釣り居酒屋や釣り堀ダイニングの始め方│釣り系飲食店開業のためのエントリー

釣り居酒屋にて

幼少期から釣り好きだった息子と今も時折訪れる「釣り居酒屋」は、釣った魚をその場で調理して提供するスタイルにより、食事とアミューズメントを両立させた施設です。

「次はこれを狙おう」「おっ、大物だ」とはしゃぐ息子の姿を眺めていると、ここは単なる飲食店ではなく、家族の記憶を刻む大切な場所なのだと改めて実感させられます。

しかし、こうした「非日常の体験」を安全に提供する裏側には、法的なルールに基づいた緻密な設計と、厳格な許可申請が欠かせません。

そこで本稿では、これから釣り居酒屋の開業を検討される皆さまのために、そして何より我々父子の絆を深めるために、魚釣り系飲食店の開業に必要となる資格やお手続きについてご案内したいと思います。

必要な許認可

釣り居酒屋も飲食店である以上、まずは飲食店営業許可を受けることが前提となります。

ここで注意したいのは、釣った魚を料理として提供するだけでなく、生のまま「鮮魚」として販売したり、持ち帰りに対応したりする場合です。この形態を採るなら、飲食店営業許可に加えて魚介類販売業の許可もあわせて取得しておくのが通例です。もっとも、店内で調理して提供する行為のみであれば、飲食店営業許可の範囲内で完結するため、具体的な営業スタイルに照らして判断することになります。

これらの許可はいずれも食品衛生法を根拠としており、許可を受けるには営業所ごとに食品衛生責任者を置くことが求められます。同一の施設内であれば、飲食店と魚介類販売業の責任者を一人が兼任することも差し支えありませんが、各自治体によって運用の詳細が異なるケースも見受けられます。そのため、計画の早い段階で所轄の保健所へ確認を済ませておくのが確実です。

「釣り居酒屋を開業するにあたって必要な資格」を挙げるならば、まずこの食品衛生責任者が該当します。また、店舗の収容人員(従業員を含む)が30人以上となる場合には、消防法に基づき防火管理者を選任し、消防計画を作成・届け出る義務が生じる点にも留意が必要です。

魚介類販売業の定義と判断基準

魚介類販売業は、店舗を構えて鮮魚介類(冷凍品を含む)を販売する営業形態を指し、食品衛生法に基づき許可を要する32業種の一つに数えられます。もし店舗を設けずに販売を行うのであれば、それは魚介類の行商販売に該当するため、別途「魚介類等行商」の届出を行うという整理になります。

このように実際に魚介類販売業に該当するかどうかの判断においては、いくつか特筆すべき基準が存在します。

例えば、刺身を調理して販売する行為は本業種の範疇に含まれるほか、せり受けた魚介を特定の場所でさらに小売人へ分売する営業も対象となります。また、鯨肉の販売についても魚介類販売業の対象として扱われます。

一方で、生きたままの魚介類を販売する場合や、魚介類のせり売りそのものについては、この許可の対象からは除外されます。また、加工品の扱いについては注意が必要で、おおむね塩分濃度が3%以下の塩蔵品や、水分含量が50%を超えるいわゆる「一夜干し」などは、実務上「鮮魚」とみなされます。したがって、これらの製品を販売する際にも、魚介類販売業の許可を得ておくことが前提となります。

魚介類販売業許可

今回の「釣り居酒屋」のように、店内で釣った魚をその場で調理して提供するスタイルであれば、基本的には飲食店営業許可の範囲内で対応可能です。

しかし、もし調理前の「鮮魚」としてそのまま販売したり、テイクアウト用として加工・販売したりする形態を検討されるのであれば、別途魚介類販売業の許可が必要となります。

この許可を得るためには、都道府県知事が定める施設や設備などの基準に適合させた上で、営業地を管轄する保健所に対して申請を行い、その許可を受けることが前提となります。

許可の基準

食品衛生法に基づく営業許可を得るためには、大きく分けてヒトに関する(人的基準)と施設設備に関する(施設要件)の2つの基準を満たす必要があります。

かつては都道府県ごとに基準が異なっていましたが、2021(令和3)年の法改正以降、全国一律の基準(共通基準)と、業種ごとの特性に応じた基準(特定基準)に整理されています。

