診療所・病院に係る医療の広告に関するガイドラインについて
医療は人の生命・身体に関わる極めて専門性の高いサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害が他の分野に比べ著しく、また、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であることから、限定的に認められた事項以外は、原則として広告が禁止されています。
規制の根拠は医療法(以下、法)にありますが、厚生労働省では、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」を定め、広告の適正化を図っています。
そこで本稿では、医療広告ガイドラインにおいて定められている医療に関する広告の規制内容及びその趣旨について、詳しく解説していきたいと思います。
目 次
- 1 広告の定義
- 2 広告規制の対象者
- 3 広告可能な事項
- 3.1 医療機能情報提供制度との関係
- 3.2 広告可能な事項の表現方法
- 3.3 病院又は診療所の名称等
- 3.4 診療日若しくは診療時間又は予約による診療の実施の有無
- 3.5 法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である旨
- 3.6 地域医療連携推進法人の参加病院等である旨
- 3.7 病院又は診療所の構造設備・人員配置に関する事項
- 3.8 医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの
- 3.9 病院又は診療所の管理又は運営に関する事項
- 3.10 病院又は診療所と保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携に関する事項
- 3.11 病院又は診療所における医療に関する情報の提供に関する事項
- 3.12 病院又は診療所において提供される医療の内容に関する事項
- 3.13 医療の提供の結果に関する事項
- 3.14 その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項
- 3.15 医療に関する内容に該当しない事項
- 4 診療科名
- 5 禁止される広告
- 6 広告可能事項の限定解除
- 7 まとめ
広告の定義
そもそも規制の対象となる「医療に関する広告」とは、以下のいずれの要件も満たすものを指します。
- 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
- 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
ここでいう「誘引性」とは、情報物の客体の利益を期待して誘引しているか否かにより判断され、例えば新聞記事は、特定の病院等を推薦している内容であったとしても、「誘引性」の要件を満たさないものとして取り扱われます。ただし、病院等が自らのウェブサイト等に掲載する治療等の内容又は効果に関する体験談については広告に該当します。
また、「特定性」とありますが、複数の提供者又は医療機関を対象としている場合も広告に該当することになります。
実質的に広告と判断されるもの
以下の例のように、広告規制の対象となることを避ける意図をもって、外形的に広告には該当しないものであるかのような表現を行うことについても、実質的には「医療に関する広告」の要件を満たすものとして取り扱われことがあります。
- 「これは広告ではありません。」や、「これは、取材に基づく記事であり、患者を誘引するものではありません。」との記述があるが、病院名等が記載されているもの
- 「医療法の広告規制のため、具体的な病院名は記載できません。」といった表示をしているが、住所、電話番号及びウェブサイトのアドレス等から病院等が特定可能であるもの
- 治療法等を紹介する書籍、冊子及びウェブサイトの形態をとっているが、特定(複数の場合も含む)の病院等の名称が記載されていたり、電話番号やウェブサイトのアドレスが記載されていることで、一般人が容易に病院等を特定できる等のような場合であって、実質的に広告の要件をいずれも満たすもの
また、新しい治療法等に関する書籍等に「治療法に関するお問い合わせは、○○研究会へ」等と掲載されており、直接的には病院等が特定されない場合であっても、連絡先が記載されている「○○研究会」や出版社に問い合わせると特定の医療機関(複数の場合も含む)をあっせん等していることが認められる場合には、いわゆるタイアップ本やバイブル本と呼ばれる書籍や記事風広告と呼ばれるものとして、広告として取り扱われることがあります。
加えて、患者等に広告と気付かれないように行われる、いわゆるステルスマーケティング等についても、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼している等の事情があれば、実質的には「医療に関する広告」の要件を満たすものとして取り扱われことがあります。
暗示的又は間接的な表現の扱い
医療に関する広告については、直接的に表現しているものだけではなく、情報物を全体でみた場合に、暗示的や間接的に医療に関する広告であると一般人が認識し得るものも含まれます。
例えば次のようものは、医療に関する広告に該当するため、広告可能とされていない事項や虚偽・誇大広告等に該当する場合には認められません。
名称又はキャッチフレーズにより表示するもの | アンチエイジングクリニック又は(単に)アンチエイジング | アンチエイジングは診療科名として認められておらず、また、公的医療保険の対象や医薬品医療機器等法上の承認を得た医薬品等による診療の内容ではなく、広告としては認められない。 |
最高の医療の提供を約束! | 「最高」は最上級の比較表現であり、認められない。 | |
写真、イラスト、絵文字によるもの | 病院の建物の写真 | 病院の写真であれば広告可能であるが、他の病院の写真は認められない。 |
病人が回復して元気になる姿のイラスト | 効果に関する事項は広告可能な事項ではなく、また、回復を保障すると誤認を与えるおそれがあり、誇大広告に該当するので、認められない。 | |
新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、体験談などを引用又は掲載することによるもの | 新聞が特集した治療法の記事を引用するもの | 法第6条の5第3項第12号で認められた「治療の内容」の範囲であり、改善率等の広告が認められていない事項が含まれていない場合には、引用可能である。 |
雑誌や新聞で紹介された旨の記載 | 自らの医療機関や勤務する医師等が新聞や雑誌等で紹介された旨は、広告可能な事項ではないので、広告は認められない。 | |
専門家の談話を引用するもの | 専門家の談話は、その内容が保障されたものと著しい誤認を患者等に与えるおそれがあるものであり、広告可能な事項ではない。また、医薬品医療機器等法上の未承認医薬品を使用した治療の内容も、広告可能な事項ではなく、広告は認められない。 | |
病院等のウェブサイトのURLやEメールアドレス等によるもの | www.gannkieru.ne.jp | ガン消える(gannkieru)とあり、癌が治癒することを暗示している。治療の効果に関することは、広告可能な事項ではなく、また、治療を保障している誇大広告にも該当し得るものであり、認められない。 |
nolhospi@xxx.or.jp | 「nolhospi」の文字は、「No.1Hospital」を連想させ、日本一の病院である旨を暗示している。「日本一」等は、比較優良広告に該当するものであり、認められない。 |
医療に関する広告とは見なされないもの
下表に該当するものについては、通常は「誘引性」を有さないことから、社会通念上広告とは見なされません。ただし、実態として「誘引性」を確認することができるものについては、広告として取り扱われることがあります。
学術論文、学術発表等 | 学会や専門誌等で発表される学術論文、ポスター、講演等は、「誘引性」を有さないため、社会通念上、広告と見なされることはない | 学術論文等を装いつつ、不特定多数にダイレクトメールで送る等により、実際には特定の医療機関(複数の場合を含む)に対する患者の受診等を増やすことを目的としていると認められる場合には、「誘引性」を有するものと判断される |
新聞や雑誌等での記事 | 新聞や雑誌等での記事は、通常「誘引性」を有さないため、原則として広告に該当しない | 費用を負担して記事の掲載を依頼することにより患者等を誘引する記事風広告は、「誘引性」が明白であることから広告規制の対象となる |
患者等が自ら掲載する体験談、手記等 | 実際の体験に基づいてA病院を推薦する手記を個人Xが作成し、出版物やしおり等により公表した場合や口頭で評判を広める場合には、個人XがA病院を推薦したにすぎず、「誘引性」の要件を満たさないため広告とは見なされない | A病院からの依頼に基づく手記であったり、A病院から金銭等の謝礼を受けている若しくはその約束がある場合、又はXがA病院の経営に関与する者の家族等である場合であって病院の利益のためと認められる場合には、「誘引性」を有するものとして取り扱われる |
院内掲示、院内で配布するパンフレット等 | 院内掲示、院内で配布するパンフレット等はその情報の受け手が、既に受診している患者等に限定されるため、誘引性を満たすものではなく、情報提供や広報と解される | ― |
医療機関の職員募集に関する広告 | 医療機関に従事する職員の採用を目的とした求人広告は、通常、医療機関の名称や連絡先等が記載されているが、医療機関への受診を誘引するものではないことから、医療に関する広告には該当しない | ― |
広告規制の対象者
法第6条の5第1項において、規制対象を「何人も」としているように、医師若しくは歯科医師又は病院等の医療機関だけではなく、マスコミ、広告代理店、アフィリエイター、患者又は一般人等も広く広告規制の対象となります。
また、日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者等による広告(海外から発送されるダイレクトメールやEメール等)も規制の対象となります。
広告媒体との関係
広告依頼者から依頼を受けて、広告を企画・制作する広告代理店や広告を掲載する新聞、雑誌、テレビ、出版等の業務に携わる者及びアフィリエイターは、依頼を受けて広告依頼者の責任により作成又は作成された広告を掲載、放送等するに当たっては、広告の内容が虚偽誇大なもの等、法やガイドラインに違反する内容となっていないか十分留意する必要があり、違反等があった場合には、広告依頼者とともに指導等の対象となる場合があります。
なお、広告の規制対象となる媒体の具体例としては、チラシ、パンフレットその他これらに類似する物によるもの(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む)や、ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む)、ネオンサイン、アドバルーンその他これらに類似する物によるもの等が考えられます。
広告可能な事項
法及び「医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項」により、医療に関する広告として広告可能な事項は、以下の事項に限定されています。
- 医師又は歯科医師である旨(外国における医師又は歯科医師である旨を除く)
- 診療科名
- 病院又は診療所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項並びに病院又は診療所の管理者の氏名
- 診療日若しくは診療時間又は予約による診療の実施の有無
