国土交通大臣に提出しなければならない
四半期報告書事業年度の期間を3か月ごとに区分した各期間ごとに、経理の状況、業務の内容に関する重要な事項、法人の概況及び事業の状況等を記載した報告書を、認定都道府県等の同意を得て、当該各期間経過後45日以内の国土交通省令で定める期間内に、国土交通大臣に提出しなければならない
公告財務報告書(及びその添付書類)、確認書、財務報告に係る内部統制報告書(及びその添付書類)及び四半期報告書については、公告を行わなければならない(書類の内容である情報は、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により不特定多数の者が継続して提供を受けることができる状態に置く措置を講ずることができる)
監査証明財務報告書、四半期報告書及び財務報告に係る内部統制報告書には、特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならない

カジノ事業の免許

認定設置運営事業者がカジノ事業の免許を受けようとするときは、申請書及び必要書類をカジノ管理委員会に提出することにより申請を行います。

免許を受けた認定設置運営事業者にはカジノ管理委員会から免許状が交付され、免許に係るカジノ施設において、免許に係る種類及び方法のカジノ行為に係るカジノ事業を行うことができます。この場合において、免許に係るカジノ行為区画で行うカジノ行為については、刑法上の賭博罪及び常習賭博罪の規定は適用されません。

カジノ事業者が自己の名義をもって、他の者にカジノ事業を行わせることは禁止されており、違反した場合、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科されるほか、法人に対して5億円以下の罰金刑を科されることがあります。

免許の基準

カジノ事業の免許の申請があったときは、申請が以下の基準に適合するかどうかについて審査が行われます。

  • 申請者が、人的構成に照らして、カジノ事業を的確に遂行することができる能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること
  • 申請者の役員が十分な社会的信用を有する者であること
  • 出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者が十分な社会的信用を有する者であること
  • 申請者の主要株主等及び主要株主等が法人等である場合の役員が十分な社会的信用を有する者であること
  • 申請に係る特定複合観光施設区域の施設土地権利者及び施設土地権利者が法人である場合の役員が十分な社会的信用を有する者であること
  • 申請者がカジノ事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、カジノ事業に係る収支の見込みが良好であること
  • 申請認定区域整備計画に記載された特定複合観光施設区域におけるカジノ施設の数が一を超えず、かつ、カジノ施設のカジノ行為区画のうち専らカジノ行為の用に供される部分の床面積の合計が特定複合観光施設の床面積の合計の100分の3の面積を超えないこと
  • カジノ施設の構造及び設備がカジノ管理委員会規則で定める技術上の基準に適合すること
  • 使用しようとする電磁的カジノ関連機器等が、検定に合格した型式の電磁的カジノ関連機器等であること
  • 使用しようとする非電磁的カジノ関連機器等が、表示が付され、かつ、技術上の基準に適合すること
  • 定款及び業務方法書の規定が、法令に適合し、かつ、カジノ事業を適正に遂行するために十分なものであること
  • カジノ施設利用約款が、法令に適合し、かつ、基準に適合するものであること
  • 依存防止規程が、法令に適合し、かつ、カジノ行為に対する依存を防止するために十分なものであること
  • 犯罪収益移転防止規程が、法令に適合し、かつ、カジノ事業における犯罪による収益の移転防止のために十分なものであること
  • カジノ行為区画内関連業務を行おうとするときは、カジノ行為区画内関連業務がカジノ事業の健全な運営に支障を及ぼすおそれがないものであること

カジノ管理委員会は、基準に照らし必要があると認めるときは、カジノ事業の免許に条件を付し、及びこれを変更することができるものとされています。また、申請に係る特定複合観光施設について認定施設供用事業者がある場合には、特定複合観光施設に係る免許が付与されるときでなければ免許は付与されません。

欠格事由

免許の申請について、上記の基準を満たしている場合であっても、関係者が一定のネガティブな事由(免許等の取消処分を受けた日から5年を経過しない者であるなど)に該当するとき、又は申請書若しくはその添付書類のうちに虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、カジノ事業を行う者としての適正を欠く者として免許を受けることはできません。

免許の有効期間

免許の有効期間は、免許の日から起算して3年とされており、有効期間の満了後引き続きカジノ事業を行おうとするカジノ事業者は、原則として有効期間の満了の日の6か月前までの間に、カジノ管理委員会に申請し、免許の更新を受ける必要があります。

