東京都における特定衣類着用飲食店とその規制内容について

東京都では、喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業のうち、水着又は下着を客に接する業務に従事する者が着用することによって、客の性的好奇心をそそるおそれがあるものを「特定衣類着用飲食店営業」とする特定異性接客営業等の規制に関する条例(以下、条例)を定め、これに該当する営業について禁止行為や罰則を定める等の規制を行っています。
弊所が所在する関西圏では、ビキニ水着や下着に近い衣類を着用したキャストがサービスを提供するスタイルの飲食店はあっても、これを直接規制する条例はなく、本稿で紹介する規制はあくまでも東京都独自のものとなります。
全国的には認知度が低い条例ですが、違反者に対する罰則も定められているため、都内において類似する営業を営もうとされている方は内容をしっかりと把握するようにしてください。
目 次
特定衣類着用飲食店営業とは
冒頭で触れたとおり、条例では、喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業のうち、水着又は下着を客に接する業務に従事する者が着用することによって、客の性的好奇心をそそるおそれがあるものを「特定衣類着用飲食店営業」と定義しています。
分かりやすく言えば、店舗内で客に飲食を指せる飲食店において、従業員に水着や下着を着用させる営業がこれに該当します。「客の性的好奇心をそそるおそれがあるもの」を該当要件としていますが、一般論として、水着や下着を着用した人の姿態は、それだけで「客の性的好奇心をそそるおそれがあるもの」と考えられることから、要は水着や下着を着用した従業員がサービスを提供する飲食店であれば、そのほぼすべてが「特定衣類着用飲食店営業」であるものと考えても良いでしょう。
また、特に「性別」を限定していないことから、男性従業員であれ女性従業員であれ、水着や下着を着用し、それが「客の性的好奇心をそそるおそれがあるもの」であるならば「特定衣類着用飲食店営業」に該当することになります。
特定衣類着用飲食店営業ではないもの
上記の該当要件を備える飲食店であっても、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)に規定する風俗営業、特定遊興飲食店営業及び条例に規定する特定異性接客営業に該当するものは特定衣類着用飲食店営業ではありません。
これは風営法や、条例の他の条項によりこれらの営業について規制することが可能であるためです。
したがって、これらの営業については、条例上の特定衣類着用飲食店営業に関する規定はすべて適用されません。
なお、営業開始の際に届出が必要となる特定異性接客営業とは異なり、特定衣類着用飲食店営業について営業開始や廃止に係る手続きは不要です。
禁止される行為
特定衣類着用飲食店営業者は、青少年(18歳未満の者)を客に接する業務に従事させること及び青少年を営業所に客として立ち入らせることを禁止されています。
また、何人(いかなる人)も、特定衣類着用飲食店営業に関し、以下の行為を行うことが禁じられています。
- 青少年に対して客となるように勧誘すること
- 青少年に対して客に接する業務に従事するよう勧誘すること
- 青少年に対して広告文書等を配布すること
- 客となるよう青少年に勧誘させること
- 客に接する業務に従事するよう青少年に勧誘させること
- 広告文書等を青少年に配布させること
指示・営業の停止等
公安委員会は、特定衣類着用飲食店営業者又はそれらの代理人、使用人その他の従業者がその営業に関し一定の違反をしたときは、その特定衣類着用飲食店営業者に対し、青少年の健全な育成を阻害する行為又は青少年を被害者とする犯罪を防止するため必要な指示をすることができます。
さらに公安委員会は、以下に該当するときは、特定衣類着用飲食店営業者に対し、6か月を超えない範囲内で期間を定めてその営業の全部又は一部の停止を命ずることができます。
- 特定衣類着用飲食店営業者が上記の指示又は後述する警察官の命令に従わなかったとき
- 特定衣類着用飲食店営業者又はそれらの代理人等がその営業に関し以下のいずれかに該当する行為をしたとき
- 罰則に定められた違反行為
- 刑法第175条(わいせつ物頒布等罪)又は第183条の罪(淫行勧誘罪)に当たる違法な行為
- 売春防止法第5条から第13条までに規定する罪に当たる違法な行為
- 児童福祉法第34条第1項第6号又は第9号の規定に違反する行為
- 労働基準法第56条第1項又は第61条第1項若しくは第62条第2項(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第44条第2項の規定により適用される場合を含む)の規定に違反する行為
- 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第4条から第8条まで(第7条第1項を除く)の罪に当たる違法な行為
