酒類受払帳とは?帳簿の書き方・備付方法・違反時の罰則を解説【DLあり】

酒類受払帳

酒類受払帳とは、酒類販売業者が酒税法第46条に基づいて備え付ける酒類の仕入れ・販売の事実を記録するための専用の帳簿です。通常の会計帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)とは別物として作成する必要があり、酒販免許を取得したその日から、記帳と保存の義務が発生します。

免許そのものが永久ライセンスであるため、免許さえ取得すればあとは自由に商売できると思われがちですが、免許取得後にも法令で定められた義務がいくつも存在し、その代表格がこの記帳義務です。

そこで本稿では、酒類受払帳に何を書くべきか、どう備え付けるか、違反した場合にどうなるかを、実際の書式例とあわせて解説します。記事末尾からは、そのまま使えるExcelテンプレートもダウンロードできますのでどうぞご自由にお役立てください。

記帳義務の法的根拠と対象者

酒税法第46条とその施行令第52条では、「製造、貯蔵、販売又は保税地域からの引取りに関する事実を帳簿に記載しなければならない」とだけ定めており、具体的な様式までは指定していません。この抽象的な条文を、実務では「酒類受払帳」という形に落とし込んで運用しているのが実態です。

対象となるのは、酒類販売業免許を受けたすべての者で、小売・卸売の別は問いません。販売実績がまったくない年であっても、免許を保有している限り帳簿の備え付け義務そのものは続きます。記載する事項がないだけで、帳簿自体は販売場に置いておく必要があるということです。

複数の販売場を持つ場合は、本社で一括管理するのではなく、販売場ごとに帳簿を作成・備え付ける必要があります。「本社にまとめてあるから店舗には帳簿がない」という状態は、それ自体が義務違反にあたります。

何を記載するのか

酒類受払帳の記載事項は、仕入(受入)と販売(払出)で異なり、いずれも酒類の品目・税率区分ごとに記帳することが求められます。

ここでいう「品目」とは、清酒・合成清酒・焼酎・みりん・ビール・果実酒・ウイスキー・スピリッツ・リキュール・雑酒といった酒税法上の分類である点に注意が必要です。

たとえばワインとスパークリングワインはどちらも「果実酒」として同一行に記帳できますが、ビールと発泡酒は税率区分が異なる別品目のため、分けて記帳する必要があります。

区分記載事項備考
仕入(受入)仕入年月日/仕入先の住所・氏名または名称/酒類の品目・数量・価格品目・税率区分ごとに記載
販売(払出)販売年月日/販売先の住所・氏名または名称/酒類の品目・数量・価格小売は販売先の記載省略可、卸売は省略不可

実際の書式例

帳簿の様式そのものに決まりはなく、必要事項さえ網羅していれば市販の帳簿でもExcelでも構いません。イメージがつかみやすいよう以下に記帳例を示しますが、仕入と払出を同じ帳簿上で時系列に並べ、残数量を都度計算していく形が基本になります。

銘柄まで記載しておくと、税務調査の際の説明がスムーズになるだけでなく、在庫管理の実務上も役立ちます。

酒類受払帳の書式例

備付方法と保存期間

帳簿は帳簿を閉鎖してから5年間、原則として紙(印刷物)で販売場に備え付ける必要があります。パソコン上にデータがあるだけでは義務を果たしたことにならないため、Excelや会計ソフトで作成した場合は、必ず印刷して保存してください。

なお、電子帳簿保存法上の要件(スキャナ保存・電子取引データ保存など)を満たす場合は、電子データでの保存が認められる場合もあります。詳しくは税理士等にご確認ください。

税務署は必要に応じて過去5年間まで遡って調査を行うことができるため、廃業や免許取消の後であっても、この5年間は帳簿を処分せず保管しておく必要があります。

小売業者の一括記帳の特例

卸売以外の小売販売については、次の2つの条件をどちらも満たす場合に限り、3か月以内の合計数量を一括で記帳することが認められています。

  • 仕入先から都度、記帳に必要な事項が記載された伝票の交付を受け、これを5年以上保存していること
  • 3か月以内ごとに実地棚卸を行っていること(その月が会計年度の最終月にあたる場合は月末に実施)

この2条件のどちらかが欠けていると特例は使えず、原則どおり仕入・販売の都度記帳が必要になります。日々の記帳が負担に感じられる小規模な酒屋であっても、伝票の保存と定期的な棚卸しさえ徹底していれば、事務作業を大きく減らせる制度なので、活用を検討する価値があります。

違反した場合の罰則

酒類受払帳の記載を怠った場合、内容を偽った場合、または帳簿そのものを隠匿した場合は、酒税法第58条に基づき1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となります。さらに、この刑に処せられると酒類販売業免許の取消事由にも該当するため、記帳義務違反は罰則だけでなく商売そのものの継続にも直結する重大な問題です。

日々の記帳は地味な作業に見えますが、税務調査の際に取引の実態を裏付ける唯一の証拠になります。帳簿が整っていない状態で調査を受けると、単なる指摘にとどまらず、免許取消という最悪の事態につながりかねません。

Q. 会計ソフトの仕訳帳を酒類受払帳の代わりにできますか?
A. 品目・税率区分ごとの記載など、必要事項がすべて揃っていれば、それを印刷して代用することは可能です。ただし通常の会計仕訳では品目ごとの分類が省略されがちなため、別途酒類専用の記録を用意する方が確実です。


Q. 飲食店を兼業しています。店内提供分も記帳が必要ですか?
A. 酒類受払帳に記載するのは、酒類販売業として仕入れ・販売した分のみです。飲食店として店内提供するために仕入れた分は含めません。販売用と提供用の仕入れ・在庫・帳簿は明確に区分して管理する必要があります。


Q. 海外から直接輸入して通信販売しています。仕入先はどう記載しますか?
A. 輸入元の名称・所在地を記載します。関税法施行令で保存すべき書類(輸入許可書等)に必要事項が記載されている場合は、その書類を整理・保存することで一部記載を省略できる場合があります。


Q. 販売実績がまったくない年でも帳簿は必要ですか?
A. 必要です。免許を保有している以上、備え付け義務は販売実績の有無にかかわらず継続します。記載事項がないだけで、帳簿自体は販売場に置いておいてください。

テンプレートのダウンロード

本稿で紹介した書式例をもとにしたExcelテンプレートをご用意しました。黄色いセルに入力するだけで、金額と残数量が自動計算される仕組みになっています。記帳例も2行分あらかじめ入力してありますので、実際の書き方のイメージとしてご活用ください。

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ただし、免許は取得して終わりではなく、取得後にこそ実務が始まります。酒類受払帳の記帳ルールをはじめ、酒類販売管理者の選任や研修受講、販売数量等報告書の提出、条件緩和の申出など、免許取得後に発生する義務は決して少なくありません。日々の業務に追われる中で、これらをすべて自力で管理するのは想像以上に手間がかかるものです。

こうした事情から、弊所では免許取得の代行にとどまらず、取得後の記帳体制の整備や各種届出のサポートまで一貫してお引き受けしています。豊富な経験の蓄積により、手続きの工期を大幅に短縮できるからこそ、迅速かつコストを抑えた対応が可能です。酒類受払帳の付け方に不安がある方や、免許取得後の義務全般を一度整理したい方は、ささいなことでも構いませんのでどうぞお気軽にご相談ください。

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