塩の製造と販売に関する手続きとは│塩製造業、塩特定販売業及び塩卸売業の登録について

自然塩

塩は単なる調味料という枠を超え、私たちの生命維持や経済活動に欠かせない生活必需品のひとつです。そのため日本では、塩の安定的な供給と質の確保を目的とした塩事業法により、厳格なルールが定められています。

近年、こだわりの製法による「クラフトソルト」の製造や、海外の希少な岩塩・天日塩の輸入販売など、塩を巡るビジネスモデルは多様化しています。しかし、いざ事業を始めるとなると、財務省(財務局)への「登録制」や「届出制」という法的な壁が立ちはだかります。

「自社で塩を精製したい」「海外から仕入れた塩を小分けして売りたい」「ネットショップで特殊な塩を扱いたい」こうした計画をお持ちの場合、どの手続きが必要で、どのような要件を満たすべきかを正確に把握しておくことが、事業を円滑にスタートさせる鍵となります。

ここでは塩事業に携わるにあたり必要とされるこれらの手続きについてざっくりと紹介していきたいと思います。

塩製造業とは

塩製造業とは、読んで字のごとく塩の製造を行う事業をいいますが、塩事業法における「塩の製造」は、日常的に使う言葉のイメージと、法律上の定義が少し異なる部分があります。特に「再製」と「加工」の違いは、手続きの根幹に関わるため、正しく整理しておく必要があります。

以下に実務上の判断基準となる3つの形態(製造・再製・加工)を分かりやすく解説します。

製造

製造とは、海水や塩湖の水、あるいは岩塩層に注水して得た塩水などを原料として、直接「塩(固形物)」を産出することを指します。(海水を汲み上げて平釜で炊く、天日干しにするなど)

再製

一度できあがった塩(原料塩)を、水や海水に溶かした上で、再び結晶化させることを指します。(海外から輸入した大粒の天日塩を国内の海水で溶かし、平釜でじっくり炊き直して自社ブランドの塩を作る場合など)

「溶解(溶かすこと)」を伴うプロセスであり、不純物を取り除いたり、粒の大きさを揃えたりして利用価値を高める行為が該当します。

加工

加工とは、塩を溶かすことなく(溶解以外の方法で)、その形状を変えたり、性質を変化させたりすることを指します。

粉砕大粒の岩塩をミルで細かく砕く
焼成塩を焼いて「焼き塩」にする
洗浄塩を溶かしきらない程度の少量の水で表面を洗う
★手続き上の分かれ道

上記の3形態(製造・再製・加工)のどれに該当するかによって、必要な手続きが「登録(厳しい審査)」なのか「届出(比較的スムーズ)」なのかが変わってきます。

原則は財務大臣の「登録」が必要ですが、伝統的な「平釜式」などの特殊製法塩や、特定の用途に限った特殊用塩のみを製造(再製・加工含む)する場合は、「届出」で済む緩和措置があります。

★塩とは

そもそも塩とは、塩化ナトリウムの含有量が100分の40以上の固形物をいいます。ただし、チリ硝石、カイニット、シルビニット、ポリハリット、キイゼリット、カルナリット、クルギット、タクヒドリット、ピンノイト、グラウベリット、アストラカニット、シェーニット、ボラチット及びアンヒドリットは、主に肥料や工業原料として使われる天然鉱物であり、一般的な食卓塩や工業用塩とは流通ルートや用途が明確に異なるため、塩の定義からは除外されています。

塩製造業登録

塩製造業を開始する場合、原則として財務大臣の登録を受けなければなりません。

ただし、「特殊用塩」又は「特殊製法塩」のみを製造しようとする場合は、この登録が不要となり、別途「届出」による手続きとなります。(後述)

なお、財務大臣は、塩製造業者の業務運営において、良質な塩の安定的供給を確保するために改善が必要であると認める場合には、その業者に対して必要な措置を講じるよう命じることができます。

