【大阪】不動産特定共同事業許可とは?要件・手続・必要書類を行政書士が解説

近年、不動産クラウドファンディング市場の拡大に伴い、「不動産特定共同事業許可」への関心が高まっています。
不動産特定共同事業とは、複数の投資家から出資を募り、不動産の売買や賃貸等によって運用し、その収益を出資者に分配する事業をいいます。近年では、不動産クラウドファンディングの普及により、従来よりも身近な制度となりました。
もっとも、投資家から資金を預かる事業である以上、法規制は厳格です。不動産特定共同事業を行うためには、不動産特定共同事業法に基づく許可又は登録を受ける必要があります。
本稿では、大阪府における不動産特定共同事業許可について、制度の概要、許可要件、申請手続及び実務上の注意点を解説します。
目 次
不動産特定共同事業とは
不動産特定共同事業とは、複数の投資家から出資を募り、その資金をもとに不動産を取得・運用し、得られた収益を各投資家に分配する事業をいいます。
従来、不動産投資といえば、マンションやビルを1棟単位で購入するなど、多額の資金を必要とする投資手法が一般的でした。そのため、不動産投資は一部の資産家や法人によるものという印象が強く、個人投資家にとっては参入しづらい分野でもありました。
これに対し、不動産特定共同事業では、複数の投資家が資金を出し合うことで、不動産を「小口化」して運用することができます。例えば、1億円の不動産であっても、100万円ずつ100人から出資を募ることで投資対象とすることができ、投資家は比較的少額から不動産投資に参加できるようになります。
この仕組みは、投資家にとってはリスク分散につながり、事業者にとっては新たな資金調達手段となる点に特徴があります。従来の金融機関からの借入れだけではなく、広く投資家から資金を集めることができるため、不動産事業の選択肢を広げる制度ともいえます。
近年では、この仕組みをインターネット上で活用した「不動産クラウドファンディング」が急速に普及しています。ウェブサイトを通じて投資家を募り、不動産の運用益を分配するというビジネスモデルは、不動産特定共同事業の代表例です。
もっとも、不動産特定共同事業は、単なる不動産の売買や賃貸とは異なり、「他人から資金を集め、その資金を運用して利益を分配する」という性質を持っています。そのため、不動産業であると同時に、投資商品を取り扱う事業としての側面も有しています。
このように、不動産特定共同事業は、「不動産」と「金融」の双方の性質を併せ持つ制度であり、近年の不動産市場において重要性が高まっている分野の一つです。
不動産特定共同事業契約の区分
不動産特定共同事業法では、不動産特定共同事業に用いられる契約形態を「不動産特定共同事業契約」と定義し、その内容に応じて5つに区分しています。
これらは不動産特定共同事業法第2条第3項第1号から第5号に規定されていることから、一般に「○号契約」と呼ばれています。
どの契約類型に該当するかによって、事業スキームや法的取扱いが異なるため、制度理解の前提として押さえておくことが重要です。
1号契約(任意組合契約)
事業者と投資家が共同で出資し、対象不動産の運用を共同事業として行う契約であり、共同投資型の典型例です。事業者が業務執行組合員として対象不動産を運用し、その収益を各組合員に分配します。
2号契約(匿名組合契約)
事業者が営業者となって投資家が匿名組合員として出資する契約であり、現在の不動産クラウドファンディングで多く用いられる形態です。事業者が対象不動産を運用し、その収益を各匿名組合員に分配します。
3号契約(賃貸委任契約)
投資家が共有持分を有する不動産について、その賃貸又は賃貸の委任を事業者に行う契約です。事業者が対象不動産を運用し、その収益を各共有者に分配します。
4号契約(任意組合契約等の代理・媒介契約)
1号契約または3号契約に係る契約について、その締結の代理又は媒介を行う契約です。つまり、自ら不動産を運用するのではなく、契約成立の仲介役を担う形態です。
5号契約(匿名組合契約等の代理・媒介契約)
2号契約に係る契約について、その締結の代理又は媒介を行う契約です。こちらも自ら不動産を運用するものではなく、投資家募集や契約成立をサポートする役割を担います。
不動産特定共同事業の事業区分
不動産特定共同事業は、事業の内容や契約の形態に応じて、法律上いくつかの区分に分かれています。一般に「○号事業」と呼ばれており、どの区分に該当するかによって、求められる許可や事業者の役割が異なります。
もっとも、実務上は「どの区分に該当するか」を誤ると、申請先や必要書類だけでなく、事業スキームそのものを見直さなければならないこともあります。そのため、制度理解の入口として、まずは各区分の特徴を押さえておくことが重要です。
第1号事業
