建設業における相続の認可申請について
相続は誰しもが直面する問題です。ですが許可を受けて建設業を営んでいた建設業者がある日突然亡くなってしまったら、遺(のこ)された建設業者の従業員はもとより、下請業者も工事発注者も困り果ててしまいます。
そこで建設業法では、相続人が建設業許可の要件をすべて満たしていることを前提に、権利義務や監督処分を含む建設業に関する全てを相続することを条件にして、相続による事業承継を認可する制度が設けられています。
相続の認可
建設業者が死亡した場合において、建設業者(以下、被相続人)の相続人が被相続人の営んでいた建設業の全部を引き続き営もうとするときは、被相続人の死亡後30日以内に都道府県知事又は国土交通大臣に申請し、その認可を受ける必要があります。
ただし、建設業の一部のみを相続することはできず、また、相続人が建設業許可の要件を満たしていないとき、若しくは次のいずれかに該当する場合には認可を受けることはできません。
- 被相続人が受けていた一般建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る特定建設業の許可を受けている場合
- 被相続人が受けていた特定建設業の許可に係る建設業と同一の種類の建設業に係る一般建設業の許可を受けている場合
認可の申請
相続人は、被相続人の死亡後30日以内に以下の申請先に対して申請を行います。なお、相続人が2人以上ある場合において、その全員の同意により相続人を選定したときは、選定された者が申請を行います。
認可の申請先
区分 | 申請先 |
---|---|
被相続人が国土交通大臣の許可を受けていたとき | 国土交通大臣 |
被相続人が都道府県知事の許可を受けていたとき | 当該都道府県知事 |
相続人が国土交通大臣の許可を受けているとき | 国土交通大臣 |
相続人が、被相続人が許可を受けていた都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき | 国土交通大臣 |
認可申請に必要となる書類
申請者と被相続人との続柄を証する書類 | ○ |
申請者以外の相続人の同意書 | ○ |
相続認可申請書(様式第22号の10) | ○ |
営業所一覧表(別紙1) | ○ |
専任技術者一覧表(別紙2) | ○ |
工事経歴書(様式第2号) | △ |
直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号) | △ |
使用人数(様式第4号) | ○ |
誓約書(様式第6号) | ○ |
登記されていないことの証明書 | ○ |
身分証明書等 | ○ |
常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書(様式第7号) | □ |
常勤役員等の略歴書(別紙) | □ |
常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書(様式第7号の2) | □ |
常勤役員等の略歴書(別紙1) | □ |
常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書(別紙2) | □ |
健康保険等の加入状況(様式第7号の3) | ○ |
健康保険等の加入確認書類等 | ○ |
専任技術者証明書(新規・変更)(様式第8号) | □ |
実務経験証明書(様式第9号) | □ |
指導監督的実務経験証明書(様式第10号) | □ |
令3条使用人の一覧表(様式第11号) | ○ |
認可申請書の住所・生年月日に関する調書(様式第12号) | ○ |
令3条使用人の住所、生年月日等に関する調書(様式第13号) | □ |
貸借対照表(様式第18号) | △ |
損益計算書(様式第19号) | △ |
営業の沿革(様式第20号) | ○ |
所属建設業者団体(様式第20号の2) | □ |
主要取引金融機関名(様式第20号の3) | □ |
誓約書(様式第22号の11) | ○ |
国土交通大臣又は都道府県知事が必要と認める書類 |
○ | 提出が必須 |
△ | 相続人が既に建設業許可を有している場合省略可能 |
□ | 相続人が既に建設業許可を有しておりかつ記載内容に変更がなければ省略可能 |
認可申請書を国土交通大臣に提出した申請者は、自ら又は被相続人が都道府県知事の許可を受けているときは、相続の届出書(様式第22号の12 )を当該都道府県知事に提出します。
申請と認可の効果
相続人が認可の申請をしたときは、被相続人の死亡の日からその認可を受ける日(又はその認可をしない旨の通知を受ける日)までは、被相続人が受けていた建設業の許可の効力は相続人に及びます。相続人はその後正式に認可を受けることにより、被相続人の建設業者としての地位を承継します。
認可を受けて建設業者としての地位を承継した申請者は、認可を受けた日から2週間以内に健康保険等の加入確認書類等を当該認可をした国土交通大臣又は都道府県知事に提出します。
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