風俗営業における広告及び宣伝の規制について
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)では、風俗営業者に対し、営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝を行うことを禁じています。
他方、憲法上では表現の自由及び営業の自由が保障されていることから、広告又は宣伝について、どこまでが許容範囲であるのかは、取締りを行う警察にとっても、広告等を行う風俗営業者にとっても重要な事項です。
規制の対象
憲法上の表現の自由及び営業の自由との兼ね合いから、視覚に訴える広告又は宣伝については、以下のとおり公衆の目に触れやすいものが規制対象となります。
例えば公道、駅前広場等多数の人間が通行する場所で広告又は宣伝が行われる場合にあっては、広告物等が、付近(数m程度離れた場所)にいる人間に判別できる程度のものが規制対象となります。ただし、プラカードを持って移動する場合のように、広告物自体を移動させる場合にあっては、すぐ近くで判別できるものであれば規制対象となります。また、ビラ配り等公衆の各人に手渡す場合は、ビラ等の大きさは問わず規制対象となります。
公衆電話等公衆が特定の目的のために利用する場所における広告又は宣伝は、その場所を利用する人間が利用の際に広告物等の内容を判別することができるものであれば規制対象となります。
なお、聴覚に訴える広告又は宣伝を規制する場合は、通常周囲の騒音との関係で、付近にいる公衆が聞くことのできる程度のものが規制対象となります。
規制される内容
風営法において規制される広告又は宣伝の内容は、清浄な風俗環境を害する等風営法の目的に反するものに限られます。
視覚に訴える広告・宣伝であれば、典型的には衣服を脱いだ人の姿態や性交、性交類似行為、性器等を描写するもの、営業所内で卑わい行為が行われていることを表すもの、遊技盤上の遊技くぎの操作による遊技球のサービス等著しく射幸心をそそるおそれのある行為が行われていることを表すもの等が規制の対象となります。
なお、単に店名及び料金のみを表示する広告・宣伝、単に色彩が派手である広告・宣伝等は、清浄な風俗環境を害するおそれがあると認められる場合を除き、規制の対象とはなりません。また、建物の外観は、それが広告又は宣伝に当たるものと解されない限り、風営法による規制対象とはなりません。
聴覚に訴える広告・宣伝にあっては、その内容が卑わいな場合、著しく射幸心をそそるおそれのある場合等が規制の対象となります。また、著しく大きな騒音を発生させている場合は違反になるほか、騒音に関する遵守事項についても違反となり得ます。
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