積立式宅地建物販売業許可│積立金による不動産販売に関する制度と許可の基準について

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積立式宅地建物販売とは、宅地又は建物の販売で、目的物並びにその代金の額及び引渡しの時期の確定前に相手方からその対価の全部又は一部に充てるための金銭(積立金)を2回以上にわたり受け入れるものをいいます。

なお、「販売」には請負その他いかなる名義をもってするかを問わず、対価を得て、建物を建築し、その所有権を取得させることをすべて含みます。

要するに、取引の目的となる不動産(宅地建物)や、その代金、引渡しの時期が何も定まっていない状態で買主となる相手方から積立金を受け取って販売する方法が該当します。

このような特殊な販売方法であることから、積立式宅地建物販売を事業として行う者は宅地建物取引業免許又は建設業許可を有する法人に限られ、これとは別に都道府県知事又は国土交通大臣から許可を受ける必要があります。

積立式宅地建物販売業の許可

積立式宅地建物販売業を営もうとする者は、以下の区分に従って申請を行い、その許可を受ける必要があります。国土交通大臣又は都道府県知事が許可をしたときは、申請者に対して許可証を交付します。

一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合事務所の所在地を管轄する都道府県知事
二以上の都道府県の区域内に事務所を設置してその事業を営もうとする場合国土交通大臣

許可申請に必要となる書類

  • 許可申請書
  • 定款及び登記事項証明書
  • 積立式宅地建物販売の契約の締結及び履行の計画並びに資金計画を記載した事業計画書
  • 積立式宅地建物販売契約約款
  • 直前3年の各事業年度の財務諸表
    • 貸借対照表
    • 許可申請日前1か月以内の一定の日現在において作成した貸借対照表(直前の事業年度の末日が許可申請日の前日の1か月以上前の日である場合)
    • 損益計算書(勘定科目内訳明細書を含む)
    • 株主資本等変動計算書又は社員資本等変動計算書
  • 法人税の直前3年の各年度における納付すべき額及び納付済額を証する書面
  • 株主又は出資者に関する調書
  • 相談役及び顧問の氏名及び住所を記載した書面
  • 宅地建物取引業免許又は建設業許可を受けていることを証する書面
  • 欠格事由のいずれにも該当しない者であることを誓約する書面
  • 役員及び令3条使用人の住民票の抄本又はこれに代わる書面及び略歴を記載した書面
  • 事業の沿革を記載した書面

★申請書の記載事項

  • 商号又は名称
  • 役員の氏名及び住所
  • 政令使用人の氏名及び住所
  • 事務所の名称及び所在地
  • 資本金又は出資の額
  • 宅地建物取引業免許又は建設業許可に関する事項
  • 他に事業を行っているときはその事業の種類

許可の基準

積立式宅地建物販売業の許可を受けようとする者は、以下すべての基準に適合している必要があります。

  • 欠格事由に該当しないこ者であること
  • 資本金又は出資の額が積立式宅地建物販売の相手方を保護するため必要かつ適当であると認められる金額(10以上の事務所を有する法人にあっては5,000万円、その他の法人にあっては2,000万円)を満たす者であること
  • 資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本金又は出資の額の100の90に相当する額を満たす者であること
  • 積立式宅地建物販売業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有する者であること
  • 法人又はその役員若しくは政令使用人が積立式宅地建物販売業に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
  • 積立式宅地建物販売契約約款の内容が基準に適合する者であること

★法人の役員

ここでいう法人の役員とは、業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含みます。

欠格事由

以下のいずれかに該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可を受けることはできません。

  • 法人でない者
  • 宅地建物取引業免許又は建設業許可を受けていない法人
  • 許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない法人
  • 積立式宅地建物販売業法の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない法人
  • 許可の申請前5年以内に積立式宅地建物販売業に関し不正又は著しく不当な行為をした法人
  • 役員又は政令使用人のうちに次のいずれかに該当する者のある法人
    • 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
    • 積立式宅地建物販売業法の規定に違反し、又は刑法第204条、第206条、第208条、第208条の2、第222条若しくは第247条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
    • 積立式宅地建物販売業者が許可を取り消された場合において、その処分に係る聴聞の期日及び場所の公告の日前60日以内にその積立式宅地建物販売業者の役員又は政令使用人であった者で、その処分のあった日から5年を経過しないもの
    • 許可の申請前5年以内に積立式宅地建物販売業に関し不正又は著しく不当な行為をした者

資本金又は出資の額

10以上の事務所を有する法人5,000万円以上
その他の法人2,000万円以上

資産及び負債の額の計算方法

資産の合計額又は負債の合計額は、許可申請日前1か月以内の一定の日(以下、計算日)における帳簿価額(資産のうち受取手形、売掛金、貸付金及びこれらに準ずる債権については貸倒引当金を、有形固定資産(土地及び建設仮勘定を除く)については減価償却引当金を控除した額)により計算します。

