露店・屋台の出店に関する道路使用許可│許可が必要となるケースと取得方法

路上の露店

縁日や夏祭り、商店街のイベントなどで見かける露店や屋台は、地域のにぎわいを生み出す身近な存在ですが、その多くは道路上に店を構えて営業を行うものであり、道路交通法に基づく道路使用許可の要否を避けて通ることはできません。歩道や車道の一部に店舗を設けて商品を販売する行為は、通行人の動線を狭めるだけでなく、店の前に人だかりができることで交通の流れにも影響を与えることから、法律上は原則として禁止されたうえで、警察署長の許可を受けることによってはじめて認められる仕組みとなっています。

また、露店や屋台の出店に関係する法令は道路交通法だけではなく、道路上に施設を設けて継続的に道路を使う点では道路法に基づく道路占用許可が、飲食物を提供する点では食品衛生法に基づく保健所の手続きが、火気を使用する点では各自治体の火災予防条例に基づく消防署への届出がそれぞれ関係してきます。一つの露店を出すために複数の窓口とやり取りすることになるケースも多いため、どの手続きがどの順番で必要になるのかを把握しておくことが、出店準備を円滑に進めるうえで欠かせません。

許可が必要な出店であるにもかかわらず無許可で営業を行えば、現場で警察官から撤去や中止を求められるだけでなく、刑事罰の対象となるおそれもあります。せっかく仕入れた食材や商品が無駄になり、イベントの主催者や他の出店者にまで迷惑をかけてしまう事態を避けるためにも、出店の計画が決まった段階で許可の要否を見極め、必要であれば余裕をもって申請しておくことが大切です。

そこで本稿では、露店や屋台の出店に関する道路使用許可について、根拠となる条文や許可が必要となるケースと不要となるケースの分かれ目、申請先や必要書類、審査期間や許可条件といった取得方法の実務を解説するとともに、あわせて必要となることの多い道路占用許可や保健所、消防署の手続きについても整理していきたいと思います。

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露店・屋台と道路使用許可

道路交通法第77条第1項は、道路を通行以外の目的で使用する行為のうち、交通の安全と円滑に影響を及ぼすものについて、所轄の警察署長の許可を受けることを求めています

同項は、道路での工事や作業を1号、広告板やアーチなどの工作物の設置を2号、露店や屋台の出店を3号、祭礼行事やロケーションなど一般交通に著しい影響を及ぼす行為で公安委員会が定めたものを4号として定めており、露店や屋台の出店は、このうち3号に該当する行為として扱われることになります。

3号の条文は、場所を移動しないで道路に露店、屋台店その他これらに類する店を出そうとする行為を対象としており、ここでのポイントは「場所を移動しないで」という部分にあります。つまり、一定の場所に店を構えて営業を続ける形態が3号の対象であり、典型的なものとしては、縁日の露店や屋台のほか、道路上で行う靴の修理や商品の陳列販売、テーブルを置いて行う物品の販売なども、場所を固定して営業する限りは3号に該当し得ると考えられています。

区分許可が必要な行為主な例露店・屋台との関係
1号道路において工事または作業をする行為道路工事、資材の搬出入設営作業の内容によっては関係する
2号道路に石碑、広告板、アーチ等の工作物を設ける行為広告板、アーチ、記念碑大型の看板等を設ける場合は別途検討
3号場所を移動しないで、道路に露店、屋台等を出す行為縁日の露店、屋台、靴修理、商品陳列該当する(本記事の対象)
4号祭礼行事やロケーションなど、一般交通に著しい影響を及ぼす行為で公安委員会が定めたもの祭礼、パレード、イベント祭りやイベントの開催そのものが該当し得る

なお、露店が出店される場面の多くは、祭りや商店街のイベントといった催し物と一体になっており、この場合には、催し物の開催そのものについて主催者が4号の許可を受け、個々の露店については3号の許可を受けるという形で、複数の許可が組み合わさることになります。主催者の許可の中で露店の出店まで含めて審査するのか、出店者ごとに個別の申請を求めるのかは警察署や催し物の規模によって取扱いが異なるため、出店者の立場であれば、まず主催者に許可の取得状況を確認し、自らの申請が必要かどうかを把握しておくことが大切です。

また、ここでいう「道路」には、国道や都道府県道、市町村道といった道路法上の道路だけでなく、不特定多数の人や車両が自由に通行できる私道や広場、公開時間中の公園内の通路なども含まれる点に注意が必要です。私有地だから許可は要らないと考えて出店したところ、実際には一般の通行に供されている場所であったために道路交通法上の道路と評価されるということもあり得るため、出店予定地がどのような性質の場所なのかを最初に確認しておくことが、検討の出発点となります。