第1号事業は、投資家から直接出資を募り、自ら不動産を取得・運用して収益を分配する、最も典型的な不動産特定共同事業です。
いわゆる「不動産ファンド」の基本形であり、不動産クラウドファンディングの多くもこの類型に含まれます。事業者自身が不動産を運用するため、制度上の中心的な位置付けにあります。
第2号事業
第2号事業は、第1号事業者が締結する不動産特定共同事業契約について、その代理又は媒介を行う事業です。
簡単にいえば、証券会社の販売代理店のように、自ら不動産を運用するのではなく、投資家募集の窓口となる事業者です。
第3号事業
第3号事業は、特例事業者から委託を受けて、不動産取引業務を行う事業です。一般の投資家から直接資金を集めるというより、事業主体に対して資金を供給する立場に近く、制度上は「上流側」の役割を担う区分といえます。
第4号事業
第4号事業は、第3号事業に係る契約について、その代理又は媒介を行う事業です。第2号事業と同様、自ら不動産を運用するわけではなく、契約の橋渡しを担うポジションと理解すると分かりやすいでしょう。
小規模不動産特定共同事業
近年は「小規模不動産特定共同事業」という制度も利用されていますが、これは一定規模以下の事業について、通常の許可制度よりも参入しやすい枠組みとして設けられたもので、スタートアップや新規参入事業者が活用するケースも少なくありません。
もっとも、どの制度を選択するかは、事業規模や資金調達方法によって異なり、制度選択の段階で方向性を誤ると、後の修正コストが大きくなるため、慎重な検討が必要です。
許可が必要なケース
不動産特定共同事業を検討する際、まず確認すべきなのは、「その事業が不動産特定共同事業法の対象となるかどうか」です。
不動産を活用した事業であっても、すべてが不動産特定共同事業に該当するわけではありません。通常の不動産売買や賃貸業であれば対象外となる一方、資金調達の方法や契約の内容によっては、不動産特定共同事業法の規制対象となることがあります。
判断の基本となるのは、「他人から資金を集め、その資金をもとに不動産を運用し、その成果を分配する仕組みかどうか」という点です。
この構造に当てはまる場合、不動産特定共同事業に該当する可能性があり、許可又は登録の要否を検討することになります。
許可が必要となる典型的なケース
典型例として挙げられるのが、不動産クラウドファンディングです。「ファンド」という名称を用いていなくても、実質的に投資スキームであれば、法の適用対象となり得ます。
インターネットを通じて複数の投資家から出資を募り、その資金を用いて不動産を取得・運用し、賃料収入や売却益を分配する仕組みは、不動産特定共同事業の代表例です。
また、インターネットを利用しない場合であっても、複数の出資者から資金を集めて賃貸マンションを取得・運用する場合、共同出資によりホテルや商業施設を保有・運営する場合、開発用地を取得し、開発後の売却利益を分配する場合など、第三者から出資を受けて不動産を運用するスキームであれば、同様に対象となる可能性があります。
具体的な許可の要否
不動産特定共同事業に該当するかどうかは、申請段階ではなく、事業設計の段階で確認しておくべき事項です。どのように資金を集め、誰が不動産を保有・運用し、どのように利益を分配するのか、その構造次第で必要となる許可や制度が変わります。
自社資金のみで行う不動産事業
自社資金のみで不動産を取得し、賃貸や売買を行う通常の不動産事業(自社所有ビルの賃貸、自社名義による不動産売買、分譲マンションの販売など)は通常の宅地建物取引業や賃貸業として整理されるため、不動産特定共同事業には該当しません。
借入れによる資金調達
銀行融資は「出資」ではなく「借入れ」であり、金融機関に対して不動産の収益を分配する構造ではないため、金融機関から融資を受けて不動産を取得する場合は、通常不動産特定共同事業には該当しません。
共同購入
複数人で共同して不動産を購入する場合、直ちに不動産特定共同事業に該当するわけではなく、例えば共同購入者全員が自ら不動産を管理し、利用するだけであれば、通常は対象外です。
もっとも、一部の者が資金を集め、代表して不動産を運用し、他の出資者に利益を分配する仕組みが組み込まれている場合には、不動産特定共同事業と評価される可能性があります。
形式的な「共有」かどうかではなく、誰が主体となって運用し、どのように利益が分配されるかが重要になります。
宅地建物取引業者が関与する3号契約
3号契約のうち、宅地建物取引業者が、将来的に賃貸又は賃貸の委任の対象となることを示したうえで販売し、又はその代理若しくは媒介を行った不動産以外の不動産を取引対象とするものについては、不動産特定共同事業契約から除外されています。
これは、不動産取引そのものについては、すでに宅地建物取引業法による規制が及んでおり、改めて投資家を保護する必要性がないことが背景にあります。
