コインランドリー開業のために必要な手続きとは│コインオペレーションクリーニング営業施設設置届について

コインランドリー

ひと昔前であれば、暗くてじめじめしたイメージが先行していたコインランドリーですが、意外や意外、近年ではポップな癒やしスポットとして新たなニーズが高まったことことにより、利用者数も店舗数も年々増加傾向にあります。

コインランドリー経営は、機械を設置するだけで営業可能な事業形態であるため、人件費がかからないというメリットもあり、長期的には利益率が上昇しやすいビジネスモデルです。そのため新規参入を検討する事業者は多く、コインランドリー経営は現状人気があるビジネスのひとつです。

そこで本稿では、「兵庫県コインオペレーションクリーニング営業施設の衛生確保に関する要綱」を下敷きとして、これからコインランドリー経営を始めようとする皆さまに向けて、コインランドリー開業のために必要となる手続きについて詳しく解説していきたいと思います。

コインランドリーとは

コインランドリーは俗称であり、正式には「コインオペレーションクリーニング営業」といいます。これは、洗濯機、乾燥機等の洗濯に必要な設備を設け、業としてこれを公衆に利用させるものをいいます。つまり、一般的にイメージする硬貨を投入して使用するタイプの洗濯機等を設置する施設のみならず、洗濯機等を広く公衆に利用させるための営業をコインオペレーションクリーニング営業としています。

機器洗濯機、乾燥機等の洗濯に必要な設備のうち、硬貨を投入させ、又は対価を得て使用させるもの
営業施設機器を設置して、公衆に洗濯させるための施設
施工業者等機器を製造、販売又は施工する者
営業者コインオペレーションクリーニング営業を営む者

営業者の役割について

営業者は、自治体が実施する施策に協力するとともに、次の事項を遵守する必要があります。

  • 適正な構造設備を有する営業施設の設置
  • 営業施設の衛生的かつ適正な維持管理
  • 利用者に対する衛生的かつ適正な利用方法の周知徹底
  • 自治体に対する営業施設の設置等に関する情報の提供
  • その他、安全対策等に関する関係行政機関の指導及び措置

なお、利用者は自治体が実施する施策に協力するとともに、営業施設の衛生的かつ適正な利用方法、営業者の指示する利用方法、共同利用施設としての良識ある利用方法を遵守する必要があります。

情報の提供(届出)

施工業者等又は営業者は、後述する構造設備基準及び管理基準を満たしていること等営業施設の設置等に係る情報について、所在地を管轄する健康福祉事務所(保健所)又は県民局長(県民センターにあっては県民センター長)に対して以下の書類を提出することにより情報の提供(届出)を行います。

  • 営業施設設置届
  • 付近見取図
  • 施設平面図(略図)

構造設備基準

  • 営業施設は、隔壁等により外部と区別され、かつ、外部から見通しの容易な構造であり、他の営業に供する施設及び居住施設等と区画されていること
  • 営業施設は、設置する洗濯機及び乾燥機の台数並びにこれらに応じた利用者数及び附帯設備を勘案して、利用者の作業等に支障のない広さを有していること(★)
  • 営業施設は、採光、照明及び換気が十分行える構造であること
  • 乾燥機、給湯設備等による燃焼ガス等を戸外に排出できる構造であること
  • 営業施設内の床面及び腰張りは、不浸透性材料を使用したものであること(床面は、排水のための適当な勾配及び排水口を有し、清掃が容易に行える構造であること)
  • 営業施設内には、流水式手洗設備を備えること
  • 水洗いにより洗濯する機械を設置する施設には、60℃以上の温湯が得られる設備を備えることが望ましいこと
  • 有機溶剤を用いて洗濯する機械(以下、ドライクリーニング用洗濯機)は、原則として設置しないこと
  • ドライクリーニング用洗濯機をあえて設置する場合にあっては、次によること
    • ドライクリーニング用洗濯機は、密閉式のものであること
    • 当該機械に気化溶剤の冷却回収装置が附属されている場合を除き、有機溶剤回収装置を付設すること
    • 施設内の適正な位置に、全体換気設備又は局所排気設備を備えること(この場合、周辺に及ぼす影響についても十分配慮すること)
  • 施設内に便所を設ける場合は、洗濯を行う場所と隔壁等により区画されていること
  • 施設内に食品の自動販売機等直接洗濯に関係のない機器等を備える場合は、利用者の洗濯作業に支障のない場所に設けること
  • 施設内には、廃棄物等を入れる専用の容器を適当数備えること

