柔道整復師養成施設の指定申請について│柔道整復師養成施設開校ガイド
柔道整復師試験は、大学に入学することのできる者で、3年以上、文部科学大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した柔道整復師養成施設において解剖学、生理学、病理学、衛生学その他柔道整復師となるのに必要な知識及び技能を修得したものでなければ、受験することができません。
以上が柔道整復師法に規定される受験資格についての条文ですが、柔道整復師養成施設とは、柔道整復師の受験資格を獲得するために3年間通学する施設(学校)のことを指します。
実は私がはじめて取得した国家資格が柔道整復師であり、柔道整復師に対しては、行政書士であること以上に強い思い入れがあります。現在でこそ行政書士事務所を営んではおりますが、柔道整復師であることの誇りと現役の先生方への尊敬の念を忘れたことはありません。
ただ、人体や施術に精通していても、学校を作るために必要となる手続きまではご存じない方が多いように思います。
そこで本稿では、これから柔道整復師養成施設を新たに立ち上げようとお考えの皆さまに向けて、習得すべき法的基礎知識について案内させていただこうと思います。
目 次
柔道整復師養成施設とは
柔道整復師養成施設とは、柔道整復師法および柔道整復師学校養成施設指定規則に基づいて設立された柔道整復師を養成する施設のことを指します。
私が通学していた時代は、全国でも13校しかなかった養成施設ですが、平成10年8月福岡地裁において柔道整復師養成施設不指定処分取消請求事件の判決が「違憲」と判断されたことにより、以後は養成施設指定規則さえ満たせば設置が認められる方針に転換されました。
これは、比較的この事業に参入しやすくなったことを意味しますが、同時に柔道整復師の過剰供給や、接骨院(整骨院)の乱立といった課題も生み出しました。
新しく養成施設を開設する際は、これらの課題とどのようにして向き合っていくのかも、経営上の観点で重要なポイントであるように思います。
指定の申請
学校養成施設の指定を受けようとする設置者は、基準を満たした上で申請し、行政庁からの指定を受けなければなりません。設置者が学校の設置者であるときは、その所在地の都道府県知事(公立の学校にあっては、その所在地の都道府県教育委員会)を経由して行います。(新規指定)
指定を受けた学校養成施設(指定学校養成施設)の設置者は、学則(修業年限、教育課程及び生徒の定員に関する事項に限る)又は校舎の各室の用途及び面積並びに建物の配置図及び平面図を変更しようとするときは、その旨を申請し、行政庁からの承認を受けなければなりません。(設置者が学校の設置者であるときは、その所在地の都道府県知事を経由して行います。)(変更の承認)
その他の主務省令で定める事項に変更があったときは、承認を受ける必要はありませんが、変更の日から1か月以内に、行政庁に届け出なければなりません。(設置者が学校の設置者であるときは、その所在地の都道府県知事を経由して行います。)(変更の届出)
★注意点
申請から指定までには、通常1年以上の期間を要します。準備はできるだけ早く進めるようにしましょう。
養成施設の指定基準
- 教育基準を満たすこと
- 人員基準を満たすこと
- 構造設備基準を満たすこと
- 管理及び維持経営の方法が確実であること
柔道整復師養成施設の指定を受けるためには、上記すべての基準を満たす必要があります。
教育基準
人員基準
- 学校又は養成施設の長は、専ら学校又は養成施設の管理の任に当たることができる者であり、かつ、柔道整復師の教育又は養成に適当であると認められる者であること
- 別表第一教育内容の欄に掲げる各教育内容を教授するのに適当な数の教員を有すること
- 教員は、別表第二に掲げる教育内容について、それぞれ同表に掲げる者であること
- 教員のうち6人(一学年に30人を超える定員を有する学校又は養成施設にあっては、その超える数が30人までを増すごとに1を加えた数)以上は、別表第二専門基礎分野の項各号若しくは同表専門分野の項第二号に掲げる者又はこれと同等以上の知識及び経験を有する者である専任教員であること
- 専任の事務職員を有すること
このうち、専任教員の数には特例が設けられており、養成施設が設置された初年度にあっては4人(一学年に30人を超える定員を有する学校又は養成施設にあっては、その超える数が30人までを増すごとに1を加えた数)、その翌年度にあっては5人(一学年に30人を超える定員を有する学校又は養成施設にあっては、その超える数が30人までを増すごとに1を加えた数)とすることができます。
別表第一
分野 | 教育内容 | 単位数 |
---|---|---|
基礎分野 | 科学的思考の基盤 人間と生活 | 14 |
専門基礎分野 | 人体の構造と機能(高齢者及び競技者の生理学的特徴・変化を含む) | 15 |
疾病と障害 | 11 | |
柔道整復術の適応 | 2 | |
