事業再構築補助金について
事業再構築補助金は、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等を支援するものです。
ざっくり説明すると、長期化するコロナの影響により停滞した日本経済を再構築するため、しっかりとした事業計画を練り、思い切った事業の転換等を図る事業者に対して交付される補助金です。
本稿では日本経済の再構築を担う事業者の皆さま方への手助けとなるべく、日々更新される情報を追いつつ、事業再構築補助金について詳しく解説していきたいと思います。
事業概要
本事業は、長期化するコロナの影響により当面の需要や売上の回復が期待し難い中、新時代の経済社会の変化に対応するために思い切った事業再構築を行う意欲がある中小企業等の挑戦を支援するための施策です。また、事業再構築を通じて事業規模を拡大し、中堅・大企業等への成長や、海外展開の強化による市場の新規開拓を志向する企業をより一層強力に支援するための施策でもあります。
補助金額 ・補助率
事業類型 | 対象 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|---|
通常枠 | 中小企業者等 | 100万円~6,000万円 | 2/3 |
中堅企業等 | 100万円~8,000万円 | 1/2 4,000万円を超える部分は1/3 | |
卒業枠 | 中小企業者等 | 6,000万円~1億円 | 2/3 |
グローバルV字回復枠 | 中堅企業等 | 8,000万円~1億円 | 1/2 |
緊急事態宣言特別枠 | 中小企業者等 | 100万円~1,500万円 | 3/4 |
中堅企業等 | 100万円~1,500万円 | 2/3 |
財産処分や収益納付等も含め、補助金等の返還額の合計は補助金交付額が上限となります。
公募期間
公募開始:令和3年3月26日(金)
申請受付:令和3年4月15日(木)予定
応募締切:令和3年4月30日(金)18:00
補助事業実施期間に、契約(発注)、納入、検収、支払及び補助事業実績報告書の提出等のすべての事業の手続きがこの期間内に完了する事業であることが必要となります。
補助金の交付決定前であっても、事務局から事前着手の承認を受けた場合、令和3年2月15日以降に購入契約(発注)等を行った事業に要する経費を、特例として補助対象経費とすることができます。
補助対象者
本事業の補助対象者は、日本国内に本社を有する中小企業者等及び中堅企業等ですが、補助対象者の要件は、本事業の公募開始日において満たしている必要があります。また、事業実施期間に限って、資本金の減資や従業員数の削減を行い、事業実施期間終了後に再度資本金の増資や従業員数の増員を行うなど、専ら本事業の対象事業者となることを目的として、資本金、従業員数、株式保有割合等を変更していると認められた場合には、申請時点にさかのぼって本事業の補助の対象外となる場合があります。
中小企業者
中小企業者とは、資本金(資本の額又は出資の総額)又は常勤従業員数が上表の数字以下となる会社又は個人であるものをいいます。なお、ここでいう常勤従業員には次の者は含まれていません。
- 日々雇い入れられる者
- 2か月内の期間を定めて使用される者
- 季節的業務に4か月内の期間を定めて使用される者
- 試みの使用期間中の者
次のいずれかに該当する者は、大企業とみなして(みなし大企業)中小企業者から除かれます。また、6.に定める事業者に該当する者は中小企業者から除かれ、中堅企業として扱われます。
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
- 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額を1.~3.に該当する中小企業者が所有している中小企業者
- 1.~3.に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者
- 応募申請時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者
大企業とは、中小企業基本法に規定する中小企業者以外の者であり、資本金及び従業員数がともに上表の数字を超える場合、大企業に該当します。また、自治体等の公的機関に関しても大企業とみなします。ただし、以下が株式を保有する場合は、その保有比率等をもって上記のみなし大企業の規程を適用しません。本条件の適用は、補助事業実施期間中にも及びます。
- 中小企業投資育成株式会社法に規定する中小企業投資育成株式会社
- 投資事業有限責任組合契約に関する法律に規定する投資事業有限責任組合
中小企業者等に含まれる中小企業者以外の法人
次のような事業者が該当します。
- 企業組合
- 協業組合
- 事業協同組合
- 事業協同小組合
- 商工組合
- 協同組合連合会
- その他の特別の法律により設立された組合及びその連合会であって政令で定めるもの
- 法人税法別表第二に該当する法人又は法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人(従業員数が300人以下である者に限る)
法人格のない任意団体、収益事業を行っていない法人、運営費の大半を公的機関から得ている法人は補助対象となりません。なお、申請時に法人となっていて、任意団体として確定申告をしている場合は申請することが可能です。
中堅企業等
