事業再構築補助金の申請方法

お金に困ってるブタさん

令和3年3月26日より公募が開始された事業再構築補助金について、本稿ではおもにその添付書類や申請方法についてご案内させていただきます。事業再構築補助金の概要については下の埋め込み記事からご確認ください。

事業再構築補助金の概要について

申請の流れ

上のフローに沿って申請を行います。申請方法は紙媒体によるものではなく、電子申請のみの受付とされています。中小企業向け補助金総合支援サイト ミラサポplus(外部リンク)の「電子申請サポート」で事業財務情報を作成の上、ブラウザの印刷機能でPDF出力して提出します。なお、申請にはjGrants(電子申請システム)にて受付を行います。GビズIDプライムアカウントの発行には3週間以上を要する場合があるので、補助金のご活用をお考えの方は、早めのID取得をお勧めします。

添付書類

必要な添付書類事業類型
事業計画書すべての事業類型
認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書すべての事業類型
コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類すべての事業類型
決算書すべての事業類型
事業財務情報すべての事業類型
海外事業の準備状況を示す書類グローバル展開を実施する場合の卒業枠

グローバルV字回復枠
緊急事態宣言に伴う売上高減少を証明する書類緊急事態宣言特別枠のみ
固定費が受給した協力金の額を上回ることを証明する書類緊急事態宣言特別枠のみ

事業計画書

Word等で作成(様式自由)の上、PDF形式に変換した電子ファイルを電子申請システムの所定の場所に添付します。最大15ページとされていますが、15ページを超える事業計画を提出した場合であっても審査対象として取り扱われます。(15ページ以内推奨)

申請時点では、見積書等の取得価格の妥当性を証明できる書類の添付は必要ありませんが、補助対象経費に計上する経費に該当する添付書類が揃っていれば、採択後速やかに交付決定の手続きに移行することができるため、入手価格の妥当性を証明できる書類は、極力早急に揃えることを推奨します。

具体的取組内容

通常枠、卒業枠、グローバルV字回復枠、緊急事態宣言特別枠と事業再構築の種類に応じて、「事業再構築指針」に沿った事業計画を作成します。

現在の事業の状況、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性、事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)、補助事業で実施する新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組について具体的に記載します。事業実施期間内に投資する建物の建設・改修等の予定、機械装置等の型番、取得時期や技術の導入や専門家の助言、研修等の時期についても、可能な限り詳細なスケジュールを記載します。これらは必要に応じて図表や写真等を用いて、具体的に記載します。

将来の展望

補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に記載します。

既存事業の縮小又は廃止、省人化により、従業員の解雇を伴う場合には、再就職支援の計画等の従業員への適切な配慮の取組についても具体的に記載します。

事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性や課題やリスクとその解決方法なども記載します。経済産業省において、市場動向等を簡易に把握できる「統計分析ツール」が公開されているので活用しながら必要に応じて図表や写真等を用い、具体的に記載します。事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等についても簡潔に記載します。

事業で取得する主な資産

事業により取得する主な資産(単価50万円以上の建物、機械装置・システム等)の名称、 分類、取得予定価格等を記載します。補助事業実施期間中に、別途、取得財産管理台帳を整備します。

収益計画

事業の実施体制、スケジュール、資金調達計画等について具体的に記載します。収益計画(表)における「付加価値額」の算出についてはその根拠を示します。なお、収益計画(表)で示された数値は、補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告等にお いて伸び率の達成状況の確認を行います。

認定経営革新等支援機関・金融機関による確認書

事業計画書の策定における認定経営革新等支援機関等の関与を確認するものです。必要事項が記載された電子ファイルを電子申請システムの所定の場所に添付します。

補助金額3,000万円を超える事業計画書は金融機関及び認定経営革新等支援機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみ)と共同で作成する必要があるため、それぞれに確認書を記載して添付します。

コロナ以前に比べて売上高が減少したことを示す書類

申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高と、コロナ以前の同3か月の合計売上高が確認できる資料を添付します。事業や店舗ごとではなく、主たる事業の他に副業等で得た売上についても合算した企業単位で事業や店舗を合算した売上が減少している必要があります。売上高の概念がない事業については、事業収入に該当する金額をご確認ください。

法人の場合(すべてを添付)
  1. 申請に用いる任意の3か月の比較対象となるコロナ以前(2019年又は2020年1~3月) の同3か月の売上が分かる年度の確定申告書別表一の控え(1枚)
  2. 2.の確定申告書と同年度の法人事業概況説明書の控え(両面)
  3. 受信通知(1枚)(e-Taxで申告している場合のみ)
  4. 申請に用いる任意の3か月(2020年又は2021年)の売上がわかる確定申告書別表一の控え(1枚)
  5. 4.の確定申告書と同年度の法人事業概況説明書の控え(両面)
個人事業主の場合(すべてを添付)
  1. 申請に用いる任意の3か月の比較対象となるコロナ以前(2019年又は2020年1~3月) の同3か月の売上が分かる年度の確定申告書第一表の控え(1枚)
  2. 1.の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある所得税青色申告決算書の控えがある場合はその控え(両面)、白色申告の場合は対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類
  3. 受信通知(1枚)(e-Taxで申告している場合のみ)
  4. 申請に用いる任意の3か月(2020年又は2021年)の売上がわかる確定申告書第一表の控え(1枚)
  5. 4.の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある所得税青色申告決算書の控えがある場合はその控え(両面) 、白色申告の場合は対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類

