配偶者ビザの申請方法について

国際結婚をする際には2つの手続きが必要となります。まずは通常の結婚手続きです。そしてもうひとつが本稿で紹介する外国人パートナーの配偶者ビザを取得するための手続きです。外国人が日本人のパートナーと一緒に生活するためには、他のビザを取得していない限り、配偶者ビザを取得することが必要となります。愛に国境は存在しませんが、残念なことに手続きは必要なのです。本稿にたどり着いてくださった皆さまが、それぞれの愛を育むお手伝いとして配偶者ビザの申請方法について詳しく説明させていただきたいと思います。

国際結婚手続きの概要について

国際結婚に必要となる手続きについて

配偶者ビザの取得

在留資格認定証明書交付申請海外にいる外国人配偶者を日本へ呼び寄せるための申請
在留資格変更許可申請日本に滞在中の外国人が日本人又は永住者(特別永住者)と結婚して配偶者ビザを取得するための申請

国際結婚をすれば誰でも簡単に配偶者ビザを取得できるわけではありません。配偶者ビザの取得には、入管法という法律に定められている要件をクリアすることに加えて、実体をともなう婚姻関係が必要とされています。取得といってもその申請には、上に表示するように在留資格認定証明書交付申請在留資格変更許可申請の2つのルートが存在します。それぞれの対象者等についても以下のとおりです。

対象者申請者申請先審査期間
在留資格認定証明書交付申請入国を希望する外国人本人(原則)、
本邦に居住する本人の親族、
申請取次行政書士
申請代理人の住所地を管轄する出入国管理局1〜3ヶ月
在留資格変更許可申請在留する外国人本人(原則)、 同居の親族、 申請取次行政書士本人の住所地を管轄する出入国管理局2週間〜1ヶ月程度

既に説明したように、法令上の要件を満たすのみでは配偶者ビザを取得することはできません。配偶者ビザのメリットを狙い、偽装結婚という形で入国滞在を試みるケースが後をたたないからです。そのため、次のようなケースでは配偶者ビザを取得することはできません。

  • 実質的に社会生活上の夫婦としての状態にないとき
  • 夫婦の一方または双方が婚姻生活を続けていく意思のないとき
  • 夫婦としての共同生活の実態を欠いていてその回復の意思のないとき

上記を具体的に判断する事由として、以下のようなケースがあります。これらについては偽装結婚を疑われることが多く、手続きはやや難化することになります。

  • 交際期間が極端に短い場合
  • 夫婦に年齢差がある場合
  • お見合い結婚の場合
  • 日本人側の収入が低い場合
  • 出会いが風俗営業店や出会い系サイトである場合

なお、在留資格「家族滞在」については、交際経緯の詳細説明を求められません。これは活動範囲が制限されているため、あまり偽装のターゲットになる可能性が低いからです。

在留資格認定証明書交付申請

①在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書交付申請を行い、配偶者ビザの要件に適合すると判断された場合、入管から在留資格認定証明書が交付されます。これはあくまでも「入国OK」の証明に過ぎないため、引き続き以下の手続きが必要となります。

②査証の発給申請

受領した在留資格認定証明書を海外のパートナーの元に送付し、海外のパートナーがその他の必要書類とともに在外日本大使館(領事館)にて査証(ビザ)発給を申請します。この申請は、在留資格認定証明書が交付された日から3ヶ月以内に行ってください。査証申請の際の必要書類は在外日本公館ごとに異なるため、事前にしっかり確認するようにしましょう。

③査証の発給

査証の発給を受けることにより、ようやくパートナーは来日することができます。なお、パートナーは査証が発行された日から3ヶ月以内に日本に上陸しなければなりません。

④上陸審査

入国の際は到着した空港、海港で上陸審査を受けます。上陸審査では、査証が貼られている有効なパスポートと在留資格認定証明書を提示します。不備がなければ審査後に在留カードが交付されますが、以下の7つの空港では在留カードをその場で受け取ることができます。

