全省庁統一資格を取得しよう│全省庁統一資格申請早わかりガイド
全省庁統一資格とは、各省庁における物品の製造・販売等に係る一般競争(指名競争)の入札参加資格のことを指します。より簡潔に表現すると、「国の機関(全省庁)の入札に参加するための資格」と言い換えることができます。
もちろん何ら手続きを取ることなく資格が付与されることはなく、一定の要件を満たし、しかるべき機関に対して申請を行う必要があります。
そこで本稿では、この全省庁統一資格に関する基礎的な知識とともに、取得するメリットや申請方法などについて詳しく解説しています。
なお、行政書士は本申請をご本人に代理して行うことができます。本稿をご覧になってなおご不安な点がある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
目 次
全省庁統一資格とは
冒頭で触れたとおり、全省庁統一資格とは、「国の機関(全省庁)の入札に参加するための資格」のことを指します。
そもそも国が民間の事業者に業務を発注する際は、差別やえこひいきにならないよう、「信用のできる事業者」から、「公平」に、かつ「透明な手続き」をもって選定する必要があります。
たとえば、反社会的勢力に属する組織に業務を発注したり、一部の事業者にのみ偏って斡旋していたり、それがブラックボックス内で秘密裏に行われていたとすれば、国の在り方として大問題であることはお分かりいただけると思います。
これらを解決するための政策が、「指名入札制度」(公平性と透明性の確保)であり、「資格審査制度」(信用性の担保)です。全省庁統一資格を取得することにより、わざわざ各省庁ごとに入札資格を得ることなく、すべての省庁において入札に参加することができるようになります。
資格を取得するメリット
日本の行政は、「縦割り行政」と揶揄されているように、旧来より各省庁、自治体ごとに所管事項の取扱方法や手続きが異なるという体質を抱えていました。この課題を解決し、全省庁で統一した条件と手続きのもとで入札参加資格を取得することができるのが本制度の最大のメリットです。(ただし、省庁ごとではなく、各自治体ごとには取扱いの違いがあります。)
また、全省庁統一資格を取得しておくことにより、他の入札事業へ参入など、将来的な展望を見据えることもできるようになるほか、いわば国からの「お墨付き事業者」として、取引先や金融機関に対する信用力の向上にもつながります。
全省庁統一資格の有効範囲
全省庁統一資格は、ほぼすべての省庁で対応しています。具体的には、以下の機関において有効とされています。
衆議院、参議院、国立国会図書館、最高裁判所、会計検査院、内閣官房、内閣法制局、人事院、内閣府本府、宮内庁、公正取引委員会、警察庁、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会、金融庁、消費者庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省、及びこれらの外局並びに附属機関その他の機関並びに地方支分部局
参加できる入札の種類
全省庁統一資格で参加することができる入札の種類には、具体的には以下のものがあり、申請の際にはこれらのうちで入札への参加を希望するものを選定します。(複数または全選択も可能)
物品の製造・販売 | 衣服・その他繊維製品類、ゴム・皮革・プラスチック製品類、非鉄金属・金属製品類、印刷類、図書類、紙・紙加工品類、車両・船舶等輸送・搬送機械器具類、燃料類、家具・什器類、一般・産業用機器類、電気・通信用機器類、電子計算機類、精密機器類、医療用機器・医薬品・医療用品類、事務用機器類、その他機器類、事務用品類、土木・建設・建築材料、警察用装備品類、防衛用装備品類、その他 |
役務の提供 | 広告・宣伝、写真・製図、調査・研究、情報処理、翻訳・通訳・速記、ソフトウェア開発、賃貸借、建物管理等各種保守管理、運送、車両・船舶整備、電子出版、防衛用装備品類の整備、その他 |
物品の買受 | 立木竹(国有林野事業で行う林産物の買受けを除く)、その他 |
入札に参加できない業務
建設・土木工事、産業廃棄物収集運搬業、測量工事・建設コンサルタントなどの業務は、そもそも許可業種であったり高度な専門技術が必要な業種であったりといった理由から、本制度の対象外とされており、これらの業務について入札に参加しようとする場合には、個別の競争参加資格が必要となります。
競争参加地域区分
全省庁統一資格による入札は、以下の「競争参加地域」という8つの地域に区分して行われています。入札参加希望者は、資格の申請時点で上記いずれかの競争参加地域を指定しておく必要があります。なお、競争参加地域の指定には特に制限はなく、全国どこでも、またはすべての地域を選択することもできます。
北海道 | 北海道 |
東北 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 |
関東甲信越 | 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県 |
東海北陸 | 富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 |
近畿 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 |
中国 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 |
四国 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 |
九州沖縄 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
全省庁統一資格申請
全省庁統一資格を取得するためには、郵送・持参又はインターネットによる申請を行う必要があります。審査には「定時審査」と「随時審査」とがあり、申請がなされた時期によって区分されています。
定時審査 | 新年度の指定された期間内における申請の審査 | 3年 |
随時審査 | 満了日までにされた申請に関する審査 | 次の満了日までの残りの期間(最大3年) |
上表にあるとおり、全省庁統一資格の有効期間は、最大でも3年です。引き続き資格を取得しようとする場合は、3年度ごとの有効期限が切れる前に申請を行い、更新する必要があります。
なお、郵送・持参による申請又はインターネットによる申請も含め、受付・審査窓口のいずれか1か所に対して申請を行います。重複申請は道められていませんが、例えば初めに郵送で申請した後インターネットでの申請に切り替える等、申請後に別の申請をする場合には、まずは、「申請書の取下願い」を申し出る必要があります。
全省庁統一資格申請の要件
全省庁統一資格申請は、1法人または1個人事業主につき1資格として審査されるため、支店や営業所、JVのような複数企業の共同体のような団体は申請することができません。また、法人は登記事項証明書及び納税証明書に記載された本社や商号で申請する必要があります。そのほかにも、次のような不備がある場合には、申請は受理されません。
- 公的な添付書類に不備がある場合
- 納税証明書に不備がある場合
- 納税証明書に「未納の税額がある」と記載されている場合
- 未納があり、納税証明書が提出できない場合
- 申請者が受付・審査機関からの不備の確認に対応しない場合
なお、公的な添付書類の提出ができない組織や団体であっても、法人番号が付与されている場合には、添付書類の不備として取り扱われることはありません。
申請に必要となる書類
- 資格申請書
- 誓約書
- 納税証明書その3の2(個人)
- 納税証明書その3の3(法人)
- 履歴事項全部証明書(法人)
- 直近の確定申告書
- 直近の財務諸表
- 役員名簿
- 屋号の住所を証明する書類(個人:納税証明書の住所と異なる場合)
- 減価償却に関する明細書等(必要な場合)
- 外字届(申請者の住所、商号又は名称、代表者役職・氏名に外字が含まれる場合)
- 委任状(代理申請の場合)
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全省庁統一資格新規申請 | 44,000円~ |
更新申請 | 33,000円 |