産業廃棄物処理施設設置許可│中間処理施設に関する手続きと許可基準について

廃棄物処理場

産業廃棄物の最終処分や中間処理を行う施設の中でも、一定規模以上の処理能力を有するものについては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法)で産業廃棄物処理施設とされています。

自社処理であるか、処理業者であるかを問わず、産業廃棄物処理施設を設置するためには、工事着工前に管轄する都道府県知事(又は政令市長)の許可を受ける必要があります。

産業廃棄物処理施設は、重要なインフラであるとともに、環境に大きな影響を及ぼすおそれのある事業でもあるため、その設置については極めて高いハードルが設けられています。

そこで本稿では、この産業廃棄物処理施設のうち、中間処理施設を設置するにあたって必要となる許可について、ざっくりと解説していきたいと思います。

中間処理と最終処分

中間処理とは、破砕、切断、焼却、圧縮、溶融など、廃棄物の性状や形状に変更を加えることをいいます。ただし、実務上の中間処理の定義については、各自治体ごとの判断に委ねられているというのが現状です。

他方、資源化して再利用することが困難な廃棄物や処理の過程で生じる残さ等を受け入れて埋め立てることを最終処分といいます。このことから中間処理とは、一連の産業廃棄物処理工程において、最終処分(埋め立て)を行うための前段階の工程であるということになります。

産業廃棄物処理施設設置許可

産業廃棄物処理施設を設置し又は変更しようとする場合は、事前に設置場所を管轄する都道府県知事(又は政令市の場合)の許可を受ける必要があります。

排出事業者が自ら排出した産業廃棄物を自ら処理することについては原則として許可を必要としませんが、1日あたりの処理能力が一定規模を超えるような場合には、設置許可が必要になります。(後述)

自社以外の排出物を処理する場合には規模に関わりなく許可が必要となりますが、下請工事において発生した廃棄物などについては、慎重な判断が求められることになります。

中間処理業の許可構造

中間処理施設を運営するためには、廃棄物を破砕したり焼却したりするための施設を設置することを前提に、産業廃棄物処分業の許可を取得する必要があります。要するに中間処理業は、産業廃棄物処分業許可産業廃棄物処理施設設置許可の二段構えの許可構造を採用していることになります。

まずは産業廃棄物処理施設の設置許可を受けた上で産業廃棄物処分業の許可を取得する流れになりますが、ここでのポイントは、設置許可が必要な施設と不要な施設とが混在している点になります。

特定施設(15条施設)

中間処理施設、最終処分場において取り扱う産業廃棄物の別に、一定規模以上の処理能力を有する処分施設を特定施設といいます。具体的には、下記の基準に該当する施設を設置する際には、産業廃棄物処理施設として設置許可を受ける必要があります。逆にいえば、これらに該当しない処分施設については設置許可を受ける必要はありません。これらの施設は廃棄物処理法第15条(令第7条)に規定があることから、通称で15条施設ともいわれています。

なお、自社で排出した廃棄物を処理する場合であっても、特定施設に該当する場合にはやはり設置許可が必要となります。

中間処理施設
施設の種類処理する廃棄物の種類処理能力
脱水施設汚泥1日当たり10㎥を超えるもの
乾燥施設汚泥1日当たり10㎥を超えるもの
乾燥施設(天日乾燥)汚泥1日当たり100㎥を超えるもの
焼却施設汚泥1日当たり5㎥を超えるもの、1時間当たり200kg以上又は火格子面積2㎡以上のもの
焼却施設廃油1日当たり1㎥を超えるもの、1時間当たり200kg以上又は火格子面積2㎡以上のもの
焼却施設廃プラスチック類1日当たり100kgを超えるもの又は火格子面積2㎡以上のもの
焼却施設廃PCB等、PCB汚染物
又はPCB処理物
すべてのもの
焼却施設その他の産業廃棄物1時間当たり200kg以上又は火格子面積2㎡以上のもの
油水分離施設廃油1日当たり10㎥を超えるもの
中和施設廃酸・廃アルカリ1日当たり50㎥を超えるもの
破砕施設廃プラスチック類1日当たり5tを超えるもの
破砕施設木くず・がれき類1日当たり5tを超えるもの
コンクリート固型化施設有害物質を含む汚泥すべてのもの
ばい焼施設水銀又はその化合物を含む汚泥すべてのもの
硫化施設廃水銀等すべてのもの
シアン分解施設シアン化合物を含む汚泥、廃酸、廃アルカリすべてのもの
廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物すべてのもの
廃PCB等又はPCB処理物の分解施設廃PCB等又はPCB処理物すべてのもの
PCB汚染物又はPCB処理物の洗浄施設廃PCB等又はPCB処理物すべてのもの
PCB汚染物又はPCB処理物の分離施設廃PCB等又はPCB処理物すべてのもの
※PCB=ポリ塩化ビフェニル
最終処分場
施設の種類処理する廃棄物の種類
遮断型最終処分場(すべて)有害な産業廃棄物
安定型最終処分場(すべて)安定型産業廃棄物(プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラス及び陶磁器くず、がれき類で有機性の物質、油分及び有害物質を含有または付着していないもの)
管理型最終処分場(すべて)上記2つ以外の産業廃棄物

