酒類販売管理者とは?酒販免許に必要な資格と酒類販売管理研修について解説

酒類販売管理者とは、酒類の小売販売場ごとに酒類販売業者が選任する、酒類の適正な販売管理を担う担当者のことです。20歳未満への販売防止をはじめとした法令遵守の実務を現場で担う立場として、酒類業組合法に基づき選任が義務づけられています。

酒類販売業免許(以下、酒販免許)には「経験その他から判断し、適正に酒類の小売業を経営するに十分な知識及び能力を有すると認められる者又はこれらの者が主体となって組織する法人であること」という免許要件があります。

要約すると、申請者もしくは役員の中に、事業経営と酒類販売の両方について経験を持つ者がいることが免許要件になるわけですが、事業経営の経験だけでは足りず、酒類販売についての経験も併せて求められる点がポイントです。

酒類販売管理研修は、販売場の管理者となる者に酒類の特性や関連法令の知識を修得させ、この「十分な知識及び能力」という要件を実質的に担保するために設けられた制度です。

本稿では、酒販免許の取得を目指す方に向けて、酒類販売管理者と酒類販売管理研修の概要、および実務上の注意点を解説します。

酒類販売管理者

酒類販売業者は、酒類の販売を開始するまでに、酒類販売業者に引き続き6か月以上継続して雇用されることが予定されている者の中から「酒類販売管理者」(以下、管理者)を選任することになっています。

管理者は販売場ごとに選任するもので、複数の販売場を持つ場合はそのすべてに個別の選任が必要です。一人の管理者が複数の販売場を兼任することは認められていません。

管理者は、酒類小売業者に引き続き6か月以上継続して雇用されることが予定されている者であることに加え、次のいずれの事由(欠格事由)にも該当しないことが求められます。

  1. 未成年者または成年被後見人もしくは被保佐人
  2. 酒類の製造免許、酒母若しくはもろみの製造免許若しくは酒類の販売業免許を取り消され、又はアルコール事業法の規定により許可を取り消された日から3年を経過するまでの者
  3. 酒類販売業者である法人が酒類の製造免許若しくは酒類の販売業免許を取り消された場合又はアルコール事業法の許可を受けた法人が同法の規定により許可を取り消された場合において、それぞれ、その取消しの原因となつた事実があつた日以前1年内に当該法人の業務を執行する役員であった者で当該法人がその取消処分を受けた日から3年を経過するまでのもの
  4. 国税若しくは地方税に関する法令、酒類業組合法若しくはアルコール事業法の規定により罰金の刑に処せられ、又は国税通則法、関税法若しくは地方税法の規定により通告処分を受け、それぞれ、その刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなった日又はその通告の旨を履行した日から3年を経過するまでの者
  5. 20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律の規定、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の規定若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定により、又は刑法上の「傷害」、「現場助勢」、「暴行」、「凶器準備集合及び結集」、「脅迫」若しくは「背任」の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過するまでの者
  6. 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過するまでの者
酒類販売管理者制度

酒類販売管理研修

初めて管理者になろうとする者は、酒販免許がおりる前に、財務大臣が指定する小売酒販組合等の団体が実施する「酒類販売管理研修」を受講することが前提となります。

酒類販売管理研修では、販売場における酒類の適正な販売管理を確保する観点から、20歳未満と思われる者への年齢確認の実施方法、酒類陳列場所における表示等、酒類販売業務を行ううえで遵守すべき法令に関する事項に加え、致酔性・習慣性といった酒類の特性や商品知識などを学びます。内容自体はそれほど難しいものではなく、平日日中の2〜3時間程度で修了できます。

この研修はいつでも受講することができますが、法改正などに対応した最新の知識を保つ観点から、平成28年の酒類業組合法改正により、受講後も3年を超えない期間ごとに再受講することが義務づけられています。

酒類販売管理者研修受講証

研修受講後には「酒類販売管理者研修受講証」が交付されます。この受講証は、販売場の見やすい場所に原本を掲示することになっているほか、受講に関する情報を記載した標識(酒類販売管理者標章)についても、あわせて掲示することが求められます。

酒類販売管理研修を受講しないまま管理者としての立場を続けると、免許取消事由に該当するほか、50万円以下の罰金の対象となるおそれもあるため注意してください。

酒類販売管理者標章

選任(解任)届出の手続き

酒類販売業者は、管理者を選任した日から2週間以内に、「酒類販売管理者選任(解任)届出書」を酒類販売場等の所在地を所轄する税務署に提出する必要があります。解任と選任が同時に生じる場合は、1枚の届出書で両方に対応できます。

届出書にはe-Taxソフトによる電子提出のほか、書面を作成して持参・送付する方法も選べます。届出を怠ると過料の対象になるため、管理者の交代時は速やかな提出を心がけてください。

責任者の選任

酒類の適正な販売管理の実効性を確保する観点から、管理者が長時間不在となる場合など、次のいずれかに該当するときは、その販売場で酒類の販売業務に従事する者の中から、管理者に代わる「責任者」を必要な人数分指名し、配置するよう国税当局から指導が行われています。

  • 夜間において酒類の販売を行う場合
  • 酒類販売管理者が常態として、その選任された販売場に長時間(2~3時間以上)不在となることがある場合
  • 酒類売場の面積が著しく大きい場合(100㎡以上の場合、100㎡を超えるごとに1名以上の責任者を指名すること)
  • 同一建物内において酒類売場を設置している階が複数ある場合(酒類販売管理者のいない各階ごとに1名以上の責任者を指名すること)
  • 同一の階にある複数の酒類売場が著しく離れている場合(20m以上離れている場合)
  • 複数の酒類売場が著しく離れていない場合であっても、同一の階において酒類売場の点在が著しい場合(3か所以上ある場合)
  • その他酒類販売管理者のみでは酒類の適正な販売管理の確保が困難と認められる場合

責任者になるための資格要件は特に定められていませんが、成年者を指名することが望ましいとされ、特に夜間帯については成年者の配置が指導されています。なお、代金決済をする場所(レジ)が1か所のみで、かつ管理者だけで適正な販売管理が確保できると認められる場合は、責任者を指名しなくても差し支えないとされています。

Q. 酒類販売管理者は誰でもなれますか?
A. 酒類小売業者に引き続き6か月以上継続して雇用されることが予定されている者であり、かつ前述の欠格事由に該当しない者であれば選任できます。特別な資格試験はありませんが、初めて管理者になる場合は酒類販売管理研修の受講が前提となります。


Q. 酒類販売管理研修は誰が受講する必要がありますか?
A. 各販売場で管理者に選任される予定の者が受講します。新規に酒販免許を申請する場合は、管理者に選任予定の役員や従業員があらかじめ受講しておく必要があります。


Q. 研修は一度受ければ済みますか?
A. いいえ。平成28年の酒類業組合法改正により、初回受講後も3年を超えない期間ごとに再受講することが義務づけられています。


Q. 複数の店舗を経営している場合、管理者は一人で兼任できますか?
A. できません。管理者は販売場ごとに選任するものとされており、一人の管理者が複数の販売場を兼任することは認められていません。


Q. 研修を受講しないとどうなりますか?
A. 免許取消事由に該当するおそれがあるほか、50万円以下の罰金の対象となる可能性もあります。

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