- 法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である旨
- 法第5条の2第項の認定を受けた医師である旨
- 地域医療連携推進法人の参加病院等である旨
- 入院設備の有無、病床の種別ごとの数、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者の員数その他の病院又は診療所における施設、設備又は従業者に関する事項
- 病院又は診療所において診療に従事する医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の氏名、年齢、性別、役職及び略歴
- 一般社団法人日本専門医機構又は一般社団法人日本歯科専門医機構が行う医師又は歯科医師の専門性に関する認定を受けた旨(基本的な診療領域に係るものに限る)
- 研修体制、試験制度その他の事項に関する基準に適合するものとして厚生労働大臣に届け出た団体が行う薬剤師、看護師その他の医療従事者(医師及び歯科医師を除く)の専門性に関する認定を受けた旨
- 学術団体として法人格を有していること
- 会員数が1,000人以上であり、かつ、その8割以上が認定に係る医療従事者であること
- 一定の活動実績を有し、かつ、その内容を公表していること
- 外部からの問い合わせに対応できる体制が整備されていること
- 認定に係る医療従事者の専門性に関する資格の取得条件を公表していること
- 資格の認定に際して、薬剤師においては5年以上、看護師その他の医療従事者においては3年以上の研修の受講を条件としていること
- 資格の認定に際して適正な試験を実施していること
- 資格を定期的に更新する制度を設けていること
- 会員及び資格を認定した医療従事者の名簿が公表されていること
- 患者又はその家族からの医療に関する相談に応ずるための措置、医療の安全を確保するための措置、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置その他の当該病院又は診療所の管理又は運営に関する事項
- 紹介をすることができる他の病院若しくは診療所又はその他の保健医療サービス若しくは福祉サービスを提供する者の名称、これらの者と病院又は診療所との間における施設、設備又は器具の共同利用の状況その他の当該病院又は診療所と保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携に関する事項
- 診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報の提供、第6条の4第3項に規定する書面の交付その他の当該病院又は診療所における医療に関する情報の提供に関する事項
- 診療報酬の算定方法に規定する検査、手術その他の治療の方法
- 厚生労働大臣の定める評価療養、患者申出療養及び選定療養に規定する検査、手術その他の治療の方法
- 分娩
- 医療保険各法等の給付の対象とならない検査、手術その他の治療の方法のうち、上記の方法と同様の検査、手術その他の治療の方法(医療保険各法等の給付の対象とならない旨及び標準的な費用を併記する場合に限る)
- 医療保険各法等の給付の対象とならない検査、手術その他の治療の方法のうち、薬機法に基づく承認若しくは認証を受けた医薬品、医療機器又は再生医療等製品を用いる検査、手術その他の治療の方法(医療保険各法等の給付の対象とならない旨及び標準的な費用を併記する場合に限る)
- 病院又は診療所で行われた手術の件数(上記の手術に係るものに限る)
- 病院又は診療所で行われた分娩の件数
- 患者の平均的な入院日数
- 在宅患者、外来患者及び入院患者の数
- 平均的な在宅患者、外来患者及び入院患者の数
- 平均病床利用率
- 治療結果に関する分析を行っている旨及び当該分析の結果を提供している旨
- セカンドオピニオンの実績
- 患者満足度調査を実施している旨及び当該調査の結果を提供している旨
- 健康保険病院、健康保険診療所、社会保険病院又は社会保険診療所である旨
- 船員保険病院又は船員保険診療所である旨
- 国民健康保険病院又は国民健康保険診療所である旨
- 法令の規定又は国の定める事業を実施する病院又は診療所である旨
- 病院又は診療所における医療従事者以外の従業者の氏名、年齢、性別、役職及び略歴
- 健康診査の実施
- 保健指導又は健康相談の実施八予
- 防接種の実施
- 薬機法第2条第17項に規定する治験に関する事項
- 介護保険法に基づく介護サービスを提供するための事業所若しくは施設又は法第42条第1項各号(第3号を除く)に掲げる業務(医療法人の付帯業務)を専ら行うための施設であり、かつ、病院又は診療所の同一敷地内に併設されているものの名称及び提供する介護サービス又は医療法人の付帯業務
- 患者の受診の便宜を図るためのサービス
- 厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法に基づく機能評価係数Ⅱにおいて公表した場合に評価される病院情報
- 開設者に関する事項
- 外部監査を受けている旨
- 財団法人日本医療機能評価機構が行う医療機能評価の結果(個別の審査項目に係るものを含む)
- 財団法人日本医療機能評価機構が定める産科医療補償制度標準補償約款と同一の産科医療補償約款を定め、それに基づく補償を実施している旨
- 財団法人日本適合性認定協会の認定を受けた審査登録機関に登録をしている旨
- Joint Commission Internationalが行う認定を取得している旨(個別の審査項目に係るものを含む)
- 保健師助産師看護師法第37条の2第2項第1号に規定する特定行為を同項第2号に規定する手順書により行う看護師が実施している特定行為に係る業務の内容
- その他都道府県知事の定める事項
これらは患者の治療選択等に資する情報であることを前提とし、医療の内容等については、客観的な評価が可能であり、かつ事後の検証が可能であることを求められます。
医療機能情報提供制度との関係
医療機能情報提供制度の対象となる事項については、専門外来を除いて医療に関する広告としても、原則として広告可能な事項です。ただし、都道府県が独自に報告を求める事項については、法又は広告告示で広告可能な事項として定められていない場合には広告することはできません。
広告可能な事項の表現方法
広告の手段法又は広告告示により広告が可能とされた事項については、文字だけではなく、写真、イラスト、映像、音声等による表現のほか、社会一般で用いられていたり、広告の対象となる地域において、正確な情報伝達が可能である場合には、略号、記号(☎)、マーク又は地域で定着していると認められる病院等の略称(大学病院、中央病院等)を使用することに差し支えはありません。
また、広告可能な治療の方法等については、正確な情報が提供され、患者やその家族あるいは住民自身によるその選択を支援する観点から、患者等の情報の受け手側の理解が可能となるように分かりやすい表現を使用したり、その説明を加えることが認められています。
例えば「人工透析」について、診療報酬点数表等にある「人工腎臓」や「血液透析」等との表現に加え、一般に用いられている「人工透析」の表現も広告可能です。
病院又は診療所の名称等
病院又は診療所の名称は、正式な名称だけではなく、その医療機関であることが認識可能な略称や英語名についても、可能とされています。病院又は診療所のマークや名称が記載された看板の写真についても特に問題ありません。
広告することができる電話番号には、ファクシミリ番号も含まれ、フリーダイヤルである旨や電話の受付時間等についても、「患者の受診の便宜を図るためのサービス」として広告することができます。
また、病院又は診療所の所在の場所を表示する事項には、住所、郵便番号、最寄り駅等からの道順、案内図、地図等が含まれます。
診療日若しくは診療時間又は予約による診療の実施の有無
診療日又は診療時間診療日及び診療時間は患者等に対し、提供するべき情報であることから、可能な限り医療に関する広告においても記載するのが望ましいものとされています。「午前宅診・午後往診」との記載、診療日を明示せず休診日を明示すること、「平日○○時~○○時予約受付」、「24時間予約受付」等予約時間を併せて示すこと、予約を受け付ける電話番号、ウェブサイトのURL、Eメールアドレス等を示すこと等は特に差し支えありません。
また、選定療養としての予約診療の場合には、その制度、負担費用等についても、併せて示すことが望ましいものとされています。
法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である旨
法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である旨については、指定を受けた旨や法令における名称、それらの略称を示すこと、「○○医療機関」として指定を受けた病院又は診療所が、「○○病院」又は「○○診療所」と示すこと、指定を受けた医師又は歯科医師の氏名を示すことができます。
また、虚偽広告や治療効果等の広告が認められていない事項とならない限り、指定を受けた制度に関する説明を併せて示すことは差し支えありません。
以下に従来より認められている事項を中心にして掲載しますが、ここに掲載していないものであっても、法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である場合には、その旨を広告することができます。
保険医療機関である旨 | 健康保険法による指定を受けた旨を広告できるものであること |
労災保険指定病院、労災保険指定診療所、労災保険二次健診等給付病院又は労災保険二次健診等給付診療所である旨 | 労働者災害補償保険法施行規則による指定を受けた旨を広告できるものであること |
母体保護法指定医である旨 | 母体保護法による指定を受けた旨を広告できるものであること |
臨床研修指定病院、歯科医師臨床研修指定病院又は歯科医師臨床研修指定診療所である旨 | 医師法又は歯科医師法による指定を受けた旨を広告できるものであること |
身体障害者福祉法指定医である旨 | 身体障害者福祉法による指定を受けた旨を広告できるものであること |
精神保健指定医、指定病院又は応急入院指定病院である旨 | 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律による指定を受けた旨を広告できるものであること |
生活保護法指定医療機関である旨 | 生活保護法による指定を受けた旨を広告できるものであること |
指定養育医療機関である旨 | 母子保健法による指定を受けた旨を広告できるものであること |
戦傷病者特別援護法指定医療機関である旨 | 戦傷病者特別援護法による指定を受けた旨を広告できるものであること |
外国医師臨床修練指定病院等である旨 | 外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第17条等の特例等に関する法律による指定を受けた旨を広告できるものであること |
被爆者指定医療機関又は被爆者一般疾病医療機関である旨 | 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律による指定を受けた旨を広告できるものであること |
指定自立支援医療機関である旨 | ①障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律による指定を受けた旨を広告できるものであること ②「指定自立支援医療機関(育成医療)」、「指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)」、「指定自立支援医療機関(精神通院医療)」等のように、指定を受けた内容が育成医療、更生医療又は精神通院医療のいずれであるのかを示す必要があること ③いずれの指定も受けている場合には、単に「指定自立支援医療機関」とすることで差し支えないこと |