会社若しくは個人、中小企業者等に含まれる中小企業者以外の法人であって、下記の要件を満たす者が該当します。
- 中小企業者等又は中小企業者等に含まれる中小企業者以外の法人に該当しないこと
- 資本金の額又は出資の総額が10億円未満の法人であること
- 資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常勤従業員数が2,000人以下であること
事業類型
本事業には以下の4つの事業類型があります。
- 通常枠
- 卒業枠
- グローバルV字回復枠
- 緊急事態宣言特別枠
同一法人・事業者での応募は、1回の公募につき1申請に限られます。申請後の事業類型の変更もできません。50%超の議決権を有する子会社は同一法人とみなされます。
不採択となった事業者は次回以降に再度申請することできますが、一度交付決定を受けた事業者は再度申請することはできません。
通常枠
対象 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
中小企業者等 | 100万円~6,000万円 | 2/3 |
中堅企業等 | 100万円~8,000万円 | 1/2 4,000万円を超える部分は1/3 |
事業内容
新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業等の新たな挑戦を支援します。
補助対象事業の要件
事業再構築要件
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
売上高減少要件
申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
申請前の直近6か月間の範囲内であれば連続した3か月である必要はありません。
コロナ以前には、災害等の影響を受け、本来よりも2019年の売上げが減っている場合に限り、2018年1~12月とすることも認められます。
新型コロナウイルス感染症の影響によらない売上の減少は対象外です。
コロナ後に合併を行った場合や大規模な自然災害で事業が大きく変化した場合等、特殊要因による売上高の増減については、証明書類を提出する必要があります。
認定支援機関要件
事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること
補助金額が3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみ)と策定していること
付加価値額要件
補助事業終了後3~5 年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。
成果目標の比較基準となる付加価値額は、補助事業終了年度の付加価値額となります。
実施期間
交付決定日から12か月以内、かつ、採択発表日から14か月後の日までに事業を実施する必要があります。
補助対象経費
- 建物費
- 機械装置・システム構築費(リース料を含む)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
- 研修費
補助対象経費が8,000万円以下の場合は、補助率1/2が適用され、補助金額の上限は4,000万円となります。
補助対象経費が8,000万円を超える場合は、8,000万円を超える部分の経費は補助率1/3 が適用され、補助金額の上限は 8,000万円となります。
卒業枠
対象 | 補助金額 | 補助率た |
---|---|---|
中小企業者等 | 6,000万円~1億円 | 2/3 |
事業内容
事業再構築を通じて、資本金又は従業員を増やし、3~5年の事業計画期間内に中小企業者等から中堅・大企業等へ成長する中小企業者等が行う事業再構築を支援します。(すべての公募回の合計で400社限定)
卒業枠については、事業計画期間終了時点において、予見できない大きな事業環境の変化に直面するなどの正当な理由なく補助対象事業者」に定める中小企業者等の定義から外れ、中堅・大企業等に成長することができなかった場合、通常枠の補助上限額との差額分について補助金を返還する必要があります。
また、一時的に中堅・大企業等へ成長した後、正当な理由なく中小企業者の要件に該当する事業規模の縮小をさせた場合、本補助事業終了から 5 年間は中小企業庁が行う中小企業者等向けの施策(補助金、委託費等)を利用することができなくなります。
補助対象事業の要件
事業再構築要件
売上高減少要件
認定支援機関要件
付加価値額要件
事業再編等要件
事業計画期間内に、事業再編、新規設備投資、グローバル展開のいずれかにより、資本金又は従業員を増やし、補助対象事業者に定める中小企業者等の定義から外れ中堅・大企業等に成長すること
新規設備投資とは、卒業枠による新たな施設、設備、装置又はプログラム等に対する投資であって、補助金額の上乗せ分の3分の2以上の金額を要するものをいいます。
実施期間
交付決定日から14か月以内、かつ、採択発表日から16か月後の日までに事業を実施する必要があります。
補助対象経費
- 建物費
- 機械装置・システム構築費(リース料を含む)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
- 研修費
- 海外旅費
卒業枠で不採択の場合は、通常枠で再審査されます。再審査にあたっては事業者での手続きは不要です。
グローバルV字回復枠
対象 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