外国で締結される一定の契約
外国法に基づく不動産ファンドへ海外で参加するケースなど、契約が外国で締結され、その国の法令によって投資家保護が確保されていると認められる場合には、不動産特定共同事業法の対象外となることがあります。
もっとも、形式だけ海外契約に見せることは認められておらず、国内で勧誘を行い、契約締結のためだけに一時的に海外へ移動して契約を締結するような場合は、この除外規定の対象外となります。
知事許可と国土交通大臣許可
不動産特定共同事業を行うにあたり、どこに許可申請を行うかは事務所の設置場所によって決まります。
大阪府内にのみ営業所を設置している場合は大阪府知事許可の対象となりますが、営業所又は事務所を二以上の都道府県に設置する場合は、国土交通大臣許可の対象となります。
ただし、大阪府知事許可の対象として案内されているのは、第1号事業及び第2号事業(並びに小規模不動産特定共同事業)です。一方、第3号事業及び第4号事業は、法律上、都道府県知事許可の対象から除かれているため、大阪府内にのみ事務所を設置する場合であっても、常に国土交通大臣許可を受ける必要があります。この点は見落とされやすいため、事業スキームの段階で確認しておくことが重要です。
誤解されやすい点として、「本店が大阪にあるから大阪府知事許可」と考えてしまうケースがありますが、判断基準は本店所在地ではなく、事務所が一つの都道府県内に収まっているか、それとも複数都道府県にまたがっているかです。そのため、大阪に本店があっても、京都や兵庫に営業所を設置すれば、大臣許可の対象となります。
どちらになるかは制度上決まっており、事業者が自由に選択できるものではないため、「知事許可と大臣許可のどちらが有利か」という問題ではありません。
なお、ここでいう「営業所」や「事務所」は、単なる連絡先ではなく、継続的に事業を行う拠点を指します。
大阪府における許可要件
許可審査は単に申請書類を提出すれば足りるものではなく、申請前の事前相談やドラフト確認が重視されており、「制度を理解し、適切な事業体制が構築されているか」という観点から審査が行われます。
法人であること
不動産特定共同事業の許可を受けることができるのは、原則として法人に限定されています。個人事業主が直接許可を取得することは予定されておらず、まずは株式会社などの法人格を有していることが前提となります。
既存法人で申請するケースが多いものの、新規事業として参入する場合には、不動産特定共同事業を目的に法人を設立することもあります。
宅地建物取引業者であること
不動産特定共同事業は、不動産の取得・売買・賃貸等を前提とする制度であることから、申請者は宅地建物取引業免許を受けた宅建業者であることが求められます。そのため、宅建業免許を未取得の場合は、先に宅建業免許を取得する必要があります。
資本金要件
不動産特定共同事業では、投資家保護の観点から、事業区分ごとに、以下のとおり最低資本金(又は出資額)が定められています。
| 事業区分 | 最低資本金 |
|---|---|
| 第1号事業 | 1億円 |
| 第2号事業 | 1,000万円 |
| 第3号事業 | 5,000万円 |
| 第4号事業 | 1,000万円 |
第1号事業は、投資家から直接出資を受けて自ら不動産を取得・運用する事業であるため、最も高い資本金が求められています。
第2号事業及び第4号事業は、契約の代理・媒介が中心となるため、1,000万円とされています。
第3号事業は、いわゆる特例事業(倒産隔離型スキーム)に関与する事業者であり、特例事業者(SPC)から委託を受けて不動産取引業務を担うことから、5,000万円という比較的高い基準が設定されています。
財産的基礎(純資産要件)
資本金だけでなく、純資産も審査対象となりますが、その基準は、資産(持っている全部の財産)から負債(借金)を控除(引き算)してもなお純資産(本当の財産)が、資本金又は出資額の90%以上であることが求められます。
資産 − 負債 ≥ 資本金 × 90%
例えば資本金が1億円であれば、純資産は少なくとも9,000万円必要です。つまり、増資していても借入れが多く、実質的に財務が脆弱であれば、この要件を満たしません。大阪府でも、この点は形式ではなく決算書ベースで実質審査されます。
業務管理者の設置
各事務所ごとに、一定の知識・経験を有する業務管理者を配置する必要があります。業務管理者は、単なる名義人ではなく、事業運営の中心人物として位置付けられています。(後述)
大阪府の運用では、事前相談段階から業務管理者候補者の同席が求められることがあるため、「後で雇えばよい」という性質のものではありません。
契約約款が法令に適合していること
不動産特定共同事業では、投資家との契約内容が極めて重要であるため、契約約款、出資契約書及び重要事項説明関連書類などが法令に適合しているかどうかも慎重に審査されます。
