個室麻雀店はNG?雀荘に求められる構造要件について

個室麻雀店のイメージ

ワイワイと賑やかな環境で麻雀に興じることを好む人もいれば、親しい仲間内だけで落ち着いて楽しみたいと願う人もいるなど、遊技への向き合い方は人それぞれです。

後者の方にとって、周囲を気にせず打てる「個室麻雀店」は非常に魅力的な選択肢ですが、完全個室の店舗をオープンすることには、法律上極めて高いハードルが設けられています。

まず大前提として、マージャン屋は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)において「風俗営業」に位置づけられており、同法に基づく許可を得ることなく営業することはできません。また、同法にはマージャン屋の営業所に係る構造基準が厳格に設けられており、これに適合させることなく営業を営むことは不可能です。

たとえ需要に応えるための個室化であっても、法が求める構造基準を無視して進めることは、営業停止や許可取消といった再起不能なリスクを背負うことに直結します。

今回は、法律上マージャン屋に求められている営業所の「構造要件」について、実務上で特に盲点となりやすいポイントを絞って解説します。

営業所に係る構造要件

風俗営業の営業所に厳格な構造要件が課されているのは、営業所内の透明性を確保することで、密室化による賭博行為や風紀を乱す行為、あるいは少年の健全育成を阻害する事態を未然に防止するためです。客室内の見通しを確保し、施錠を禁じるなどの物理的な制約を設けることにより、法が目的とする「善良な風俗と清浄な風俗環境」を維持し、警察による適切な管理・監督を実効的なものにする狙いがあります。

前テナントが同業の雀荘であった場合、「当然、構造要件はクリアしているだろう」と予断を持って現地に赴くことがありますが、実際に営業所へ足を踏み入れると、内部が違反だらけの状態であることは決して珍しくありません。

前テナントがそもそも無許可営業であった可能性や、許可取得後に違法な増改築を行っていた可能性も否定できないため、「同種の営業を行っていた居抜き物件」という肩書きを安易に信頼するのは禁物です。物件の選定にあたっては、必ず現況が最新の法令に適合しているか、専門的な視点から再確認する姿勢が求められます。

客室の見通し

死角を作ってそこで不適切な行為が行われないよう客室内に「見通しを妨げる設備」を設置することは禁止されています。

問題となる「見通しを妨げる設備」とは、具体的には高さが1m以上となる遮蔽物(しゃへいぶつ)を指しますが、これには客室内のテーブル、イス、カウンターなどの什器だけでなく、観葉植物やラックなど設置されるすべての物品が含まれます。

高さは「最大値が1m未満」である必要があり、実査(現地調査)では可動式のイスなども最も高くした状態でミリ単位の厳格な計測が行われます。

また、客室の形状が極端なL字型であったり、全体を見渡す際に死角となる狭いスペースがあったりする場合も、「見通しを妨げる構造」として指摘を受けることがあります。

該当箇所を「客室」から除外して申請する対策もありますが、あまりにいびつな形状の物件は、選定段階で避ける方が得策です。

客室の出入口

営業所外に直接通ずる出入口はともかくとして、客室に施錠をすることは認められていません。その理由は、万が一の事態における客の監禁を防止するという「安全確保」の側面と、違法行為の隠蔽や警察官による立入検査の妨害を未然に防ぐという「監督の実効性維持」の側面にあります。

したがって、鍵付き個室を設けることはもちろんのこと、二重扉を設けてその両方に施錠をするような構造も認められません。

照度の規制

薄暗い店内は違法行為の温床となるおそれがあるため、客席は常に10ルクスを超える明るさを維持する必要があります。

警察のチェック対象となる調光器(スライダックス)が設置されている物件については、照度を最小に絞った状態でも10ルクスを下回らないよう改修するか、あるいは調光器自体を撤去する必要があります。(この辺りの警察の運用は地域差があるため注意が必要です。)

★10ルクスの目安

10ルクスといえば、上映前後の足元灯がついている時の客席付近の明るさや、ロウソクの火からおおむね20cmほど離れた位置での明るさです。

これらの例から分かるように、10ルクスはかなり暗いものの、物の形や大きな文字がなんとか判別できる程度の明るさであると言えます。

10ルクスのイメージ

掲示物等

風俗営業の営業所においては、善良な風俗や清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾、その他の設備を設けることが厳格に禁止されています。