許可が必要となるケース

許可が必要となる典型は、歩道や車道の一部にテントやテーブル、調理器具などを設置して、一定の時間にわたって同じ場所で営業を行う場合です。縁日の屋台のように骨組みとテントで店舗を構える形態はもちろん、折りたたみのテーブルを一台置いて商品を並べるだけの簡易な形態であっても、道路上の一定の場所を占めて営業を続ける以上は3号の対象となり得るため、店の規模が小さいからといって許可は不要と判断することは避けたほうがよいでしょう。

キッチンカーなどの車両を道路上に停めて営業を行う場合も、場所を移動しないで店を出す行為として3号の許可が問題となるほか、停車位置によっては駐車禁止の規制にも抵触するおそれがあります。公道上での車両による営業は、交通への影響が大きいことから許可のハードルが高く、警察署によっては祭礼やイベントの会場内など限られた場面でしか認めない運用となっていることも多いため、キッチンカーで出店を計画している場合には、出店場所を道路以外の私有地やイベント会場内に求めることも含めて検討しておくと安心です。

許可が不要となるケース

これに対して、商業施設の敷地内や駐車場、イベント会場の内部など、道路交通法上の道路に当たらない場所で出店する場合には、道路使用許可は必要ありません。この場合に必要となるのは、土地や施設の所有者、管理者から場所の使用について承諾を得ることであり、施設ごとに定められた出店のルールや使用料に従うことになりますが、店の前に並ぶ客の列が敷地の外の歩道にまで伸びるような場合には、道路上に人が集まる状態を生じさせることになるため、列の整理方法をあらかじめ決めておくことが求められます。

また、商品を持って歩きながら販売する行商のように、一定の場所にとどまらずに移動しながら営業する形態は、条文上の「場所を移動しないで」という要件を満たさないため、原則として3号の対象にはなりません。ただし、実際には特定の場所に長時間立ち止まって販売を続けていれば、場所を移動しない営業と評価される可能性もありますし、都道府県の規則によっては4号の対象として別の規制がかかることもあるため、判断に迷う場合には、出店予定地を管轄する警察署の交通課に事前に相談し、許可の要否を確認しておくことを強くおすすめします。

申請先と必要書類

申請先は、露店や屋台を出店する場所を管轄する警察署長であり、窓口は警察署の交通課となります。祭りやイベントのように出店場所が複数の警察署の管轄にまたがる場合には、主たる場所を管轄する警察署長に対してまとめて申請するのが基本ですが、個々の露店の申請をどの警察署に提出するのかは主催者の申請との関係で決まることも多いため、主催者や警察署と事前に調整しておくと手続きを円滑に進められます。

提出書類の中心となるのは道路使用許可申請書であり、窓口で申請する場合には同じものを2通作成するのが基本です。申請書には、申請者の住所、氏名、電話番号のほか、道路使用の目的、場所、期間、方法または形態、現場責任者の住所、氏名、電話番号などを記載することになり、露店の場合には、方法欄に店舗の大きさや構造、販売する商品、火気使用の有無、営業時間などを具体的に記載しておくと、審査する側が当日の様子を思い描きやすくなります。

  • 道路使用許可申請書(2通)
  • 道路使用の場所の付近の見取図
  • 露店の配置図・構造図
  • その他公安委員会が必要と認めて定めた書類

図面では、歩道や車道の幅員と、露店が占める幅、残される通行幅を寸法入りで示し、点字ブロックや横断歩道、バス停、消火栓などとの位置関係が分かるようにしておくことが大切です。歩行者の通行空間として確保する有効幅員は原則として1.5m以上、地域によっては2.0m以上とされているため、出店予定地を事前に測量し、テントや調理器具、商品の陳列台を置いた状態でも基準を満たせるかどうかを確認したうえで、図面に落とし込んでいきましょう。

このほか、警察署によっては、主催者の承諾書や出店者の名簿、周辺の店舗や住民の同意書、反社会的勢力に該当しないことの誓約書などの提出を求められることもあります。特に祭礼の露店については、暴力団の資金源となることを防ぐ観点から出店者の確認を厳格に行っている地域もあるため、必要な書類の範囲は事前相談の段階で確認しておくと、書類の準備にかかる手戻りを防ぐことができます。

申請の流れ・審査期間・許可条件

手続きは、警察署への事前相談、申請書類の作成、申請と手数料の納付、審査、許可証の交付という順序で進みます。事前相談は法律上の義務ではありませんが、出店予定地がそもそも露店の出店に適した場所かどうか、どの程度の規模であれば認められるか、どのような図面や添付書類が求められるかをこの段階で把握できるため、実務上は欠かせない工程といえます。

