アミューズメントカジノやポーカーバーに10%ルールが適用されるか否かを考察するエントリー

近年は世界的なポーカーブームを受けて国内でも擬似的なカジノ空間を楽しめるアミューズメントカジノ型の店舗が人気を獲得しています。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)においてアミューズメントカジノやポーカーバーといったアミューズメント施設は、ゲームセンターと同じく風俗営業(5号営業)に該当し、都道府県公安委員会(警察)の許可を受けることなくこれを営業することが禁止されています。
他方、警察庁の通達では大きなレストラン等の店舗の片隅にポツンと1台の遊技設備を設置するゲームコーナーのように、店舗内において占めるゲームセンター等営業としての外形的独立性が著しく小さいものについては風俗営業の許可が不要とする「10%ルール」という基準を設けて運用を行っています。
そこで考えるべきなのが、ゲームセンターと同じく「5号営業」に属するアミューズメントカジノやポーカーバーについてもこの「10%ルール」が適用されるのかどうかという問題についてです。
この点について前述した通達中にはゲームセンターとアミューズメントカジノ等を分離する解釈はなく、アミューズメントカジノ等であるからといって直ちに「10%ルール」の適用から排除するという文言はありません。
ただし、現場レベル(都道府県警察本部)ではおおむねこの解釈に慎重な立場のようで、明確に「OK」との回答を得ることはできませんでした。
そもそもこの「10%ルール」は、店舗内に比較的小規模なゲーム機器を設置する営業を想定した特例であり、ポーカーのように「射幸心をそそるおそれ」が高く賭博の対象となりやすいゲームを当初から想定したものではありません。そのため現場レベルでは通達の内容を尊重しつつもその適用については慎重な立場を崩していません。
例えば某警察本部では「10%ルール」は適用されると回答しつつも、「トーナメントを行わないこと」「店側がディーラーを配置しないこと」「従業員は参加しないこと」「客が賭博を行わないよう監視すること」「営業しようとするときは事前に所轄の警察署に図面を持って相談しにくること」といった条件のような回答を突きつけてきました。
また、「10%」は「客室」に対する「遊技スペース」の占める割合であって「営業所」に対する「ポーカー台の面積」の割合ではないため、「10%ルール」の適用を受けるためには実務上相当広い営業所面積が必要となります。
★計算の一例
営業所全体の床面積が100㎡、客室床面積が60㎡の店舗内にポーカー台(2.2m×0.8m)を1台設置する場合
2.2×0.8×1台×3=5.28<60×0.1=6
結論:10%ルール適用
営業所全体の床面積が70㎡、客室床面積が50㎡の店舗内にポーカー台(2.2m×0.8m)を1台設置する場合
2.2×0.8×1台×3=5.28>50×0.1=5
結論:10%ルール不適用
(※)遊技スペースはポーカー台の床面積×3で計算
さらに「10%ルール」の適用を受けることで許可は不要となる場合であっても、「風俗営業」であることには違いないため、例えば深夜において営業することが禁止される等、風俗営業者として禁止される行為を行うことはできません。
いずれにせよ風営法は違反者に対する罰則も厳しいため、自己流の解釈や抜け道を探るようなスキームは避け、営業を開始しようとするときは、必ず事前に警察や専門家等の意見を聴取するようにしてください。
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風俗営業は法令や条例の規制をダイレクトに被る営業形態です。規制は各市区町村条例に及んでいることも多いため、市区町村によっては都道府県条例よりもさらに厳しい条例(いわゆる上乗せ条例)が施行されている地域も存在します。
このように想定外の落とし穴にはまってしまうこともあるため、風俗営業の見切り発車は非常にリスクの大きい行為です。知人の風俗営業者が色々と入れ知恵してくれたとしても、それがその時期その地域その営業形態にすべて合致する正しい情報とは限りません。いずれにせよ風俗営業をはじめようとする際は、所轄の警察署や風営法に精通した行政書士に相談することを強くお薦めします。
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