申請に必要となる書類

登録申請を行う際は、主たる事務所(本社)の所在地を管轄する財務局長(所在地が福岡財務支局の管轄区域内にある場合は福岡財務支局長)宛てに、以下の申請書類を提出します。

  • 塩製造業登録申請書
  • 欠格事由のいずれにも該当しない旨の誓約書
  • 製造予定数量、販売計画、資金計画などを具体的に記載した事業計画書
  • 工場の配置図
  • 主要設備の仕様
  • 工程フロー図(「製造・再製・加工」の区分が判別できるもの)
  • 直近2期分の財務諸表(貸借対照表及び損益計算書) (法人の場合)
  • 開始貸借対照表(新規設立法人の場合)
  • 資産状況を証する書類(個人の場合)
  • 定款又はこれに代わる書類(法人の場合)
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 登録申請者(又は法定代理人)の住民票の抄本又はこれに代わる書面(個人)
★申請書の記載事項
  • 商号、名称又は氏名及び住所
  • 代表者の氏名及び住所(法人)
  • 主たる事務所の所在地並びに製造場及び貯蔵所の所在地
  • 製造場ごとの塩の製造方法、塩の製造能力及び設備の構造
  • 事業開始の予定年月日
  • 現に営んでいる他の事業の種類

欠格事由

塩製造業(及び特定販売業・卸売業)の登録申請において、避けては通れないのが登録の拒否事由(欠格事由)の確認です。

法令を遵守し、安定的に塩を供給できる能力があるかを判断するための基準であり、以下のいずれかに該当する場合は、登録を受けることができません。

なお、これらは後述する塩特定販売業及び塩卸売業にも共通して適用される重要な規定です。

  • 塩事業法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
  • 登録を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過しない者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 法人であって、その代表者のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの
  • 未成年者であって、その法定代理人が上記のいずれかに該当するもの

塩製造業の承継

塩製造業者について相続、合併又は分割(事業の全部を承継させるものに限る)があったときは、相続人、合併後存続する法人もしくは合併により設立された法人、又は分割により事業の全部を承継した法人は、欠格事由に該当する場合を除き、その塩製造業者の地位を承継します。

ただし、欠格事由に該当する相続人であっても、相続後60日間に限り、引き続き塩の製造を業として行うことが認められています。

これらの規定により塩製造業者の地位を承継した者、又は暫定的に製造を行う者は、遅滞なくその旨を財務大臣に届け出なければなりません。

変更等の届出

塩製造業者は、次のいずれかに該当するときは、その旨を財務大臣に届け出るものとされています。

遅滞なく届け出る事項①商号、名称又は氏名及び住所の変更
②代表者の氏名及び住所の変更
③現に営んでいる他の事業の種類の変更
④法定代理人が新たに選任されたとき
⑤法定代理人の氏名、商号、名称又は住所に変更があったとき
⑥法定代理人が法人である場合において、その代表者の氏名又は住所に変更があったとき
⑦事業を廃止したとき
あらかじめ届け出る事項①主たる事務所の所在地並びに製造場及び貯蔵所の所在地の変更
②製造場ごとの塩の製造方法、塩の製造能力及び設備の構造の変更
③事業開始の予定年月日の変更

備付帳簿

塩製造業者は、帳簿を備え、その業務に以下の事項を塩の製造・販売・使用のつど記載し、これを記載の日から3年間保存する必要があります。

  • 製造場別の塩の種類別の製造数量
  • 塩の種類別販売先別の販売数量
  • 塩の種類別用途別の使用数量(製造した塩を自ら使用した場合)

特殊用塩等製造業の届出

特殊用塩又は特殊製法塩のみを製造しようとする者は、登録を受ける必要はありませんが、あらかじめ財務大臣への届出が必要です。

特殊用塩

特殊用塩とは、塩事業法に基づき、一般的な食卓塩や業務用塩とは区別される特別な用途や限定的な目的のために製造・流通する塩を指します。

通常、塩の製造には財務大臣の登録が必要ですが、この特殊用塩に該当する場合は、手続きが簡素な届出のみで製造・販売を行うことが認められています。

塩は国民生活に欠かせない物資であるため、かつては専売制のもと厳格に管理されてきました。現在の塩事業法においても、流通の安定と品質確保のために登録制が敷かれていますが、研究用や少量生産の伝統製法塩まで一律に厳しい審査(登録)を課すと産業や文化が停滞してしまいます。