約款は後から変更することも可能ですが、変更には別途認可が必要になる場面があるため、初期設計が重要となります。
役員等が欠格事由に該当しないこと
役員、主要株主、政令使用人などについては、欠格事由の確認が行われます。具体的に、これらの者が以下の欠格事由にひとつでも該当するときは、適格性を欠く者として許可を受けることができません。
- 法人でない者(外国法人で国内に事務所を有しないものを含む)
- 宅地建物取引業法の免許を受けていない法人
- 許可もしくは登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない法人又は不動産特定共同事業法に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種の許可(当該許可に類する登録その他の行政処分を含む)を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない法人
- 許可もしくは小規模不動産特定共同事業の登録の取消しの処分に係る通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に廃業の届出をした法人で当該届出の日から5年を経過しないもの
- 適格特例投資家限定事業の廃止を命ぜられ、その命令の日から5年を経過しない法人
- 適格特例投資家限定事業の廃止の処分に係る通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に廃業の届出をした法人で当該届出の日から5年を経過しないもの
- 不動産特定共同事業法、宅地建物取引業法若しくは出資法又はこれらに相当する外国の法令の規定により罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない法人
- 役員(法人に対し業務を執行する社員、取締役若しくは執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む)又は使用人のうちに次のいずれかに該当する者のある法人
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
- 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 不動産特定共同事業法、宅地建物取引業法、出資法若しくはこれらに相当する外国の法令又は暴力団対策法若しくはこれらに相当する外国の法令の規定に違反したことにより、又は刑法上の一定の罪若しくは暴力行為等処罰法の罪を犯したことにより、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 許可もしくは登録を取り消された場合において、その取消しの処分に係る通知があった日前60日以内に当該不動産特定共同事業者の役員であった者で当該取消しの日から5年を経過しないもの
- 許可もしくは登録の取消しの処分に係る通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に廃業の届出をした場合において、当該通知があった日前60日以内に当該不動産特定共同事業者の役員であった者で当該届出の日から5年を経過しないもの
- 適格特例投資家限定事業の廃止を命ぜられた場合において、その廃止の処分に係る通知があった日前60日以内に当該適格特例投資家限定事業者の役員であった者で当該処分の日から5年を経過しないもの
- 適格特例投資家限定事業の廃止の処分に係る通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に廃業の届出をした場合において、当該通知があった日前60日以内に当該適格特例投資家限定事業者の役員であった者で当該届出の日から5年を経過しないもの
- 不動産特定共同事業法に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(当該許可を取り消された法人の当該取消しの日前60日以内に役員に相当する者であった者で当該取消しの日から5年を経過しないものを含む)
- 精神の機能の障害により不動産特定共同事業の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
- 暴力団員等がその事業活動を支配する法人
- 4号事業を行おうとする場合にあっては、金融商品取引法の登録を受けていない法人
業務体制が整備されていること
大阪府の審査では、書類だけでなく、内部管理体制、コンプライアンス体制、投資家保護体制及び財産管理体制も確認対象となります。つまり、「許可を取れるか」ではなく、「許可後に適切に運営できるか」という視点が重要なポイントとなります。