中堅企業等 | 8,000万円~1億円 | 1/2 |
事業内容
事業再構築を通じて、コロナの影響で大きく減少した売上を V 字回復させる中堅企業等を支援します。(すべての公募回の合計で100社限定)
グローバルV字回復枠については、予見できない大きな事業環境の変化に直面するなどの正当な理由なく、事業計画期間終了時点において、付加価値額の年率平均の増加又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均の増加が 5.0%に達しなかった場合、通常枠の補助上限額との差額分について補助金を返還する必要があります。
補助対象事業の要件
事業再構築要件
売上高減少要件
認定支援機関要件
付加価値額要件
グローバル展開要件
グローバル展開を果たす事業であること
グローバル展開
海外直接投資
- 補助金額の50%以上を外国における支店その他の営業所又は海外子会社等(本事業に申請する中 小企業等の出資に係る外国法人等であって、その発行済株式の半数以上又は出資価格の総額の50%以上を当該中小企業等が所有しているものをいう。)の事業活動に対する費用に充てることで、国内及び海外における事業を一体的に強化すること
- 応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料を提出すること
海外市場開拓
- 中小企業等が海外における需要の開拓を行うものであって、事業計画期間終了までに本事業の海外売上高比率が50%以上となることが見込まれること
- 応募申請時に、具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書を提出すること
インバウンド市場開拓
- 中小企業等が日本国内における外国人観光旅客の需要の開拓を行うものであって、事業計画期間終了までに本事業に係る製品又は商品若しくはサービスの提供先の50%以上が外国人観光旅客の需要に係るものとなることが見込まれること
- 応募申請時に、具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書を提出すること
海外事業者との共同事業
- 中小企業等が外国法人等と行う設備投資を伴う共同研究又は共同事業開発であって、その成果物の権利の全部又は一部が当該中小企業等に帰属すること(外国法人又は外国人の経費は補助対象外)
- 応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(日本語訳)を追加すること(検討中の案を含む)
実施期間
交付決定日から14か月以内、かつ、採択発表日から16か月後の日までに事業を実施する必要があります。
補助対象経費
- 建物費
- 機械装置・システム構築費(リース料を含む)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
- 研修費
- 海外旅費
グローバル V 字回復枠で不採択の場合は、通常枠で再審査されます。再審査にあたっては事業者での手続きは不要です。
緊急事態宣言特別枠
対象 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
中小企業者等 | 100万円~1,500万円 | 3/4 |
中堅企業等 | 100万円~1,500万円 | 2/3 |
事業内容
令和3年の国による緊急事態宣言発令により深刻な影響を受け、早期に事業再構築が必要な飲食サービス業、宿泊業等を営む中小企業等に対する支援です。
補助対象事業の要件
事業再構築要件
売上高減少要件
令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上減少していることも要件に加えられています。
認定支援機関要件
付加価値額要件
補助金額
常勤従業員数 | 補助金額 |
---|---|
5人以下 | 100万円~500万円 |
6〜20人 | 100万円~1,000 万円 |
21人以上 | 100万円~1,500 万円 |
実施期間
交付決定日から12か月以内、かつ、採択発表日から14か月後の日までに事業を実施する必要があります。
補助対象経費
- 建物費
- 機械装置・システム構築費(リース料を含む)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝・販売促進費
- 研修費
要件に合致すれば、業種や所在地は問われません。緊急事態宣言特別枠で不採択の場合は、通常枠で再審査されます。再審査にあたっては事業者での手続きは不要です。また、通常枠に先行して審査・採択公表を行います。次回公募の緊急事態宣言特別枠に再申請を希望されるなど、通常枠での採択を希望しない場合は、採択公表後に事務局コールセンター宛に連絡します。
事業再構築の類型
新分野展開
中小企業等が主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出することをいいます。
事業転換
中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することをいいます。
業種転換
中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することをいいます。
業態転換