特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関、第二種感染症指定医療機関又は結核指定医療機関である旨 | 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症予防法)による指定を受けた旨を広告できるものであること |
指定居宅サービス事業者、指定介護予防サービス事業者又は指定介護療養型医療施設である旨 | 介護保険法による指定を受けた旨を広告できるものであること |
指定療育機関である旨 | 児童福祉法による指定を受けた旨を広告できるものであること |
依存症専門医療機関又は依存症治療拠点機関である旨 | ①「依存症専門医療機関及び依存症治療拠点機関の整備について」による選定を受けた旨を広告できるものであること ②「依存症専門医療機関(アルコール健康障害)」、「依存症専門医療機関(薬物依存症・ギャンブル等依存症)」等のように、選定基準を受けた内容がアルコール健康障害、薬物依存症又はギャンブル等依存症のいずれであるのかを示す必要があること |
看護師特定行為研修指定研修機関である旨 | 保健師助産師看護師法による指定を受けた旨を広告できるものであること |
地域医療連携推進法人の参加病院等である旨
地域医療連携推進法人の参加病院等である場合は、参加する地域医療連携推進法人名や参加している旨のほか、地域医療連携推進法人に参加する病院等の数や名称についても広告することができます。
病院又は診療所の構造設備・人員配置に関する事項
病院又は診療所の構造設備・人員配置に関する事項として、入院設備の有無、病床の種別ごとの数、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者の員数その他の病院又は診療所における施設、設備又は従業者に関する事項を示すことができます。
ここでは、病床の種別、病棟又は診療科(広告が可能な診療科名に限る)等ごとの病床数、人数や配置状況についても広告することができるほか、医療従事者以外の従業員の人数や配置状況についても示すことができます。
施設の概要 | 敷地面積、建築面積、床面積(延床、病棟別、階層別等)、階層数(地上○階、地下○階等)、患者や面会者の使用できるエレベーター等の数、設計者・施工者の名称、免震構造や耐震構造である旨、工法、工期、竣工日、病棟配置図、院内案内図その他の病院又は診療所の施設に関することで、客観的な事実として検証可能な事項について、広告が可能であること(敷地内の写真、建物の外観又は内装を撮影した写真や映像等についても、広告して差し支えないこと) |
入院設備の有無 | 病床の種類、病棟、診療科別(広告が可能な診療科名に限る)等の入院設備の有無も差し支えないこと |
病床の種別ごとの数(病床数)又は病室数 | 病室の種類、病棟、診療科別(広告が可能な診療科名に限る)等の数を広告しても差し支えないこと |
保有する施設設備に関する事項 | 手術室、集中治療室(ICU)、新生児用集中治療室(NICU)、患者搬送車(ヘリコプターを含む)等の有無、数又はその面積等について広告が可能であること(これらの施設設備については、病院等の事情により、患者を受け入れられない状況も予想されることから、いつでも利用可能と誤認を与えるおそれがある表現は認められない) |
病室、機能訓練室、談話室、食堂、浴室又は院内売店その他の設備に関する事項 | これらの設備についての有無、数、広さ、空調状況、利用可能時間、費用又は設置年月日等を広告しても差し支えないこと(構造設備で実施される「医療の内容」に関することを広告する場合には、医療の内容に関して広告可能な事項の範囲に限られるものであること) |
障害者等に対する構造上の配慮 | バリアフリー構造、院内点字ブロック、点字表示又は音声案内設備等の有無等を広告できるものであり、車椅子利用者、視覚障害者等への配慮をした構造である旨を示すことも差し支えないこと |
据え置き型の医療機器等の機械器具の配置状況 | ①画像診断装置や放射線治療器等の医療機器又は空気清浄機等の医療機器以外の機械器具の配置状況について、一般的な名称(例:MRI、CT等)、それらの写真・映像、導入台数又は導入日等について、広告することは可能であること ②未承認医療機器については、その販売・授与等にかかる広告が禁じられているほか、承認又は認証されている医療機器であっても、「医薬品等適正広告基準」により、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告は行わないものとされていることに鑑み、医療機器が特定可能となる販売名や型式番号については、広告は行わないものとすること ③医療機器の使用に関することを広告する際には、医療の内容に関して広告可能な事項の範囲に限られるものであること |
病院又は診療所の従業者の人員配置 | ①従業者の人数、患者数に対する配置割合等を広告可能であること ②性別や職種別、病床、病棟又は診療科(広告が可能な診療科名に限る)等ごとの人数や配置状況についても広告して差し支えないこと ③医療従事者以外の従業員の人数や配置状況についても示すことができるものであること ④人数や配置割合については、時期によって変動する数値であることから、いつの時点での数値であるのかを歴月単位で併記すること ⑤広告された内容(従業員数又は患者数に対する配置割合等)の正否が容易に検証できるようその広告された数値について、ウェブサイトや年報等の住民に周知できる方法により公表しておくこと ⑥広告したこれら従業員の人数や配置状況について、広告した時点での数値と現在の実態に大きな乖離が認められることがないよう、広告に示す数値は適宜、少なくとも年に1度は更新すること ⑦従業員の氏名、年齢、性別、役職又は略歴という人物に関する事項は広告可能であること |
医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの
医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるものについて広告可能な事項は、「病院又は診療所において診療に従事する医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の氏名、年齢、性別、役職及び略歴」及び「研修体制、試験制度その他の事項に関する基準に適合するものとして厚生労働大臣に届け出た団体が行う医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の専門性に関する認定を受けた旨」に限られます。
①病院又は診療所において診療に従事する医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の氏名、年齢、性別、役職及び略歴
医療従事者の範囲 | ①氏名、年制、性別等が広告可能となる医療従事者とは、法律により厚生労働大臣又は都道府県知事の免許を受けた医療従事者とし、民間資格の取得者、免許を取得していない者又は免許停止の処分を受けている期間中である者については広告することができないこと ②医療従事者の具体的な範囲は、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、義肢装具士、診療放射線技師、臨床検査技師、衛生検査技師、臨床工学技士、歯科衛生士、歯科技工士、救急救命士、管理栄養士及び栄養士とすること |
病院又は診療所において診療に従事する医療従事者の氏名、年齢、性別 | ①非常勤の医療従事者については、常時勤務する者と誤解を与えないよう、非常勤である旨や勤務する日時(「火曜と木曜の午後」等)を示せば差し支えないものとすること ②常時勤務する者以外について、常時勤務している者であるかのように誤認を与える広告については、誇大広告として扱うことが適当であること |
病院又は診療所において診療に従事する医療従事者の役職 | 「院長」、「副院長」、「外科部長」、「薬剤部長」、「看護師長」又は「主任」等の当該病院又は診療所における役職を意味するものであり、学会や職能団体等における役職については、次の略歴に含まれるものであること |
病院又は診療所において診療に従事する医療従事者の略歴 | ①医師又は歯科医師等の医療従事者としての経歴を簡略に示すものとして、生年月日、出身校、学位、免許取得日、勤務した医療機関(診療科(広告が可能な診療科名に限る)、期間を含む)等について、一連の履歴を総合的に記載したものを想定したものであること ②記載する事項は、社会的な評価を受けている客観的な事実であってその正否について容易に確認できるものであり、専門医や認定医等の資格の取得等は含まれないものとして取り扱うこと ③研修については、研修の実施主体やその内容が様々であり、医療に関する適切な選択に資するものとそうではないものの線引きが困難であることから、広告可能な事項とはされておらず、広告が認められていない事項であることに留意すること |
②医療従事者の専門性に関する認定を受けた旨
次に掲げる研修体制、試験制度その他の事項に関する基準に適合するものとして厚生労働大臣に届け出た団体が行う医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の専門性に関する認定を受けた旨を広告することができます。
専門性資格 | ①広告告示第1条第2号イからリに掲げる基準を満たす団体が厚生労働大臣に届出を行った場合は、その団体が認定するいわゆる専門医等の資格を有する旨を広告しても差し支えないこと ②専門性に関する認定を受けた旨を広告可能とする医療従事者の範囲は、法律により厚生労働大臣の免許を受けた医療従事者とし、具体的には、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、義肢装具士、診療放射線技師、臨床検査技師、衛生検査技師、臨床工学技士、歯科衛生士、歯科技工士、救急救命士及び管理栄養士とすること ③届出の受理の際、広告告示に定める基準の審査に当たっては、専門医等の資格の客観性を担保するため、医学医術に関する団体を始めとする医療従事者の専門性に関する職種に関する学術団体等から、意見を聴取することとしていること ④専門性の資格の広告が可能であるのは、医療機関に常時従事する医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者についてだけではなく、非常勤の医師等の医療従事者についても広告可能とするが、常時勤務する者と誤解を与えないよう、非常勤である旨や勤務する日時を示せば差し支えないものとすること ⑤常時勤務する者以外について、常時勤務している者であるかのように誤認を与える広告については、誇大広告として扱うことが適当であること ⑥厚生労働大臣が届出を受理した場合には、厚生労働省は、団体名及び団体が認定する専門性の資格名の一覧を各都道府県あてに通知するとともに、厚生労働省ホームページ(www.mhlw.go.jp)により公表すること ⑦実際の広告の形態は、主に次に示すようなものを想定しており、専門性の認定を行った団体を明記すること。(医師○○○○(○○学会認定○○専門医)、薬剤師○○○○(○○学会認定○○専門薬剤師) ⑧専門性の資格は、各関係学術団体が認定するものであるので、例えば、「厚生労働省認定○○専門医」等は虚偽広告として取り扱われ、単に「○○専門医」との標記も誤解を与えるものとして誇大広告に該当すること ⑨団体による厚生労働大臣への届出は、申請書により必要な添付書類を添えて、医政局総務課に提出を行うこと |
