テントサウナ開業に関する営業許可とその取得方法について

アウトドアサウナ

昨今の「整い(ととのい)」ブームにのっとり、アウトドア派とサウナ愛好家の両者の需要に応える形で誕生した「テントサウナ」(アウトドアサウナ)が現在注目を集めています。実際弊所においてもその波が押し寄せつつあり、サウナ施設又はテントサウナに関するご相談は徐々に増加傾向にあります。

単独でサウナ施設を設置しようとするとき(※シャワーと脱衣室の設置は必要)に公衆浴場営業許可を取得する必要があることはぼちぼち認知されている事実であるように感じますが、ご相談される皆さまが一様に気にされているのが「営業用のサウナテントを設置する場合には許可が必要になるの?」という点です。

そこで本稿では、これからサウナテントを使用した事業を展開しようとお考えの皆さまに向けて、許可の要否を含めたテントサウナの設営に関する手続きについて詳しく解説していきたいと思います。

テントサウナとは

サウナストーン

テントサウナは「アウトドアにおけるプライベート空間」という特異な性質を併せ持つことから、ソーシャルディスタンスを重要視するコロナ禍での社会情勢にも耐え、逆に認知をさらに広げて現在のブームにまでたどり着きました。投稿するに当たり改めてテントサウナについて調べ上げたところ、どうやらサウナという概念自体がフィンランドをルーツとする説が有力なようです。

仕組み自体は割とシンプルで、薪ストーブで熱した石(サウナストーン)に水やアロマ水をかけ、蒸気によって耐熱テント内を蒸らすことで簡易的にサウナ空間を楽しめます。これを「ロウリュ」と言うらしく、サウナ愛好家であれば馴染みのある言葉となっています。

ただし、火熱を使用するという構造である以上、火災や一酸化炭素中毒といった事故につながるリスクがあるという点は、たとえ個人でサウナテントを楽しむ場合であっても常に考慮する必要があります。

サウナ営業と公衆浴場法

サウナのイラスト(女性)

テントサウナを楽しむことは個人の自由ですから、所有する敷地内においてテントサウナを設営することについては、近隣に迷惑がかからない範囲内であるならば特に問題ありません。バーベキュー場やキャンプ場において土地所有者から許諾を得て行う行為についても同様です。(ただし、地域によっては条例によりテントサウナの設営が禁止されている可能性があります。)

一方で、施設を設けて他の人を入浴させようとする場合には、公衆浴場法に抵触するのではないかという問題が生じます。

公衆浴場法では、温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設を「公衆浴場」として定義しており、業としてこれを経営しようとする者は、都道府県知事(又は保健所を設置する市の市長)の許可を受けなければならない旨を定めています。

この規定により、公衆を入浴させることを前提としたサウナ施設は公衆浴場とみなされ、サウナ施設のみを設けて浴槽を設けない施設であっても、公衆浴場として都道府県知事等から営業許可を取得する必要があります。

入浴場内に設置されたサウナ施設を公衆浴場と結びつけてイメージすることは容易にできる一方で、簡易的な構造であるテントサウナを公衆浴場としてイメージすることは少々難しいのではないかと思います。

ただし、現行法を解釈すれば、テントサウナを使用した営業行為はまぎれもない「公衆浴場」に該当します。

テントサウナの営業許可

ドーム型テントのイラスト

とどのつまり、一般的なサウナ施設であれテントサウナであれ、公衆を入浴させる営業を行う際には公衆浴場営業許可を取得する必要があります。

ただし、すでに公衆浴場営業許可を取得している施設の敷地内で新たにテントサウナを設営しようとするときは、既設の施設を「変更」する届出を行えば足り、再度の許可申請は不要です。

また、グランピング施設として簡易宿所営業又は旅館・ホテル営業の許可をすでに取得している場合において、その敷地内で宿泊者のみを利用させるテントサウナを設営しようとするときも公衆浴場営業許可は不要です。

