奈良における金属くず業許可申請│制度の概要と許可取得のポイント

奈良県金属くず営業条例(PDF:174KB)及び奈良県金属くず営業条例施行規則(PDF:207KB)では、奈良県下において金属くずの取引を営業として行おうとする際に金属くず商許可を取得する必要がある旨の定めが設けられています。
中古品の売買を営業とするときは古物商許可を必要としますが、金属くず商に係る許可はこれとは別個の許可制度であり、たとえ古物商許可を取得していたとしても、奈良県下において金属くずを取引の対象とする営業を行う際は金属くず業許可が必要となります。
中古品の銅線やスクラップ金属の売買は日常的に行われている行為ではありますが、条例の定めを知らないまま許可申請や届出を怠って営業をしていると、当然ながら罰則の対象になってしまいます。
そこで本稿では、奈良県において金属くずを取引の対象とする営業をはじめる際に必要とされる金属くず業許可及び金属くず行商の届出について、詳しく解説していきたいと思います。
目 次
金属くず営業に関する条例
金属くず営業に関する規制が設けられている条例が存在する自治体は下表のとおりですが、このうち近畿圏は突出して多く、実に5府県もの自治体において金属くず商及び金属くず行商に関する規制が設けられています。
ただし、これらはあくまでも都道府県条例を基準としたリサーチであり、市町村単位ではこれらとは異なる規制のある条例が設けられている可能性があります。
そのため金属くず営業をはじめようとするときは、市町村条例にまで目を通し、金属くずについてどのような規制が設けられているかしっかりと確認を行うようにしてください。
★条例について
条例は各都道府県及び各市町村において制定される独自の法規範(ルール)であり、「都道府県条例」と「市町村条例」が存在しています。
条例は各自治体の区域内においてのみその効力を有するため、金属くず営業についても各自治体によってその取扱いは異なります。
金属くずとは
奈良県金属くず営業条例によると、金属くずとは、金属類で古物営業法(第2条第1項)に規定する古物に該当せず、かつ、そのものの本来の生産目的に従って売買、交換、加工又は使用されないものとされています。
平たく説明すると、本来の目的以外の目的で加工したり使用する中古の金属であって、古物に該当しないものが金属くずに該当し、具体的には以下の金属であって中古品として取り扱うものが金属くずとして想定されています。(例:販売するためにスクラップにした鉄や解体した自動車の部品等)
ただし、これら以外の金属であっても用途が本来の目的とは異なる金属であればその種類や性質は限定されていません。
- 鉄、アルミ、ステンレス、 銅のスクラップ
- 銅線、エナメル線、鋼線、電線
- 合金、 鉛、亜鉛、ハンダ
- アルミサッシ、ホイール
- 配管、ラジエーター、コンプレッサー
- 自動車や自転車等の金属部分等
なお、「古物に該当しないもの」が金属くずの該当条件であるため、古物に該当する金属の取引をしようとするときは古物商許可を必要とします。
逆に言えば奈良県において金属くずの取引を行う際には、古物商許可とは別個に金属くず商許可が必要となります。
金属くず業許可
奈良県内に営業所を設けて業として金属くずの取引(売買し若しくは交換し、又は委託を受けて売買し若しくは交換すること)を行おうとするときは、奈良県公安委員会に対して申請し、その許可を受ける必要があります。
許可申請の方法
金属くず業を営もうとする者は、以下の書類を主たる営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課(防犯係)に提出することにより申請を行います。
なお、申請の際には申請手数料8,500円を奈良県収入証紙により支払います。
- 許可申請書
- 住民票の写し(申請者、代表者その他業務を行う役員)
- 法定代理人の同意書(未成年者の場合)
- 欠格事由に該当しないことを誓約する書面(申請者、代表者その他業務を行う役員)
- 登記事項証明書(法人)
欠格事由
許可を受けようとする者が以下のいずれかの事由に該当する場合は、金属くず商としての適格性を欠く者として許可を受けることはできません。
- 刑法第2編第36章(窃盗及び強盗の罪)又は第39章(盗品等に関する罪)に規定する罪を犯して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から1年を経過しない者
- 古物営業法第31条第1号に規定する罪(無許可営業)を犯して又は金属くず業に係る無許可営業の禁止に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から6か月を経過しない者
- 許可を取り消され、その取消しの日から6か月を経過しない者
- 精神機能の障害により金属くず商の業務を適正に実施するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
- 営業について成年者と同一の行為能力を有しない未成年者(その者が金属くず商の相続人であって、その法定代理人が欠格事由のいずれにも該当しない場合を除く)
- 法人である場合においては、その業務を行う役員のうちに欠格事由のいずれかに該当する者があるもの
管理者について
兵庫県や大阪府の同条例では金属くず商の営業所について管理者を選任する旨が定められていますが、奈良県金属くず営業条例にはこの定めがなく、管理者を営業所に選任するかどうかは営業者の任意となっています。
許可証について