★営業施設の広さ

営業施設の床面積(Q)は、設置する洗濯機及び乾燥機の台数(n)に応じ、次の式により算出した面積(㎡)以上であることが望ましいものとされています。

Q(㎡)= 5.5 + 1.2n

管理基準

  • 営業者は、営業施設及び設備を衛生的に管理させるため、各施設毎に管理責任者を定めること(ただし、その業務を行うに当たって特に支障がないときは、複数の施設を管理しても差し支えない)
  • 管理責任者は、営業施設に常駐又は近隣に所在し、必要があれば、直ちに当該施設及び設備の管理の業務を行うことができる者であること
  • 管理責任者は、営業施設及び設備の衛生確保に必要な管理を行うとともに、利用者に対し、利用基準に関する掲示事項について、適切な指導、助言を行うこと
  • 管理責任者の氏名及び連絡先(住所、電話番号等)を施設内の見やすい場所に掲示し、利用者の要請に速やかに対応できる体制を整えておくこと(この場合、表示の大きさは、25㎝×35㎝以上が望ましい)
  • ドライクリーニング用洗濯機を設置する場合にあっては、有機溶剤の性質及び取扱い等に関する知識技能を有する管理責任者を常駐させ、洗濯機中の溶剤の調整、気化溶剤の漏出防止の点検等有機溶剤の管理及び施設環境の適正な維持の業務を行わせること
  • 営業施設内は、毎日清掃し、その清潔保持に努め、必要に応じ、施設又は設備の補修を行う等衛生上支障のないようにすること
  • 営業施設内は、常に排水が良好に行われるように保持すること
  • 営業施設内は、ねずみ、昆虫等が生息しない状態に保持すること
  • 営業中の施設は、採光・照明を十分にし、常に適正な照度の維持に努めること(この場合、各作業面の照度は、300ルクス以上であることが望ましい)
  • 営業中の施設内は、換気を十分にすること(この場合、CO2濃度が1,000ppm以下で、かつ、CO2濃度が10ppm以下であることが望ましい)
  • 換気設備は適宜点検及び清掃を行うこと
  • 洗濯機、乾燥機等の機械設備は、常に保守点検を行い、正常に作動するよう整備しておくこと
  • 洗濯機、乾燥機、容器等の洗濯物が接触する部分及び洗濯機、乾燥機等のふた、扉の取っ手等の利用者が常に接触する部分は、毎日、洗浄又は清掃を行うこととし、適宜塩素剤等の消毒液を使用して消毒を行うこと
  • 洗濯機の回転翼、乾燥機内のフィルター等は、適宜取り外して、糸くず、汚物等の除去及び洗浄を行うこと清掃用具及び消毒薬品は、利用者の安全を配慮し、適切に保管すること
  • 乾燥機の乾燥温度を常に点検し、所定の温度維持に努め、事故防止に留意すること(適正な乾燥温度は、衣類等の種類及び素材によって異なるが一般的には60℃以上であることが望ましい)
  • 手洗い設備及び洗濯機に用いる水は、清浄なものであること(水道法に基づく水質基準に適合する水であることが望ましい)
  • ドライクリーニング用洗濯機を設置する場合にあっては、次によること
    • ドライクリーニング用の溶剤は、清浄な有機溶剤を使用し、洗浄効果を保持するため、常に洗剤濃度等を適正に調整すること
    • 溶剤の清浄化のために使用されているフィルター等は、反復使用により溶剤中に溶出又は分散した汚れ、細菌等の吸着・除去能力が低下するので、適宜新しいものに交換し、常に清浄な溶剤が得られるようにすること
    • 使用済みのフィルター等有機溶剤を含有するものを廃棄する場合は、専用のふた付き容器に納め、適正に処理すること
    • ドライクリーニング用洗濯機から有機溶剤が漏出することがないよう常に点検整備すること(特に、洗濯物の出し入れ口の扉のパッキン部分からの漏出について十分留意すること)
    • 営業中の施設内については、気化した有機溶剤の戸外への排出又は回収に努めること
    • 有機溶剤は、必ず密閉容器に入れた上で、専用の保管庫に保管し、施錠しておくとともに、その保管及び取扱いに当たっては、十分留意すること

利用基準に関する掲示事項

  • 洗濯機、乾燥機、給湯設備等の使用方法等に関すること
  • 衣料等被洗濯物の種類及び素材に応じた洗濯又は乾燥の可否及び洗濯又は乾燥に当たっての留意等に関すること
  • ドライクリーニング用洗濯機を設置する場合にあっては、使用有機溶剤の種類、当該有機溶剤の人体に及ぼす作用、その他、ドライクリーニング用洗濯機の取扱い上の留意等に関すること
  • その他、利用者に協力要請すべき事項に関すること洗濯前後の手指の洗浄等に関すること
  • 施設及び設備の汚損防止に関すること
  • 伝染性の疾病にり患した者又はこれに接触した者が着用した衣類の洗濯の禁止に関すること
  • し尿の付着したおむつ、運動靴、動物の敷物等の洗濯の禁止に関すること(これらを専用に洗濯するための洗濯機を設置している場合を除き、この場合はその旨を記載すること)
  • 施設内の防犯、防火に関すること
  • その他、利用者に協力要請すべき事項に関すること

利用者の遵守基準

  • 営業施設内に掲示された利用方法及び管理責任者の指導等を厳守すること
  • 営業施設内を清潔に保ち、利用後の機器の清掃に努めること
  • 営業施設内で異常を感じたとき、及び機器が正常に作動しないときは、速やかに掲示されている管理責任者に通報すること
  • 営業施設内の防犯、防火に努めること

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コインオペレーションクリーニング営業施設開設届55,000円~
※税込み

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