許可を受けるための「人的な要件」としては、先ほどお伝えした食品衛生責任者の設置が欠かせません。さらに、魚介類販売業の営業所(施設面)については、以下の基準をすべて満たす必要があります。

施設に係る共通基準

以下は食品衛生法上のすべての許可業種に共通する基準であり、どの業種でも最低限クリアすべき基準です。

施設全体施設は、屋外からの汚染を防止し、衛生的な作業を継続的に実施するために必要な設備、機械器具の配置及び食品又は添加物を取り扱う量に応じた十分な広さを有すること
作業区分に応じ、間仕切り等により必要な区画がされ、工程を踏まえて施設設備が適切に配置され、又は空気の流れを管理する設備が設置されていること(作業における食品等又は従業者の経路の設定、同一区画を異なる作業で交替に使用する場合の適切な洗浄消毒の実施等により、必要な衛生管理措置が講じられている場合を除く)
住居その他食品等を取り扱うことを目的としない室又は場所が同一の建物にある場合、それらと区画されていること
施設の構造及び設備じん埃、廃水及び廃棄物による汚染を防止できる構造又は設備並びにねずみ及び昆虫の侵入を防止できる設備を有するこ
食品等を取り扱う作業をする場所の真上は、結露しにくく、結露によるカビの発生を防止し、及び結露による水滴により食品等を汚染しないよう換気が適切にできる構造又は設備を有すること
必要に応じて、ねずみ、昆虫等の侵入を防ぐ設備及び侵入した際に駆除するための設備を有すること
原材料を種類及び特性に応じた温度で、汚染の防止可能な状態で保管することができる十分な規模の設備を有すること
施設で使用する洗浄剤、殺菌剤等の薬剤は、食品等と区分して保管する設備を有すること
廃棄物を入れる容器又は廃棄物を保管する設備については、不浸透性及び十分な容量を備えており、清掃がしやすく、汚液及び汚臭が漏れない構造であること
製品を包装する営業にあっては、製品を衛生的に容器包装に入れることができる場所を有すること
更衣場所は、従事者の数に応じた十分な広さがあり、及び作業場への出入りが容易な位置に有すること
食品等を洗浄するため、必要に応じて熱湯、蒸気等を供給できる使用目的に応じた大きさ及び数の洗浄設備を有すること
添加物を使用する施設にあっては、それを専用で保管することができる設備又は場所及び計量器を備えること
(床面、内壁及び天井)床面、内壁及び天井は、清掃、洗浄及び消毒を容易にすることができる材料で作られ、清掃等を容易に行うことができる構造であること(取り扱う食品や営業の形態を踏まえ、食品衛生上支障がないと認められる場合を除く)
床面及び内壁の清掃等に水が必要な施設にあっては、床面は不浸透性の材質で作られ、排水が良好であること
内壁は、床面から容易に汚染される高さまで、不浸透性材料で腰張りされていること
(照明設備)照明設備は、作業、検査及び清掃等を十分にすることのできるよう必要な照度を確保できる機能を備えること
(給水設備等)水道により供給される水又は飲用に適する水(食品製造用水)を施設の必要な場所に適切な温度で十分な量を供給することができる給水設備を有すること
水道により供給される水以外の水を使用する場合にあっては、必要に応じて消毒装置及び浄水装置を備え、水源は外部から汚染されない構造を有すること
貯水槽を使用する場合にあっては、食品衛生上支障のない構造であること
(手洗い)従業者の手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式手洗い設備(水栓は洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造であること)を必要な個数有すること
(排水設備)十分な排水機能を有し、かつ、水で洗浄をする区画及び廃水、液性の廃棄物等が流れる区画の床面に設置されていること
汚水の逆流により食品又は添加物を汚染しないよう配管され、かつ、施設外に適切に排出できる機能を有すること
配管は十分な容量を有し、かつ、適切な位置に配置されていること
(冷蔵又は冷凍設備)食品又は添加物を衛生的に取り扱うために必要な機能を有する冷蔵又は冷凍設備を必要に応じて有すること
製造及び保存の際の冷蔵又は冷凍については、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)(外部リンク)に定められた規格又は基準に冷蔵又は冷凍について定めがある食品を取り扱う営業にあっては、その定めに従い必要な設備を有すること
(便所)要件を満たす便所を従業者の数に応じて有すること
作業場に汚染の影響を及ぼさない構造であること
専用の流水式手洗い設備を有すること
機械器具食品又は添加物の製造又は食品の調理をする作業場の機械器具、容器その他の設備は、適正に洗浄、保守及び点検をすることのできる構造であること
作業に応じた機械器具等及び容器を備えること
食品又は添加物に直接触れる機械器具等は、耐水性材料で作られ、洗浄が容易であり、熱湯、蒸気又は殺菌剤で消毒が可能なものであること
固定し、又は移動しがたい機械器具等は、作業に便利であり、かつ、清掃及び洗浄をしやすい位置に有すること
組立式の機械器具等にあっては、分解及び清掃しやすい構造であり、必要に応じて洗浄及び消毒が可能な構造であること
食品又は添加物を運搬する場合にあっては、汚染を防止できる専用の容器を使用すること
冷蔵、冷凍、殺菌、加熱等の設備には、温度計を備え、必要に応じて圧力計、流量計その他の計量器を備えること
作業場を清掃等するための専用の用具を必要数備え、その保管場所及び従事者が作業を理解しやすくするために作業内容を掲示するための設備を有すること