金属くず業について許可がされたときは公安委員会から許可証が交付されますが、金属くず商は、これを他人に貸与したり譲り渡したりすることはできません。
書換申請
金属くず商は、許可証の記載事項に変更があったときは、その日から10日以内に所轄の警察署を経由して公安委員会に許可証の書換えを申請する必要があります。
その際は書換申請書に許可証、申請時に提出した添付書類のうち変更に係るもの及び600円分の収入証紙を添付する必要があります。
許可証の再交付
金属くず商は、許可証を損傷し、又は亡失したときは、その日から10日以内に所轄の警察署を経由して公安委員会に許可証の再交付を申請する必要があります。
その際は再交付申請書に許可証(申請の理由が損傷であるとき)、写真2葉及び700円分の収入証紙を添付する必要があります。
なお、亡失した許可証を回復したときは、速やかに公安委員会に許可証を返納します。
許可証の返納
金属くず商は、営業を廃止し、又は許可を取り消されたときは、速やかに許可証を公安委員会に返納しなければならないものとされています。
なお、金属くず商が死亡したとき、又は法人である金属くず商が解散したときは、金属くず商が死亡し、又は解散したときは、同居の親族若しくは法定代理人又は清算人若しくは破産管財人(法人の解散が合併による場合にあっては、合併後存続し、又は合併により設立された法人の代表者)等の届出義務者は、速やかに許可証を公安委員会に返納するものとされています。
許可後の義務
金属くず商として許可を取得した後は、古物商と同様に以下のような義務が課されます。
名義貸しの禁止 | 自己の名義をもって、他人に金属くず業を営ませてはならないこと |
標識の掲示 | 営業所ごとに、公衆の見やすい場所に、金属くず商の標識を掲示すること |
確認 | 金属くずの売買等をするときは、身分を証する資料(運転免許証、国民健康保険被保険者証等)の提示を求める等の方法によって相手方の住所、氏名、職業及び年齢の確認をすること |
申告 | 金属くずについて不正品の疑があるときは直ちにその旨を警察官に申告すること |
帳簿等への記載等 | 後述 |
帳簿等への記載等
金属くず商は、売買若しくは交換のため、又は売買若しくは交換の委託により、金属くずを受け取り、又は引き渡したときは、そのつど営業所ごとに、以下の事項を帳簿に記載(又は電磁的方法により記録)して営業所に備え付け又は営業所において直ちに書面に表示することができる状態にして、最終の記載をした日から1年間営業所に保存することを義務付けられています。
- 取引の年月日
- 金属くずの品目、数量及び特徴
- 相手方の住所、氏名、職業及び年齢
ただし、帳簿に準ずる書類として、以下のいずれかに該当する書類を帳簿として使用することは差し支えありません。
- 記載すべき事項を営業所における取引の順に記載することができる様式の書類
- 取引伝票その他これに類する書類であって、記載すべき事項を取引ごとに記載することができる様式のもの(営業所における取引順にとじ合わせておくこと)
また、帳簿等又は電磁的方法による記録を損傷し、若しくは亡失し、又はこれらが滅失したときは、直ちにその旨を営業所の所在地を管轄する警察署長に届け出る必要があります。
金属くず行商の届出
奈良県において営業所を設けることなく金属くずの取引を営業として行おうとするときは、奈良県公安委員会に対して金属くず行商の届出を行う必要があります。(例:奈良県に所在する顧客のところに出向いて金属くずを買い付けに行くようなケース)
ただし、法人であれば営業所を設置することが通常であるため、金属くず行商については個人名でのみ届出を行うことができます。
この届出は、以下の書類を住所又は居所(奈良県内に住所又は居所を有しないものにあっては主たる行商地域)を管轄する警察署に対して提出することにより行います。(この届出について手数料は発生しません。)
- 届出書
- 住民票の写し
- 写真1葉(6か月以内に撮影した無帽、正面、上三分身、無背景の縦3.0cm、横2.4cmの写真で、裏面に氏名及び撮影年月日を記入したもの)
金属くず業許可申請サポート
弊所では、兵庫県及び大阪府を中心に古物営業及び金属くず営業に関する手続きの代行を承(うけたまわ)っていますが、奈良県内においては、古物商許可申請と金属くず業許可申請(又は金属くず行商届)を同時に代行する場合に限りこれを承ります。
ご依頼があった際は書類の収集及び作成から関連機関との調整並びに申請の代行に至るまで、スピーディーにしっかりとフルサポートいたします。
特に①時間がない(他に時間を使いたい)、②事務手続きが苦手、③許可を取得できるかどうかが分からない、④警察署での対応が面倒or怖い、といった事情のある方にお薦めです。
下記は奈良県限定の報酬額ですが、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。古物商及び金属くず商に関する手続きについてお困りの際は、弊所までどうぞお気軽にご相談ください。
手続き | 申請手数料 | 税込み報酬額(※) | 合計額 |
---|---|---|---|
金属くず商許可申請 + 古物営業許可申請 | 27,500円 | 39,600円〜44,000円 | 67,100円〜71,500円 |
金属くず行商届 + 古物営業許可申請 | 19,000円 | 39,600円〜44,000円 | 58,600円〜63,000円 |
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