製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更することをいいます。
事業再編
会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うことをいいます。
対象経費の区分
建物費
- 専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
- 補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費
- 補助事業実施のために必要となる賃貸物件等の原状回復に要する経費
建物の単なる購入や賃貸は対象外です。また、不正を防止する観点から、入札・相見積もりが必要です。
機械装置・システム構築費
- 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費
- 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム 等の購入・構築、借用に要する経費
- 上記と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費
機械装置又は自社により機械装置やシステムを製作・構築する場合の部品の購入に要する経費は「機械装置・システム構築費」となります。
借用とは、いわゆるリース・レンタルをいい、交付決定後に契約したことが確認できるもので、補助事業実施期間中に要する経費のみとなります。したがって、契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分が対象となります。
改良・修繕とは、本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械装置等の機能を高めることや耐久性を増すために行うものです。
据付けとは、本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械・装置の設置と一体で捉えられる軽微なものに限ります。
三者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合には、中古設備も対象になります。
技術導入費
- 本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費
知的財産権を所有する他者から取得(実施権の取得を含む)する場合は書面による契約の締結が必要となります。なお、技術導入費支出先には、専門家経費、外注費を併せて支払うことはできません。
専門家経費
- 本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
本事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合は、1日5万円を上限に、学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費を補助対象とすることができます。(謝金単価に準じるか、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得することが必要です。)
専門家経費支出対象者には、技術導入費、外注費を併せて支出することはできません。
応募申請時の認定経営革新等支援機関等に対する経費や事業計画の作成を支援した外部支援者に対する経費は、専門家経費の補助対象外となります。
専門家の謝金単価
大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師等 | 1日5万円以下 |
准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ等 | 1日4万円以下 |
運搬費
- 運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
購入する機械装置の運搬料については、機械装置・システム費に含まれます。
クラウドサービス利用費
- クラウドサービスの利用に関する経費
専ら補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォーム等の利用費であって、自社の他事業と共有する場合は補助対象となりません。具体的には、サーバーの領域を借りる費用(サーバーの物理的なディスク内のエリアを借入、リースを行う費用)、サーバー上のサービスを利用する費用等が補助対象経費となります。サーバー購入費・サーバー自体のレンタル費等は対象になりません。
サーバーの領域を借りる費用は、見積書、契約書等で確認できるものであって、補助事業実施期間中に要する経費のみとなります。したがって、契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分のみとなります。
クラウドサービス利用に付帯する経費についても補助対象となります(例:ルータ使用料・プロバイダ契約料・通信料等)。ただし、あくまでも補助事業に必要な最低限の経費が対象です。 また、パソコン・タブレット端末・スマートフォンなどの本体費用は補助対象となりません。
外注費
- 本事業遂行のために必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