業種別基準

共通基準に加えて、菓子製造業の許可を得るためには、さらに以下の固有の基準を満たす必要があります。

冷蔵・冷凍設備魚介類を種類・特性に応じた適切な温度(一般に10℃以下、冷凍なら-15℃以下)で保管できる十分な規模の設備を有すること
温度計の設置外側から庫内温度を確認できる温度計を設置すること
生食用鮮魚介類の取扱い生食用を処理する場合、専用のまな板、包丁などの器具を備えること
陳列設備販売用の魚介類を衛生的に陳列できる設備(蓋付き容器やショーケース等)を有すること
かきの処理(該当する場合)浄化設備(必要に応じて)、殻付きかきの洗浄設備、むき身の処理・包装設備

地域別の基準

厚生労働省が省令で「標準的な基準」を定め、各自治体は原則としてこれを参考に条例を制定しています。

これにより全国一律化が進んだとはいえ、地域の実情(特産品や気候、過去の食中毒事例)に応じて、条例で独自の独自の「上乗せ基準」や「解釈」を設けている場合があります。

たとえばシンクについて数やサイズが指定されている場合や、床・内壁の素材が指定されている場合があり、また、申請手数料についても自治体ごとにばらつきがあります。

特に都市部では、運用基準について独自の指導方針を持っている場合があるため、申請の際には自治体が公開している最新のガイドラインを確認することをお勧めします。

食品衛生責任者

魚介類販売業を営む営業所ごとに必要です。各都道府県の食品衛生協会が開催する講習を受講すれば、誰でも取得できる資格です。講習は、食品衛生学・衛生法規・公衆衛生など約6時間、受講料は1万円程です。

水質検査成績書

ビルのフロアを借りて営業するケースなどで、貯水槽や井戸水を利用する場合には、営業許可申請の際に「水質検査成績書」を提出することになります。これは、水道法などの規定に基づき、飲料水の安全性を客観的に証明するための書類です。

多くの場合、貯水槽の清掃や水質検査は建物のオーナーや管理会社が定期的に実施しているため、まずは管理側に「営業許可の申請で必要になる」旨を伝え、直近の検査結果の写しを提供してもらえるか確認しておくのがスムーズです。

ただし、給水方式が水道本管から直接供給される「直結給水」である場合には、この成績書の提出自体が不要となることもあります。また、独自の井戸水を使用する場合などは、営業者自らが検査機関へ依頼し、飲用適の判定を受けた書類を用意することになります。検査項目や有効期限については、管轄の保健所によって運用が異なる場合があるため、事前に詳細を精査しておくのが確実です。