具体的には、店内の壁面や看板に掲げられるポルノ写真や性的な好奇心を煽るポスター、あるいはアダルトグッズの展示などがこれに該当します。

こうした物品の設置は、営業所の健全性を著しく損なうだけでなく、少年の健全育成を阻害する要因ともなり得るため、客室から見える場所はもちろん、営業所内のいかなるスペースにおいても認められません。内装を検討する際は、単なるデザイン性だけでなく、公序良俗に反する視覚的要素が含まれていないかを十分に精査する必要があります。

騒音及び振動

各都道府県の条例では、営業所から発生する騒音および振動の数値について厳格な許容基準が設けられており、風俗営業者はこの基準を超える状態で営業を営むことはできません。

具体的には、カラオケ設備や音響機器の使用、あるいは遊技に伴う衝撃音などが、近隣の平穏な生活環境を損なわないよう配慮が求められます。万が一、基準値を超過するおそれがある場合には、壁や天井への防音材の導入、あるいは防振マットの設置といった適切な措置を講じる必要があります。

個室麻雀店の実現可否

話を「個室麻雀店」の実現可否に戻せば、そのハードルは極めて高いと断ぜざるを得ません。前述の通り、麻雀店の構造には厳格な基準が課されており、特に「個室」という形態は、その存在自体が「客室の見通しを妨げる設備」とみなされ、許可が下りないケースがほとんどだからです。

実務上、この規制を回避するためのスキームとして以下の3点が散見されますが、いずれも法的な死角があり、完璧な解決策とは言えません。

  1. 個室の壁の上部を開口する
  2. 小窓を付け外から中を見られる構造にする
  3. 個室の床から1m以上の部分をガラス張りにする

インターネットカフェ等の他業種とは異なり、麻雀店は「風俗営業」であることが前提です。そのため、①や②のような限定的な開口部を設ける程度の対策で個室化を強行するのは、非常に厳しいと言わざるを得ません。規制の本質はあくまで「見通しを妨げるかどうか」にあり、一部を開放したところで、客室を遮る高さ1メートル以上の構造物が存在する以上、それは遮蔽物と判断されるためです。

唯一、③の「1m以上の部分をガラス張りにする」手法は、警察庁の解釈基準に照らせば認められる可能性が最も高いと言えます。しかし、外部から遊技状況が丸見えの状態を、果たして利用客が望むような「個室」と呼べるのかという、営業上の根本的な矛盾に突き当たることになります。

ただし、これらのスキームが認められるかどうかは、管轄する警察署の判断によって大きく異なります。

「〇〇県の〇〇警察署では許可が下りたが、隣接する自治体の警察署では一切認められなかった」という事態が日常的に起こるのが、風俗営業における実務の難しさです。構造基準の解釈や運用には地域ごとに固有の「ローカルルール」が存在するため、他店での成功事例をそのまま当てはめるのではなく、事前に管轄警察署との綿密な協議を重ねることが不可欠となります。

いずれにせよ、聞きかじった断片的な情報や、ネット上の根拠なき「合法説」を鵜呑みにし、安易に自己判断を下すことは極めて危険です。取り返しのつかない事態に陥る前に、まずは風営法に精通した行政書士等の専門家へ相談し、適法かつ持続可能なビジネスモデルを検討されることを強くお勧めいたします。

風俗営業許可申請サポート

風俗営業は法令や条例の規制をダイレクトに被る営業形態です。規制は各市区町村条例に及んでいることも多いため、市区町村によっては都道府県条例よりもさらに厳しい条例(いわゆる上乗せ条例)が施行されている地域も存在します。

このように想定外の落とし穴にはまってしまうこともあるため、風俗営業の見切り発車は非常にリスクの大きい行為です。知人の風俗営業者が色々と入れ知恵してくれたとしても、それがその時期その地域その営業形態にすべて合致する正しい情報とは限りません。いずれにせよ風俗営業をはじめようとする際は、所轄の警察署や風営法に精通した行政書士に相談することを強くお薦めします。

弊所では、全国各地において、風俗営業許可申請の代行を承っています。事前調査、書類作成、関係各所とのやり取り及び書類提出に至るまで、まるっとフルサポートさせていただいています。また、弊所は「話しの分かる行政書士事務所」として、さまざまな事情をくんだ上での柔軟な対応を心がけています。風俗営業許可を取得する際は、どうぞ弊所まで安心してご相談ください。

風俗営業に関するご相談はお気軽に♬

全国各地に対応可能です。

平日9時〜18時、📩は24時間365日対応!

06-6415-9020 または 090-1911-1497

メールでのお問い合わせはこちら。

お問い合わせフォーム

事務所の最新情報をお届けします