古物商の名称(屋号)に関するルールと記載方法について

古い本とアンティークデスク

弊所では古物商許可申請に関するご相談を数多くいただきますが、時折いただくのが「屋号」(営業所の名称)に関するご質問です。

割とスタンダードなものから奇をてらったものまで、申請者の個性がにじみ出る部分ですが、小売業における名称(屋号)はその営業における看板部分ですから、命名は慎重に行いたいと思うのは当然のことでしょう。

そこで本稿では、古物商許可申請の際にの営業所の名称に関するルール等について詳しく解説させていただきたいと思います。

営業所の名称について

アンティークショップの看板

古物商許可を受けようとするときは、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に対し、営業所の名称を記載した許可申請書を提出するのが基本的なルールです。(古物営業法第5条第1項第2号)

当初から名称を決めているのであればそのままその名称を記載すればいいだけの話しですが、自宅を営業所として使用するインターネット取引のみを取り扱う個人古物商の場合、少々その取扱いに困惑されることがあるようです。

そもそも「営業所なし」で申請する場合はその名称についても申請する必要はありませんが、「営業所なし」で申請するケースはいわゆる「行商」というごく限られた営業形態について認められるものであることから、自宅でインターネット取引のみを取り扱う個人であるときは、その自宅が営業所となり、名称についても必要的記載事項となります。

いずれにせよ空欄で提出することはNGとなるため、迷ったのであれば氏名(法人名称)を記載するようにしましょう。結局はこれが最も無難な方法です。

申請書(第1条の3関係)
出典元:兵庫県警公式サイト

名称のルール

営業所の名称には、ひらがな、カタカナ、漢字及びアルファベット等、基本的にはこれらを自由に使用することができますが、記号等の使用に係るルールや他法令の規制により、一定の制限を受けることになります。

記号等の使用

営業所の名称について、原則として記号やマーク等を使用することはできません。運用については各都道府県ごとに違いがあるほか、「&」など一部その使用が認められている記号等もあるので、下表を参考にしながら、事前に所轄の警察署に確認するようにしてください。

使用できる記号読み方使用箇所
アンパサンド文字を区切る場所
,コンマ文字を区切る場所
ハイフン文字を区切る場所
.ピリオド語尾
文字を区切る場所
中点文字を区切る場所
アポストロフィー文字を区切る場所
空白(スペース)アルファベットを区切る場所

会社法と個別法による規制

会社法では、会社(法人)以外の者について、「○○会社」や「○○法人△△」、「○○ inc.」のように会社を英語標記したもの等の紛らわしい名称を使用することを禁じています。(会社法第7条)

また、銀行法のように銀行以外の者が「銀行」を使用することを禁ずる個別の法令もあります。(銀行法第6条第2項)

その他「行政書士」や「税理士」といった名称独占のある資格者の名称についても、その資格者以外の者がこれを使用することはできません。

使用可使用不可
屋、商店、事務所、オフィス、企画、制作、スタジオ、サロン会社、法人、銀行、信用金庫、保険

商号登記や商標登録による規制

商号登記済みの名称を同一市町村で不正に使用することや、商標登録済みの名称を国内で不正に使用することは、登記や登録を行った企業等の権利を侵害する恐れがあることから禁止されています。

登記や登録により保護されたブランドを有する企業と同一の名称を使用し、あたかもその企業であるかのように偽って不正に利益を得ることは許されません。

そのため営業所の名称を決めるときは、商号登記や商標登録について重複することがないよう確認を取るようにしてください。

氏名や名称等の公表

公安委員会は、インターネットを用いて営業する古物商について、氏名又は名称等の事項を同じくインターネット上において公衆の閲覧に供するものとされています。(古物営業法第5条第1項第2号)

そのためインターネットを用いて古物営業をしようとするときは、公表されることを前提として名称を検討する必要があります。

複数名称の使用について

古物商として取り扱うことのできる品目は13品目にわたるため、取引を行う品目によって屋号を使い分けしたいと考えるのは合理的な要望ではないかと思います。

この点について古物営業関連法令及び警察庁の解釈基準に踏み込んだ記載はありませんが、弊所が関与した複数の事案では、以下のように該当欄に複数の屋号を併記するよう求められました。

古物商許可申請書

ただし警察庁が統一的な見解を示していない以上、その運用については都道府県ごとに違いがあります。

まとめ

大まかなルールこそ存在しますが、ご自身の営業所なので、最終的には思うように名付ければいいように思います。名称は後に届け出ることによって自由に変更することができるため、名称がしっくりこなければ何度でも変更することが可能です。

弊所も代表の氏名とは異なる「ツナグ」という屋号を使用しているため「ツナグさん」と呼ばれる機会は多く、それが認知度の向上にも一役買っています。このように営業的な観点も踏まえて名称を検討してみるのもありかもしれません。

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