専門性資格を認定する団体の基準 | ①法人格の種類については、民法第34条に規定する社団法人又は財団法人に限るという趣旨ではなく、特定非営利活動促進法に基づく特定非営利活動法人等であっても差し支えないこと ②資格を認定する団体の会員数の算定に際しては、団体が定める正会員に限る取扱いとし、準会員、賛助会員等は含めないこと ③会員数の8割以上が認定に係る医療従事者でなければならないこと ④「一定の活動実績」は、5年相当の活動実績として取り扱うこと ⑤「一定の活動実績」の内容の公表については、ウェブサイト、年報等広く国民に周知できる方法によって行わなければならないこと ⑥外部から団体が認定した専門性資格に関する問い合わせを行う場合の連絡先が明示されており、かつ、問い合わせに明確に対応できる担当者(兼任でも可)を置く等の事務局体制が確保されていること ⑦資格の取得要件の公表については、ウェブサイト、年報等広く国民に周知できる方法によって行わなければならないこと ⑧医師、歯科医師又は薬剤師については5年間、看護師その他の医療従事者については3年間の研修を実施することとされているが、すべての期間の研修について、必ずしも専門性資格の認定を行う団体自らが行う必要はないこと ⑨外部の研修を利用する場合は、団体自らが行う研修と外部の研修とが有機的に連携されたものとなるように配慮されたものである必要があること ⑩資格の認定は、医療従事者の専門性を判断するのに十分な内容及び水準の公正な試験により実施されている必要があること ⑪認定を受けた医療従事者の専門性を担保するため、専門性資格の認定を行った医療従事者に対し、原則として少なくとも5年に1度は資格を更新しなければならないこととすること ⑫更新の際には、適宜、その専門性を確認できるよう努めること ⑬団体の会員名簿(氏名のみが掲載されているもので可)及び専門性の資格認定を受けた者の名簿(氏名のみが掲載されているもので可)の双方が、ウェブサイト、年報等広く国民に周知できる方法により公表されていること |
病院又は診療所の管理又は運営に関する事項
病院又は診療所の管理又は運営に関する事項として、「患者又はその家族からの医療に関する相談に応ずるための措置、医療の安全を確保するための措置、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置その他の病院又は診療所の管理又は運営に関する事項」を広告することができます。
以下に例示するもののほか、病院又は診療所の管理又は運営に関する事項については、客観性・正確性を確保し得る事項であれば、広告することができます。
休日又は夜間における診療の実施 | 休日又は夜間における診療の受付又は問い合わせのための電話番号等の連絡先を併せて示しても差し支えないこと |
診療録を電子化している旨 | いわゆる電子カルテ(診療情報を電子化し保存更新するシステム)を導入している旨を広告できるものであること |
セカンドオピニオンの実施に関すること | ①診療に関して、他の医師又は歯科医師の意見を求めるいわゆるセカンドオピニオンについて、その内容について説明し、患者が希望したときの受入れ又は患者に対する他の医師又は歯科医師の紹介などの協力体制を取っているかについて、広告できるものであること ②費用や予約の受付に関することについても広告して差し支えないこと |
医療機関内に患者からの相談に適切に応じる体制を確保している旨 | 医療機関内に患者相談窓口及び担当者(兼任でも可)を設け、患者、家族等からの苦情、相談に応じられる体制を確保していることを意味するものであること |
医療機関内での症例検討会を開催している旨 | ①症例検討会については、定期的に実施しているものであり、医療機関内のスタッフが可能な限り参画したものである必要があること ②臨床病理検討会の開催の有無、予後不良症例に関する院内検討体制の有無についてや、それらの開催頻度や構成メンバー等についても広告可能であるが、その内容については、広告可能な治療の内容を逸脱してはならないこと |
医療の安全を確保するための措置 | ①医療機関内での医療の安全を確保するための措置として、安全管理のための指針の整備、安全管理のための医療事故等の院内報告制度の整備、安全管理のための委員会の開催、安全管理のための職員研修の開催等について、それらを実施している旨や開催頻度等について広告が可能であること ②院内感染の防止に関することも広告して差し支えないこと ③「医療の安全を保障します」や「万全の安全管理体制」等の広告は、客観的な事実として評価ができない表現であるため、誇大広告であり認められないこと |
個人情報の適正な取扱いを確保するための措置 | 医療機関での個人情報の保護ポリシー、個人情報の保護に関する従業者に対する教育訓練の実施状況、漏えい防止のためのソフトウェアを導入している旨等について、広告可能であること |
平均待ち時間 | ①前年度等の実績から、外来患者の受付から診療を始めるまでの待ち時間について、診療科別(広告が可能な診療科名に限る)や曜日別等に広告可能であること ②広告した平均待ち時間と実際の待ち時間に乖離が生じないように、広告する平均待ち時間については、適宜更新すること |
開設日、診療科別の診療開始日 | 医療機関の開設日や診療科別(広告が可能な診療科名に限る)の診療開始日について広告可能であること |
病院又は診療所と保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携に関する事項
「紹介をすることができる他の病院若しくは診療所又はその他の保健医療サービス若しくは福祉サービスを提供する者の名称、これらの者と病院又は診療所との間における施設、設備又は器具の共同利用の状況その他の病院又は診療所と保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携に関する事項」については、紹介可能な他の医療機関や保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者の名称、共同で利用する設備又は医療機器等の他の医療機関や介護保険サービス事業者等との連携に関することを広告することができます。
紹介可能な他の病院又は診療所の名称 | ①名称の他に所在地や連絡先等を併せて示すことも差し支えないこと ②網羅的に列挙する必要はないこと |
紹介可能な保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者の名称 | ①紹介可能な他の指定居宅サービス事業者、介護老人保健施設等の介護保険サービス事業者等の名称について、広告できるものであること ②事業者の事務所や施設の所在地や連絡先等を併せて示すことも差し支えないこと |
共同利用をすることができる医療機器に関する事項 | ①他の医療機関の医療機器を共同利用している医療機関において、共同利用を行っている旨として、利用できる医療機関名、医療機器の一般的名称、その写真等を広告できるものであること ②共同利用をしている医療機器を設置している医療機関においても、同様の広告が可能であること ③医薬品医療機器等法の広告規制の趣旨に鑑み、承認又は認証を得た医療機器に限定するとともに、販売名や販売名が特定される型番は広告しないこととすること ④範囲を逸脱する使用法や診断率、治癒率、施術後の生存率等の治療の効果に関する事項は、広告可能な事項とはされておらず、広告が認められないことに留意すること |
紹介率又は逆紹介率 | ①他の医療機関との連携に関する事項として、紹介率又は逆紹介率についても、広告して差し支えないこととするが、広告された内容(紹介率又は逆紹介率)の正否が容易に検証できるよう、算定式と算定に使用した患者数等について、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること ②算定式は、別に示されている地域医療支援病院の紹介率等の算定式を活用することを基本とするが、特定機能病院においては省令に規定された算定式によること |
病院又は診療所における医療に関する情報の提供に関する事項
診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報の提供、書面の交付その他の病院又は診療所における医療に関する情報の提供に関する事項」については、医療に関する情報提供に関して、その内容、提供方法又は実績等について、広告することができます。
ウェブサイトのアドレス、電子メールアドレス | 情報伝達手段として、ウェブサイトのアドレス(URL)や電子メールアドレスのほか、QRコードによる広告も差し支えないこと |
入院診療計画書の提供 | 病名、症状、推定される入院期間、予定される検査及び手術の内容並びにその日程、その他入院に関し必要な事項が記載された総合的な診療計画(地域連携クリティカルパスを含む)を提供する旨や提供方法等を広告可能であること |
退院療養計画書の提供 | 患者の退院時に、退院後の療養に必要な保健医療サービス又は福祉サービスに関する事項を記載した療養計画書(地域連携クリティカルパスを含む)を提供する旨や提供方法等を広告可能であること |
診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報の提供 | 診療録その他の諸記録に係る情報について、その開示等の手続きに関する事項、相談窓口の連絡先、提供の実績等を広告可能であること |
病院又は診療所において提供される医療の内容に関する事項
「病院又は診療所において提供される医療の内容に関する事項(検査、手術その他の治療の方法については、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるものに限る)」については、「検査、手術その他の治療の方法」に関しては、保険診療等の医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして広告告示で定めた事項に限定して広告可能であるものであり、往診の実施に関すること等その他の医療の内容については、広く広告が可能とされています。
検査、手術その他の治療の方法検査、手術その他の治療の方法については、下表のいずれかに該当するものについて、広告可能とされ、また、診療報酬点数表やその関連通知で使用された表現に加え、患者等の情報の受け手側の理解が得られるよう、分かりやすい表現を使用したり、その説明を加えることも可能とされています。
ただし、薬機法の広告規制の趣旨から、医薬品又は医療機器の販売名(販売名が特定可能な場合には、型式番号等を含む)については、広告することはできません。
なお、治療の方針についても、成功率、治癒率等の治療効果等を説明することなく、広告可能な事項の範囲であれば、広告として記載しても差し支えありません。(「術中迅速診断を行い、可能な限り温存手術を行います。」、「手術療法の他に、いくつかの薬物療法の適用があるので、それぞれのメリット・デメリットを御説明し、話し合いの下で治療方針を決定するようにしております。」)
保険診療 | ①「診療報酬の算定方法に規定する検査、手術その他の治療の方法」とは、保険診療として実施している治療の方法として、診療報酬点数表に規定する療養の実施上認められた手術、処置等について広告可能であること ②広告する治療方法について、不当に患者を誘引することを避けるため、疾病等が完全に治療される旨等その効果を推測的に述べることは認められないこと(「PET検査による癌の検査を実施しております。」、「白内障の日帰り手術実施。日曜・祝日も専用の透析室で、人工透析を行っております。」、「インターフェロンによるC型肝炎治療を行います。」) |
評価療養、患者申出療養及び選定療養 | ①「厚生労働大臣の定める評価療養、患者申出療養及び選定療養に規定する検査、手術その他の治療の方法」とは、当該医療機関で実施している評価療養、患者申出療養又は選定療養について、その内容を説明し、広告することが可能であること ②これらについては、その内容、制度、負担費用等についても、併せて示すことが望ましいこと |