なお、軽微な変更を除き、一定の事項を変更しようとするときは、カジノ管理委員会の承認を受ける必要があります。

カジノ事業者には、定款、業務方法書、カジノ施設利用約款、依存防止規程、及び犯罪収益移転防止規程の作成が義務付けられていますが、これらについて変更をしようとするときは、カジノ管理委員会の認可を受けなければならないものとされています。

完成検査

カジノ事業者は、免許を受けた後において、免許に係るカジノ施設の工事が完成したときは、その施設及び使用しようとするカジノ関連機器等について、カジノ管理委員会の検査を申請する必要があります。

カジノ事業者は、カジノ事業の免許に係るカジノ施設について、この検査に合格した後でなければ、その営業を開始することはできません。これはカジノ施設供用事業についても同様です。

検査の申請は、カジノ施設についてカジノ施設供用事業者がある場合には、カジノ施設供用事業の免許に係る施設の検査の申請と同時に行う必要があります。

また、カジノ事業者は、カジノ施設の営業を開始したときは、遅滞なく、その旨をカジノ管理委員会に届け出るものとされています。

認可主要株主等

一定の取引又は行為によりカジノ事業者の主要株主等(5%以上の議決権等の保有者)になろうとする者又は主要株主等になる法人等の設立をしようとする者は、カジノ管理委員会の認可を受ける必要があります。

認定設置運営事業者がカジノ事業の免許を受けたときは、免許の申請書に記載された主要株主等は、その免許の時に認可を受けたものとみなされます。

認可に係る取引若しくは行為又は法人等の設立によりカジノ事業者の認可主要株主等になった者は、遅滞なく、その旨をカジノ管理委員会に届け出るものとされています。

特定保有者

上記の取引若しくは行為又は法人等の設立以外の事由によりカジノ事業者の主要株主等になった者(特定保有者)は、その事由の生じた日から起算して60日を経過する日(猶予期限日)以内にカジノ事業者の主要株主等でなくなるよう、所要の措置を講ずる必要があります。(猶予期限日後も引き続きカジノ事業者の主要株主等であることについてカジノ管理委員会の認可を受けたときを除く)

特定保有者は、カジノ事業者の主要株主等でなくなったときは、遅滞なく、その旨をカジノ管理委員会に届け出るものとされています。

カジノ関連機器等

カジノ関連機器等とは、専らカジノ行為業務において使用されるように設計された機器等であって、カジノ行為の結果、その結果に基づく金銭の支払若しくはカジノ行為業務に関する会計事務又はこれらを監視する業務に関連するものをいいます。

種別(用途)機能
電子ゲームシステム(電子ゲーム)カジノ行為の結果の決定、カジノ行為の結果に基づく金銭の支払、カジノ行為に係る会計処理及びこれらの監視を一体的に行うことができること
電子テーブルゲームシステム(電子テーブルゲーム)カジノ行為の結果の決定、カジノ行為の結果に基づく金銭の支払、カジノ行為に係る会計処理及びこれらの監視を一体的に行うことができること
ディーラー操作式電子テーブルゲームシステム(ディーラー操作式電子テーブルゲーム)カジノ行為の結果に基づく金銭の支払、カジノ行為に係る会計処理及びこれらの監視を一体的に行うことができること
クライアントサーバゲームシステム(電子ゲーム及び電子テーブルゲーム)カジノ行為の結果の決定、カジノ行為の結果に基づく金銭の支払、カジノ行為に係る会計処理及びこれらの監視をサーバ及びプレイヤー端末を用いて一体的に行うことができること
プログレッシブシステム(プログレッシブ)プログレッシブにおいて蓄積される金銭の管理、当該金銭の支払、カジノ行為に係る会計処理及びこれらの監視を一体的に行うことができること
トランプシャッフラー(トランプを使用するテーブルゲーム)複数枚のトランプを自動で無作為に並べ替えることができること
電子ディーリングシュー(トランプを使用するテーブルゲーム)ディーラーが引こうとするトランプ以外のトランプに触れることを防止し、及びトランプが引かれるまでの間これらのトランプの表面に表示された数字又は文字及びスートを推測されないようにトランプを収納することができる機能並びにトランプを配布する際の当該トランプの数字及び文字並びにスートの読み取りができること
電子さいころシェーカー(さいころを使用するテーブルゲーム)さいころを自動で振ることができること
バウチャー払戻機(バウチャーと引換えに行う現金の交付)バウチャーと引換えに行う現金の交付、交付に係る会計処理及びこれらの監視を一体的に行うことができること
カジノマネジメントシステム(カジノ行為の結果に基づく金銭の支払、カジノ行為業務に関する会計事務及びこれらを監視する業務)プログラム又は機器であって、この項の中欄に掲げる業務を一体的に行うことができること