そのため、「特殊用塩」という枠組みを設けることで、適正な管理を維持しつつ、多様なニーズに応じた柔軟な製造・流通を可能にしています。

調査・研究用試験研究や分析に用いられるもの
医療・工業用医薬品の原料、触媒、試薬、または特定の化学反応プロセスで使用されるもの
保存用・サンプル標本や展示用として供されるもの

特殊製法塩

特殊製法塩は、日本における一般的な工業的製法(イオン交換膜法など)ではなく、伝統的な手法や特定の付加価値を付ける工程を経て作られる塩を指します。

登録が必要な一般的な塩製造業とは異なり、特殊用塩等製造業としての届出を行うことで製造が可能になります。

伝統的製法揚げ浜式、入浜式、平釜、天日乾燥など、古来の製法で製造されるもの
付加価値塩温泉熱を利用したものや、ハーブ・香辛料を混合したもの、特定の形状(フレーク状等)に結晶化させたもの
★試験販売枠(100トンルール)

特殊製法塩には、「試験的に販売される塩であって1年間の販売数量が100トン以内のもの」が含まれます。

これは、新商品の開発や市場調査を目的とした塩について、正規の「登録」という重い手続きを経ずに、「届出」のみで機動的に販売を可能にするための区分です。

そのため、恒常的に同じ商品を同じ規模で売り続ける場合、当局から「それは試験的ではない」と判断され、登録を促される可能性があります。

提出すべき書類

特殊用塩等製造業の届出を行う者は、主たる事務所の所在地を管轄する財務局長(所在地が福岡財務支局の管轄区域内にある場合は福岡財務支局長)に対し、以下の書類を提出する必要があります。

  • 特殊用塩等製造業届出書
  • 製造予定数量や塩をどのような目的で使用・販売するのかをまとめた事業計画書
  • 製造工程の概要図・説明書
  • 製造場の位置図及び平面図(施設内の設備配置を示したもの)
  • 定款又はこれに代わる書面(法人の場合)
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 届出者の住民票の抄本又はこれに代わる書面(個人の場合)
★届出事項
  • 商号、名称又は氏名及び住所
  • 代表者の氏名及び住所(法人)
  • 主たる事務所の所在地及び製造場の所在地
  • 特殊用塩の名称及び用途又は性状(特殊用塩の製造を行おうとする者である場合)
  • 特殊製法塩の名称及び製造の方法(特殊製法塩の製造を行おうとする者である場合)
  • 特殊用塩又は特殊製法塩の製造能力
  • 製造しようとする特殊用塩又は特殊製法塩の主な原材料(塩である場合にはその種類)

変更等の届出

特殊用塩等製造業者は、次のいずれかの事項に該当する場合、その旨を財務大臣に届け出なければならないとされています。

遅滞なく届け出る事項①商号、名称又は氏名及び住所の変更
②代表者の氏名及び住所の変更
③製造しようとする特殊用塩又は特殊製法塩の主な原材料の変更(塩である場合にはその種類)
④事業を廃止したとき
あらかじめ届け出る事項①主たる事務所の所在地並びに製造場及び貯蔵所の所在地の変更
②特殊用塩の名称及び用途又は性状の変更(特殊用塩の製造を行おうとする者である場合)
③特殊製法塩の名称及び製造の方法の変更(特殊製法塩の製造を行おうとする者である場合)
④特殊用塩又は特殊製法塩の製造能力の変更

塩特定販売業登録

塩特定販売業とは、自ら(あるいは他者への委託により)輸入した塩を販売、又は自ら使用する事業を指します。

国内で流通している既製品を仕入れて通常の小売形式で販売する場合には特段の手続きは不要ですが、塩の特定販売を業として行う者は、原則として財務大臣の登録を受ける必要があります。(ただし、特殊用塩のみを専門に扱う特定販売業については、この登録義務から除外されます。)

