クリーニング店を開業しよう│クリーニング所開業のために必要となる資格や手続きとは

普段から襟付きシャツを多用する職種であれば、定期的なクリーニングの利用は欠くことができません。一般家庭での洗たくには、技術、仕上り、手間すべての面において限界があり、そこにプロとの歴然たる技術の差があることは、認めざるを得ない事実です。
他方、クリーニング店を新たに開設しようとするときは、クリーニング業として開設届を提出する必要がありますが、このことについてはあまり広く知られていないように感じます。
そこで本稿では、これからクリーニング店を開店することをお考えの皆さまに向けて、クリーニング店開業のために必要となる手続きについて詳しく解説していきたいと思います。
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クリーニング業
クリーニング業法では、クリーニング業について、「溶剤又は洗剤を使用して、衣類その他の繊維製品又は皮革製品を原型のまま洗たくすること(繊維製品を使用させるために貸与し、その使用済み後はこれを回収して洗たくし、さらにこれを貸与することを繰り返して行なうことを含む)を営業とすること」と定義しています。
まどろっこしい表現ですが、一般的に「クリーニング店」をイメージするときそのままの事業形態であるものと考えて問題ありません。
また、いわゆるリネンサプライ、貸しオムツ及び貸しおしぼり業などもクリーニング業に該当するほか、ホテルやマンションのフロント(コンシェルジュ)による受付も取次店に該当します。
開業のパターン
クリーニング店を開業するパターンを大別すると、「一般店」と「取次店」を含む「店舗型」と、そもそも店舗を設置しない「無店舗型」とに分類されます。
一般店(クリーニング所)
自分のお店で衣類等を預かり、以下に該当するクリーニング作業を行う形態を一般店(法律上は「クリーニング所」)といいます。
- 受取り及び引渡し
- 水洗い
- ドライクリーニング
- シミ抜き
- 乾燥
- プレス
- 仕上げ
一般店では、クリーニングのための作業場や設備等に加えて預かった衣類を保管するスペースを備える必要があるほか、クリーニング所1施設ごとに1人以上のクリーニング師を設置する必要があります。
取次店(取次所)
いわゆるフランチャイズ加盟店のように、顧客との窓口となり、衣類等の受取り、引渡し、保管を行い、クリーニング作業は提携する工場で行う形態を「取次店」といいます。
クリーニング作業を自ら行う必要がないため初期コストが低く、相対的に小規模な店舗が多いのが特長的で、フランチャイズ加盟店として有名店のブランドを使用することができることからも人気のある開業形態です。
また、クリーニング所を開設せずに車両等を使用して洗たく物の受取り及び引渡しを行う営業形態を無店舗取次店といいます。
クリーニング師
クリーニング所には、1施設ごとに1人以上のクリーニング師を設置する必要があります。ただし、クリーニング師を設置する必要があるのはクリーニング作業を行う施設についてのみであり、洗たく物の受取り又は引渡しのみを行う「取次所」にはクリーニング師を設置する必要はありません。
また、クリーニング所の業務に従事するクリーニング師は、クリーニング所開設後1年以内及び3年に一度、以下の知識及び技能についての法定研修を受講することが義務付けられています。
- 衛生法規に関する知識
- 公衆衛生に関する知識
- 洗たく物の処理に関する知識及び技能
さらに営業者は、業務の従事者人数の5分の1の者について、法律で定める講習(従業員講習)を受講させる必要があります。
開設の流れ
クリーニング所(リネンサプライを含む)又は取次店を開設しようとするときは、クリーニング所の位置、構造設備及び従業員数並びにクリーニング師その他必要な事項を記載したクリーニング所開設届(無店舗取次店を営業しようとするときは、営業方法、従事者数その他必要事項を記載した届出書)を含む以下の書類を、開設予定地を管轄する保健所に対してあらかじめ提出する必要があります。
- 届出書
- クリーニング師免許証の原本
- 検査手数料
- 付近見取図及び施設平面図
- 他に営業する店舗の一覧
- 洗濯物の搬入を行う施設(取次店)
届出後にはクリーニング所の構造設備基準(後述)に適合するかどうかについて保健所職員による現地確認が実施されるため、クリーニング所の工事施工前には、構造設備基準に適合するかどうか等を含め、保健所に事前相談することをお薦めします。
保健所職員による現地確認の結果、基準に適合していることが確認されると確認済証が交付され、晴れて営業をスタートすることができます。
クリーニング所の構造設備等の基準
クリーニング所(工場)の構造設備等については、以下の基準をすべて満たすことが求められています。
- クリーニング所内は、換気、採光及び照明を十分にすること
- 洗たく物を洗たく又は仕上げを終わったものと終わらないものに区分しておくこと
- 洗たく物をその用途に応じて区分して処理すること
- 洗たく物はその受渡し及び運搬においても、洗たく又は仕上げを終わったものと終わらないものに区分して取り扱うこと
- 消毒を要する洗たく物を取り扱う場合においては、その洗たく物を他の洗たく物と区分して処理するための容器を備えること
- 洗い場については、床が不浸透性材料(コンクリート、タイル等汚水が浸透 しないものをいう。)で築造され、これに適当な勾配と排水口が設けられていること
- 伝染性の疾病の病原体による汚染のおそれのあるものとして厚生労働省令で指定する以下の洗たく物を取り扱う場合においては、その洗たく物又は他の洗たく物と区分しておき、これを洗たくするときは洗たくが消毒効果を有する方法によってなされる場合を除き、その前に消毒すること
- 伝染性の疾病にかかっている者が使用した物として引き渡されたもの
- 伝染性の疾病にかかっている者に接した者が使用した物で、伝染性の病原体による汚染のおそれのある物として引き渡されたもの
- おむつ、パンツその他これらに類するもの
- 手ぬぐい、タオルその他これらに類するもの
- 病院又は診療所において療用のために使用された寝具その他これに類するもの
- その他都道府県(保健所を設置する市又は特別区については、市又は特別区)が条例で定める必要な措置
その他の注意点
病院や福祉施設に入院(入所)する者のみの衣類を洗濯する場合には、医療や福祉サービスの一環として取り扱われますが、日帰りを前提としする「通所介護」の場合、事業者が利用者の衣類等を洗濯する行為が介護保険法に規定する通所介護における「世話」には該当しないため、一般法であるクリーニング業法により、これを行うためにはクリーニング所として届出を行う必要があります。
クリーニング所開設届サポート
弊所では、兵庫大阪の全域にわたり、クリーニング所や取次所に関する開設届のサポートを承(うけたまわ)っています。ご依頼があったときは、保健所との事前協議、書類の作成及び提出並びに確認調査の立会いに至るまで、まるっとフルサポートいたします。クリーニング所の開設でお困りの際は、弊所までどうぞご遠慮なくご活用ください。
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