申請手数料は都道府県ごとに定められているため地域によって異なりますが、おおむね2,000円台で設定されていることが多く、納付の方法も現金や収入証紙、キャッシュレス決済など都道府県によって違いがあります。審査に要する期間は、書類に不備がなければ数日から1週間程度が目安とされていますが、祭礼に伴う多数の露店や交通規制を伴う催し物の場合には関係機関との協議に時間がかかるため、開催日の1か月以上前から準備を始め、遅くとも2週間前までには申請を済ませておくことを目標に日程を組むのが現実的です。

道路使用許可には、道路における危険を防止し交通の安全と円滑を図るために必要な条件が付されるのが通常です。露店の場合には、許可された場所と時間の厳守、歩行者の通行幅の確保、点字ブロックや消火栓をふさがないこと、営業終了後の速やかな撤去と清掃、現場責任者の常駐と許可証の掲示といった内容が求められることが多く、これらの条件は許可証に記載されるため、出店者や従業員の全員に周知しておくことが大切です。

許可が必要な出店であるにもかかわらず無許可で営業を行った場合には、道路交通法第119条により、3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金に処せられる可能性があり、許可を受けていても付された条件に違反すれば、許可の取消しや効力の停止を受けるおそれもあります。いったん警察署との関係で問題を起こすと、翌年以降の祭礼での出店に際してより厳しい確認を受けることも考えられるため、数千円の手数料と数日の準備を惜しんだ結果として失うものの大きさを、出店の計画段階から意識しておきましょう。

あわせて必要となる手続き

露店や屋台を道路上に設けて継続して道路を使用する場合には、警察署長の道路使用許可とは別に、道路法第32条に基づく道路管理者の道路占用許可が問題となります。道路使用許可が交通の安全と円滑という観点から警察が行う審査であるのに対し、道路占用許可は道路の構造や本来の機能を保全するという観点から国や都道府県、市町村といった道路管理者が行う審査であり、露店や商品置場は道路法上も占用の対象として明記されているため、両方の許可が必要となるケースが多くなります。なお、両方の許可が必要な場合には、いずれか一方の窓口に申請書をまとめて提出できる仕組みが設けられており、占用料も別途発生します。

飲食物を提供する露店の場合には、食品衛生法に基づく保健所の手続きも欠かせません。祭礼やイベントでの一時的な出店については、各自治体が臨時営業の許可や届出の制度を設けていることが多く、提供できる品目や調理の方法、手洗い設備や給水設備の設置などについて自治体ごとに基準が定められているため、出店場所を管轄する保健所に事前に相談し、必要な手続きと設備の基準を確認しておくことが大切です。包装済みの商品を販売するだけなのか、その場で調理して提供するのかによっても取扱いが変わるため、販売する商品の内容を具体的に伝えて確認するとよいでしょう。

ガスコンロや炭火、発電機など火気を使用する器具を用いる露店については、各自治体の火災予防条例に基づき、消防署への届出や消火器の準備が求められます。平成25年に京都府福知山市の花火大会で露店の火災により多数の死傷者が出た事故を受けて、全国の自治体で火災予防条例が改正され、祭礼など多数の人が集まる催しで火気を使用する露店を出す場合には、事前の届出と消火器の設置が義務づけられるようになっているため、火気の使用を予定している出店者は、警察署への申請とあわせて消防署への手続きも忘れずに済ませておきましょう。

このほか、のぼり旗や置き看板を道路上に設置する場合には屋外広告物条例による規制が、酒類を販売する場合には期限付酒類小売業免許などの酒税法上の手続きが関係してくることもあり、出店の内容によって必要となる手続きは大きく変わってきます。出店の計画が固まった段階で、販売する商品や使用する設備、設置する物件を洗い出し、警察署、道路管理者、保健所、消防署など、どの窓口にどのような手続きが必要になるのかを一覧にして整理しておくと、申請漏れを防ぎながら効率よく準備を進めることができます。

道路使用許可申請サポート

ここまで見てきたように、露店や屋台の出店に関する手続きは、警察署への道路使用許可申請だけでなく、道路管理者や保健所、消防署とのやり取りが重なることも多く、図面の作成や事前相談を含めると相当な時間と労力がかかります。特に、祭礼やイベントの開催日が決まっているケースでは、書類の不備による補正や窓口との調整に時間を取られて準備が間に合わなくなるおそれもあり、出店そのものを断念せざるを得なくなる事態も考えられます。

本業が飲食業や小売業、イベントの運営といった事業者の方にとって、本来であれば商品の準備や集客に充てるべき時間を不慣れな行政手続きに費やすことは、経済的な観点から見てもおすすめできるものではありません。手続きは専門家に任せて本業に集中することで、出店の準備に余裕が生まれ、当日の運営にも落ち着いて臨むことができるはずです。

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