建設業許可の取得にデメリットはあるの?

改修中の弊オフィスビル
改修中の弊オフィスビル

我々行政書士にとって、建設業許可の取得は今も昔も王道中の王道たる業務です。許可業者と無許可業者が混在し、業種も多種多様で潜在的な需要もあるため、インターネット上では許可を取得した際のメリットを高らかに紹介するサイトで溢れかえっているのが現状です。

それでは逆に許可を取得することによるデメリットは存在しているのでしょうか?

本稿では、建設業許可の取得を視野に入れる事業者さまが、本当に許可が必要なのかを判断する材料として、私自身の経験を通じた公平な視点をもって、建設業許可を取得した際に考えられるデメリットについて考察させていただきたいと思います。

建設業許可制度について

ご存じの方も多いのですが、建設業自体については営業のために必ずしも許可を受ける必要はありません。軽微な工事内の範囲内であれば許可を得ることなく工事を請け負うことが可能です。

そもそも建設業許可制度は、建設工事の適正な施工の実現により発注者を保護することと、建設業の健全な発達を促進し公共福祉の増進を図ることを目的としています。本来であれば全ての建設業者に許可の取得を義務付けるべきなのですが、それではかえって国民の利便性を欠いてしまうため、一定の軽微な建設工事に関しては許可を不要としている訳です。この「軽微な工事」に該当するかどうかの基準については、以下の埋め込み記事においてご確認ください。

許可が不要な軽微な工事とは

建設業許可取得のメリット

  1. 大規模な工事を請け負える
  2. 信用力が増す
  3. 公共工事を請け負える

上に挙げた建設業許可のメリットについては、弊サイトにおいても散々ご紹介させていただいています。もちろん他サイトにおいてもこれらに言及する記事は数多く目にします。大切なことなので改めてひとつずつ確認していくことにしましょう。

大規模な工事の請負

建設業許可がなければ請負金額500万円(建築一式工事は1,500万円)未満の軽微な工事しか請け負うことができません。これに違反してそれ以上の工事を受注すると、下請業者のみならず元請業者も罰則の対象となってしまいます。建設業許可を取得することで受注できる工事の範囲は広がりますので、これは一番わかりやすいメリットであるといえるでしょう。

信用力の向上

建設業許可業者として公示されることで当然ながら社会的信用力は増します。元請業者が下請業者に発注する際にも重要な判断材料となるでしょう。そもそも建設業界全体で許可を受けていない業者を敬遠する動きもありますので、建設業許可の取得は機会損失の抑止力となることでしょう。また、建設業許可の取得が融資の条件ということもありますので資金調達の面でも大きなメリットとなります。

公共工事の請負

建設業許可業者であることが公共工事入札の最低条件です。許可を取得しなければそもそもスタートラインにすら立つことが出来ません。

入札参加資格申請手続きについて

公共工事請負いの入札参加資格申請手続きについて

建設業許可取得のデメリット

  1. 費用が増える
  2. 手間と時間がかかる
  3. 報告や届出の義務が生じる

こちらが建設業許可を取得する際に考えられるデメリットです。私も以前別記事において触れていますが、実は他サイトにおいてもちょくちょく言及されている事項だったりします。こちらについてもひとつずつ確認していくことにしましょう。

費用の発生

建設業許可の申請には当然ながら手数料がかかります。本人申請であっても新規許可であれば知事許可で9万円、大臣許可で15万円の手数料が必要ですし、5年ごとの更新時にも5万円の手数料が必要となります。もちろん我々行政書士をご利用いただける場合には、別に報酬も発生します。

手続的な手間と時間

建設業許可の申請は難解かつ収集する書類の数も膨大です。新規許可申請のみならず、更新や業種の追加、個人から法人への変更の際にもそれぞれ手続きが必要となります。また、普段から工事経歴などの書類を保存し処理を行う必要もあるため、本業の工事以外でも忙殺されることになります。

報告や届出の義務

建設業許可の取得後は毎年事業年度終了ごと、税務申告とは異なる決算変更届を提出する必要が生じます。また、変更を生じた事項についてはその都度変更届を提出しなければなりません。これらの届出を怠ると次回の許可更新が不可能となってしまいます。

許可取得後の義務について

隠れデメリットとは?

実は上に掲げたデメリットについては解決策が用意されています。この前振りで、察しの良い方であればお気づきいただけると思います。

それは行政書士に依頼することです。
キメ顔の男性のイラスト
ハイ。常套句です。笑

まぁ嘘ではないですし、実際に行政書士を利用することで一部のデメリットが大幅に軽減されることについては間違いありません。

本当にそれだけ??

ここまでは営業的な側面があったことを認めます。その上で、実は許可後に受け付けたご相談において最も多い苦情(?)内容を告白いたします。これがバラエティ番組であれば一旦CMを挟みたいところではありますが本稿はこのまま進行いたします。

建設業許可取得における最大のデメリット

それは、、、

営業電話が増えるです!

データベースへの登録

なぜ営業電話やFAXが届くようになるのかについて、その理由は明白です。各都道府県においては地域内の許可業者をデータベースに登録し、誰でも閲覧することができるように公開しています。これは建設業者を求める住民や法人の利便性の向上を図り、同時に、発注者となる者を保護するための制度ですので、基本的にこのデータベースへの登録を拒むことはできません。主たる事務所の所在地も公開されますので、この点も踏まえて営業所を選定する必要があるでしょう。下に兵庫県・大阪府における建設業者一覧の公開ページのリンクを貼り付けますので、ぜひ参考にしてみてください。

実は営業電話については行政書士にとっても悩みの種となっています。我々の基本情報は日本行政書士会連合会のサイトに公開されますし、自社サイトを公開すればそれに併せてDMや営業電話が届くようになります。これは情報の公開を義務付けされる業種の宿命かもしれません。こちらに関しても、いずれ別記事において筆を執りたいと思います。笑

結局許可は取得すべきなのか?

やはり建設業許可は取得すべし。

メリットデメリットについて長々と考察しましたが、以上のようなことも踏まえた上で私なりの結論を述べさせていただきました。

行政書士だから?と言われれば否定はしませんが、ひとつの物事はポジティブ・ネガティブ2つの側面で捉えることが重要であると思います。

例えば営業電話の中には本当に優良な事業者が含まれていることがあります。建設業者さまであれば行政書士事務所がアプローチすることもあります。笑

そもそも、本来は情報を公開することで建設業者を選定しやすくするための制度ですから、情報の公開によって仕事の依頼が増えることが考えられます。おかげさまで弊所も情報を発信する場を増やしたことで業務の受注につながるようになりました。先述した結論も、これらを公平かつ総合的に判断した上でのものです。

メリットとデメリットは常に表裏一体です。メリットに魅力を感じることができれば取り組めば良いですし、デメリットに不安を感じるのであれば回避すれば良いように思います。いずれにせよ、本稿が皆さまの最善の選択を促す一助となったのであれば幸いです。メリットを感じ取って建設業許可を取得する際にはどうぞご一報くださいませ^^

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