海と船と釣りと魚と海事代理士と愚息君

渡船から見える尼崎の街並み
渡船から見える尼崎の街並み

海事代理士たる者、常に海とともにあり、船に親しみ、魚を慈しむことが求められています。

とまぁそんな崇高な理念を抱いているかどうかは別にして、今回は海事代理士としての視察がてら、愚息くんと尼崎市内の堤防に出かけてきました。

決して愚息くんにせがまれて、バカンス気分で釣りに訪れたわけではないことをご了承の上、業務報告に目を通していただければ幸いです。(ところどころ海事関連のお役立ち情報をはさんでいるのでご容赦ください。)

いざムコイチへ

阪神武庫川駅
阪神武庫川駅

さて、今回の釣り場、、、もとい視察先に選択したのは、武庫川一文字といわれる全長4kmに及ぶ巨大堤防です。地元ではムコイチと通称されており、近隣の釣り好きの皆さまには、人気のスポットとして親しまれています。

ここでトリビア。沖合にある防波堤のことを関西では一文字(いちもんじ)、関東では沖堤(おきてい)といいます。一文字の呼称は、防波堤の形が一文字の形に似ていることに由来します。

地続きでムコイチまで行ける箇所があるにはありますが、今回はあえて渡船を利用することにしました。愚息くんの「船に乗りたい」というリクエストに応えてあげたとかいうそんな親バカな理由ではなく、海事代理士として船舶を体験するという至極まっとうな理由からです。

ところで渡船の船着き場への交通手段に利用した阪神電鉄武庫川駅は、全国的にも珍しい川の上に存在する駅として知られています。西側に進めば西宮市、東側に進め方ば尼崎市と、改札口も別々の市にまたがる形で配置されています。

尼崎魚つり公園
尼崎魚つり公園

というわけで、渡船の発着場となる「尼崎魚つり公園」に到着しました。尼崎市近辺の釣り職人であれば、誰もが知る有名釣りスポットですが、今回は構内にお邪魔せず、案内所で渡船の手続きを済ませた後は、その場で船を待ちます。

船着き場の桟橋
船着き場の桟橋

すぐ横の浅橋へ移動し、ライフジャケットを着込んでからしばらく待っていると、水平線の彼方から、これから乗船する渡船が近づいて参ります。否が応にも愚息くんのテンションは爆上がりです。(父も)

浅橋に近づいてくる渡船
浅橋に近づいてくる渡船

渡船について

渡船
乗船する渡船が到着

さて、いったん話しは逸れますが、海事代理士らしく、今回利用した渡船について、海上運送法や遊漁船業法といった関連法令を下敷きとして少し考察してみることにいたします。

18人が乗船していたことから、この船舶は旅客船に該当し、さらには時刻表に従って旅客を運送していることから、時刻表に従って運航する屋形船と同じく、一見すると一般旅客定期航路事業であるようにも思われます。

実際は船舶を釣りの用に供していることから、この船は遊漁船業の登録を受けて磯渡業を行う遊漁船であるものと考えるのが妥当でしょう。ただし、併せて遊覧船としても使用しているのであれば、当然に一般旅客定期航路事業の許可を取得する必要があります。

総トン数は船舶にとって重要な指標ですが、仮にこの船が総トン数20トン以上であるならば、船舶登録のほかに船舶登記が必要になりますし、船長は小型船舶操縦免許ではなく、海技免状を保有する者である必要があります。

私自身が測度(総トン数の計測)をすることができないので明確には分かりませんが、経験から判断するのであれば、今回乗船した船は、総トン数20トン未満のものであると推察します。

第八宮本丸
乗船した渡船。船名が素敵。

ちなみに船名は○○丸であり、日本の船舶には馴染み深い名称ですが、なぜ日本船舶に「丸」がつく船舶が多いのかを以下の記事にまとめております。

出航!

さぁ出航しました。先ほどまであまりの陽気ゆえに上着を脱いでいたことが仇となり、渡船の洗礼を受けることになりました。覚えておいてください。冬の船上は寒い。(当たり前)

艀(はしけ)
いざ出航!

しばらく進んだところで、平べったい形状の船舶が見えてきました。形状から察するに、これは艀(はしけ)のように思われます。

ムコイチの漁場
目的のムコイチ!

という訳で目的ちに到着。所要時間約7分の船旅でした。いや、船は速い!

釣り、開始!

仕掛けにアミエビを詰める愚息くん
仕掛けにアミエビを詰める愚息くん

ここからがいよいよ視察本番です。本日の仕掛けはファミリーフィッシングの定番中の定番たるサビキ釣りですが、白状すると海事代理士ではあるものの、魚と釣りについてはズブのド素人です。だって魚の名前にしろ釣りの仕方にしろ、試験には出題されませんから。

親子ともに釣り好きですが、毎回訪れるたび合言葉のように語り合うのは、「そろそろ本気で釣り学ばなあかんな。」です。この人たちは成長しない。

釣果は?

頼もしく釣り糸を垂らす愚息くん
頼もしく釣り糸を垂らす愚息くん

姿勢を見るに、なんだか一応それっぽさは醸し出してくれています。息子よ大きく育ってくれた。父は嬉しい。

哀愁を感じさせる男の背中
哀愁を感じさせる男の背中

そして30分後。何だか怪しげなムード。いやいや、背中に哀愁が漂っていてこれもこれでまた誇らしい。そもそも時期は11月最終週、堤防釣りのトップシーズンはとっくに過ぎているのだから簡単に釣れるはずもない。ここは我慢するのみ。

さらに2時間経過。

つりぼり①

おや?

つりぼり②

おやおや?

寿司
お寿司はおいしい

さらに2時間後。結局はこうなりましたとさ。チャンチャン♪

まとめ

序盤のクリック詐欺のような展開から、終盤はびっくりするほど足早かつ雑な展開になってしまいました。お察しのとおり、本日の釣果は「つりぼり」を含めてゼロ。つまりはボウズです。まぁ時季と時間帯、釣りの仕方なんかを考えると仕方ないかもしれませんね。最終的に回転寿司チェーン店になってしまったのは、オチとしてはやや弱いですが、愚息くんの成長に免じてどうぞご容赦ください。

さて、ここまで駄文にお付き合いしていただいた皆さまに、海事代理士としてのご挨拶です。釣りの腕こそありませんが、海事法令の精通度と手続きの熟練度には自信を持っているので、海及び船舶に関する手続きについてお困りの際は、当事務所までどうぞお気軽にご相談ください^^

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