- 東京都青少年の健全な育成に関する条例第18条の6の規定に違反する行為
標章の貼付け
公安委員会は、特定衣類着用飲食店営業の停止を命じたときは、その命令に係る施設の出入口の見やすい場所に、営業停止標章を貼り付けます。
この命令を受けた者は、以下のいずれかの事由があるときは、標章を貼り付けられた施設について、標章を取り除くべきことを申請することができます。この場合、公安委員会は必ず標章を取り除かなければならないこととされています。
- 施設をその特定衣類着用飲食店営業の用以外の用に供しようとするとき
- 施設を取り壊そうとするとき
- 施設を増築し、又は改築しようとする場合であって、やむを得ないと認められる理由があるとき
標章を貼り付けられた施設について、営業停止命令に係る特定衣類着用飲食店営業者からその施設を買い受けた者その他その施設の使用について権原を有する第三者は、標章を取り除くべきことを申請することができます。この場合、公安委員会は必ず標章を取り除かなければならないこととされています。
何人も、貼り付けられた営業停止標章を破壊し、又は汚損してはならず、また、その施設に係る営業停止命令の期間を経過した後でなければこれを取り除くことを禁じられています。
従業員名簿
特定衣類着用飲食店営業者は、営業所ごとに従業員名簿を備え、これにその営業に係る業務に従事する者の住所、氏名、性別、生年月日、採用年月日、従事する業務の内容並びに退職(死亡を含む)の年月日及びその事由を記載し、従業員が退職した日から3年間備え付ける義務があります。
ただし、営業所ごとに、労働基準法第107条に規定する労働者名簿を備え付けている場合は、これを従業員名簿に代えることができます。
また、深夜酒類提供飲食店の営業開始届を提出した特定衣類着用飲食店営業者については、風営法に基づき同種の従業員名簿を備え付ける義務があることから、改めて特定衣類着用飲食店営業用の従業員名簿を備え付ける必要はありません。
報告及び立入り
公安委員会は、条例の施行に必要な限度において、特定衣類着用飲食店営業者に対し、その業務に関して報告又は資料の提出を求めることができます。
また、警察職員は、条例の施行に必要な限度において、営業所に設けられている個室その他これに類する施設で客が在室するものを除き、特定衣類着用飲食店営業の営業所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問することができます。
警察官による中止命令
警察官は、特定衣類着用飲食店営業に関し、青少年に対して広告文書等を配布し、又は広告文書等を青少年に配布させている者に対し、その違反行為を中止することを命ずることができます。
罰則
条例には以下の罰則が設けられています。条例とはいえ違反者には最高で1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されることもあるので違反のないようご留意ください。
また、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、これらの違反行為をしたときは、その行為者が罰せられるほか、その法人又は人に対し、該当する罰金刑が科されます。(両罰規定)
| 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | 公安委員会からの営業停止命令に違反した者 |
| 6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 | 青少年を客に接する業務に従事させ、又は青少年を営業所に客として立ち入らせた特定衣類着用飲食店営業者 |
| 警察官による中止命令に違反した者 | |
| 30万円以下の罰金 | 青少年に対して客となるように勧誘し、又は客に接する業務に従事するよう勧誘した者 |
| 客となるよう青少年に勧誘させ、又は客に接する業務に従事するよう青少年に勧誘させた者 | |
| 20万円以下の罰金 | 公安委員会が貼り付けた標章を破壊し若しくは汚損し、又は警察官の中止命令の期間を経過する前にこれを取り除いた者 |
| 従業員名簿を備えず、又はこれに必要な記載をせず、若しくは虚偽の記載をした者 | |
| 公安委員会から求められた報告若しくは資料の提出を拒み、若しくは報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又は警察職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者 |
なお、青少年を客に接する業務に従事させ若しくは青少年を営業所に客として立ち入らせた特定衣類着用飲食店営業者又は勧誘行為等の禁止行為をした者は、青少年の年齢を知らないことに過失がないときを除き、青少年の年齢を知らないことを理由として、処罰を免れることができません。
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