また、電磁的カジノ関連機器等とは、カジノ関連機器等のうち、電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によって認識することができない方法を利用した機器若しくは用具、又はプログラム若しくはこれを記録した記録媒体以下のもの、非電磁的カジノ関連機器等とは、電磁的カジノ関連機器等以外の以下のカジノ関連機器等をいいます。

種別用途機能
テーブルゲーム用チップカジノ行為においてその得喪を争う金銭に代えて使用円形、だ円形、概ね正方形又は概ね長方形の用具であって、その種類及び枚数により、カジノ行為における顧客の賭金額又は勝金額を表示することができること
トーナメントチップポーカートーナメントの方法により行うポーカーにおいて、参加する顧客の点数の表示のみに使用円形の用具であって、その保有された種類及び枚数により、カジノ行為における顧客の点数を表示することができること
トランプバカラ、トゥエンティワン、ポーカー若しくはカジノウォー又はディーラー操作式電子テーブルゲーム(トランプを使用するものに限る)において使用カードの表面に表示された数字又は文字及びスートにより、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること
プリシャッフルマルチデッキバカラ、トゥエンティワン若しくはカジノウォー又はディーラー操作式電子テーブルゲーム(トランプを使用するものに限る)で使用されるトランプを集約する4組から8組で構成され、その製造時において無作為に並べ替えられたものであって、その構成するトランプにより、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること
ディーリングシューテーブルゲーム(トランプを使用するものに限る)において使用するトランプを収納ディーラーが引こうとするトランプ以外のトランプに触れることを防止し、及びトランプが引かれるまでの間これらのトランプの表面に表示された数字又は文字及びスートを推測されないようにトランプを収納することができること
さいころクラップス、シックボー若しくはパイゴウ又はディーラー操作式電子テーブルゲーム(さいころを使用するものに限る)において使用立方体(頂点に面取りがなされたものを含む)の用具であって、各面にそれぞれ表示された目により、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること
ルーレットホイールルーレットにおいて当たり数字の確定に使用シリンダーとこれを支える台で構成された用具であって、ルーレットボールが収まるボールポケットに対応する数字により、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること
ルーレットボールルーレットにおいて当たり数字の確定に使用球形の用具であって、一のボールポケットに収まり、ボールポケットに対応する数字を明確にすることにより、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること
マネーホイール用ホイールマネーホイールにおいて当たりシンボルの確定に使用回転する円盤、これを支える台及びクラッパーで構成された用具であって、クラッパーが示す円盤にある区画に表示されたシンボルにより、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること
パイゴウタイルパイゴウにおいて役の確定に使用直方体の用具であって、一の面に表示された2から12までの数字のいずれかを示す点により、ディーラーによるカジノ行為の結果の決定に用いることができること

カジノ行為業務を行うに当たっては、検定に合格した型式の電磁的カジノ関連機器等又は表示が付され、かつ、技術基準に適合する非電磁的カジノ関連機器等(以下、適合機器等)以外の機器等をカジノ関連機器等の用途に使用し、又は適合機器等をその用途以外のカジノ関連機器等の用途に使用することはできません。

また、増設、交替その他の事由によりカジノ関連機器等の変更をしようとするときは、軽微な変更の場合を除き、カジノ管理委員会の承認を受ける必要があります。なお、軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨をカジノ管理委員会に届け出るものとされています。

カジノ行為区画内関連業務等

カジノ行為区画内関連業務とは、顧客の利便性の向上を図るためカジノ行為区画において顧客に対して行う以下の業務及びこれらに附帯する業務をいいます。

カジノ行為区画内関連1号業務設備を設けて飲食物の提供をする業務であって、政令で定める基準に適合するもの
カジノ行為区画内関連2号業務歌謡ショーその他の興行をする業務(顧客がカジノ行為を行いながら鑑賞することができるもの又はカジノ行為区画内関連1号業務に伴って行われるものに限る)であって、政令で定める基準に適合するもの
カジノ行為区画内関連3号業務物品の給付をする業務(カジノ行為区画内関連1号業務を除く)

カジノ事業者は、カジノ施設においては、カジノ業務のほか、カジノ管理委員会の承認を受けたカジノ行為区画内関連業務に限り、これを行うことができます。カジノ行為区画内関連業務の種別又は内容等の変更をしようとするときも同様です。

業務に係る契約

カジノ事業者が以下の契約を締結し、締結した契約を更新し、又は変更しようとするときは、カジノ管理委員会の認可を受ける必要があります。この認可を受けずに締結した契約は、その効力を生じません。