申請に必要となる書類

登録を受けようとする者は、以下の書類を主たる事務所の所在地を管轄する税関長に提出して申請を行います。

  • 塩特定販売業登録申請書
  • 欠格事由のいずれにも該当しない旨の誓約書
  • 塩の輸入見込数量や販売先、保管場所の計画などを記載した事業計画書
  • 定款又はこれに代わる書面(法人の場合)
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 登録申請者(又は法定代理人)の住民票の抄本又はこれに代わる書面(個人)

なお、欠格事由、事業承継、変更等の届出及び備付帳簿に係る規定は塩製造業の規定が準用されます。

★申請書の記載事項
  • 商号、名称又は氏名及び住所
  • 代表者の氏名及び住所(法人)
  • 主たる事務所の所在地及び貯蔵所の所在地
  • 事業開始の予定年月日
  • 現に営んでいる他の事業の種類

特殊用塩特定販売業の届出

特殊用塩のみに係る塩の特定販売を業として行おうとする者は財務大臣の登録を受ける必要はなく、あらかじめ財務大臣へ届出を行う必要があります。届出を行う者は、以下の書類を主たる事務所の所在地を管轄する財務局長(又は財務支局長、沖縄総合事務局長)に提出します。

なお、変更等の届出及び備付帳簿に係る規定は、特殊用塩等製造業の規定が準用されます。

  • 特殊用塩特定販売業の届出書
  • 特殊な用途を証明する書類(企画書や工程表など)
  • 定款又はこれに代わる書面(法人の場合)
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 届出者の住民票の抄本又はこれに代わる書面(個人の場合)
★届出事項
  • 商号、名称又は氏名及び住所
  • 代表者の氏名及び住所(法人)
  • 主たる事務所の所在地
  • 塩の特定販売を行おうとする特殊用塩の名称及び用途又は性状
  • 塩の特定販売を行おうとする特殊用塩の原産地

塩卸売業登録

塩卸売業とは、塩製造業者又は塩特定販売業者から買い受けた塩(塩製造業者に委託して製造した塩を含む)を、その性質及び形状を変更しないで、他の事業者又は消費者に販売する事業をいいます。

塩の卸売を業として行おうとする者は、特殊用塩又は特殊製法塩のみに係る塩の卸売を業として行おうとする者を除き、財務大臣の登録を受ける必要があります。

登録を受けようとする者は、以下の書類を主たる事務所の所在地を管轄する財務局長(当該主たる事務所の所在地が福岡財務支局の管轄区域内にある場合にあっては福岡財務支局長)に提出して申請を行います。

★申請書記載事項

  • 商号、名称又は氏名及び住所
  • 代表者の氏名及び住所(法人)
  • 主たる事務所の所在地並びに営業所及び貯蔵所の所在地
  • 事業開始の予定年月日
  • 現に営んでいる他の事業
  • 塩卸売業登録申請書
  • 欠格事由のいずれにも該当しない旨の誓約書
  • 販売計画数量、主な仕入先・販売先、保管場所の所在地等を記載した事業計画書
  • 定款又はこれに代わる書面(法人の場合)
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 登録申請者(又は法定代理人)の住民票の抄本又はこれに代わる書面(個人の場合)

なお、欠格事由、事業承継及び変更等の届出に係る規定は塩製造業の規定が準用されます。

備付帳簿

塩卸売業者は、帳簿を備え、その業務に以下の事項を塩の仕入れ又は販売のつど記載し、これを記載の日から3年間保存する必要があります。

  • 仕入先別の塩の種類別の仕入数量
  • 塩の種類別販売先別の販売数量

塩事業関連手続きサポート

弊所では、関西圏全域(その他地域は要相談)において、塩事業関連手続きの代行を承っております。煩雑な書類作成から関係各所との調整、申請書類の提出に至るまで、一貫してフルサポートいたします。

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