【大阪】小規模不動産特定共同事業登録とは?要件・手続・必要書類を行政書士が徹底解説

不動産クラウドファンディング(不動産特定共同事業を活用した小口投資)の市場拡大に伴い、「不動産小口化事業に新しく参入したい」という不動産会社様からのご相談が増えています。その中でも近年、特に注目されているのが「小規模不動産特定共同事業」です。
通常の不動産特定共同事業許可と比べて、資本金要件などが大幅に緩和されていることから、中小規模の不動産会社様でも参入しやすい制度として活用が進んでいます。
もっとも、小規模とはいえ誰しもが自由に始められるわけではなく、事業を行うためには不動産特定共同事業法に基づく「登録」を受ける必要があり、人的要件・財産的基礎・業務管理体制など、クリアすべき条件が厳格に定められています。
本稿では、大阪府で小規模不動産特定共同事業を始めたい事業者様向けに、実務のポイントを分かりやすく解説します。
目 次
小規模不動産特定共同事業とは
小規模不動産特定共同事業とは、投資家から少額の出資を募り、その資金で不動産を取得・運用して得た収益(賃料や売却益)を分配する事業です。
仕組み自体は通常の不動産特定共同事業と同じですが、投資家保護の観点から以下の「2つの上限」が設けられているのが大きな特徴であり、地域の空き家再生や小規模な収益物件などに限定して不動産小口化を行うための制度といえます。
| 投資家1人あたりの出資額上限 | 原則として100万円以内(一定の要件を満たす法人投資家等については500万円まで認められる場合があり、特例投資家については制限なし) |
| 事業全体の出資総額上限 | ひとつの事業者(登録業者)が取り扱える出資総額の合計が1億円以下 |
小規模不動産特定共同事業は、地域の収益物件や古民家などを再生・小口化して地元のファンや投資家に販売したい地元密着の不動産会社、自社開発案件(戸建・ミニ分譲など)の資金調達手段を増やして銀行融資だけに頼らない体制を作りたいデベロッパー・建築会社、既存のオーナーや高所得者層向けに新しい資産運用商品(不動産小口化商品)を自社ブランドとして提供したい賃貸管理会社などに広く運用されています。
通常の不動産特定共同事業との違い
小規模不動産特定共同事業(登録制)と、通常の不動産特定共同事業事業(許可制)の主な違いは以下の通りです。最大のメリットは、やはり最低資本金が1,000万円に引き下げられたことで参入障壁が低くなった点にあります。
| 項目 | 小規模不動産特定共同事業 | 通常の不動産特定共同事業(第1号) |
| 行政上の位置付け | 登録制 | 許可制 |
| 有効期間(更新) | 5年ごと | 5年ごと |
| 最低資本金 | 1,000万円 or 500万円 | 1億円以上 |
| 純資産の額 | 資本金の額(1,000万円 or 500万円)以上 | 資本金の額(1億円)以上 |
| 出資総額の上限 | 1億円以下(事業全体) | 制限なし |
| 1人あたり出資額 | 原則100万円以下(法人特例あり) | 制限なし |
| 主な対象層 | 地域密着の中小不動産会社など | 中堅〜大手の不動産・金融会社など |
小規模第1号事業と小規模第2号事業
小規模不動産特定共同事業は、事業者が担う役割によって「第1号」と「第2号」に分かれています。自社がどちらのビジネスモデルを目指すのかは、事前に明確にする必要があります。
| 小規模第1号事業者(自社運用型) | 自ら投資家と不動産特定共同事業契約(不特契約)を締結し、集めた資金をもとに不動産取引・運用・分配をすべて自社で行う事業者です。自社主導でクラウドファンディングサイトを立ち上げて運営する場合は第1号登録が必要とされます。 |
| 小規模第2号事業者(代理・媒介型) | 第1号事業者が投資家と締結する不動産特定共同事業契約の「代理」や「媒介(マッチング)」のみを行う事業者です。自らは不動産運用を行わず、他社のクラウドファンディング商品の集客や販売サポートを行う場合はこの第2号登録が該当します。 |
知事登録と国土交通大臣登録
大阪府における小規模不動産特定共同事業の登録には「大阪府知事登録」と「国土交通大臣登録」の2種類がありますが、これは事業内容や格式の高さをあらわす区分ではなく、設置する事務所の範囲による区分です。
大阪府内のみに事務所(本店や不特事業を行う支店)を設置して事業を行う場合は大阪府知事による登録を受けますが、大阪府を含む複数の都道府県にまたがって事務所を設置する場合は国土交通大臣による登録を受ける必要があります。
なお、インターネットを通じて全国の投資家から出資を募る(クラウドファンディングを行う)場合であっても、自社の事務所が大阪府内だけであれば大阪府知事登録で問題ありません。
大阪府における登録基準
大阪府内に主たる事務所を置いて登録を受けるには、主に以下の4つの要件を満たす必要があります。なお、制度上は個人による申請の余地がある場合もありますが、財産的基礎や業務管理体制などの審査を踏まえると、実務上は法人での申請が一般的です。
①宅地建物取引業免許があること
前提として、宅建業免許(大阪府知事または国土交通大臣)を保有している必要があります。宅建業免許がない法人は、小規模不特登録の申請自体ができません。