業務管理者
業務管理者とは、不動産特定共同事業の適正な運営を確保するため、各事務所ごとに配置される責任者をいいます。これは宅地建物取引業法における「専任の宅地建物取引士」に近い位置付けですが、単なる資格保持者という意味合いにとどまらず、「事業全体の統括責任者」として、契約管理、投資家保護、法令遵守などを担う重要な役割です。
そのため、大阪府でも申請時には、会社の財務内容と並んで、この業務管理者の適格性が重点的に確認されます。
業務管理者は各事務所ごとに配置する必要があるため、例えば大阪本店のみで不動産特定共同事業を行うときは本店に1名、本店の他に梅田支店でも事業を行うときは、本店のほか梅田支店にも1名の業務管理者を配置する必要があります。
業務管理者の要件
業務管理者は、社長や役員であれば誰でも就任できるものではなく、法律上一定の知識と経験を有していることが求められています。
①実務経験
単なる不動産売買経験や宅建業経験ではなく、不動産特定共同事業に関し、不動産特定共同事業の組成、契約管理、投資家対応、運営管理など、制度に直接関わる業務経験を3年以上有する場合です。
実務経験ルートでは、通常、宅建士資格を有し、かつ上記の実務経験を持つ者が想定されますが、新規参入企業にとってはハードルが高く、実務上、このルートで要件を満たすケースは多くありません。
②国土交通大臣登録証明事業による講習修了
実務経験がない場合、以下の特定の公認資格のいずれかを保有している者が、国土交通大臣の登録を受けた登録証明事業者が実施する「業務管理者講習」を修了することで業務管理者の要件を満たすことができます。
実務上、経験者を採用しなくても社内人材を育成できるため、新規参入企業ではこのルートを利用するケースが多く見られます。
| 特定資格名 | 概要と実務における位置付け |
| 1. 公認不動産コンサルティングマスター | 宅建士資格と一定の実務経験を前提として受験できる不動産分野の上位専門資格です。社内にいる既存のベテラン宅建士(5年以上の実務経験が必要)に受験・取得してもらうことで、内製化を図るルートです。ただし、試験が年1回(11月)しかなく、計画的なスケジュール管理が必須となります。 |
| 2. ビル経営管理士 | ビルの賃貸管理やメンテナンス等に関する専門資格。この資格の保有者が、指定の業務管理者講習を受けることで要件を満たせます。中途採用市場で候補者を募集する際、ターゲットにしやすい資格の一つです。 |
| 3. 不動産証券化協会認定マスター(ARESマスター) | 不動産証券化(J-REITや私募ファンド等)の高度な専門知識を有する資格。非常に市場価値が高く人件費も高額になる傾向があるため、中小規模の事業者がスモールスタートする段階では、ややハードルが高くなります。 |
③①②と同等以上と認められる知識・経験を有する者
法令上は、一定の場合に「同等以上の知識経験」が認められる余地がありますが、ここは個別判断となるため、事前相談段階で大阪府と確認するのが通常です。
宅建士であることの必要性
宅建士でなければ業務管理者になれないと誤解されることがありますが、必ずしもそうではありません。不動産特定共同事業法上、業務管理者の要件は宅建士資格そのものではなく、業務遂行能力にあります。
ただし、不動産取引が前提となる以上、実務上は宅建士資格を有しているケースが多く、審査上も望ましいといえます。
常勤性と兼務の確認
大阪府の審査では、常勤性を確認するため、社会保険の加入状況や給与の支払状況を確認できる資料の提出を求められることがあります。画一的な基準だけで判断されないケースもあるため、個別の状況に応じた慎重な確認が必要です。
実務上、グループ会社であっても、他社の役員や従業員を兼任している場合は「常勤」と認められない可能性が極めて高くなります。
なお、同一法人・同一事務所内であれば、「専任の宅地建物取引士」と「不特法の業務管理者」を1人の人間が兼務することは可能であり、これにより人員コストを抑えることができますが、個別事情や行政の運用変更により取扱いが異なる場合があります。
名義貸しの禁止
業務管理者は、単に配置すればよい存在ではなく、外部コンサルを名前だけ借りる、非常勤で名義だけ載せる、実際には業務に関与しないといった形は認められず、実際に事業を理解し、管理できる人物であることが求められます。
大阪府でも、事前面談の段階で業務管理者本人の関与状況を確認されることがあります。
大阪府における申請手続の流れ
大阪府で不動産特定共同事業許可を取得する場合、一般的な許認可のように「書類を作って提出して終わり」という流れではありません。
大阪府では、正式申請の前に事前相談や事前面談のプロセスが設けられており、実務上はこの段階から審査が始まっていると考えた方がよいでしょう。