ただし、資産についてはその帳簿価額が資産を計算日において評価した額をこえるとき、負債についてはその帳簿価額が負債を計算日において評価した額を下回るときは、その評価した額により計算します。

積立式宅地建物販売契約約款

積立式宅地建物販売契約約款には、少なくとも以下の事項について定めを設け、その内容はそれぞれの基準に合致させる必要があります。

定めるべき事項基準
各回ごとの積立金の支払分の額及び積立金の支払の方法に関する事項各回ごとの積立金の支払分の額の算定の基礎及び方法を明示したものであること
目的物である宅地又は建物並びにその代金の額及び引渡しの時期を確定する時期及び方法に関する事項積立式宅地建物販売の相手方が一定期間にわたり一定額の積立金を支払った場合には、その相手方は、積立式宅地建物販売業者に対し目的物である宅地又は建物並びにその代金の額及び引渡しの時期を確定するための協議を求めることができるものであること
目的物である宅地又は建物並びにその代金及び引渡しの時期の予定に関する事項目的物である宅地又は建物並びにその代金及び引渡しの時期の予定をするかどうか、並びに予定をする場合におけるその内容に関する定めがあること
目的物である宅地又は建物並びにその代金の額及び引渡しの時期が確定した後の代金の支払に関する事項代金の額が積立金の額(積立式宅地建物販売の契約締結の時に、目的物である宅地又は建物並びにその代金の額及び引渡しの時期の確定後代金の一部に充てるため支払うべき金銭の額が定められているときは、その金銭の額及び積立金の額)をこえる場合における差額の支払の時期及び方法に関する定めがあるもの
積立式宅地建物販売の契約締結の時に、目的物である宅地又は建物並びにその代金の額及び引渡しの時期の確定後代金の一部に充てるため支払うべき金銭の額が定められている場合においては、その確定の時にこれを支払うものとした場合における当該支払われるべき金銭の額の算定の方法を明示したもの
契約の解除に関する事項一定期間の末日前又は積立式宅地建物販売の相手方が目的物である宅地若しくは建物並びにその代金の額及び引渡しの時期を確定するための協議を求めた日から起算して60日以内にこれらのすべてが確定されない場合(積立式宅地建物販売の相手方の責めに帰すべき事由による場合を除く)においては、積立式宅地建物販売の相手方は、積立式宅地建物販売の契約を解除することができる旨の定めがあるもの
積立式宅地建物販売業者が契約解除事由(積立式宅地建物販売業法第二36条)に該当したこと又は積立式宅地建物販売業者の責めに帰すべきその他の事由による積立式宅地建物販売の契約の解除については、積立式宅地建物販売業者は、契約の解除後、すみやかに、契約の相手方から受領している金銭の額に相当する額の金銭を返還し、かつ、当該金銭にはその受領の時より利息を附する旨の定めがあるもの
目的物である宅地又は建物並びにその代金の額及び引渡しの時期の確定前における積立式宅地建物販売の相手方の責めに帰すべき事由による積立式宅地建物販売の契約の解除については、積立式宅地建物販売業者は、積立式宅地建物販売業者の定める当該契約の解除の日から1年以内の一定の時期、一定期間の末日以前の一定の時期又はこれらのいずれか早い時期までに、契約の相手方から受領している金銭の額から契約の締結及び履行のために通常要する費用(当該契約の締結に関し歩合等の名義で支払われる報酬を含む)の額を控除した額以上の額の金銭を返還する旨の定めがあるもの
目的物である宅地又は建物の引渡し後代金の一部を支払う場合における代金債務を担保するため積立式宅地建物販売の相手方が講ずべき措置に関する事項積立式宅地建物販売の相手方が代金債務を担保するため講ずべき措置があるかどうか、及び当該措置がある場合におけるその内容に関する定めがあること
積立式宅地建物販売の相手方が支払うべき代金(積立金を含む)以外の金銭に関する事項積立式宅地建物販売の相手方が支払うべき代金以外の金銭があるかどうか、並びに当該金銭がある場合におけるその額の決定の基準及び方法並びにその授受の目的及び時期に関する定めがあること

また、積立式宅地建物販売契約約款には、以下に該当する定めを設けることはできません。

  • 法令に違反する定め
  • 積立式宅地建物販売の契約に係る訴えを管轄する裁判所につき積立式宅地建物販売の相手方に著しく不利となる定め
  • 積立式宅地建物販売契約約款その他の書類の再交付に際し再交付に通常要する費用をこえて手数料を徴収する旨の定め
  • その他積立式宅地建物販売の相手方の利益の保護に著しく欠けることとなる定め

積立式宅地建物販売業許可申請サポート

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