②資本金・財産的基礎の要件
小規模第1号事業であれば資本金1,000万円以上、小規模第2号事業者であれば資本金500万円以上が必要です。さらに資本金だけでなく、直近の財務内容において「純資産(資産-負債)の額が、資本金の額(1,000万円又は500万円)以上であること」が求められます。
直近決算で債務超過になっている場合や、繰越欠損金等で純資産がこれらの額を割り込んでいる場合は、増資などの財務改善を先に行う必要があります。
③業務管理者の設置
原則として主たる事務所を中心に常勤の業務管理体制を整える必要があります。なお、支店等を設置する場合は、その業務内容や体制に応じて追加資料や説明を求められることがあります。
業務管理者となるには主に以下の2つのルートがありますが、実務上この人材の確保が最大のハードルとなります。
資格の取得や講習の修了には、試験日程やスケジュール上の制約があるため、制度設計を始める段階から誰を業務管理者にするかを早めに確定させておくことがプロジェクトを遅らせないコツです。
実務経験ルート
不動産特定共同事業法に基づく事業について、主務省令等で定める一定の実務経験(一般に3年以上)を有する者を業務管理者として選任するルートです。実務上、このルートで要件を満たすケースはそう多くありません。
講習修了ルート
以下の特定資格のいずれかを保有し、かつ国土交通大臣の登録を受けた登録証明事業者が実施する「業務管理者講習」を修了した者を業務管理者として選任するルートです。
| 特定資格名 | 概要と実務における位置付け |
| 1. 公認不動産コンサルティングマスター | 宅建士資格と一定の実務経験を前提として受験できる不動産分野の上位専門資格です。社内にいる既存のベテラン宅建士(5年以上の実務経験が必要)に受験・取得してもらうことで、内製化を図るルートです。ただし、試験が年1回(11月)しかなく、計画的なスケジュール管理が必須となります。 |
| 2. ビル経営管理士 | ビルの賃貸管理やメンテナンス等に関する専門資格。この資格の保有者が、指定の業務管理者講習を受けることで要件を満たせます。中途採用市場で候補者を募集する際、ターゲットにしやすい資格の一つです。 |
| 3. 不動産証券化協会認定マスター(ARESマスター) | 不動産証券化(J-REITや私募ファンド等)の高度な専門知識を有する資格。非常に市場価値が高く人件費も高額になる傾向があるため、中小規模の事業者がスモールスタートする段階では、ややハードルが高くなります。 |
④業務執行体制の構築
大阪府の審査では、名義だけを整えた形骸的な体制ではなく、組織図、業務フロー、コンプライアンス(社内規則・約款案)など、事業を適法かつ円滑に行うための体制が社内に整っているかが厳しく確認されます。
登録の更新
登録の有効期間は5年間であり、継続して事業を行う場合は期間満了前に更新手続を行う必要があります。更新時にも、新規登録時と同様に、財産的基礎(純資産が資本金額以上を維持できているか)、業務管理体制および社内コンプライアンスの遵守状況、業務管理者の継続的な配置などが厳格に確認されるため、登録を維持するためには、日頃からの健全な経営と適正な運営体制の維持が不可欠となります。
大阪府における申請手続の流れ
大阪府で小規模不動産特定共同事業の登録を受けようとする場合、一般的な許認可のように「書類を作って提出して終わり」という流れではありません。大阪府では、正式申請の前に事前相談や事前面談のプロセスが設けられており、実務上はこの段階から審査が始まっていると考えた方がよいでしょう。
なお、登録申請までは事前相談や書類準備を含め数か月単位の期間を見込むケースが一般的なため、スケジュールには半年程度の十分な余裕を持って着手することをおすすめします。
STEP1:大阪府との事前相談
まずは大阪府の窓口(都市整備部 住宅建築局 建築指導室 宅建業指導課 ※担当部署名は改編されることがあるため、事前確認を推奨します)へ出向き、ビジネススキームや約款案についての事前相談を行います。
不動産特定共同事業法関連の手続では、事前相談なしでのいきなりの本申請は原則として受付けがなされないため、何度か窓口での指導・修正を経てから本申請に進みます。
大阪府の担当窓口は比較的丁寧に対応してくれますが、事前の確認や相談を怠ると、本申請の段階で書類の重大な不備が発覚し、大幅な後戻り(スケジュールの遅延)が発生するリスクがあります。
STEP2:申請書類・添付書類の準備
小規模不動産特定共同事業の登録申請では、「様式+添付資料」で構成される一式を、正本1部+副本5部(計6部)として提出します。
単なる書類提出ではなく、「事業体制・財務健全性・人的要件・コンプライアンス体制」を総合的に証明する構造になっています。
| ① | 登録申請書(様式第13号) | 申請者(法人)の基本情報(商号(または名称)、本店所在地、代表者氏名、宅地建物取引業免許番号)、申請区分、事務所情報(主たる事務所所在地、従たる事務所(支店等)の有無と所在地、業務開始予定日を記載(実務上のスケジュール整合性も審査対象)) | |
| ② | 業務管理者関連書類 | 業務管理者の設置証明書 | 業務管理者として配置する旨の法人証明 |
