産廃の摘発事例から学ぶ適正運営の重要性│産業廃棄物収集運搬業解説

産業廃棄物収集運搬業許可を取得すると、「これで営業できる」と安心してしまう方も少なくありません。しかし、許可はあくまでスタートラインであり、取得後も廃棄物処理法に沿った適正な運営を継続する必要があります。
産業廃棄物に関する行政処分や摘発のニュースでは、不法投棄や処理基準違反など、許可取得後の管理体制に問題があったケースが多く見られます。許可を持っている事業者であっても、法令違反をすれば許可取消しや刑事処分の対象となる可能性があります。
一方で、「産廃業者の摘発」と聞くと無許可営業をイメージする方もいますが、実際には無許可営業の摘発は報道されるケースがそれほど多くありません。これは違反が存在しないという意味ではなく、社会的なニュースとして取り上げられる価値が、不法投棄や大規模な処理基準違反などと比較して低いためです。
そこで本稿では、実際に公表された産業廃棄物関連の摘発事例を参考にしながら、産業廃棄物収集運搬業者が注意すべきポイントについて解説します。
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産業廃棄物の摘発事例
産業廃棄物収集運搬業は、都道府県知事等の許可を受けて営業する制度です。そのため、「許可を取得した業者であれば問題ない」と考えられがちですが、許可は違反行為を免除するものではありません。
廃棄物処理法では、収集運搬業者にも適正処理を行う責任があります。委託契約、マニフェスト管理、運搬方法、処分先の確認など、日々の業務管理が不十分であれば、許可業者であっても行政処分や刑事罰の対象になります。
特に注意したいのは、実際の現場では「少しぐらいなら問題ない」という認識から違反につながるケースがあることです。産業廃棄物の取扱いは、一般的な運送業とは異なり、廃棄物処理法上の細かなルールによって管理されています。
事例① 産業廃棄物の不法投棄による摘発事例
2023年頃、全国各地で、建設系廃棄物などの産業廃棄物を山林や空き地などへ不法投棄したとして、排出事業者や処理業者が廃棄物処理法違反で摘発される事例が発生しています。環境省の調査でも、産業廃棄物の不法投棄・不適正処理事案は継続的に確認されています。
事例② 産業廃棄物管理票に関する違反事例
2020年3月、大阪市内において、産業廃棄物収集運搬業者が、土砂と混在した路盤廃材等について、適正なマニフェスト管理を行わず収集運搬したことが問題となりました。大阪市は調査の結果、複数の事業者について違反を確認しました。
事例③無許可処理業者による産業廃棄物処理事例
2022年頃、産業廃棄物処理業の許可を取得していない事業者が、事業活動に伴って排出された廃棄物を有償で受け入れ、処理・運搬を行ったとして摘発される事例があります。
事例④無許可業者への再委託・マニフェスト虚偽記載事例
2024年頃.東京都内において、産業廃棄物処理業者が、排出事業者から委託された産業廃棄物について、自ら処理を行わず無許可業者へ再委託し、さらにマニフェストへ虚偽の記載を行った事例が公表されています。
事例⑤マニフェスト虚偽記載による摘発事例
2025年2月、東京都内において、産業廃棄物処理業者が、受託した汚泥を適正に処理せず、自社敷地内に放置した上で、処分が完了したように見せかける虚偽内容の産業廃棄物管理票(マニフェスト)を作成したとして、代表者が廃棄物処理法違反の疑いで摘発されました。
摘発事例から学ぶ産業廃棄物処理業の適正な運営
ここまで見てきたように、摘発される事案は決して一つの類型に限られているわけではありません。不法投棄だけでなく、無許可営業、マニフェストの虚偽記載、無許可業者への委託など、その内容は多岐にわたります。
また、ニュースでは大規模な不法投棄事件が大きく報じられる傾向がありますが、それ以外にも各地で廃棄物処理法違反による摘発は継続的に行われています。特に無許可営業は「摘発件数が少ない」のではなく、報道される機会が少ないだけという側面もあります。
産業廃棄物処理業は、許可を取得すれば終わりという制度ではありません。日々の営業の中で法令を遵守し、適正な管理を継続してこそ、初めて許可制度の趣旨が果たされます。
排出事業者にも責任がある
廃棄物処理法では、産業廃棄物を排出した事業者にも処理責任が課されています。そのため、「業者に任せたから終わり」では済みません。
委託先が適法な許可を受けているか、委託契約書は適切に作成されているか、マニフェストが適正に運用されているかなどを確認することも、排出事業者の重要な役割です。
価格だけで委託先を選んだ結果、不法投棄や無許可営業に巻き込まれれば、自社にも行政処分や刑事責任が及ぶ可能性があります。委託先選びは、コストだけでなく法令遵守体制も含めて判断することが大切です。
知らなかったでは済まされない
産業廃棄物収集運搬業者は、許可証を取得した後も、許可内容の範囲内で営業を行う必要があります。
例えば、許可を受けていない品目を運搬する、変更届を怠る、マニフェストの管理を適切に行わないといった行為は、行政処分や刑事事件へ発展する原因となります。また、役員変更や法人化、営業所の変更など、一定の事項については変更届や変更許可申請が必要になる場合もあります。
「忙しかった」「知らなかった」という理由は通用しません。許可取得後も、法改正や制度変更を含めて継続的に法令を確認しながら営業する姿勢が求められます。
まとめ
産業廃棄物に関する摘発事例を見ると、不法投棄のような悪質な事件だけでなく、無許可営業、マニフェスト管理、委託基準違反など、日常業務の延長線上で発生する違反も少なくありません。
こうした違反の多くは、「少しくらい大丈夫だろう」という油断や、制度への理解不足から発生しています。許可を取得することはもちろん重要ですが、それ以上に重要なのは、許可取得後も法令を遵守しながら適正な運営を継続することです。
弊所では、産業廃棄物収集運搬業許可申請だけでなく、更新許可申請、変更届、事業内容の確認、関連許認可との整理まで幅広くサポートしております。これから許可取得を目指す方はもちろん、すでに営業されている事業者様からのご相談にも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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