分娩(保険診療に係るものを除く) | ①「分娩」とは、分娩を実施している旨を広告可能であること ②「出産」や「お産」等の表現についても差し支えないこと ③帝王切開の実施については、保険診療での医療の内容として広告可能であること ④分娩のための費用、出産育児一時金受領委任払いの説明等についても、広告可能であること |
自由診療のうち、保険診療又は評価療養、患者申出療養若しくは選定療養と同一の検査、手術その他の治療の方法 | ①医療保険各法等の給付の対象とならない検査、手術その他の治療の方法のうち、保険診療又は評価療養、患者申出療養及び選定療養の方法と同様の検査、手術その他の治療の方法(医療保険各法等の給付の対象とならない旨及び標準的な費用を併記する場合に限る)」とは、美容等の目的であるため、公的医療保険が適用されない医療の内容であるが、その手技等は、保険診療又は評価療養若しくは選定療養と同一である自由診療について、その検査、手術その他治療の方法を広告可能であること ②公的医療保険が適用されない旨(例えば、「全額自己負担」、「保険証は使えません」、「自由診療」等)及び標準的な費用を併記する場合に限って広告が可能であること ③標準的な費用については、一定の幅(例えば、「5万~5万5千円」等)や「約○円程度」として示すことも差し支えないが、実際に窓口で負担することになる標準的な費用が容易に分かるように示す必要があること ④別に麻酔管理料や指導料等がかかる場合には、それらを含めた総額の目安についても、分かりやすいように記載すること ⑤治療の方法に、併用されることが通常想定される他の治療の方法(例:顔のしみ取りに対するイボ、ホクロの除去や歯列矯正等)がある場合は、それらを含めた総額の目安についても、分かりやすいように記載すること |
自由診療のうち医薬品医療機器等法の承認又は認証を得た医薬品又は医療機器を用いる検査、手術その他の治療の方法 | ①「医療保険各法等の給付の対象とならない検査、手術その他の治療の方法のうち、薬機法に基づく承認若しくは認証を受けた医薬品又は医療機器を用いる検査、手術その他の治療の方法(医療保険各法等の給付の対象とならない旨及び標準的な費用を併記する場合に限る)」とは、公的医療保険が適用されていない検査、手術その他の治療の方法であるが、医薬品医療機器等法の承認又は認証を得た医薬品又は医療機器をその承認等の範囲で使用する治療の内容については、広告可能であること ②公的医療保険が適用されない旨(「全額自己負担」、「保険証は使えません」、「自由診療」等)及び標準的な費用を併記する場合に限って広告が可能であること ③標準的な費用については、一定の幅(例えば、「10万~12万円」等)や「約○円程度」として示すことも差し支えないが、実際に窓口で負担することになる標準的な費用が容易に分かるように示す必要があること ④別に麻酔管理料や服薬指導料等がかかる場合には、それらを含めた総額の目安についても、分かりやすいように記載すること ⑤薬機法の広告規制の趣旨から、医薬品又は医療機器の販売名(販売名が特定可能な場合には、型式番号等を含む)については広告しないこととすること ⑥医師等による個人輸入により入手した医薬品又は医療機器を使用する場合には、仮に同一の成分や性能を有する医薬品等が承認されている場合であっても、広告は認められないこと ⑦治療の方法に、併用されることが通常想定される他の治療の方法(例:内服の医薬品によるED治療眼科用レーザ角膜手術装置の使用による近視手術の実施等)がある場合は、それらを含めた総額の目安についても、分かりやすいように記載すること |
提供される医療の内容について広告することができる事項は、下表のとおりです。
法令や国の事業による医療の給付を行っている旨 | 法令や国の通達による事業による医療の給付を行っている旨として、「小児慢性特定疾患治療研究事業」、「特定疾患治療研究事業」等による医療の給付を行っている旨を広告できること |
基準を満たす保険医療機関として届け出た旨 | 診療報酬上の各種施設基準を満たす保険医療機関として地方社会保険事務所又は都道府県知事に届出をした場合、各基準に適合している旨、基準の内容及び届出日等を広告できること |
往診の実施 | ①往診を実施している旨を広告可能であり、「訪問診療の実施」等の表現も差し支えないものであること ②往診に応じる医師名、対応する時間、訪問可能な地域等についても広告可能であること |
在宅医療の実施 | ①訪問看護ステーションを設置している場合には、その旨を付記して差し支えないこと ②「在宅自己注射指導の実施」、「在宅酸素療法指導の実施」等についても、広告可能な治療の内容であれば、広告可能であること |
医療の提供の結果に関する事項
「病院又は診療所における患者の平均的な入院日数、平均的な外来患者又は入院患者の数その他の医療の提供の結果に関する事項であって医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの」については、医療の提供の結果に関する事項は、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして広告告示に規定された平均的な入院日数等に限り、広告することが可能です。
なお、死亡率や治癒率等については、対象となった患者の状態等による影響も大きく、適切な選択に資する情報であるとの評価がなされている段階にはないことから、医療機能情報提供制度において報告が義務付けられた事項についてのみ広告することができます。
病院又は診療所で行われた手術の件数 | ①手術件数については、治療の内容として広告可能な範囲の手術の件数とし、診療報酬点数表で認められた手術(自由診療として実施する場合を含む)、先進医療として届出された手術(自由診療として実施する場合を含む)又は薬機法の承認若しくは認証を得た医療機器を使用し、承認若しくは認証された範囲で実施された手術に限られるものとすること ②手術件数を広告する際には、手術件数に係る期間を暦月単位で併記する必要があること ③広告された内容(手術件数)の正否が容易に検証できるようその広告された手術件数について、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること |
病院又は診療所で行われた分娩の件数 | ①分娩件数を広告する際には、当該分娩件数に係る期間を暦月単位で併記すること ②広告された内容(分娩件数)の正否が容易に検証できるようその広告された分娩件数について、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること |
患者の平均的な入院日数 | ①患者の平均的な入院日数は、在院患者延数÷{1/2×(新入院患者数+退院患者数)}により計算すること ②病床区分等ごとに計算する場合の平均在院日数にあっては、在院患者延数÷{1/2×(新入院患者数+同一医療機関内の他の病床等から移された患者数+退院患者数+同一医療機関内の他の病床等へ移された患者数)}により計算すること ③広告する際には、当該平均在院日数に係る期間を暦月単位で併記すること ④広告された内容(平均在院日数)の正否が容易に検証できるよう、その広告された平均在院日数について、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること ⑤医療機関全体、病床区分、病棟、診療科(広告が可能な診療科名に限る)、疾病ごとの平均在院日数を広告することも差し支えないこと |
在宅患者、外来患者及び入院患者の数 | ①在宅患者、外来患者又は入院患者の数を広告する際には、当該患者数に係る期間を暦月単位で併記するとともに、広告された内容(患者数)の正否が容易に検証できるようその広告された患者数について、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること ②疾患別に広告することも可能であるが、正確な管理記録により、正確な数値であることを事後検証可能な場合に限ること |
平均的な在宅患者、外来患者及び入院患者の数 | ①患者の実数と同様に、月別等の在宅患者、外来患者又は入院患者の平均数を広告する際には、患者数に係る期間を暦月単位で併記するとともに、広告された内容(平均患者数)の正否が容易に検証できるようその広告された患者数について、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること ②疾患別に広告することも可能であるが、正確な管理記録により、正確な数値であることを事後検証可能な場合に限ること |
平均病床利用率 | ①平均病床利用率は、1日平均在院患者数÷算定に係る期間の末日の病床数により計算すること ②平均病床利用率を広告する際には、平均病床利用率に係る期間を暦月単位で併記するとともに、広告された内容が容易に検証できるよう、ウェブサイト、年報等広く住民に周知できる方法により公表されていること ③医療機関全体、病床区分、病棟、診療科(広告が可能な診療科名に限る)、疾病ごとの平均病床利用率を広告可能であること |
厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法に基づく機能評価係数Ⅱにおいて公表した場合に評価される病院情報 | 厚生労働省保険局医療課が定める条件等に従って集計した事項を同課が定める手順に従う場合に限り広告可能であること |
治療結果に関する分析を行っている旨及び分析の結果を提供している旨 | 治療結果に関する分析を行っている旨又は分析の結果を提供している旨については、その検討をする検討会の開催頻度や構成メンバー、分析結果を入手法等についても広告可能であるが、分析の結果そのものについては、広告が認められていないことに留意すること |
セカンドオピニオンの実績 | いわゆるセカンドオピニオンの実績として、他の医療機関に紹介した患者数及び他の医療機関から紹介を受けた患者数を患者数に係る期間を示した上で、広告可能であること |
患者満足度調査を実施している旨及び調査の結果を提供している旨 | 患者満足度調査を実施している旨、調査の結果を提供している旨又は調査の結果の入手方法等については広告可能であるが、調査の結果そのものについては、広告が認められていないことに留意すること |
その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項
健康保険病院、健康保険診療所、社会保険病院又は社会保険診療所である旨 | それぞれに掲げる医療機関である旨を広告可能であること |
船員保険病院又は船員保険診療所である旨 | それぞれに掲げる医療機関である旨を広告可能であること |
国民健康保険病院又は国民健康保険診療所である旨 | それぞれに掲げる医療機関である旨を広告可能であること |
法令の規定又は国の定める事業を実施する病院又は診療所である旨 | ①救急病院、休日夜間急患センター、第二次救急医療機関、エイズ治療拠点病院、災害拠点病院、へき地医療拠点病院、総合周産期母子医療センター又はがん診療連携拠点病院等、法令又は国の通達に基づく(それらに基づいて都道府県等の地方自治体が認定等をする場合も含む)一定の医療を担う病院又は診療所である旨を広告できるものであること ②制度の概要や認定を受けた年月日等についても、広告して差し支えないこと |
病院又は診療所における医療従事者以外の従業者の氏名、年齢、性別、役職及び略歴 | ①医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者以外の従業員の氏名、年齢、役職又は略歴の広告を可能とするものであること ②役職については、「事務長」又は「主任」等の当該病院又は診療所における役職を意味するものであること ③略歴については、経歴を簡略に示すものとして、生年月日、出身校、学位、免許取得日、勤務実績等について、一連の履歴を総合的に記載したものを想定したものであること |