  • 新千歳空港
  • 成田空港
  • 羽田空港
  • 中部空港
  • 関西空港
  • 広島空港
  • 福岡空港

上記以外から上陸した場合においては、住居地の届出をした後に、在留カードが届け出た住居地に郵送されることになります。

⑤住居地の届出

日本国内における住居地を定めた日から14日以内に在留カードを持参のうえ、住居地を管轄する市区町村役場へ住居地の届出を行います。

在留資格変更許可申請

①在留資格変更許可申請

他の在留資格から配偶者ビザへの変更申請を希望する場合は、法律上の婚姻が有効に成立したときから、取得済みの在留資格の在留期間満了日までに配偶者ビザへの変更申請を行うことができます。

②許可の通知

在留資格変更許可申請後、約2週間から1ヶ月で結果の通知ハガキが自宅に届きます。

③在留カードの受領

以下の書類を入国管理局に持参し、新たな在留カードを受領します。

  • 通知ハガキ
  • 申請受付票
  • パスポート
  • 旧在留カード
  • 手数料納付書

手数料納付書にはあらかじめ4,000円の収入印紙を貼付して提出します。

必要となる書類

以下が在留資格認定証明書交付申請と在留資格変更許可申請を行う際に必要となる書類です。このほかにも個別の事情に応じて追加書類を求められることがあります。各記載項目には真実を正確に記入してください。過去の違反事実なども隠さず申告してください。

発行書類に関しては申請前3ヶ月以内に取得したものに限定されます。(海外の機関発行のものは6ヶ月以内)また、海外から手配する各種書類は取り寄せに日数を要するので、計画的に準備をしましょう。

作成する書類

申請書在留資格認定証明書交付申請書、
在留資格変更許可申請書
申請理由書出会いの経緯、交際期間中の内容、婚姻に至る経緯など
質問書指定様式
身元保証書通常は申請人の配偶者が身元保証人

申請人が準備する資料

在留資格認定証明書交付申請在留資格変更許可申請
パスポート見開写真、出入国証印欄のコピー提出申請時に提示
在留カード不要申請時に提示
申請用写真(縦4cm、横3cm、無帽無背景)申請書に貼付申請書に貼付
婚姻証明書と和訳書海外で婚姻登録が無い場合は省略可海外で婚姻登録が無い場合は省略可
在職証明書不要就業していれば提出
住民票の写し不要世帯全員記載
収入証明書類本国の税証明など住民税の課税証明書及び納税証明書(直近1年分)
交際関係資料通話記録明細(SKYPEなどビデオ通話履歴でも可)、スナップ写真(画像データ)、手紙、他通話記録明細(SKYPEなどビデオ通話履歴でも可)、スナップ写真(画像データ)、手紙、他

配偶者が準備する資料

在留資格認定証明書交付申請在留資格変更許可申請
パスポート見開写真、出入国証印欄のコピー提出見開写真、出入国証印欄のコピー提出
在留カード外国人の場合のみコピー提出外国人の場合のみコピー提出
戸籍謄本日本人の場合のみ日本人の場合のみ
婚姻届受理証明書外国人が日本での婚姻届出を行った場合外国人が日本での婚姻届出を行った場合
在職証明書不要就業していれば提出
住民票の写し世帯全員記載(申請人が手配するものと重複する場合は省略可)世帯全員記載(申請人が手配するものと重複する場合は省略可)
住民税の課税証明書直近1年分直近1年分
住民税の納税証明書直近1年分
(滞納が無いこと)
直近1年分
(滞納が無いこと)
交際関係資料通話記録明細(SKYPEなどビデオ通話履歴でも可)、スナップ写真(画像データ)、手紙、他通話記録明細(SKYPEなどビデオ通話履歴でも可)、スナップ写真(画像データ)、手紙、他

まとめ

申請時期や申請先を誤ると、申請が受理されないことがあります。それぞれの申請に求められる書類や手続きは事前にしっかり確認することが重要です。

時は令和。夫婦や愛のカタチも様々です。国際結婚も今や珍しいカタチではありません。本稿が一日でも早く夫婦生活を送れる一助となったのであれば幸いです。

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