  • カジノ業務に係る契約又はカジノ行為区画内関連業務に係る契約
  • カジノ事業者が行う業務の委託に係る契約
  • カジノ事業者が行う業務に係る資金調達に係る契約
  • カジノ事業者が行う施設の賃貸に係る契約
  • その契約の期間又はその契約に基づき支払う金額が1年又総額で3億円を超える契約

カジノ事業者が以下の契約を締結したときは、遅滞なく、その旨をカジノ管理委員会に届け出るものとされています。

  • 有料職業紹介業を営む者との有料職業紹介業に係る契約
  • 風俗営業又は特定遊興飲食店営業を営む者との風俗営業又は特定遊興飲食店営業に係る契約
  • 旅館業を営む者との当該旅館業に係る契約
  • 建設業を営む者との建設業に係る契約
  • 旅行業又は旅行サービス手配業を営む者との旅行業又は旅行サービス手配業に係る契約
  • 産業廃棄物収集運搬業又は産業廃棄物処分業を営む者との産業廃棄物収集運搬業又は産業廃棄物処分業に係る契約
  • 労働者派遣事業を営む者との当該労働者派遣事業に係る契約
  • 解体工事業を営む者との解体工事業に係る契約
  • 住宅宿泊仲介業を営む者との当該住宅宿泊仲介業に係る契約
  • 認可を必要とする契約又は上記の契約以外の契約であって、1年以内に再度同一の相手方と締結するもの

また、カジノ事業者は、業務を委託した者が再委託した場合における再委託に係る契約(更新又は変更を含む)の許諾をしようとするときは、カジノ管理委員会の認可を受ける必要があります。

この認可を受けないで許諾をした再委託に係る契約は、その効力を生じません。

カジノ行為関連景品類

カジノ行為関連景品類とは、顧客をカジノ行為に誘引するための手段として提供する以下の経済上の利益のことを指します。

  • 顧客をカジノ行為に誘引するための手段として、カジノ事業者がカジノ行為に付随して相手方に提供する物品、金銭、役務その他の経済上の利益
  • 顧客をカジノ行為に誘引するための手段として、カジノ事業者その他の事業者が商品の販売、役務の提供その他の取引に付随して相手方に提供する金銭その他の経済上の利益であって、チップと交換することができるもの(上記を除く)

カジノ事業者その他の事業者は、カジノ行為関連景品類を提供するに当たっては、その内容、経済的価値又は提供方法が善良の風俗を害するおそれのあるものとしてカジノ管理委員会規則で定める基準に該当することのないようにしなければなりません。

記録の保存

カジノ事業者は、カジノ行為関連景品類を提供し、又はチップと交換したときは、カジノ管理委員会規則で定めるところにより、以下の事項について記録を作成し、これを保存する必要があります。

  • カジノ行為関連景品類を提供し、又はチップと交換した日時
  • カジノ行為関連景品類を提供し、又はチップと交換した顧客の氏名
  • 提供し、又はチップと交換したカジノ行為関連景品類の内容及び経済的価値
  • 提供したカジノ行為関連景品類の内容及び経済的価値に関する決定の根拠となる情報

現金取引の届出

カジノ事業者は、顧客との間で、カジノ業務に係る取引のうち、以下に該当する取引であって、100万円を超える現金の受払いをするものを行ったときは、遅滞なく、取引の内容、金額、現金取引の届出を行うカジノ事業者に関する事項及び顧客に関する事項をカジノ管理委員会に届け出るものとされています。

  • チップの交付若しくは付与又は受領をする取引
  • 特定資金受入業務に係る金銭の受入れ若しくは払戻し、特定資金貸付契約に係る債権の弁済の受領又は金銭の両替を行う業務に係る金銭の両替
  • 顧客をカジノ行為に誘引するための手段として、カジノ事業者がカジノ行為に付随して相手方に提供する物品、金銭、役務その他の経済上の利益の提供

カジノ事業の従業者

カジノ事業者は、カジノ管理委員会の確認を受けなければ、その雇用する者その他の者を、以下のカジノ業務(特定カジノ業務)に従事させることはできません。ただし、カジノ関連機器等製造業等の従業者の確認を受けた者を、カジノ関連機器等の保守又は修理その他の管理の実施又は監督をする業務に従事させるときはこの限りではありません。