健康診査の実施 | ①医師等が診断・治療を目的とした通常の診療とは別に、その有する医学的知識を用いて健康診査を行うことを意味するものであり、また、実施する健康診査の種類を併せて示しても差し支えないものであること ②「乳幼児健診」、「胃がん検診」、「肝炎ウイルス検診」等、対象者や部位を付記することも差し支えないものであること ③「人間ドック」という表現や通常要する期間を併せて示すこと(例:「一日総合健康診査」、「半日人間ドック」等)も広告して差し支えないこと ④広告可能な健康診査については、感染症予防法、労働安全衛生法等に基づく健康診断、高齢者の医療の確保に関する法律に基づく医療等以外の保健事業としての健康診査、保険者からの委託に基づく健康診断等の公的な健康診査としても実施されているものとし、「遺伝子検査」、「アンチエイジングドック」等、現時点で医学的・社会的に様々な意見があり、広く定着していると認められないものについては、広告対象としては認められないものであること ⑤健康診査の実施に関し、その実施日又は実施時間については、病院又は診療所の診療日又は診療時間に含まれるものであり、広告しても差し支えないこと ⑥費用、取り扱う人数、宿泊の有無等についても、広告して差し支えないこと |
保健指導又は健康相談の実施 | ①主として予防的なものであって、医師等が診断・治療を目的とした通常の診療とは別に、その有する医学的知識を用いて相談者に対し健康の保持増進のための日常生活上の指導等を行うことを意味するものであり、「がんに関する健康相談」、「生活習慣病に関する健康相談」、「歯の健康相談」、「乳幼児保健指導」、「禁煙指導」等、対象者や指導対象を付記することも差し支えないものであること ②現時点で医学的・社会的に様々な意見があり、広く定着していると認められないものについては、広告対象としては認められないものであること ③保健指導又は健康相談の実施日時や実施する医師の氏名、費用等についても広告して差し支えないものであること |
予防接種の実施 | ①対象となる予防接種の種別は、予防接種法において規定されているもの又は医薬品医療機器等法において承認されているワクチンを使用した予防接種のみを広告の対象とするものであること ②接種を勧める対象者、接種するべき回数、1回当たりの費用等についても、併せて広告することは差し支えないが、ワクチンの商品名は広告しないこと ③「予防接種の実施」が広告可能とされる事項であり、ワクチンの発症予防率等、その効果に関する事項は広告可能な事項ではなく、例えば「インフルエンザの予防接種実施」や「麻しんワクチン(はしかを予防するための注射です)を取り扱ってます」等の予防接種を実施している旨を除いて、その効果に関する広告は認められないことに留意すること |
薬機法第2条第17項に規定する治験に関する事項 | ①治験を実施している旨、治験実施者の名称、治験薬の対象となる疾患名及び治験を実施する医療機関名等を広告し得るものであること ②治験薬の名称として、一般的名称(成分名)又は開発コードについては、治験に関する情報提供の推進の観点から、広告しても差し支えないこと ③薬機法で未承認医薬品の広告を禁じられている趣旨を踏まえ、治験の対象となる疾患名を除いた具体的な治療効果に関すること又は国内外での販売名(商品名)については、医療に関する広告としても認められないこと |
介護保険法に基づく介護サービスを提供するための事業所若しくは施設又は医療法人の付帯業務を専ら行うための施設であり、かつ、病院又は診療所の同一敷地内に併設されているものの名称及び提供する介護サービス又は医療法人の付帯業務 | 医療機関と同一敷地内にある介護老人保健施設等の介護保険サービス事業者の名称及び提供される介護サービス又は医療法人の付帯業務について、広告可能であること |
患者の受診の便宜を図るためのサービス | 外来患者の受診のための便宜又は入院患者のための便宜を図るためのサービスに関することを広告して差し支えないものであること |
費用の支払方法又は領収に関する事項 | ①費用の支払方法に関する事項として、クレジットカードの使用の可否、使用可能なクレジットカードの種類、分割払いの可否等を広告可能であること ②費用の領収に関する事項として、費用の内訳の明細に関する事項を示すことも差し支えないこと |
入院患者に対して当該医療機関が提供するサービス(医療の内容に関するものを除く)及びそれらに要する費用 | 貸しテレビの一時間当たりの値段、インターネットへの接続環境やその費用等を広告可能であること |
対応することができる言語 | ①手話又は点字を含む対応可能な言語について、広告し得るものであること ②その言語による対応が可能な時間帯、診療科名(広告が可能な診療科名に限る)等を併記することは差し支えないこと |
医療機関の施設内に設置された店舗等 | ①病院又は診療所内の売店、食堂、花屋、喫茶店、床屋、一時保育所等について、これらの種別及びその名称を広告しても差し支えないこと ②医療機関の外部にあるものは広告してはならないこと |
駐車設備に関する事項 | 駐車設備の有無、駐車設備の位置、収容可能台数及び利用に当たって料金を徴収している場合には駐車料金等について広告可能であること |
送迎サービス | 最寄りの鉄道の駅等からの送迎サービスについて、送迎先の駅名、時間等を広告可能であること |
携帯電話の使用に関する事項 | 病院又は医療機関内での携帯電話の使用について、使用可能な場所や時間帯等について広告可能であること |
通訳の配置 | 手話を含めた通訳の配置に関することを対応時間や費用を含めて広告可能であること |
開設者に関する事項 | 開設者の氏名又は名称を広告可能であり、開設者(法人の場合には法人の理事長に限る)の経歴についても、簡潔に示すものとして、生年月日、出身校、学位、職歴を一連の履歴として総合的に記載する場合には、広告して差し支えないこと |
外部監査を受けている旨 | ①公認会計士又は監査法人の監査を受けていることを広告しても差し支えないこと ②広告する場合は、監査を受けた年月を併記すること |
公益財団法人日本医療機能評価機構が行う医療機能評価の結果(個別の審査項目に係るものを含む) | ①公益財団法人日本医療機能評価機構(評価機構)が行う審査を受けた結果だけでなく、個別具体的な審査項目の結果についても広告しても差し支えないこと ②各医療機関による自己評価調査の項目については、評価機構による評価を受けていないので、広告は認められないこと |
公益財団法人日本医療機能評価機構が定める産科医療補償制度標準補償約款と同一の産科医療補償約款に基づく補償を実施している旨 | ①評価機構を運営組織とする産科医療補償制度に加入していること、制度に基づく補償を実施していることを広告できるようにする趣旨であること(例:○○病院(産科医療補償制度加入機関)「当院は妊婦の方に安心して出産していただけるよう産科医療補償制度に加入しており、もしも重度の脳性麻痺となった赤ちゃんが生まれ、一定の要件を満たしている場合には、所定の補償金をお支払いします。」等) ②評価機構が定めた制度のシンボルマークを利用しても差し支えないこと |
公益財団法人日本適合性認定協会の認定を受けた審査登録機関に登録をしている旨 | ①ISOの認証を取得している旨を広告しても差し支えないこと ②認証取得日や審査登録機関の名称等についても広告可能であること |
JointCommissionInternationalが行う認定を取得している旨(個別の審査項目に係るものを含む) | 認証を取得している旨だけでなく、個別具体的な審査項目の結果についても広告しても差し支えないこと |
その他都道府県知事の定める事項 | 地方公共団体の単独事業として実施している事業に関する事項等について、都道府県知事が公示することにより、都道府県の区域内において広告できる事項とすることができるようにする趣旨であること |
医療に関する内容に該当しない事項
医療に関する広告については、法又は広告告示により広告が可能とされた事項以外の広告が禁じられていますが、以下に示す背景等となる画像や音声等については、通常、医療に関する内容ではないので、特段制限されるものではありません。
ただし、風景写真であっても、他の病院の建物である場合やそのような誤認を与える場合、あるいは、芸能人が医療機関を推奨することや芸能人が受診をしている旨を表示(音声によるものや暗示を含む)することは、医療に関する広告として、規制の対象として取り扱われます。
- 背景等となる風景写真やイラスト等
- レイアウトに使用する幾何学模様等
- BGMとして放送される音楽、効果音等
- 広告制作者の名称、広告の作成日、写真の撮影日等
- 芸能人や著名人が医療機関の名称その他の広告可能な事項について説明する映像や声等
診療科名
医療機関が標榜する診療科名として広告可能な範囲について、「内科」、「外科」、「精神科」、「アレルギー科」、「リウマチ科」、「小児科」、「皮膚科」、「泌尿器科」、「産婦人科」(産科、婦人科)、「眼科」、「耳鼻いんこう科」、「リハビリテーション科」、「放射線科」(放射線治療科、放射線診断科)、「救急科」、「病理診断科」「臨床検査科」は、単独で診療科名として広告することが可能であるとともに、①身体や臓器の名称、②患者の年齢、性別等の特性、③診療方法の名称、④患者の症状、疾患の名称についても、医療法施行令第3条の2第1項第1号ハに規定する事項に限り、これらと組み合わせることによって、診療科名として広告することが可能です。
また、診療科名の表記に当たっては、診療内容について客観的評価が可能で分かりやすいものにする必要があります。
特に組み合わせによる診療科名については、患者や住民自身が自分の病状に合った適切な医療機関の選択を行うことを支援するという観点から、虚偽、誇大な表示が規制されるのみでなく、診療内容の性格に応じた最小限必要な事項の表示が義務づけられます。
以上の点を踏まえると、広告するに当たって通常考えられる診療科名は、下表のとおりです。
医科 | 歯科 | ||
内科 | 外科 | 泌尿器科 | 歯科 |
呼吸器内科 | 呼吸器外科 | 産婦人科 | 小児歯科 |
循環器内科 | 心臓血管外科 | 産科 | 矯正歯科 |
消化器内科 | 心臓外科 | 婦人科 | 歯科口腔外科 |
心臓内科 | 消化器外科 | 眼科 | |
血液内科 | 乳腺外科 | 耳鼻いんこう科 | |
気管食道内科 | 小児外科 | リハビリテーション科 | |
胃腸内科 | 気管食道外科 | 放射線科 | |
腫瘍内科 | 肛門外科 | 放射線診断科 | |
糖尿病内科 | 整形外科 | 放射線治療科 | |
代謝内科 | 脳神経外科 | 病理診断科 | |
内分泌内科 | 形成外科 | 臨床検査科 | |
脂質代謝内科 | 美容外科 | 救急科 | |
腎臓内科 | 腫瘍外科 | 児童精神科 | |
神経内科 | 移植外科 | 老年精神科 | |
心療内科 | 頭頸部外科 | 小児眼科 | |
感染症内科 | 胸部外科 | 小児耳鼻いんこう科 | |
漢方内科 | 腹部外科 | 小児皮膚科 | |
老年内科 | 肝臓外科 | 気管食道・耳鼻いんこう | |
女性内科 | 膵臓外科 | 科 | |
新生児内科 | 胆のう外科 | 腫瘍放射線科 | |
性感染症内科 | 食道外科 | 男性泌尿器科 | |
内視鏡内科 | 胃腸外科 | 神経泌尿器科 | |
人工透析内科 | 大腸外科 | 小児泌尿器科 | |
疼痛緩和内科 | 内視鏡外科 | 小児科(新生児) | |
ペインクリニック内科 | ペインクリニック外科 | 泌尿器科(不妊治療) | |
アレルギー疾患内科 | 外科(内視鏡) | 泌尿器科(人工透析) | |
内科(ペインクリニッ | 外科(がん) | 産婦人科(生殖医療) | |
ク) | 精神科 | 美容皮膚科 | |
内科(循環器) | アレルギー科 | など | |
内科(薬物療法) | リウマチ科 | ||
内科(感染症) | 小児科 | ||
