鉄道線路近接工事における鉄道事業者との協議について

線路沿いの道

鉄道及び軌道敷近傍での作業を行おうとする発注者は、軌道敷内又は軌道敷に近接した場所で建築工事等を施工するに当たっては、あらかじめ鉄道事業者と協議を行って、以下の事項について工事中の軌道の保全方法を定め、施工者に周知徹底させる必要があります。

  • 軌道経営者に委託する工事の範囲
  • 工事中における軌条、架線等の支持方法
  • 工事中における軌道車両の通行に関する規制及び規制を実施するための具体的方法
  • 軌道車両の通行のために必要な工事施工の順序及び方法並びに作業時間等に関する規制及び規制を実施するための具体的方法
  • 工事中軌条、架線等の取りはずしを行う必要の有無及び必要ある場合の取りはずし方法、実施時間等
  • 相互の連絡責任者及び連絡方法
  • その他、軌道保全に関し必要な事項
  • 上記の事項に関し、変更の必要が生じた場合の具体的措置

 ★鉄道(鉄道事業法)

一定の敷地を占め、レールを敷設して線路を作り、その上に動力を用いて車両を運転して人や物を運搬するもの

★軌道(軌道法)

道路上に敷設されたレールの上に車両を運転するもの

また、土木工事に関して軌条、停留場、安全地帯等の軌道施設等の仮移設等が必要となる場合においては、あらかじめ軌道経営者、道路管理者及び所轄警察署長と協議し、その協議事項を施工者に周知徹底させる必要があります。

以上が建設工事公衆災害防止対策要綱(令和元年9月2日国土交通省告示第496号)の規定になりますが、細則については各鉄道事業者の内規に委ねられているため、各社の担当窓口にお問い合わせください。以下はJ社が公開している近接工事の際の手続きを下敷きに記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。

①担当区所の確認

まずは協議先となる担当区所を工事予定箇所に近接する路線名・駅間を参考に確認します。メール受付が対応可能であるかどうかも確認するようにしましょう。

②協議要否の問い合わせ

各鉄道事業者が公開するフォーマットに必要事項を記入し、添付書類とともに提出します。(以下は参考)

位置図住宅地図、航空写真など工事場所が分かる資料
現場写真工事場所の全景が分かる写真線路との位置関係が分かる写真線路近傍におけるJR電線の有無が確認できる写真
一般図目的物の完成形が分かる資料
平面図・断面図用地境界線、鉄道設備(線路・高架橋・電線等)を明示施工箇所から鉄道設備までの離隔距離を記載
仮設計画図仮設設備(仮土留め・仮設足場・仮囲い等)を明示仮設設備から鉄道設備までの離隔距離を記載
工程表主な工事内容と施工期間が分かる資料
施工計画重機の配置図と作業範囲が分かる資料重機が最も鉄道設備に接近する際の位置関係と離隔距離が分かる資料施工方法が分かる資料
③協議の要否確認

問い合わせ内容をもとに、鉄道事業者による現地調査・立会い等が行われ、協議の要否を確認されます。後日、その要否について担当者から連絡が入ります。

④協議の実施

鉄道事業者が協議を必要と判断した場合は、協議文書の取り交わしが必要となります。担当者と打ち合わせのうえ協議書類の提出が求められます。

また、鉄道事業者からは列車運行の安全を確保するための制約や費用に関する事項等が文書で回答されます。

⑤着工

協議内容を関係者全員(作業員含む)に周知し着工します。協議内容が守られていない場合は、工事中止を求められることがあるのでご注意ください。

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