  • カジノ行為を顧客との間で行い、又は顧客相互間で行わせる業務の実施又は監督をする業務
  • カジノ行為粗収益の集計の実施又は監督をする業務
  • 特定金融業務の実施又は監督をする業務
  • カジノ行為区画又は本人確認区画の監視の実施又は監督をする業務
  • 警備の実施又は監督をする業務
  • カジノ関連機器等の保守又は修理その他の管理の実施又は監督をする業務
  • 内部監査の監督をする業務
  • 財務の監督をする業務
  • カジノ事業に係る顧客の勧誘又は管理の監督をする業務
  • 上記の業務に従事する者の人事の監督をする業務
  • 依存の防止のための措置の的確な実施のために必要な業務を統括管理する業務
  • 入場規制等の規定の遵守のために必要な業務を統括管理する業務
  • カジノ行為に関する規定の遵守のために必要な業務を統括管理する業務
  • 特定金融業務に関する規定の遵守のために必要な業務を統括管理する業務
  • カジノ事業者が行う業務の委託契約の締結の制限契約の認可認可の申請契約の届出及び再委託契約に係る許諾の認可の規定の遵守のために必要な業務を統括管理する業務
  • 取引時確認等の措置等の的確な実施のために必要な業務を統括管理する業務
  • 広告及び勧誘の規制に関する規定の遵守のために必要な業務
  • カジノ行為関連景品類の規制に関する規定の遵守のために必要な業務
  • カジノ施設及びその周辺における秩序の維持のための措置の的確な実施のために必要な業務
  • 苦情の処理のための措置の的確な実施のために必要な業務
  • 特定カジノ業務に従事させる者の確認、確認の申請確認の有効期間等従業者の制限及び証明書の携帯等の規定の遵守のために必要な業務

確認の有効期間

確認の有効期間は、確認の日から起算して3年とされており、有効期間の満了後引き続き特定カジノ業務に従事させようとするカジノ事業者は、原則として有効期間の満了の日の3か月前までの間に、確認の更新を受ける必要があります。

変更の承認

カジノ事業者は、確認を受けた特定カジノ業務従事者の従事する特定カジノ業務の種別の変更をしようとするときは、カジノ管理委員会に申請書を提出して、その承認を受ける必要があります。

また、確認を受けた特定カジノ業務従事者について、以下のいずれかに該当することとなったときは、遅滞なく、その旨をカジノ管理委員会に届け出るものとされています。

  • 特定カジノ業務に従事しなくなったとき
  • 氏名又は住所の変更があったとき
  • 所属する部署又は役職の変更(役職名の変更を含む)があったとき

従業者の制限

カジノ事業者は、以下に該当する者をカジノ業務(特定カジノ業務を除く)又はカジノ行為区画内関連業務に従事させることはできません。

  • 十分な社会的信用を有する者でない者
  • 20歳未満の者
  • 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む)に処せられ、刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  • アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
  • 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から起算して5年を経過しない者
  • IR実施法若しくはこれに相当する外国の法令の規定に違反し、又は賭博罪、富くじ発売罪、富くじ取次ぎ罪、富くじ授受罪、組織的犯罪処罰法第九条第1項から第3項まで、第10条、第11条若しくは第17条の罪、暴力団対策法第46条から第49条まで、第50条(第1号に係る部分に限る)若しくは第51条の罪、犯罪収益移転防止法第25条から第31条までの罪その他政令で定める罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む)に処せられ、刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者

カジノ事業者は、その雇用する者その他の者をカジノ業務(特定カジノ業務を除く)又はカジノ行為区画内関連業務に従事させたときは、遅滞なく、カジノ管理委員会に届け出るものとされています。

また、届出をした者について、その者がカジノ業務(特定カジノ業務を除く)若しくはカジノ行為区画内関連業務に従事しなくなったとき又は届出事項に変更があったときも、同様に届出を行う必要があります。

カジノ施設供用事業

カジノ事業者との契約に基づきカジノ施設をその用途に応じて管理し及びカジノ事業者に専ら使用させる業務並びにこれに附帯する業務(カジノ施設供用業務)を行う事業をカジノ施設供用事業といい、認定施設供用事業者であって、カジノ事業者の免許を受けてカジノ施設供用事業を行うものをカジノ施設供用事業者といいます。

カジノ施設供用事業の免許

認定設置運営事業者がカジノ施設共用事業の免許を受けようとするときは、申請書及び必要書類をカジノ管理委員会に提出することにより申請を行います。免許を受けた認定設置運営事業者にはカジノ管理委員会から免許状が交付され、その認定区域整備計画に記載された特定複合観光施設区域においてカジノ施設供用事業を行うことができます。