確定申告書別表一の控え又は確定申告書第一表には、収受日付印の押印、または電子申告の日時・受付番号が記載されていることをご確認ください。(個人のみ)収受日付印の押印、又は電子申告の日時・受付番号の記載(e-Taxの場合は受信通知)がない場合は、 2該当年度分の「納税証明書(その2所得金額用)」(事業所得金額の記載のあるもの)を追加で提出します。

比較対象となるコロナ以前の同3か月が複数年度にまたがる場合は、それぞれの年度の確定申告書類の提出が必要です。

申請に用いる任意の3か月(2020年又は2021年)の売上がわかる年度の確定申告が済んでいない場合は、該当月の売上がわかる「売上台帳等」を添付することができます。この場合は、試算表、帳面、その他、確定申告の基礎となる書類の添付が必要となります。任意で選択した3か月の日付が明確に記載されていることを確認し、申請に用いる任意の3か月の月が記載されている箇所に下線を引きます。

決算書

直近2年間の貸借対照表、損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表を添付します。2年分の提出ができない場合は、1期分を添付します。決算書の添付ができない中小企業等は、事業計画書及び収支予算書を添付します。製造原価報告書及び販売管理費明細は、従来から作成している場合のみ添付します。

事業財務情報

「活動レポート(ローカルベンチマーク)」には、BIレポート(財務情報)のほか、非財務情報を整理する「業務フロー」「商流」「4つの視点」のシートもありますが、これらのシートの作成は任意です。

海外事業の準備状況を示す書類

卒業枠(グローバル展開を実施する場合に限る)・グローバルV字回復枠の場合に必要となります。次のいずれかに該当する資料又はそれに準ずる資料を添付します。

海外直接投資海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料
海外市場開拓海外市場の具体的な想定顧客が分かる資料
インバウンド市場開拓インバウンド市場の具体的な想定顧客が分かる資料
海外事業者との共同事業共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)等

従業員数を示す書類

緊急事態宣言特別枠の場合にのみ、労働基準法に基づく労働者名簿の写しを添付します。

緊急事態宣言に伴う売上高減少を証明する書類

緊急事態宣言特別枠の場合にのみ、令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、2021年1 ~3月のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で30%以上減少していることを誓約する書類と売上高減少に係る証明書類とを添付します。

固定費が受給した協力金の額を上回ることを証明する書類

緊急事態宣言特別枠の場合にのみ、2021年1~3月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類を添付します。

加点を希望する場合に必要な追加書類

加点①:令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、2021年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で30%以上減少していることを証明する書類(令和3年の国による緊急事態宣言による影響であることの誓約書)

加点②:2021年1~3月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類

審査項目

補助対象事業としての適格性

補助対象事業の要件を満たしているか。
補助事業終了後3~5年計画で「付加価値額」年率平均3.0%(グローバル V 字回復枠については 5.0%)以上の増加等を達成する取組みであるか。

事業化点

事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。
事業化に向けて、競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか。
補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。
補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か。
補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。

再構築点

事業再構築指針に沿った取組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか。
既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか。
市場ニーズや自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソースの 最適化を図る取組であるか。
先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業か。

政策点

先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて、我が国の経済成長を牽引し得るか。
新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えて V 字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。
ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。
地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか。
異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。

事前着手の承認

受付期間令和3年3月26日(金)~交付決定日まで
提出方法事業の申請とは別に、事前着手するための申請を事務局にメールで提出
事前着手受付メールアドレスhoukoku@jigyo-saikouchiku.info
承認の可否4月15日から順次結果を通知
申請から10日~2週間程度

補助事業は、交付決定後に行うこととしており、交付決定前に事業開始された場合は、原則として補助金の交付対象とはなりません。ただし、本事業においては、早期の事業再構築を図るために必要となる経費について、補助金の交付決定前であっても事務局から事前着手の承認を受けた場合は、令和3年2月15日 以降に購入契約(発注)等を行った事業に要する経費も補助対象経費とすることができます。

交付決定前に事業着手が承認された場合であっても、補助金の採択を約束するものではありません。また、令和3年2月15日より前に行われた購入契約(発注)等については、補助対象経費として認められませんのでご注意ください。

事前着手の承認に際して、会社概要、事業計画の概要、新型コロナウイルスの影響と事業計画との関係(感染症の影響を乗り越えるために早急な投資が必要不可欠である理由等)を記載する必要があります。記載内容が不十分な場合は、申請後に事務局から確認をする場合があります。