実務をこなしていると分かるのですが、旅館業には入浴施設について公衆浴場に係るものと同等の厳しい衛生基準が設けられています。このため、旅館業の営業許可を取得したことによりすでにその基準を満たしていることが担保されている旅館業営業施設については、手続き面において緩和措置が設けられています。

なお、たとえ旅館業営業(簡易宿所営業又は旅館・ホテル営業)の許可を取得していたとしても、その敷地外においてテントサウナを設営して客に使用させようとする場合には公衆浴場営業許可を取得する必要があります。(地権者の承諾も必要になります。)

テントサウナの設営者 利用対象者公衆浴場営業許可旅館業の変更届
旅館業営業者宿泊者のみ不要必要
宿泊者及び宿泊者以外必要必要
設営者が個人的に利用不要不要
旅館業営業者以外の設営者宿泊者のみ必要
宿泊者及び宿泊者以外必要
設営者が個人的に利用不要
※ここでいう旅館業営業者とは簡易宿所営業又は旅館・ホテル営業の許可を取得してこれを行う者を指します

営業許可の取得方法

相談窓口のイラスト

公衆浴場営業許可の申請は手続き的にかなり煩雑(はんざつ)な部類に入ります。このため本稿では手続きの流れと注意事項のみを記載し、許可の基準等については以下の記事に委ねます。

手続きの流れ

自治体ごとに違いはありますが、大まかには①事前調査→②事前協議→③書類の準備及び提出→④現地調査→⑤許可書の交付というのが一連の流れになります。

STEP1:事前調査

候補地を選定後、まずは公衆浴場法と関係法令による規制について調査を行います。また、公衆浴場には「一般公衆浴場」と「その他の公衆浴場」の2つの区分が存在していますが、一般公衆浴場については既設の一般公衆浴場から一定距離以上隔てて設置しなければならないという基準が設けられています。

一般公衆浴場とは地域住民の日常生活において保健衛生上必要なものとして利用される公衆浴場を指しますが、テントサウナという性質上こちらに該当する可能性は低いため、基礎知識として押さえるようにだけしてください。

STEP2:事前協議

工事等を必要とする場合は施設の工事着工前に設計図等を持参の上、事前に保健所と協議を行う必要があります。また、建設や改築工事などについては管轄の土木事務所、消防関連の手続きについては消防本部などと事前協議を行います。

STEP3:書類の準備及び提出

関係機関から求められた書類をすべてそろえて保健所の窓口に提出し、申請手数料として22,000円を納付します。

STEP4:現地調査

調査員が現地を訪れ、施設の構造設備について、申請内容と相違がないかを調査します。この際にはヒヤリングによる調査も行われるため、必ず立会いが必要になります。

STEP5:許可書の交付

申請書提出後、土日祝日・年末年始休暇を除くおおむね15〜30日の間に許可不許可の処分が下されます。許可書が交付されることによりようやく営業を開始することができるようになります。

注意事項

公衆浴場としてクリアすべき基準には公衆浴場法に定めのあるもの以外にも、旅館業法、建築基準法、消防法、農地法、河川法及び自然公園法等の法令や各自治体の条例によるものがあります。これらの基準についてはすべて漏れなく適合させる必要があるため、担当窓口においてどのような手続きが必要になるのかをしっかりと確認するようにしてください。

なお、この申請は「設営の都度」行う必要があります。

テントサウナ営業許可申請サポート

弊所は兵庫県を拠点とし、年間180件以上もの申請に携わります。最近は首都圏・四国圏・東海圏・東北圏・九州圏からも発注があり、着々と対応エリアを拡大しています。申請数が少なく対応できる行政書士がほとんどいない公衆浴場営業許可申請も取扱実績のある業務です。

面倒な書類の作成から関連機関との調整、申請の代行及び立入検査の立会いに至るまでしっかりとフルサポートいたします。下記の報酬は市場価格を反映したものですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」を標榜するため、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応には自信があります。テントサウナに関する手続きでお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。

テントサウナ営業許可申請176,000円~
※税込み

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