なお、カジノ施設供用事業の免許の申請は、申請に係る特定複合観光施設に係るカジノ事業の免許の申請と同時に行う必要があります。

免許の基準 

カジノ施設共用事業の免許の申請があったときは、申請が以下の基準に適合するかどうかについて審査が行われます。

  • 申請者の役員が十分な社会的信用を有する者であること
  • 出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者が十分な社会的信用を有する者であること
  • 申請者の主要株主等及び主要株主等が法人等であるときはその役員が十分な社会的信用を有する者であること
  • 申請に係る特定複合観光施設区域の施設土地権利者及び施設土地権利者が法人であるときはその役員が十分な社会的信用を有する者であること
  • 申請認定区域整備計画に記載された特定複合観光施設区域におけるカジノ施設の数が一を超えず、かつ、カジノ施設のカジノ行為区画のうち専らカジノ行為の用に供される部分の床面積の合計が特定複合観光施設の床面積の合計の100分の3の面積を超えないこと
  • カジノ施設の構造及び設備がカジノ管理委員会規則で定める技術上の基準に適合すること
  • 申請者が、人的構成に照らして、カジノ施設供用事業を的確に遂行することができる能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること
  • 申請者がカジノ施設供用事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、当該カジノ施設供用事業に係る収支の見込みが良好であること
  • 定款及び業務方法書の規定が、法令に適合し、かつ、カジノ施設供用事業を適正に遂行するために十分なものであること

欠格事由

免許の申請について、上記の基準を満たしている場合であっても、関係者が一定のネガティブな事由(免許等の取消処分を受けた日から5年を経過しない者であるなど)に該当するとき、又は申請書若しくはその添付書類のうちに虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、カジノ事業を行う者としての適正を欠く者として免許を受けることはできません。

免許の有効期間、完成検査、変更の承認、カジノ施設供用事業者が行う業務に係る契約、特定の業務に従事する者の確認、従業者の制限等については、カジノ事業の免許に関する規定の多くが準用されています。

認可施設土地権利者

カジノ事業の免許に係る特定複合観光施設区域の土地について、施設土地に関する権利の移転(設定)をする取引(行為)又は施設土地権利者になる法人の設立等の取引(行為)であって施設土地権利者の変更を伴うものをしようとする者(国、地方公共団体並びに特定複合観光施設区域に係るカジノ事業者及びカジノ施設供用事業者がその施設土地に関する権利を取得する取引及び行為を除く)は、カジノ管理委員会の認可を受ける必要があります。

(※)認可を受けないでした上記の取引又は行為は、一部の例外を除き、その効力を生じません。

認定設置運営事業者がカジノ事業の免許を受けたときは、カジノ事業の免許の申請書に記載された施設土地権利者は、その免許の時に認可を受けたものとみなされます。

認可に係る取引又は行為により認可施設土地権利者になった者は、遅滞なく、その旨をカジノ管理委員会に届け出るものとされています。

特定施設土地権利者

上記の取引又は行為以外の事由により施設土地権利者になった者(特定施設土地権利者)は、猶予期限日後も引き続き施設土地に関する権利を保有することについてカジノ管理委員会の認可を受けたときを除き、その事由の生じた日から起算して60日を経過する日(猶予期限日)以内に施設土地権利者でなくなるよう、所要の措置を講ずる必要があります。

特定施設土地権利者は、施設土地権利者でなくなったときは、遅滞なく、その旨をカジノ管理委員会に届け出るものとされています。

カジノ関連機器等製造業等

カジノ関連機器等に関する事業(カジノ関連機器等製造業等)には以下のものがあり、これらの事業のうち、カジノ関連機器等製造業、カジノ関連機器等輸入業又はカジノ関連機器等修理業を行おうとする者は、その種別に応じて、カジノ管理委員会の許可を受ける必要があります。

カジノ関連機器等製造業カジノ関連機器等を製造し、及びこれを販売し又は貸与する事業
カジノ関連機器等輸入業カジノ関連機器等を輸入し、及びこれを販売し又は貸与する事業
カジノ関連機器等修理業カジノ関連機器等を保守し、又は修理する事業
カジノ関連機器等外国製造業外国において、日本国内に輸出されるカジノ関連機器等を製造し、及びこれを販売する事業