外部に販売するための量産品の加工を外注する費用や、外注先が機械装置等の設備やシステム等を購入する費用は対象になりません。また、機械装置等の製作を外注する場合は、「機械装置・システム構築費」に計上します。外注先とは書面による契約を締結する必要があるほか、技術導入費、専門家経費を併せて支払うことはできません。
知的財産権等関連経費
- 新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費
国際規格認証の取得に係る経費については補助対象になりますが、日本の特許庁に納付する手数料等(出願料、審査請求料、特許料等)、拒絶査定に対する審判請求又は訴訟を行う場合に要する経費については補助対象になりません。
本事業の成果に係る発明等ではないものは、補助対象になりません。また、補助事業実施期間内に出願手続きを完了していない場合も補助対象になりません。なお、本事業で発生した知的財産権の権利は事業者に帰属します。
広告宣伝・販売促進費
- 本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費
補助事業期間内に広告が使用・掲載されること、展示会が開催されることが必要です。補助事業以外の自社の製品・サービス等の広告や会社全体のPR広告に関する経費は対象外です。
研修費
- 本事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費
教育訓練や講座受講等に係る費用の補助を希望する場合は、事業計画書中に① 研修名②研修実施主体③研修内容④研修受講費⑤研修受講者についての情報を必ず記載します。
補助事業の遂行に必要がない教育訓練や講座受講等や、研修受講以外の経費(入学金、交通費、滞在費等)は補助対象外となります。また、教育訓練給付制度など、本事業以外の国や自治体等からの教育訓練に係る補助・給付を重複して利用することはできません。
海外旅費
- 卒業枠、グローバル V 字回復枠のみ 海外事業の拡大・強化等を目的とした、本事業に必要不可欠な海外渡航及び宿泊等に要する経費
国内旅費や本事業と関係が認められない海外旅費は、補助対象になりません。交付申請時に、海外渡航の計画を予め提出することが必要です。なお、一度の渡航に随行できるのは、専門家含め2名までです。
卒業枠の場合は、事業計画期間内に「グローバル展開」を実施する場合に限ります。
一過性の支出と認められるような支出が補助対象経費の大半を占めるような場合には、本事業の支援対象にはなりません。例えば、資産性のない経費のみを計上する事業や、1つの経費区分だけに大半の経費を計上する事業等、特段の事由がある場合には、応募申請時に、その理由を明らかにした理由書を添付書類に追加して提出する必要があります。
補助対象にならない経費
- 事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費フランチャイズ加盟料
- 電話代、インターネット利用料金等の通信費(クラウドサービス利用費に含まれる付帯経費は除く)
- 商品券等の金券
- 販売する商品の原材料費、文房具などの事務用品等の消耗品代、雑誌購読料、新聞代、 団体等の会費
- 飲食、娯楽、接待等の費用
- 不動産の購入費、株式の購入費、自動車等車両(事業所内や作業所内のみで走行し、自動車登録番号がなく、公道を自走することができないものを除く)の購入費・修理費・ 車検費用
- 税務申告、決算書作成等のために税理士、公認会計士等に支払う費用及び訴訟等のため の弁護士費用
- 収入印紙
- 振込等手数料(代引手数料を含む)及び両替手数料
- 公租公課(消費税及び地方消費税額等)
- 各種保険料
- 借入金などの支払利息及び遅延損害金
- 事業計画書・申請書・報告書等の事務局に提出する書類作成・提出に係る費用
- 汎用性があり、目的外使用になり得るもの(例えば、事務用のパソコン、プリンタ、文書作成ソフトウェア、タブレット端末、スマートフォン及びデジタル複合機、家具等)の購入費
- 中古市場において広く流通していない中古機械設備など、その価格設定の適正性が明確でない中古品の購入費(三者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合等を除く)
- 事業に係る自社の人件費、旅費
- 上記のほか、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
その他留意点
海外子会社が主たる補助事業実施主体となる場合に限り、本事業で購入した機械装置等について貸与の契約を締結した上で、海外子会社に貸与することも可能です。ただし、海外子会社への貸与価格が市場価格から乖離している場合など、取引形態によっては移転価格税制等の税制上の検討が必要な場合がありますのでご注意ください。
補助対象経費は、補助事業実施期間内に補助事業のために支払いを行ったことを確認できるものに限ります(外国通貨の場合は、支払日当日の公表仲値で円換算)。支払いは、銀行振込の実績で確認を行います。(手形払等で実績を確認できないものは対象外)
採択後、交付申請手続きの際には、本事業における契約(発注)先(海外企業からの調達 を行う場合も含む)の選定にあたって、経済性の観点から、可能な範囲において相見積りを 取り、相見積りの中で最低価格を提示した者を選定(一般の競争等)します。また、単価50万円(税抜き)以上の物件等については原則として同一条件による相見積りを取ることが必要です。相見積りを取っていない場合又は最低価格を提示した者を選定していない場合には 、その選定理由を明らかにした理由書と価格の妥当性を示す書類を整備してます。市場価格とかい離している場合は認められません。したがって、申請の準備段階にて予め複数者から見積書を取得していると、採択後、速やかに補助事業を開始することができます。
