個人タクシー許可の特例新規枠について
総量規制により新規参入を認めない原則があることから、タクシー事業の新規開業はハードルが極めて高いことが知られています。個人タクシー(1人1車制タクシー)についても例外ではなく、実務上は既存の事業許可を有する個人から「譲渡譲受」の形式で許可を譲り受けて開業する方法しか選択肢がないのが実情です。
他方、新型コロナウイルス騒動等昨今の社会情勢の変化により、譲渡人と譲受人との面談や協議がスムーズに進行せず、タクシー事業に対する需要と供給との間のバランスが維持できないという状況が生じてしまいました。このような現状を受け、各運輸局では、準特定地域における1人1車制個人タクシーの参入枠を設け、その枠内に限り、期間限定で特例的に新規許可を認める通達を発出しました。
そこで本稿では、この特例措置を利用して個人タクシーをはじめようと検討する皆さまに向けて、制度の概要や手続方法についてさらっと解説していきたいと思います。
個人タクシーの開業方法
個人タクシーの開業には、新規で許可を受けて開業する方法(新規許可)と、すでに個人タクシーの許可を得て営業している事業者から事業を譲り受けて開業する方法(譲渡譲受)があります。また、レアケースとして、個人タクシーを営んでいた親族から相続によって事業を継承するパターン(事業承継)もあります。
ただし、冒頭でもお伝えしているとおり、タクシー事業の新規許可は総量規制により原則として認められていません。このため実務上は既存の事業許可を有する個人から「譲渡譲受」の形式で許可を譲り受けて開業する方法がほとんどです。
譲渡譲受により事業を開始する場合、すでに個人タクシーの許可を得て営業している事業者(譲渡人)と譲受人との間で「譲渡譲受契約」を結び、運輸局から認可を受けることにより事業を開始することができます。
したがって、開業前からある程度の人脈等がないと、個人タクシー開業の条件自体を整えていても開業することができないケースが多々あります。
なお、譲渡譲受の認可申請については、通年申請が可能となっています。ただし、認可の基準となる法令試験に合格するタイミングによって手続きの手順は異なります。
特定地域と準特定地域
特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法(改正タクシー特措法)では、特定地域及び準特定地域を国土交通大臣が指定するものと定め、これらの地域における一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー・ハイヤー)の適正化及び活性化を推進しています。
営業区域の全部又は一部が特定地域に含まれる場合、新たに一般乗用旅客自動車運送事業許可を取得することはできません。また、すでに許可を受けた一般乗用旅客自動車運送事業者であっても、特定地域への営業区域の変更、及び増車をすることはできません。
営業区域の全部又は一部が準特定地域に含まれる場合、道路運送法に定められている基準のほか、国土交通大臣が定める基準に適合するときでなければ、新たに一般乗用旅客自動車運送事業許可を取得することはできません。
また、すでに許可を受けた一般乗用旅客自動車運送事業者であっても、準特定地域への営業区域の変更、及び増車をしようとするときは、道路運送法に定められている基準のほか、国土交通大臣が定める基準に適合し、その認可を受けたときでなければ、これを行うことはできません。
新規許可 | 営業区域の変更・増車 | |
---|---|---|
特定地域 | ✕ | ✕ |
準特定地域 | △(実質✕) | △(実質✕) |
これが特定地域・準特定地域制度ですが、このうち準特定地域では、次章で解説する「個人タクシー許可の特例新規枠」の時限的な制度が設けられています。
個人タクシー許可の特例新規枠
一方で、社会情勢の変化により、譲渡人と譲受人との面談や協議がスムーズに進行せず、タクシー事業に対する需要と供給との間のバランスが維持できないという状況が継続がすることは好ましくありません。
このような現状から、各運輸局では、準特定地域における1人1車制個人タクシーの参入枠を設け、その枠内に限り、期間限定で特例的に新規許可を認める通達を発出しています。
この特例はあくまでも期限付の時限措置ではありますが、そもそも譲渡譲受や事業承継(相続)による新規参入が基本の個人タクシー事業ですから、いかに画期的な規制緩和であるかはご理解いただけるように思います。
ただし、特例新規枠はそれほど多く用意されていません。以下は令和5年度における近畿運輸局管内の特例新規枠(受付終了)ですが、ご覧のとおりそれほど枠に余裕はなく、また営業区域によってバラバラです。前年度からの持ち越し枠があることから、営業区域によって人気の高低差があることが分かります。
なお、特例新規枠に対して申請者の数が多くなった場合、先着順ではなく抽選により候補者を選定することになります。
特例新規枠での申請方法
小難しい許可基準や詳細な手続方法については下段の記事内で確認していただくこととして、特例であるからと言って、申請方法や許可を受けるための基準は通常の許可申請と変わりません。(そもそも通常の許可が行われないのですが)
ただし、例年特例新規枠での申請は9月1日〜9月30日の僅か1か月間に限られます。この期間内での申請を逃すと、少なくとも1年間は申請することができません。そもそも期限付の時限措置であるため、次年度以降にも特例新規枠が開放されるという保証もありません。
このため特例新規枠での申請を検討される方は、少なくとも半年以上前から余裕を持って準備を開始するようにしてください。特に法令試験がいつ実施されているのかについては、しっかりと確認するようにしてください。また、国土交通省や運輸局の発信する情報もマメにチェックするようにしましょう。
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