このうちカジノ関連機器等製造業に係る許可については、製造所ごとに許可を受ける必要があります。

許可の基準

カジノ関連機器等製造業の許可の申請があったときは、申請が以下の基準に適合するかどうかについて審査が行われます。

  • 申請者が、人的構成に照らして、申請に係るカジノ関連機器等製造業等を的確に遂行することができる能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること
  • 申請者の役員が十分な社会的信用を有する者であること
  • 出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者が十分な社会的信用を有する者であること
  • 申請者が申請に係るカジノ関連機器等製造業等を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、カジノ関連機器等製造業等に係る収支の見込みが良好であること
  • カジノ関連機器等製造業の許可を受けようとするときは、製造所の構造及び設備並びに技術水準が、型式検定又は自己確認の規定を遵守してカジノ関連機器等を製造するために適切なものであり、かつ、カジノ関連機器等製造業を的確に遂行するために十分なものであること
  • 定款及び業務方法書の規定が、法令に適合し、かつ、申請に係るカジノ関連機器等製造業等を適正に遂行するために十分なものであること

許可の申請について、上記の基準を満たしている場合であっても、関係者が一定の事由に該当するとき、又は申請書若しくはその添付書類のうちに虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、カジノ事業を行う者としての適正を欠く者として許可を受けることはできません。

許可の有効期間

許可の有効期間は、免許の日から起算して3年とされており、有効期間の満了後引き続きカジノ関連機器等製造業、カジノ関連機器等輸入業、カジノ関連機器等販売業又はカジノ関連機器等修理業を行おうとする者は、有効期間の満了の日前の期間でカジノ管理委員会規則で定める期間内に、カジノ管理委員会に申請し、免許の更新を受ける必要があります。

また、軽微な変更を除き、一定の事項を変更しようとするときはカジノ管理委員会の承認を、業務方法書の変更をしようとするときはカジノ管理委員会の認可を、それぞれ受ける必要があります。

なお、カジノ関連機器等製造業者等の名称の変更その他のカジノ管理委員会規則で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨をカジノ管理委員会に届け出るものとされています。

カジノ関連機器等外国製造業

カジノ関連機器等外国製造業を行おうとする者は、カジノ管理委員会に申請することにより、その認定を受けることができます。(任意)

カジノ関連機器等製造業等の従業者

カジノ関連機器等製造業者等は、カジノ管理委員会の確認を受けなければ、その雇用する者その他の者を、以下の業務(特定カジノ関連機器等製造業務等)に従事させることはできません。

  • カジノ関連機器等の製造又はその保守若しくは修理その他の管理をする業務
  • カジノ関連機器等の製造、輸入、販売若しくは貸与の監督又はその保守若しくは修理その他の管理の監督をする業務

型式検定

カジノ関連機器等製造業者又はカジノ関連機器等輸入業者は、電磁的カジノ関連機器等を製造し、又は輸入しようとするときは、その型式について検定に合格した電磁的カジノ関連機器等を輸入する場合を除き、カジノ管理委員会が行う電磁的カジノ関連機器等の型式についての検定を受ける必要があります。

また、カジノ関連機器等外国製造業者が電磁的カジノ関連機器等を日本国内に輸出しようとするときは、カジノ管理委員会が行う電磁的カジノ関連機器等の型式についての検定を受けることができます。(任意)

検定の合格基準

以下の事由のいずれかに該当するときは、型式検定に合格することはできません。

  • 申請に係る型式がカジノ管理委員会規則で定める技術上の規格に適合していないこと
  • 申請に係る型式の電磁的カジノ関連機器等を製造し、及び検査する設備、体制及び手続がカジノ管理委員会規則で定める基準に適合していないこと
  • 申請者がカジノ関連機器等輸入業者である場合において、申請に係る型式の電磁的カジノ関連機器等を製造した者がその製造所及び電磁的カジノ関連機器等の種別に係るカジノ関連機器等外国製造業の認定を受けていないこと

検定の有効期間は10年間とされており、検定を受けた者は、検定に合格した型式の電磁的カジノ関連機器等に、検定に合格した型式の電磁的カジノ関連機器等である旨の表示を付す必要があります。

また、何人も、検定に合格した型式の電磁的カジノ関連機器等以外の機器等には、この表示を付し、又はこれと紛らわしい表示を付すことはできません。

自己確認

カジノ関連機器等製造業者又はカジノ関連機器等輸入業者は、非電磁的カジノ関連機器等を製造し、又は輸入しようとするときは、自己確認がされた非電磁的カジノ関連機器等を輸入する場合を除き、以下の事項について自ら確認を行う必要があります。これは設計又は措置に関する事項の変更をしようとするときも同様です。

  • 製造され又は輸入される非電磁的カジノ関連機器等の設計が、非電磁的カジノ関連機器等が技術基準に適合することを確保できるものであること
  • 製造され又は輸入される非電磁的カジノ関連機器等が上記の設計に合致するものとなることを確保するための措置に関する事項が定められ、かつ、その事項が適切なものであること