| 略歴書 | 実務経験年数の裏付けとして、学歴・職歴(特に不動産関連業務の詳細)、管理職経験の有無を記載 | ||
| 誓約書 | 法令違反歴がないことの誓約、欠格事由に該当しない旨の宣誓 | ||
| 資格証明書(該当者のみ) | 公認不動産コンサルティングマスター、不動産証券化協会認定マスター(ARES)又はビル経営管理士 | ||
| 業務管理者講習修了証 | 国土交通大臣登録機関の講習修了証の写し | ||
| ③ | 役員関係書類(取締役・監査役など「全役員」が対象) | 役員略歴書 | 各役員の職歴詳細、不動産・金融・経営経験の有無、役職ごとの関与内容 |
| 誓約書 | 欠格事由非該当の宣誓、反社会的勢力でない旨の誓約 | ||
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村が発行する身分証明書 | ||
| 登記されていないことの証明書 | 法務局(本局)で取得 | ||
| ④ | 法人関係書類 | 履歴事項全部証明書 | 発行後3か月以内の原本 |
| 定款(最新のもの) | 目的欄に「不動産特定共同事業」関連記載が必要(目的に不足がある場合は定款変更登記が先行) | ||
| ⑤ | 財務関係書類(財産的基礎の証明) | 直近2期分の決算書 | 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書(作成会社のみ)、個別注記表(作成している場合) |
| 税務申告書一式の写し | 法人税申告書別表一式 | ||
| 法人税納税証明書(その1・その2) | 税務署発行の原本 | ||
| 財産状況説明書(必要に応じ) | 純資産額が要件を満たすことの補足説明資料 | ||
| ⑥ | 事業計画書(3か年) | 取扱物件の想定(種類・地域・価格帯)、年間組成件数、想定出資総額、収益モデル(賃料・売却益)、人員体制(業務管理者・営業・管理)、リスク管理方法、システム利用の有無(電子取引含む)(※)「数字の整合性」が崩れていると高確率で補正指示が入ります。 | |
| ⑦ | 約款・契約書面 | 不動産特定共同事業契約約款(案)、重要事項説明書(投資家向け)、契約成立前書面、契約成立時書面 | 匿名組合型か任意組合型か、分配方法(優先劣後構造の有無)、手数料体系、解約条件、リスク開示の内容 |
| ⑧ | 社内体制・コンプライアンス書類 | 業務分掌規程、コンプライアンス規程、内部監査規程、苦情処理体制図、リスク管理マニュアル、個人情報保護規程 | 行政側が「実態ある事業か」を判断するための書類 |
| ⑨ | 添付図面・体制資料 | 組織図(責任体制明確化)、事務所案内図、業務フロー図(資金の流れ・契約の流れ)、システム構成図(電子取引を行う場合) | |
| ⑩ | その他個別添付(ケース依存) | 共同事業者がいる場合の契約書、外部委託契約書(システム会社・管理会社等)、銀行口座管理方針書、分別管理方針書 | 事業形態によって追加 |
財務と事業計画の整合性、業務管理者の適格性の説明力及び約款とビジネスモデルの一致の3点です。この3つが崩れると、書類が完璧でも差し戻されます。
STEP3:手数料の納付と正式提出
登録手数料として大阪府の指定する方法で60,000円を納付します。提出部数も正本1部に副本5部(計6部)と副本の必要部数が非常に多いため、コピーや製本作業の段階での書類管理に注意が必要です。
なお、申請内容や補正状況にもよりますが、本申請の受理後の審査には一定期間を要するため、スケジュールには十分な余裕を持つことが重要です。
★実務上の注意点
投資家と交わす約款は、自社が想定しているクラウドファンディングのスキーム(匿名組合型なのか、分配の周期はどうするのか等)に完全に合致している必要があるため、雛形をそのまま流用するだけでは大阪府の事前相談で多くの修正指示を受けることになります。
また、インターネット上で投資家募集を行う場合、電子取引業務に関する体制整備やシステム管理体制について別途要件確認が必要になることがあるほか、事業スキームによっては小規模不動産特定共同事業の登録とは別に追加対応が必要となる場合もあるため、初期段階での確認が重要になります。
大阪で小規模不動産特定共同事業許可をご検討中の方へ
小規模不動産特定共同事業は、通常の不動産特定共同事業許可よりも財務的な参入障壁が低く非常に魅力的な制度である一方で、求められる業務体制の整備や約款設計、行政との事前交渉、さらにはインターネット募集(電子取引業務)の体制構築など実務上のハードルは決して低くありません。
弊所では制度設計から登録申請、事前相談の同席まで一括対応していますが、制度設計の初期段階から専門家にご相談いただくことで、行政運用の変化やリスクを見据えた後戻りのないスムーズな申請が可能となります。大阪で小規模不動産特定共同事業登録をご検討の方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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