① 事前相談
② 事前面談
③ 申請書類の事前確認
④ 正式申請
⑤ 審査・補正対応⑥ 許可取得
事前相談
いきなり申請書を持ち込む運用ではなく、まずは大阪府へ電話で連絡し、申請予定の概要を伝えます。
この段階では、事務所所在地や宅建業免許の有無のほか、どの事業区分(第1号・第2号等)を予定しているか、どのような事業スキームかなどの基本情報を確認されます。ここで大まかな方向性を整理し、その後の流れについて案内を受けます。
事前面談
次に、大阪府担当部署との事前面談を行います。面談前には、以下の資料をメールで事前送付する必要があります。
- 会社概要
- 事業スキーム図
- 組織体制図
- 財務状況が分かる資料
- 想定する契約形態の概要
事前面談では、提出資料をもとにどのような事業を予定しているか、投資家からどのように資金を集めるか、誰が不動産を取得・運用するか、どのように収益を分配するかを説明し、質疑応答が行われます。ここでスキームに問題があれば、正式申請前に修正を求められます。
ドラフトの作成・提出(プレ申請)
事前面談で方向性が確認できた後は、正式申請に先立ち、申請書類一式(以下参照)のドラフト(案)を作成し、大阪府へ提出します。この段階は、単なる「書類の下書き」ではなく、実務上は、正式申請前の実質的な予備審査と考えるべき工程です。
大阪府はこの段階で、法令上の要件を満たしているか、書類同士に矛盾がないか、事業スキームと約款が整合しているかを確認するため、ここで不備が多いと、正式申請まで進めません。
| 許可申請書 | 商号、本店所在地、代表者、事業区分(第1号・第2号等)、事務所所在地などを記載 |
| 事業スキーム図 | 誰が出資するのか、誰が不動産を保有するのか、誰が運用するのか、誰に利益を分配するのかを図によって説明 |
| 契約約款・契約書案 | 約款、任意組合契約書、匿名組合契約書、重要事項説明書(元本毀損リスクの説明、、収益分配方法、解約条件、損失負担の範囲の確認) |
| 業務方法書・内部規程 | 事業をどう運営するかを示す社内ルール(出資金の管理方法、苦情対応体制、情報管理体制、利益相反管理、コンプライアンス体制など) |
| 組織図・人員体制図 | 代表者、業務管理者、実務担当者の役割分担が明確であること |
| 財務資料 | 決算書、貸借対照表、損益計算書、純資産の根拠資料など |
| 会社関係資料 | 登記事項証明書、定款、株主構成資料、役員略歴など |
正式申請
ドラフト審査が完了し、大阪府から「この内容で申請可能」と判断されると正式申請に進みます。提出する書類はドラフト基本構成は同じですが、完成版に仕上げて、正本1部、副本5部を提出します。
正式申請が受理されたからといって、そのまま許可になるとは限らず、審査中に、契約条項の修正、財務説明の追加、組織体制の補足などを求められることがあります。
ドラフト審査でしっかり整理できていれば、正式申請は比較的スムーズです。逆に、ドラフト段階を甘く見ると、書類差替え、再製本、再提出が続き、全体スケジュールが大きく遅れます。したがって、不動産特定共同事業では、正式申請よりもむしろドラフト段階の完成度が重要といえます。
申請手数料の納付
正式申請時には、府庁内のPOSレジによる納付方式で申請手数料を納付します。ドラフトではまだ申請扱いではありませんが、この段階で初めて「申請した」状態になります。
審査・補正対応
正式申請後も、追加資料や補正の依頼が入ることがあります。典型例としては、財務資料の追加説明、契約約款の修正、業務管理体制の補足説明、スキーム図の修正などですが、ここでの対応速度が全体の許可時期に影響します。
許可取得
審査が完了すると許可が下り、ようやく事業を開始することができます。
ただし、許可後も、変更届、変更認可事業報告書提出などの継続的な義務があります。
★申請期間
大阪府では、公式に「内容によっては数か月以上」を要すると案内しています。実務上は、事前相談から正式申請までが2〜4か月、正式申請から許可までを数か月程度と見込むことが多く、半年以上かかるケースも珍しくありません。
大阪で不動産特定共同事業許可をご検討中の方へ
不動産特定共同事業許可は、一般的な営業許可とは異なり、「事業スキーム」「財務基盤」「人的体制」を総合的に審査する制度です。そのため、申請書類の作成だけでなく、事前の制度設計が極めて重要になります。
弊所では、大阪府における不動産特定共同事業許可について、事前相談から申請まで一貫して対応しております。不動産特定共同事業は、事業スキームの設計段階で成否が決まる制度です。まずはお気軽にご相談ください。
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