事前着手の承認が得られた場合でも、採択審査の結果、不採択となった場合は、本事業の交付を受けることはできません。また、交付決定日よりも前に購入契約(発注)等を実施したものの経費は補助対象外となりますので、ご注意ください。

事前着手申請の内容と応募申請時の内容が相違しているときや整合性が確認ができない場合等は、事前着手の承認は無効となりますので、記載事項に誤りがないようにご注意ください。

遵守事項

本事業の交付決定を受けた場合は、以下の条件等を守らなければなりません。

交付決定を受けた後、本事業の経費の配分若しくは内容を変更しようとする場合又は本事業を中止、廃止若しくは他に承継させようとする場合には、事前に事務局の承認を得なければなりません。

本事業を完了したときは、その日から起算して30日を経過した日又は事業完了期限日のいずれか早い日までに補助事業実績報告書を提出しなければなりません。

本事業の完了した日の属する会計年度(国の会計年度である4月~3月)の終了後5年間、毎会計年度終了後60日以内に本補助事業に係る事業化等の状況を事業化状況(収益状況含む)・知的財産権等報告書により報告するとともに、本事業に関係する調査に協力をしなければなりません。事業化状況等の報告が行われない場合には、補助金の交付取消・返還等を求められる場合があります。

事業化状況の報告から、本事業の成果の事業化又は知的財産権の譲渡又は実施権設定及びその他当該事業の実施結果の他への供与により収益が得られたと認められる場合には、受領した補助金の額を上限として収益納付しなければなりません。なお、事業化状況等報告の該当年度の決算が赤字の場合は免除されます。

取得財産のうち、単価50万円(税抜き)以上の機械等の財産又は効用の増加した財産(処分制限財産)は、処分制限期間内に取得財産を処分(①補助金の交付の目的に反する使用、譲 渡、交換、貸付け、②担保に供する処分、廃棄等)しようとするときは、事前に事務局の承認を受けなければなりません。

財産処分する場合、残存簿価相当額又は時価(譲渡額)により、当該処分財産に係る補助金額を限度に納付しなければなりません。

交付申請書提出の際、消費税及び地方消費税額等仕入控除税額を減額して記載しなければなりません。補助事業者が課税事業者(免税事業者及び簡易課税事業者以外)の場合、本事業に係る課税仕入に伴い、消費税及び地方消費税の還付金が発生することになるため、この還付と補助金交付が重複しないよう、課税仕入の際の消費税及び地方消費税相当額について、原則としてあらかじめ補助対象経費から減額しておくこととします。この消費税及び地方消費税相当額を「消費税等仕入控除税額」といいます。

補助事業者は、「中小企業の会計に関する基本要領」又は「中小企業の会計に関する指
針」に拠った信頼性のある計算書類等の作成及び活用に努めてください。また、本事業に係る経理について、その収支の事実を明確にした証拠書類を整理し、交付年度終了後5年間保存しなければなりません。

補助事業者は、本事業の遂行及び収支の状況について、事務局から要求があったときは速やかに遂行状況報告書を作成し、事務局に提出しなければなりません。

本事業の進捗状況等の確認のため、事務局が実地検査に入ることがあります。また、本事業終了後、会計検査院や事務局等が抜き打ちで実地検査に入ることがあります。この検査により補助金の返還命令等の指示がなされた場合は、これに必ず従わなければなりません。

本事業において知的財産権が発生した場合は、その権利は事業者に帰属します。

補助金の支払については、原則として本事業終了後に補助事業実績報告書の提出を受け、補助金額の確定後の精算払となります。概算払については、交付申請時に参照いただく「補助事業の手引き」をご確認ください。なお、補助金は経理上、支払を受けた事業年度における収入として計上するものであり、法人税等の課税対象となります。

本事業終了後の補助金額の確定にあたり、補助対象物件や帳簿類の現地確認ができない場合については、当該物件等に係る金額は補助対象とはなりません。

補助事業者が「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」等に違反する行為等(例:他の用途への無断流用、虚偽報告など)をした場合には、補助金の交付取消・返還、不正の内容の公表等を行うことがあります。

採否にかかわらず本事業に関係する調査への協力を依頼される場合があります。また、申請時に提出された情報については、事業者間の連携の推進、政策効果検証等に使用することを目的として、個社情報が特定されないように処理した上で公開される場合があります。なお、補助事業者となった場合、必要に応じて事業の成果の発表、事例集の作成等への協力を依頼する場合がありますので、あらかじめお見知りおきください。

まとめ

最高で1億円という高額な補助金であるため、本補助金の審査には厳しい基準が設定されています。補助金はあくまでも目的に応じた事業に要する費用の一部を補助するための施策です。本当に必要とされる事業者の皆さまに公平に分配されるよう不正のないように、また、要綱をよく確認し、しっかりとした事業計画を立てるように心がけましょう。

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