飲食店営業許可

飲食店を開業する以上、飲食店営業許可を取得しておくことが大前提となります。こちらの申請先も、営業所在地を管轄する保健所が窓口です。

ただし、すべてのケースで許可が求められるわけではありません。例えば、自動販売機のみを設置して営業する形態や、既製品の飲食物をその場で提供するだけのいわゆるイートインスペースであれば、飲食店営業許可を得る必要はないと解釈されます。

飲食店を営むにあたっては、営業所ごとに食品衛生責任者を置くことが義務付けられています。このあたりの詳細な要件や手続きについては、以下の関連記事にまとめてありますので、あらかじめ目を通しておくと確実です。

風営法との関係

釣り居酒屋の経営において、意外な盲点となるのが風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)との兼ね合いです。風営法では「遊興」を文字通り「遊び興じさせること」と定義しており、営業者側が積極的にその場や設備を提供する行為を規制の対象としています。

店内に生け簀を設け、客に釣竿を貸し出してその場で釣りに興じさせる行為は、まさに営業者が主体となって客を「遊び興じさせている」状態に他ならず、法的な解釈において「遊興」に該当します。

この「遊興」に加え、「客に酒類を提供すること」、そして「深夜(午前0時から翌午前6時まで)に営業すること」という3つの条件がすべて揃った場合、その営業は「特定遊興飲食店営業」とみなされます。この許可を得ずに深夜0時以降も釣りと酒類提供を継続した場合には、無許可営業として厳しい罰則の対象となるため、運用には細心の注意を払うことが求められます。

実務上の注意点として、まず特定遊興の許可を持たない一般的な居酒屋として営業する場合、深夜0時を過ぎた時点で「釣り」という遊興行為を完全に停止させる必要があります。たとえ店が開いていたとしても、生け簀を閉鎖し、飲食のみの提供に限定するといった厳格な切り分けが不可欠です。また、従業員が客の釣りを過剰にサポートしたり、釣果に対して過度な盛り上げを行ったりする行為は、遊興の範囲を超えて「接待」とみなされるリスクがありいます。そうなれば、特定遊興飲食店営業ではなく、より規制の厳しい「風俗営業(1号営業)」の許可を要する可能性も否定できません。

さらに、特定遊興飲食店営業の許可を取得しようとする場合でも、設置場所の用途地域による制限があるため、どの物件でも深夜の釣り営業が可能とは限りません。釣り居酒屋というエンターテインメント性の高い業態を深夜まで展開するのであれば、提供するサービスの内容、酒類、そして時間の3要素を法律の定めに照らし合わせ、適切な許認可の手続きと現場でのオペレーションを徹底することが重要です。

開業に必要な資金

一般の飲食店や魚屋と比較すると、初期一般的な飲食店や魚屋と比較すると、釣り居酒屋は初期投資(イニシャルコスト)が非常に高額になる傾向があります。

まず、店内に釣り堀や大型の水槽を設置するためには相応の面積を持つ物件を確保しなければならず、賃貸物件であれば月々の賃料も相応の額に達します。また、生体を維持するための特殊な防水工事や濾過設備の導入といった内装工事がほぼ必須となるため、坪単価の施工費用は跳ね上がります。

これらに加え、厨房機器や客席の備品まで含めて一通りそろえるとなると、開業資金として1,000万円を下らないケースがほとんどです。この点は、事業の成否を分ける極めて重要なフェーズであるため、あらかじめ精緻な収支シミュレーションを行い、施工業者や金融機関とも綿密な打ち合わせを重ねておく必要があります。

何よりも、こうした特殊な業態においては、突発的な設備トラブルや光熱費の高騰なども織り込んだ、実効性の高い事業計画の策定が成功への鍵を握ります。

まとめ

カレイの唐揚げ
釣ったカレイも唐揚げに

工夫を凝らすことで、潜在的な需要を鮮やかに引き出すことができるのも、飲食業というビジネスが持つ大きな魅力の一つです。

しかし、特殊な設備を伴う「釣り居酒屋」のような業態では、事前の市場調査に基づいた綿密な事業計画が不可欠となります。

煩雑な行政手続きの代行については、ぜひ弊所へお任せください。下記サポートには、許可要件の確認や実地調査への対応など、開業に際して必要となる実務的なご相談も含まれております。

初回のご相談は無料にて承っておりますので、事業の構想をお気軽にお問い合わせください^^

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