内科(骨髄移植) | 皮膚科 |
なお、組み合わせに当たり、①から④までの事項のうち、異なる区分に属する事項であれば複数の事項を組み合わせることが可能である一方で、同じ区分に属する事項同士を複数繋げることについては、不適切な意味となるおそれがあることから、原則として認められていません。同じ区分に属する事項を複数組み合わせる場合については、同じ区分に属する事項を繋げることによって一つの名称にならないよう(例:「老人・小児内科」)、それぞれの事項を区切る等の工夫をして組み合わせる必要があります。
これらを踏まえ、複数の事項を組み合わせた通常考えられる診療科名は以下のとおりです。
医科 | 「血液・腫瘍内科」、「糖尿病・代謝内科」、「小児腫瘍外科」、「老年心療内科」、「老年・呼吸器内科」、「女性乳腺外科」、「移植・内視鏡外科」、「消化器・移植外科」、「ペインクリニック・整形外科」、「脳・血管外科」、「頭頸部・耳鼻いんこう科」、「肝臓・胆のう・膵臓外科」、「大腸・肛門外科」、「消化器内科(内視鏡)」、「腎臓内科(人工透析)」、「腫瘍内科(疼痛緩和)」、「腎臓外科(臓器移植)」、「美容皮膚科(漢方)」等 |
歯科 | 「小児矯正歯科」等 |
従来から広告可能とされてきた診療科名
医療法施行令の一部を改正する政令による改正(平成20年改正)以前に広告可能と認められていた診療科名のうち、改正により広告することが認められなくなった以下の診療科名については、看板の書き換え等、広告の変更を行わない限り、引き続き広告することが認められています。
★平成 20 年改正により広告することが認められなくなった診療科名
「神経科」、「呼吸器科」、「消化器科」、「胃腸科」、「循環器科」、「皮膚泌尿器科」、「性病科」、「こう門科」、「気管食道科」
医療機関が広告する診療科名の数
患者等による自分の病状等に合ったより適切な医療機関の選択を行うことを支援する観点から、医療機関においては、医療機関に勤務する医師又は歯科医師1人に対して主たる診療科名を原則2つ以内とし、診療科名の広告に当たっては、主たる診療科名を大きく表示するなど、他の診療科名と区別して表記することが望ましいものとされています。
診療科名の組み合わせの表示形式
医療機関が広告する診療科名の表示形式については、患者等に対し医療機関における医療機能が適切に情報提供されるよう、配慮することが求められます。(「呼吸器内科」、「消化器外科」、「肝臓・消化器外科」、「糖尿病・代謝内科」、「内科(循環器)」等)
広告することができない診療科名
下表のように、法令上根拠のない名称や、組み合わせの診療科名のうち、診療内容が明瞭でないもの及び医学的知見・社会通念に照らし不適切な組み合わせである名称については、患者等に対して適切な受診機会を喪失させることに繋がるとともに、不適切な医療を提供するおそれがあることから、これらを診療科名とすることは認めらていません。
診療科名 | 不合理な組み合わせとなる事項 |
---|---|
内科 | 整形又は形成 |
外科 | 心療 |
アレルギー科 | アレルギー疾患 |
小児科 | 小児、老人、老年又は高齢者 |
皮膚科 | 呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、腎臓、脳神経、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓又は脳 |
泌尿器科 | 頭頸部、胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、脳神経、乳腺、頭部、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓又は脳 |
産婦人科 | 男性、小児又は児童 |
眼科 | 胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓又は心臓 |
耳鼻咽喉科 | 胸部、腹部、消化器、循環器、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓又は心臓 |
その他「呼吸器科」、「循環器科」、「消化器科」、「女性科」、「老年科」、「化学療法科」、「疼痛緩和科」、「ペインクリニック科」、「糖尿病科」、「性感染症科」、「インプラント科」、「審美歯科」等のように、法令に根拠のない名称についても、診療科名として広告することは認められていません。
なお、これら法令に根拠のない名称と診療科名とを組み合わせた場合であっても、その広告は認められません。
厚生労働大臣の許可を得た診療科名
「麻酔科」については、診療に従事する医師が厚生労働大臣の許可を得た場合に限り、広告可能とされているものである。また、法第6条の6第4項の規定により、麻酔科を診療科名として広告するときには、許可を受けた医師の氏名を併せて広告しなければならないとされていることにも留意すること。
禁止される広告
内容が虚偽にわたる広告は、患者等に著しく事実に相違する情報を与えること等により、適切な受診機会を喪失したり、不適切な医療を受けるおそれがあることから、法第6条の5第1項では、「何人も、医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して、文書その他いかなる方法によるを問わず、広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示をする場合には、虚偽の広告をしてはならない。」と規定し、これを罰則付きで禁じています。
また、法第6条の5第2項及び医療法施行規則第1条の9においては、上記と同様の観点から、以下のような広告についても禁止する規定が設けられています。
- 比較優良広告
- 誇大広告
- 公序良俗に反する内容の広告(※)
- 患者その他の者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告
- 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告
(※)公序良俗に反する内容の広告によって広告可能事項が限定される場合、広告可能とされた事項以外は、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も広告をしてはならないこととされています。
これらに加え、医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法)等の他法令による広告規制の趣旨及び関連する広告の指針に反する広告についても行うことができないほか、品位を損ねる内容の広告等、医療に関する広告としてふさわしくないものについても、慎むよう求められています。
広告が可能とされていない事項の広告
「死亡率、術後生存率等」のような医療の提供の結果については、医療機能情報提供制度において報告が義務付けられた事項以外は、対象となった患者の状態等による影響も大きく、適切な選択に資する情報であるとの評価がなされる段階にはないことから、広告可能な事項ではありません。
また、「未承認医薬品による治療の内容」についても、広告告示で認められた保険診療で可能なものや医薬品医療機器等法で承認された医薬品による治療等に限定されており、未承認医薬品による治療は、広告可能な事項ではありません。
「専門外来」については、広告が可能な診療科名と誤認を与える事項であることから、広告可能な事項ではありませんが、保険診療や健康診査等の広告可能な範囲であれば、「糖尿病」、「花粉症」、「乳腺検査」等の特定の治療や検査を外来の患者に実施する旨の広告は可能であり、必ずしも専門外来に相当する内容を一律に禁止するものではありません。
虚偽広告
「絶対安全な手術です!」や「どんなに難しい症例でも必ず成功します」といった表現については、絶対安全な手術等は医学上あり得ないため、虚偽広告として取り扱われます。
同様に、「厚生労働省の認可した○○専門医」(専門医の資格認定は、学会が実施するものであり、厚生労働省が認可した資格ではない。)、「一日で全ての治療が終了します」(治療後の定期的な処置等が必要であるにもかかわらず、全ての治療が一日で終了するといった内容が虚偽広告に当たる。)といった文言についても、虚偽報告として取り扱われます。
これらの文言のほか、あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真等についても、虚偽広告として取り扱われます。
比較優良広告
「比較優良広告」とは、特定又は不特定の他の医療機関(複数の場合を含む)と自らを比較の対象とし、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、自らの病院等が他の医療機関よりも優良である旨を広告することを意味します。
この規制は、(最上級を意味する表現その他優秀性について著しく誤認を与える表現を除き)必ずしも客観的な事実の記載を妨げるものではありませんが、求められれば内容に係る裏付けとなる合理的な根拠(調査結果等の引用による広告については、出典、調査の実施主体、調査の範囲、実施時期等を併記する等)を示し、客観的に実証できる必要があります。
比較優良広告は、優秀性について、著しく誤認を与えるおそれがあるために禁止されるものであり、例えば、「日本一」、「№1」、「最高」等の最上級の表現その他優秀性について著しく誤認を与える表現は、それが客観的な事実であったとしても禁止される表現に該当します。(「肝臓がんの治療では、日本有数の実績を有する病院です」「当院は県内一の医師数を誇ります」「本グループは全国に展開し、最高の医療を広く国民に提供しております」等)
また、著名人との関連性を強調するなど、患者等に対して他の医療機関より著しく優れているとの誤認を与えるおそれがある表現は、患者等を不当に誘引するおそれがあることから、比較優良広告として取り扱われます。(「著名人も○○医師を推薦しています」「著名人も当院で治療を受けております」等)
誇大広告
「誇大な広告」とは、必ずしも虚偽ではないものの、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、事実を不当に誇張して表現していたり、人を誤認させる広告を意味するものです。ここで言う「人を誤認させる」とは、一般人が広告内容から認識する「印象」や「期待感」と実際の内容に相違があることを常識的判断として言えれば足り、誤認することを証明したり、実際に誤認したという結果までは必要とされません。
たとえば、「知事の許可を取得した病院です!」という表現は、ことさら「許可」を強調していますが、病院が都道府県知事の許可を得て開設することは、法における義務かつ当然のことであり、あたかも特別な許可を得た病院であるかの誤認を与える場合には、誇大広告として取り扱われます。
また、医療機関の名称として、又は医療機関の名称と併せて、「○○センター」と掲載することについては、法令の規定又は国の定める事業を実施する病院又は診療所であるものとして、救命救急センター、休日夜間急患センター、総合周産期母子医療センター等、一定の医療を担う医療機関である場合又は医療機関が診療について、地域における中核的な機能や役割を担っていると都道府県等が認める場合に限るものとし、それ以外の場合については、誇大広告として取り扱われます。
ただし、医療機関が提供する医療の一部を担当する部門名として患者向けに院内掲示しているものをそのままウェブサイトに掲載している場合等には、原則として、内容が誇大なものとしては取り扱われません。
その他、以下のような表現についても、誇大広告として取り扱われることがあるため注意が必要になります。
医師数○名(○年○月現在) | 示された年月の時点では、常勤換算で○名であることが事実であったが、その後の状況の変化により、医師数が大きく減少した場合には、誇大広告として取り扱われる。(広告物における文字サイズ等の強調の程度や医療機関の規模等を総合的に勘案し、不当に患者を誘引するおそれがあるかが判断される) |