カジノ関連機器等外国製造業者が非電磁的カジノ関連機器等を日本国内に輸出しようとするときは、上記の事項について、自ら確認をすることができます。(任意)

また、自己確認を実施した製造業者等は、遅滞なく、一定の事項についてカジノ管理委員会に届出を行い、自己確認の結果及び自己確認の方法に関する事項について記録を作成し、これを3年間保存する必要があります。

表示

自己確認実施製造業者等は、届出設計に基づき製造された非電磁的カジノ関連機器等について検査の記録を作成したときは、非電磁的カジノ関連機器等の見やすい箇所に容易に毀損しない方法で一定の事項についての表示を付す必要があります。

ただし、表示を付すことが困難又は不合理である非電磁的カジノ関連機器等にあっては、当該非電磁的カジノ関連機器等に付属する梱包又は容器その他のものの見やすい箇所に付すことができます。

何人も、非電磁的カジノ関連機器等以外の機器等に同項の表示を付し、又はこれと紛らわしい表示を付すことはできません。

記録

カジノ関連機器等製造業者等は、カジノ関連機器等の製造、輸入、販売若しくは貸与又は保守若しくは修理その他のカジノ関連機器等の管理に関する一定の事項について記録を作成し、記録に係るカジノ関連機器等を保有しないこととなった日又は保守若しくは修理を終了した日から起算して3年を経過する日までの間、これを保存する必要があります。

入場料・納付金

国は入場者(日本国内に住居を有しない外国人を除く)に対し、入場者がカジノ行為区画に入場しようとする時に3.000円の入場料を賦課し、認定都道府県等は、3,000円の認定都道府県等入場料を賦課します。つまり入場者は1回の入場につき、合計6,000円の入場料等を支払うことになります。

また、入場料等は、納付後初めてカジノ行為区画に入場した時から24時間を経過するごとに賦課されます。

なお、カジノ事業者は、入場料及び認定都道府県等入場料の全部又は一部を立て替え、又は補塡することができません。

入場料納入金等の納付

カジノ事業者は、政令で定めるところにより、各月ごとに、徴収すべき入場料の額に相当する額(入場料納入金)及び認定都道府県等入場料の額に相当する額(認定都道府県等入場料納入金)の合計額を、その翌月の15日までに国に納付する必要があります。

国は、認定都道府県等入場料納入金の納付があったときは、政令で定めるところにより、認定都道府県等入場料納入金として納付された額を、納付があった月の翌々月の末日までに認定都道府県等に払い込みます。

申告及び徴収

カジノ事業者は、各月ごとに、納付すべき入場料納入金及び認定都道府県等入場料納入金の額等を記載した申告書を、その翌月の15日までにカジノ管理委員会に提出する必要があります。また、申告書の記載に誤りがあることを知ったときは、遅滞なく、その旨をカジノ管理委員会に届け出る義務もあります。

国庫納付金の納付

カジノ事業者は、政令で定めるところにより、各月ごとに、国庫納付金(カジノ行為粗収益の100分の15に相当する額)及び認定都道府県等納付金(カジノ行為粗収益の100分の15に相当する額)の合計額を、その翌月の15日までに国に納付する必要があります。

国は、認定都道府県等納付金の納付があったときは、政令で定めるところにより、認定都道府県等納付金として納付された額を、納付があった月の翌々月の末日までに認定都道府県等に払い込むものとされています。

まとめ

IR実施法及び関連法令は莫大な数の条文により構成され、権利義務や手続きについても繊細な規定が多く設けられていることから、制度全体として複雑な構造をなしています。

カジノに関しては、新しいレジャーとして期待する声や、財政面の改善に資する事業として期待する声が寄せられる一方で、治安の悪化や青少年の健全な育成に悪影響を及ぼすリスクを懸念して反発する意見も根強く、これら双方の意見を制度に反映したことがこの制度を複雑にしている要因であることは間違いありません。

また、カジノという従来の日本には存在しなかった制度であるため、国や自治体もまずはハードルを上げて、試行錯誤を繰り返しながら制度の舵取りを行っていくものと予測します。

いずれにせよ法制化された以上、制度は動き始めています。行政書士として、一国民として、制度が適切に運用され、日本全体の利益につながるよう見守るように心がけたいと思います。

弊所は従前よりレジャー系やアミューズメント系の許認可に関する手続きのサポートを十八番にしています。カジノ関連事業のサポートと手続きに関するご相談はどうぞお気軽にご用命代ください。

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