建設工事における附帯工事とは

内装工事の様子

建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。

(建設業法第4条)

建設業を営むためには、その規模に合わせ、都道府県知事または国土交通大臣の許可を受ける必要があります。しかし、上記の条文にあるように建設工事に「附帯する他の建設業に係る建設工事」については、その工事について建設業許可を受けていない場合であっても請け負うことができるものとされています。今回はこの「附帯工事」について、混同されがちな概念である「軽微な工事」にも軽く触れつつ解説していきたいと思います。

附帯工事とは

附帯工事とは、本体工事(主たる工事)と不可分な関係にある専門工事のことを指し、以下の範囲内において行われる工事である限りは、当該業種についての建設業許可を受けることなく工事を施工することができます。

  1. 一連又は一体の工事として施工する他の工事
  2. 本体工事を施工した結果、発生した工事又は本体工事を施工するにあたり必要な他の工事

附帯工事には金額に関する規定がありませんが、あくまでも本体工事に対する「従たる工事」という扱いになりますので、通常は附帯工事が主たる工事の請負金額を超えることはなく、超える場合には附帯工事としては認められません。

なお、建築一式工事は総合的な企画、指導、調整の下に建設工事を完成させる総合的な工事であることから、土木一式工事又は建築一式工事については、他の専門工事における附帯工事とは認められません。

また、電気工事業については許可は不要であっても登録が必要になる点については注意が必要です。

附帯工事の方法

附帯工事であっても、誰でも施工することができるわけではなく、自ら施工する場合にはその現場において附帯工事業種に関する一般建設業許可の要件である専任技術者の要件を満たしている専門技術者を配置しなければなりません。

ただし、請負金額が500万円未満の附帯工事であれば、専門技術者は不要となり、自社施工が可能とされています。

★ポイント

  • 附帯工事には請負金額の縛りがない
  • 附帯工事の請負金額は本体工事の請負金額を超えることはできない
  • 請負金額が500万円未満の附帯工事は自社施工が可能
  • 請負金額が500万円以上の附帯工事には専門技術者を配置するか、該当する専門工事業種の許可を取得している下請業者に発注する必要がある

専門技術者

請負金額が500万円以上の附帯工事については専門技術者を配置するか、該当する専門工事業種の許可を取得している下請業者に発注する必要がありますが、この専門技術者は一般建設業における主任技術者、特定建設業における監理技術者の要件を満たす者でなければなりません。

逆に言えば必ずしも有資格者である必要は無く、最長10年の実務経験を有する者を配置することも可能です。

ただし、電気工事や消防設備工事に該当する附帯工事の場合には、原則として「電気工事士」「消防設備士」といった専門分野の有資格者を配置するが必要があります。

軽微な工事について

軽微な工事とは、その名のとおり以下のような比較的小さな規模で行われる工事のことを指します。この範囲内の工事のみを請け負う場合は、建設業許可を必要としません。

建築一式工事1件の請負額が 1,500万円未満の工事、又は延べ面積が 150 ㎡未満の木造住宅工事
【木造】…建築基準法第2条第5号に定める主要構造物が木造であるもの
【住宅】…住宅、共同住宅及び店舗等の併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの
建築一式工事以外の工事1件の請負額が500万円未満の工事

上に掲げた500万円または1500万円という金額は税込みの価格となります。このため、税金を計算に入れずに工事を請け負った結果、軽微な工事の範疇を超えてしまい、違法となってしまうケースがあることにご注意ください。

本稿で解説する「附帯工事」とは許可を受けることなく施工することができるという点は同一ですが、その本質は異なりますので、混同してしまわないように気をつけましょう。

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