(美容外科の自由診療の際の費用として)顔面の○○術1か所○○円 | 費用について、大きく表示された値段は5か所以上同時に実施したときの費用であり、1か所のみの場合等には、倍近い費用がかかる場合等、小さな文字で注釈が付されていたとしても、広告物からは注釈を見落とすものと常識的判断から認識できる場合には、誇大広告として取り扱われる。 |
(活動実態のない)「○○学会認定医」「○○協会認定施設」 | 客観的かつ公正な一定の活動実績が確認される団体によるものを除き、医療機関関係者自身が実質上運営している団体や活動実態のない団体などによる資格認定や施設認定を受けた旨については、国民・患者を不当に誘引するおそれがあり、誇大広告として取り扱われる。 |
手術や処置等の効果又は有効性を強調するもの | 撮影条件や被写体の状態を変えるなどして撮影した術前術後の写真等をウェブサイトに掲載し、その効果又は有効性を強調することは、国民や患者を誤認させ、不当に誘引するおそれがあることから、そうした写真等については誇大広告として取り扱われる。 |
「比較的安全な手術です」 | 比較対象が不明であることから、誇大広告として取り扱われる。 |
伝聞や科学的根拠に乏しい情報の引用 | 医学的・科学的な根拠に乏しい文献やテレビの健康番組での紹介による治療や生活改善法等の紹介は、それらだけをもっては客観的な事実であるとは証明できないため、誇大広告として取り扱われる。 |
「○○の症状のある2人に1人が○○のリスクがあります」「こんな症状が出ていれば命に関わりますので、今すぐ受診ください」「○○手術は効果が高く、おすすめです。」 | 科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず特定の症状に関するリスクを強調することにより、医療機関への受診を誘導するものは、誇大広告として取り扱われる。 |
治療等の内容又は効果に関する体験談
「患者その他の者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告をしてはならないこと」とは、医療機関が、治療等の内容又は効果に関して、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談を、医療機関への誘引を目的として紹介することを意味するものです。このような体験談については、個々の患者の状態等により当然にその感想は異なるものであり、誤認を与えるおそれがあることを踏まえ、たとえその記述内容が広告可能な範囲出会ったとしても、医療に関する広告としては認められていません。
ただし、個人が運営するウェブサイトやSNSの個人ページ及び第三者が運営するいわゆる口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼している等による誘引性が認められない場合には、広告には該当しません。
患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告
「治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等を広告をしてはならないこと」とは、いわゆるビフォーアフター写真等を意味するものですが、個々の患者の状態等により当然に治療等の結果は異なるものであることを踏まえ、誤認させるおそれがある写真等については医療に関する広告としては認められていません。(術前又は術後(手術以外の処置等を含む)の写真やイラストのみを示し、説明が不十分なもの)
ただし、術前又は術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合(情報の掲載場所については、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないこと)については広告に該当しません。
なお、治療効果に関する事項は広告可能事項ではないため、後述する限定解除の対象でない場合については、術前術後の写真等については広告することができません。
公序良俗に反する内容の広告
「公の秩序又は善良の風俗に反する内容の広告をしないこと」とは、わいせつ若しくは残虐な図画や映像又は差別を助長する表現等を使用した広告など、公序良俗に反する内容の広告が該当します。
その他品位を損ねる内容の広告
品位を損ねる内容の広告医療に関する広告は、患者や地域住民等が広告内容を適切に理解し、治療等の選択に資するよう、客観的で正確な情報の伝達に努めなければならないものであることから、医療機関や医療の内容について品位を損ね、あるいはそのおそれがある広告は行わないこととされています。
例えば、費用を強調した広告(「今なら○円でキャンペーン実施中!」「ただいまキャンペーンを実施中」「期間限定で○○療法を50%オフで提供しています」「○○100,000円を50,000 円」「○○治療し放題プラン」等)や、提供される医療の内容とは直接関係のない情報を強調し、国民・患者を誤認させ、不当に国民・患者を誘引する内容の広告(「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」等)、ふざけたもの、ドタバタ的な表現による広告がこれに該当します。
また、広告は通常、医療機関が自らの意思により、患者等の選択に資するために実施するものであり、例えば、医薬品又は医療機器の販売会社等からの依頼により、金銭の授与等の便宜を受けて、特定の疾病を治療できる旨等について広告することは、厳に慎むべきものとされています。
他法令及びガイドラインに抵触する広告
他法令に抵触する広告を行わないことは当然として、他法令に関する広告ガイドラインも遵守する必要があります。
①薬機法
薬機法第66条第1項の規定により、医薬品・医療機器等の名称や、効能・効果、性能等に関する虚偽・誇大広告が禁止されています。また、同法第68条の規定により、承認前の医薬品・医療機器について、その名称や、効能・効果、性能等についての広告が禁止されており、例えば、そうした情報をウェブサイトに掲載した場合には、この規定等により規制され得ることが考えられます。
「医薬品○○錠を処方できます。」 | 医薬品の商品名は、医薬品医療機器等法の広告規制の趣旨に鑑み、広告を行わないこと |
「当院ではジェネリック医薬品を採用しております。」 | 医薬品が特定されないため、医薬品医療機器等法上の医薬品の広告には該当せず、医療の内容に関する事項として広告可能である |
「AGA 治療薬を取り扱っております。」 | 医薬品が特定されないため、自由診療である旨と標準的な費用を併せて示してあれば、医薬品医療機器等法の承認を得た医薬品による治療の内容に関する事項として広告可能である |
②健康増進法
健康増進法第31条第1項の規定により、何人も、食品として販売に供する物に関して、健康の保持増進の効果等について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をすることが禁止されており、例えば、そうした情報をウェブサイトに掲載した場合には、この規定等により規制され得ることが考えられます。
③景表法
景表法第5条の規定により、商品又は役務の品質等について、一般消費者に対し、実際のもの又は事実に相違して競争事業者のものよりも著しく優良であると示す表示又は取引条件について実際のもの又は競争事業者のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示等(不当表示)が禁止されており、例えば、不当表示に当たるものをウェブサイトに掲載した場合には、その規定等により規制され得ることが考えられます。
④不正競争防止法
不正競争防止法第21条第2項の規定により、不正の目的をもって役務の広告等にその役務の質、内容、用途又は数量について誤認させるような表示をする行為等が禁止されている(同項第1号)ほか、虚偽の表示をする行為が禁止されており(同項第5号)、例えば、虚偽の内容に当たるものをウェブサイトに掲載した場合には、その規定等により規制され得ることが考えられます。
広告可能事項の限定解除
法又は広告告示により広告が可能とされた事項以外は、広告してはならないこととが原則ですが、患者が自ら求めて入手する情報については、適切な情報提供が円滑に行われる必要があるとの考え方から、以下の要件をすべて満たした場合に限り、広告可能事項の限定を解除し、他の事項を広告することができます。
なお、こうした広告可能事項以外の事項についても、広告の内容及び方法の基準に適合するとともに、その内容が虚偽にわたることは認められていません。
- 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること(ウェブサイト、メルマガ、患者の求めに応じて送付するパンフレット等)
- 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
- 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること(自由診療について情報を提供する場合に限る)
- 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること(自由診療について情報を提供する場合に限る)
1.については、ウェブサイト、メルマガ、患者の求めに応じて送付するパンフレット等が該当しますが、インターネット上のバナー広告、あるいは検索サイト上で、例えば「癌治療」を検索文字として検索した際にスポンサーとして表示されるものや、検索サイトの運営会社に対して費用を支払うことによって意図的に検索結果として上位に表示される状態にしたもの等は、この要件を満たさないものとされています。
2.については、表示される情報の内容について、問い合わせ先(電話番号、E メールアドレス等)が記載されていること等により、容易に照会が可能であり、それにより患者と医療機関等との情報の非対称性が軽減されるよう担保されている場合を指します。
3.の自由診療については、保険診療として実施されるものとは異なり、その内容や費用が医療機関ごとに大きく異なり得るため、その内容を明確化し、料金等に関するトラブルを防止する観点から、医療機関で実施している治療等を紹介する場合には、治療等の名称や最低限の治療内容・費用だけを紹介することにより国民や患者を誤認させ不当に誘引すべきではなく、通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間及び回数を掲載し、国民や患者に対して適切かつ十分な情報を分かりやすく提供する必要があります。
ただし、標準的な費用が明確でない場合には、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額(発生頻度の高い追加費用を含む)までの範囲を示すなどして可能な限り分かりやすく示します。
4.については、国民や患者による医療の適切な選択を支援する観点から、自由診療の主なリスクや副作用などの情報に関しても分かりやすく掲載し、国民や患者に対して適切かつ十分な情報を提供する必要があります。
また、情報の掲載場所については、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないよう配慮する必要があります。
まとめ
ここまで解説したとおり、診療所及び病院に係る医療の広告に関する規制は多岐にわたります。広告を経営戦略の柱とする事業が大多数の中、医業については行政からも世間からも厳しい監視の目が向けられているのが現状です。
診療所及び病院の運営に当たっては、本業である医業の他、関連法令等もしっかりと確認し、常に知識を最新版にアップデートすることを心がけるようにしましょう。