保健医療福祉と柔道整復の理念(職業倫理を含む) | 8 | |
社会保障制度 | 1 | |
専門分野 | 基礎柔道整復学(外傷保存療法の経過及び治癒の判定を含む) | 10 |
臨床柔道整復学(物理療法機器等の取扱い及び柔道整復術適応の臨床的判定)医用画像の理解を含む)を含む) | 17 | |
柔道整復実技(高齢者及び競技者の外傷予防技術並びに臨床実習前施術試験等を含む) | 17 | |
臨床実習 | 4 | |
合計 | 99 |
別表第二
基礎分野 | 教授するのに適当と認められる者 |
専門基礎分野 | 次のいずれかに該当する者であって教育内容に関し相当の経験を有するもの又はこれと同等以上の知識及び経験を有する者 ①医師 ②特別支援学校の理療の教科の普通免許状を有する者 ③柔道整復師の免許を取得してから5年以上実務に従事した経験を有し、かつ、厚生労働大臣の指定した教員講習会を修了した者(柔道整復術の適応以外の教育内容を教授する場合に限る) |
専門分野 | 次のいずれかに該当する者であって教育内容に関し相当の経験を有するもの又はこれと同等以上の知識及び経験を有する者 ①医師 ②柔道整復師の免許を取得してから5年以上実務に従事した経験を有し、かつ、厚生労働大臣の指定した教員講習会を修了した者 |
構造設備基準
- 同時に授業を行う学級の数を下らない数の普通教室を有すること
- 実習室を有すること
- 普通教室の面積は生徒1人につき1.65㎡以上、実習室の面積は生徒1人につき2.1㎡以上であること
- 実習室は、ロッカールーム又は更衣室及び消毒設備を有すること
- その他校舎の配置及び構造は、教育上、保健衛生上及び管理上適切なものであること
- 教育上必要な器械器具、模型、図書及びその他の備品を有すること
- 臨床実習を行うのに適当な施術所その他の施設を実習施設として利用し得ること及び当該実習について適当な実習指導者の指導が行われること
- 実習施設として利用する施設は、実習用設備として必要なものを有するものであること
指定申請に必要となる書類
指定申請は、都道府県に対して、指定申請書に以下の事項を記載した書類、実習施設における実習を承諾する旨の当該実習施設の開設者の承諾書を添付して提出することによって行います。
記載事項
- 設置者の氏名及び住所
- 名称及び主たる事務所の所在地(法人)
- 名称
- 位置
- 設置年月日(設置されていない場合は設置予定年月日)
- 学則
- 長の氏名及び履歴
- 教員の氏名、履歴及び担当科目並びに専任又は兼任の別
- 校舎の各室の用途及び面積並びに建物の配置図及び平面図
- 教授用及び実習用の器械器具、模型、図書その他の備品の目録
- 実習施設の名称、場所及び開設者の氏名(法人にあっては名称)並びに概要
- 実習施設における最近1年間の柔道整復の施術を受けた者の延べ数
- 収支予算及び向こう2年間の財政計画
報告
指定を受けた後も、指定学校養成施設の設置者には、毎学年度開始後2か月以内に、以下の事項を行政庁に報告する義務があります。(設置者が学校の設置者であるときは、その所在地の都道府県知事を経由して行います。)
- 当該学年度の学年別生徒数
- 前学年度の卒業者数
- 前学年度における教育の実施状況の概要
- 前学年度における経営の状況及び収支決算
指定の取消し
行政庁は、指定学校養成施設が(指定)基準に適合しなくなったと認めるとき、若しくはその設置者若しくは長が指示に従わないとき、又は指定取消しの申請があったときは、その指定を取り消すことができるものとされています。
指定養成施設等について、自ら行政庁の指定の取消しを受けようとする設置者は、次の事項を記載した申請書を行政庁に提出しなければなりません。設置者が学校の設置者であるときは、その所在地の都道府県知事を経由して行います。
- 指定の取消しを受けようとする理由
- 指定の取消しを受けようとする予定期日
- 在籍中の生徒があるときは、その措置
柔道整復師養成施設開校サポート
柔道整復師は柔道整復師が知る
弊所では、兵庫大阪京都をはじめ関西全域にわたり、柔道整復師養成施設指定申請手続きの代行を承っております。面倒な書類作成や各種機関とのやり取りまで、しっかりとサポートいたします。下記の報酬は、市場価格を反映したものですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」です。自身が柔道整復師であることも鑑み、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応には自信があります。
柔道整復師養成施設の開校でお困りの際は、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。
柔道整復師養成施設新規指定申請 | 660,000円〜 |
業務報告届 | 55,000円 |
変更承認申請 | 165,000円〜 |
変更届 | 55,000円 |
指定取消申請 | 110,000円〜 |