道路使用許可申請における添付図面の書き方
道路上において作業や工事など一定の行為を行おうとする際は、道路の場所を管轄する警察署に対して申請し、道路使用許可を取得する必要があります。
この手続きにおいては、申請書のほかに使用する道路に関する図面を添付するように求められますが、この図面を作成するという作業が案外煩(わずら)わしく、申請の際のネックとなっていることは間違いないように思います。
道路使用制度の詳細については以下の記事に委ねることにして、本稿では道路使用許可を申請する際に添付す各種図面の作成方法について、実務上でも応用が可能な図面を用いながら詳しく解説していきたいと思います。
申請に必要とされる書類
道路関連の手続きは地域ごとの実情に応じた取扱いがなされているため、管轄ごとに求められる書類にも差異が生じます。その中でもおおむね共通して求められるものが以下のような書類です。
道路使用許可申請 | 許可申請書 現況写真 位置図 平面図 交通処理図 | 2通 |
道路使用とひと括りにしたところで、実際にはそれぞれのケースで目的や方法は異なりますし、そもそも場所も地域性も道路の幅も種類も、すべて同一条件という事案はありえないので、求められる書類もおのずと個別具体的になり、上述した「おおむね」という曖昧な表現につながってくるわけです。
例えばバス道にはみ出して道路使用許可を受けようとする場合にはバス会社の同意書を求められることもありますし、ケースによっては通行許可や施工承認など別の手続きを求められることも珍しくはありません。
なお、道路上(上空・地下含む)において、一定の期間にわたって仮設足場等の施設を設置する際は、道路許可と併せて道路占用許可を取得する必要があります。
書類の種類と作成方法
必要となる書類についてざっくりと解説したところで、次はそれぞれの内容について触れていくことにしましょう。
許可申請書
道路使用許可申請書の様式は各都道府県によって異なりますが、記載する事項はおおむね共通しており、申請者の氏名及び住所をはじめ、使用する道路の場所やその期間など基本的な情報を記載していきます。
位置図
位置図とは使用する場所や区間、工事の施工現場などの位置関係を示す図面です。該当する場所に印を入れた地図を添付しても構いませんが、場所をしっかりと特定できるくらいには詳細なものを用意するようにしましょう。
平面図
平面図は、道路の使用方法について、真上から見下ろして表示した図面です。上記は足場を設置して道路を使用する場合における平面図の記載例です。図だけでは説明が不足する場合には、余白の部分に簡単な説明文を記載します。また、道路占用を併せて申請する場合には占用面積とその計算式も記載する必要があります。
目的施設がある場合には、接する道路の幅員(①)と接地面の長さ(②)、占有物(足場、養生棚等)の道路境界線からの出幅(③)を記載します。また、植樹などを設置する道路であれば、道路境界線からの植樹の出幅(④)も記載します。
道路の有効幅員(⑤⑥)は、最低でも1.5m以上、地域や区域によっては2.0m以上を確保する必要があります。占有物の出幅(③)はおおむね0.6m以下に抑えるよう指導を受けますが、この基準を超えて占有物を設置しようとする場合には、その理由書を提出するように求められます。
なお、上の記載例は建物壁面の一面だけに足場を設置するケースですが、2つ以上の壁面に対して足場を設置するような場合には、足場を設置する壁面すべてについて同様に記載する必要があります。
断面図・立面図
設置する施設を側面から見て表示した図面が断面図であり、正面から表示した図面が立面図です。おもに仮設足場を設置して道路占用を予定する際に求められる書類であり、道路使用許可申請においてはあまり求められることはありませんが、管轄やケースによっては添付を求められる可能性があります。
断面図・立面図についても、2つ以上の壁面に対して足場を設置するようなケースであれば、足場を組む壁面すべてについて記載する必要があります。
交通処理図(安全対策図)
交通処理図(安全対策図)は、道路使用許可申請ではマストで求められる、使用する道路の周辺における安全対策を記した図面です。上の図面に記したように、誘導員やカラーコーンの位置つないだ直線の長さを記載していきます。ここでも有効道路幅員は1.5m(区域によっては2.0m)以上であることが必要になります。
また、例えば足場や資材を搬入する際に車両の駐車を伴うケースであれば、下の図のように、駐車する車両の車体を考慮した図面が必要になります。
まとめ
道路関連の許可申請は、まさにケースバイケースで、状況によって手続きの難易度が極端に変化します。警察署や公営所、場合によっては近隣の商店街や管理組合などとも、何度も足を運んで協議しなければならないケースも十分にありえます。また、本稿で解説したとおり、各種図面の作成についても、実際に測量からとりかかるとその煩わしさに辟易(へきえき)することは間違いありません。
とにかく許可を取得しなければ始まりませんし、書類に不備があれば補正を命じられ、それだけ予定が遅れてしまうことになります。煩わしい手続きは専門家に任せて、皆さまには本業に注力することを強くお薦めいたします。
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