手続きの流れ

設置許可申請手続きの流れ
※尼崎市における許可申請手続きの流れ

特定施設に該当しない場合

保有する処分施設が特定施設に該当しない場合には、そのまま産業廃棄物処分業の許可申請をする流れになります。いずれにせよ、ほとんどの自治体では手続きのはじめに事前協議を経ることを要求されています。また、法律に明示されてはいませんが、事前協議を経て近隣住民への説明会を開催することを求められます。

特定施設に該当する場合

保有する処分施設が特定施設に該当する場合には、産業廃棄物処分業の許可申請に先立って産業廃棄物処分施設設置許可申請を行います。

また、関連する法令(大気汚染防止法、水質汚濁防止法、建築基準法等)の適用を受ける場合は、必要に応じて所定の手続きを行います。産業廃棄物焼却施設、PCB関連施設、産業廃棄物最終処分場の許可申請については、行政庁が申請内容を告示・縦覧し、関係市町村長、利害関係者、専門的知識を有する者からの意見を聴取します。

★生活環境影響調査

産業廃棄物処理施設を設置し又は変更しようとするときは、産業廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響について調査を実施し(専門業者に委託)、その結果を記載した書類を添付します。

★建築基準法第51条ただし書き許可

特定施設を設置する場合、都市計画上支障がないかどうかを都市計画審議会で審議し許可不許可の処分を行います。この許可は、根拠条項から建築基準法第51条ただし書き許可と呼ばれています。

産業廃棄物処分業許可

処分施設が特定施設に該当するか否かを問わず、産業廃棄物処分業(又は特別管理産業廃棄物処分業)を行う場合は、処分する区域(中間処理・最終処分)を管轄する都道府県知事(又は政令市長)の許可を受ける必要があります。

設置許可の基準

特定施設に該当し産業廃棄物処理施設設置許可を受けるにあたっては、「ヒト」「カネ」「モノ」「場所」のすべてについて基準を満たす必要があります。この基準は全国一律ではなく、各自治体の実情に応じて定められるものです。

人的基準

  • 申請者が欠格事項に該当しないこと
  • 産業廃棄物管理責任者を配置すること
  • 技術管理者を配置すること
欠格事項

申請者が以下のいずれかに該当する場合は、産業廃棄物処理施設設置の許可を受けることはできません。

  1. 成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者
  2. 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  3. 廃棄物処理法等の環境関連法や刑法に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  4. 許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(廃業した場合も同様)
  5. 法人で暴力団員などがその事業活動を支配するもの
  6. 暴力団対策法に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  7. その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
産業廃棄物管理責任者

特定施設の設置者は、産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため 産業廃棄物処理責任者を配置しなければなりません。産業廃棄物処理責任者となるための資格は特にありませんが、管理者的立場にある者から選任する必要があります。なお、責任者は後述する技術管理者と兼務することもできます。

技術管理者

特定施設の設置者は、施設の維持管理上の基準に係る違反が行われないよう施設を維持管理する事務に従事する他の職員を監督する職務にあたらせるため、以下の資格・実務経験を有する者のうちから技術管理者を選任しなければなりません。

  1. 技術士(化学部門、上下水道部門、衛生工学部門)
  2. 1.以外の部門の技術士で、1年以上の実務経験がある者
  3. 環境衛生指導員として2年以上の実務経験がある者
  4. 大学で理学・薬学・工学・農学を専攻して、衛生工学と化学工学を修了した者で、卒業後2年以上の実務経験がある者
  5. 大学で理学・薬学・工学・農学と相当する課程を専攻して、衛生工学・化学工学以外を修了した者で、卒業後3年以上の実務経験がある者
  6. 短期大学または高専で理学・薬学・工学・農学を専攻して、衛生工学と化学工学を修了した者で、卒業後4年以上の実務経験がある者(衛生工学と化学工学を修了していない場合は、卒業後5年以上の実務経験ある者)
  7. 高校で土木科・化学科または相当学科を学び、卒業後6年以上の実務経験がある者
  8. 高校で理学・工学・農学または相当学科を学び、卒業後7年以上の実務経験がある者
  9. 上記以外の者で、10年以上の実務経験がある者、または同等以上の知識および技能を有すると認められる者(財団法人日本環境衛生センターの「廃棄物処理施設技術管理者講習」を修了した者)

 財産的基準

  • 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)の処理を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること

申請にあたっては、少なくとも債務超過の状態でなく、かつ持続的な経営の見込み又は経営の改善の見込みがあることが求められています。

自己資本比率、直前の決算期における貸借対照表上の純資産額、直前3年間の経常利益の金額、税金の納付状況等から総合的に判断し、利益が計上されず、かつ債務超過状態にある申請者は、許可の要件には適合しないものとみなされます。ただし、赤字や債務超過があったとしても直ちに不許可となるわけではなく、追加書類を提出することにより審査が通ることもあります。

経理的基礎に関する事項は、自治体ごとに解釈の基準が異なることが多いため、事前協議の際にはこの点についてしっかりと確認し把握するようにしてきださい。

場所的基準

  • 処理施設を設置する場所が確保されていること
  • 設置に係る同意が得られていること

例えば農地に施設を設置しようとする場合、農地のままでは許可を取得することができないため、事前に農地転用や開発許可申請を行う必要があります。また、隣接地及び地域住民等の同意は法律上の要請ではありませんが、地方自治体では行政指導として求めるケースが多く、事実上要件のひとつとなっています。 

施設構造・設備的基準要件

  • 産業廃棄物の種類に応じ、その処分に適する処理施設を有すること

飛散・流出および地下浸透、悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であることが要件になります。具体的には、敷地周囲に塀を設置したり、騒音や振動、排水対策などの計画を綿密に策定する必要があります。また、設置する処理施設が具体的に決まっていることも必要です。

処分施設の維持管理

以下の産業廃棄物処理施設の設置者は、5年3ヶ月ごとに知事(又は政令市長)の検査を受けなければなりません。

  • 産業廃棄物の焼却施設
  • 廃水銀等の硫化施設
  • 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設
  • 廃PCB等若しくはPCB処理物の分解施設又はPCB汚染物若しくはPCB処理物の洗浄施設若しくは分離施設
  • 産業廃棄物の最終処分場

必要となる書類

  • 許可申請書(PDF)(WORD)
  • 生活環境影響調査書
  • 施設の構造を明らかにする設計計算書
  • 処理工程図
  • 施設の付近見取図
  • 施設の設置及び維持管理に関する技術的能力を説明する書類
  • 施設の設置及び維持管理に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類
  • 技術管理者の講習修了証
  • 直前3年の各事業年度における貸借対照表、損益計算書並びに法人税の納付すべき額及び納付済額を証する書類(法人)
  • 資産に関する調書並びに直前3年の所得税の納付すべき額及び納付済額を証する書類(個人)
  • 定款又は寄附行為及び登記簿の謄本(法人)
  • 住民票の写し及び登記事項証明書
施設の構造を明らかにする設計計算書

施設の形状、寸法、内部構造を明らかにする図面、能力計算書、事業場内の平面図(施設が設置される建屋、敷地の囲い、出入口、管理事務所、廃棄物・処理後の保管場所(保管容量を計算できる図面)、排ガス・排水処理施設及びそれらの排出口を明示したものを作成し添付します。

処理工程図

産業廃棄物の受入、保管、処理、処理後の保管・搬出までの処理工程をフロー図で作成し添付します。

施設の付近見取図

周辺住宅地図、主たる通行路、排水放流先水域を明示した図面を作成し添付します。

直前3年の決算書

債務超過、施設設置に必要な資金が確保できていない、または新たに必要となる運転・維持管理費を賄える利益が計上できない場合は、経理的基礎の審査のため追加書類が必要です。

住民票の写し及び登記事項証明書

申請者が未成年者である場合にはその法定代理人、法人である場合には役員全員、法人である場合において発行済株式総数の100分の5以上の株式を有する株主又は出資の額の100分の5以上の額に相当する出資をしている者があるときはこれらの者、使用人がある場合にはその者の分が必要となります。

その他の書類

上記の書類はあくまでも一例であり、実務上はケースごとの各自治体の判断により、個別かつ詳細な書類の提示を求められます。どのような書類がどのような目的で必要になるのかについては、協議の中で明らかにしていくよう

まとめ

行政書士の取り扱う業務にあって、産業廃棄物処分業に関する手続きは、間違いなく最難関の部類に挙げられます。法令の条文にも、「許可をしてはならない」や「許可をしないことができる」という行政主体の文言が並び、この点からも許可権者である行政庁に対して強い権限と裁量が与えられていることをうかがい知ることができます。

このため本申請は、当初から長い期間と相応の費用を見込む必要があります。膨大な書類を提示して何度協議を重ねても、許可が下りないケースがあることも十分に覚悟すべきところです。気軽に検討する事案ではなく、しっかりとした計画をもって申請に臨むようにしましょう。

弊所でも関西圏を中心として産業廃棄物処理施設(中間施設)設置と産業廃棄物処分業許可の申請を取り扱っております。少しでもご負担を軽減させるよう、しっかりフルサポートいたします。また、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応には定評があります。産業廃棄物処理施設(中間施設)設置及び産業廃棄物処分業許可の申請でお困りの際は、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。

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