補助金交付申請額の算定段階において、消費税等は補助対象経費から除外して算定します。
事業計画に対して過度な経費が見込まれているとき、価格の妥当性について十分な根拠が示されない経費があるとき、その他本事業の目的や事業計画に対して不適当と考えられる経 費が見込まれているときは、交付決定の手続きに際して、事務局から補助対象経費の見直しを求めます。
中堅企業に対する交付決定は、「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」が可決され、施行された日以降となります。
補助事業により建設した施設等の財産に対し、抵当権などの担保権を設定する場合は、設定前に、事前に事務局の承認を受けることが必要です。補助事業遂行のための必要な資金調 達をする場合に限り、担保権実行時に国庫納付をすることを条件に認められます。
申請のルール・方法
個々の事業者が連携して遂行する事業である場合は、事業計画名、連携先名、事業者名、法人番号等の必要事項を記載します。代表となる事業者が、複数の事業者の取り組みを束ねて、一つの事業計画として申請を行うこともできますが、補助上限額は一法人で申請した場合と同一であり、すべての事業者が応募要件を満たしている必要があります。
補助金額が1,000万円を超える案件では、本事業により建設した建物等の施設又は設備を対象として、次に定める付保割合を満たす保険又は共済(補助金の交付対象である施設、設備等を対象として、風水害を含む自然災害による損害を補償するもの)への加入義務を負います。このため、補助事業実績報告書提出時には、保険・共済への加入を示す書類を提出する必要があります。ただし、小規模企業者にあっては、保険又は共済加入に変わる取組を実施することでも差し支えありません。
事業規模 | 付保割合 |
---|---|
小規模企業者 | 加入推奨 (推奨付保割合30%以上) |
中小企業等 | 30%以上 |
中堅企業等 | 40%以上 |
小規模企業者・小規模事業者
業種 | 常勤従業員数 |
---|---|
製造業その他業種・宿泊業・娯楽業 | 20人以下の会社又は個人事業主 |
卸売業・小売業・サービス業 | 5人以下の会社又は個人事業主 |
不採択要件
以下に該当する事業計画である場合には、不採択又は交付取消となります。
- 本公募要領にそぐわない事業
- 具体的な事業再構築の実施の大半を他社に外注又は委託し、企画だけを行う事業
- 専ら資産運用的性格の強い事業
- 建築又は購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるような事業
- 主として従業員の解雇を通じて付加価値額要件を達成させるような事業
- 公序良俗に反する事業
- 性風俗関連特殊営業及び店舗型性風俗特殊営業
- 暴力団又は暴力団員と関係がある中小企業等による事業
- 政治団体、宗教上の組織又は団体による事業
- 重複案件
- 申請時に虚偽の内容を含む事業
- その他申請要件を満たさない事業
申請時に、性風俗関連特殊営業及び店舗型性風俗特殊営業を実施している中小企業等であっても、当該事業を停止して新たな事業を行う場合は、支援対象となります。
重複案件とは、同一法人・事業者が今回の公募で複数申請を行っている事業・テーマや事業内容から判断し、(過去又は現在の)国(独立行政法人等を含む)が助成する他の制度(補助金、委託費、固定価格買取制度等)と同一又は類似内容の事業他の法人・事業者と同一又は類似内容の事業である場合をいいます。
他の法人・事業者と同一又は酷似した内容の事業を故意又は重過失により申請した場合、次回以降の公募への申請ができなくなりますので、十分ご注意ください。
申請の方法
中小企業向け補助金総合支援サイト ミラサポplus(外部リンク)の「電子申請サポート」で事業財務情報を作成の上、ブラウザの印刷機能でPDF出力して提出します。
GビズIDプライム
申請にはjGrants(電子申請システム)での受付を予定しています。GビズIDプライムアカウントの発行には3週間以上を要する場合があるので、補助金のご活用をお考えの方は、早めのID取得をお勧めします。
事業再構築補助金の申請方法について
認定支援機関
認定支援機関とは、正式には「認定経営革新等支援機関」といい、中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるための専門知識や実務経験を公的に認定された支援機関です。 具体的には次のような機関等が、主な支援機関として認定されています。
- 商工会議所
- 商工会
- 中小企業診断士
- 税理士
- 公認会計士
- 弁護士
- 金融機関
まとめ
歴史を紐解けば時代ごとに文化があり、生活様式があり、規範があり、仕事があります。人は本質的に変化することを恐れます。しかし、長引くコロナの影響によって時代そのものが転換の必要に迫られていることもまた事実です。本稿でご紹介した事業再構築補助金は、まさに転換を手助けするための施策ですが、何よりも重要なことはしっかり将来を見据えた綿密な事業計画を策定することです。弊所でも前向きに事業を構築しようとされる皆さまを引き続き積極的に支援したいと考えております。